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ペトリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks) の『遠き光 | ピアノ四重奏曲 | サマー・ダンス』の素晴らしさ!!



ペトリス・ヴァスクス (Pēteris Vasks, 1946/4/16 - )
ラトビアの現代音楽家 ペトリス・ヴァスクス(ペーテリス・ワスクスとも)は、リトアニアで学び初期はペンデレツキやルトスワフスキの影響があります。でも個性が確立後はラトビア民謡や和声を基に技法を使うようになりますね。またバプテスト教会の傾倒が強く宗教的な和声も特徴的です。クロノス弦楽四重奏団にも楽曲提供しています。[過去の紹介文流用です]



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Distant Light | Piano Quartet | Summer Dances
ワジム・グルズマン (Vadim Gluzman, vn)
ヴァスクスのヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリン・デュオ、ピアノ四重奏曲(vn, va, vc, pf)、の三曲ですね。と言うわけでvnのグルズマンが主役のアルバムです。全て弦楽奏曲ですが、デュオから室内楽、そして協奏曲とバランスも良いですね。

ヴァスクスの代表作 "遠き光" ですが、何故かこのところCDリリースも多く、コンサートで取り上げられる機会も増えていますね。5パート(3つのカデンツァを入れると8パート)ですが一楽章の様に演奏される弦楽奏オケの協奏曲で、同じラトビア出身のギドン・クレーメルに献呈されています。

演奏は1.がハンヌ・リントゥ指揮、フィンランド放送交響楽団になります。







1. Distant Light, Concerto for violin and string orchestra (1996-97)
極端に神経質な細いvnのアンダンテから入って静空間に澄んだ音を満たして行きます。#1カデンツァはアンダンテ延長線でグルズマンの鋭い音色のダブルストップが楽しめます。カンタービレは荒涼とした冬の凍った風景の様に透明感のある調性旋律で静、モッソでは舞曲的な激しいvnを聴かせてくれます。#2, #3カデンツァではカミソリの様なソロが味わえますね。#3カデンツァの最後は狂気の様な激しい混沌となり、最後はアンダンテに戻って静空間の澄んだ音色で納めます。

澄んだ透明感と舞曲的に激しいリズムを刻む二つのコントラストが素晴らしい楽曲です。それを澄んだ鋭い音色のグルズマンと透明感ある広がりを見せるオケが素晴らしいフィットを聴かせてくれます。今まで聴いたこの曲としては一番好みかもしれません。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ギドン・クレーメルのvnと手兵クレメラータ・バルディカで、
  哀愁と美しさの完成度です
  鋭い切れ味を味わいたければ本CDの方が良いかも



2. Summer Dances, for two violins (2017)
民族音楽和声を下敷きにした二つのvnがホモフォニーに、時折対位的に、繊細な動機を奏でます。時に静に、そして舞曲風に力強くと表現力豊かに弾き倒します。7パートに渡って素晴らしさに惹きつけられてしまいますね。#2vn(多分低音パート)にはSandis Šteinbergsが入っていますが、音色や奏法でとても相性が良さそうです。


3. Quartet for violin, viola, cello and piano (2001)
6パートのピアノ四重奏です。年代的には2.の16年前になりますが、出し入れの強さや広がりを強く感じますね。混沌まで包括し、IVでは調性の薄さを見せたりする懐の広さもあります。やや反復が濃い気はしますが、ここでも民族音楽和声がベースになっているのでヴァスクスらしさは変わりません。
変化率が高く素晴らしい楽曲と見事な演奏のフィットです。ラストのカミソリの様な薄く鋭いvnの音色も素晴らしいですね!!



ヴァスクスを聴くとやっぱりG.カンチェリを思い出してしまいますね。そして驚きのグルズマンの素晴らしいvnでした。リントゥ/フィンランド放送響との"遠き光"のフィッティングは最高ですね。

繊細で澄んだ美しい旋律はラトビア民族音楽が生かされていています。機能和声からの脱却の一つが無調だとすれば、もう一つはこの様な広義での"モード"と言う事になりますね。それを生かしたヴァスクスの楽曲と、グルズマン他演奏者の素晴らしいアルバムでオススメです!!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





2020ハンブルク国立歌劇場公演 ヴェルディの歌劇「ファルスタッフ」をNHKプレミアムシアターで観る


ヴェルディのオペラ「ファルスタッフ, Falstaff」デブっちょの喜劇ですね。スペインの濃厚で刺激的な演出家C.ビエイトがどの様な舞台を作っているか興味がありますね。



(公式Excerptです)





演出
大袈裟な演技、表情、ドタバタ の喜劇演出でした。ビエイトらしいヤバいシーンの設定があるかと思ったのですが、ストーリーの置き換えも無く、舞台設定上の都合で洗濯籠とハーンの樫の木を弄ったくらいでほぼそのまま、少々肩透かしを食らった気分でもあります…w

舞台・衣装
舞台のメインセットは建物ですね。それがシーンによって回転して外観であったり二階建ての断面であったりで、キャストのドタバタが観易く作られています。衣装は現代風ですが、ラストの妖精達で少しアブノーマルになって僅かに前衛色を見せました

配役
何と言ってもタイトルロールのマエストリです。当たり役というだけあって存在そのものがファルスタッフです。デカくてデブの容姿w・演技・歌い、共にジャストフィットの楽しさでしたね。

大きくておデブのファルスタッフ以外は極端に言えば"その他諸々"的なのが このオペラ。女性陣で言えばアリーチェ(コヴァリェフスカ)も、メグ(アルドゥリアン)も、クイックリ夫人(カリャジナ)も突出したモノを見せる必要はなく大袈裟な表情や演技でコメディを演じればOKですね。

男性陣ではフォード(ブリュック)が気持ちの入った演技でしたが、役割通り。フェントン(パルチコフ)他も端役のファルスタッフの手下二人も同様で、控え目のキャラクタでコメディ演技主体です。


音楽
アクセル・コーバーはメリハリの強いタクトだった気がしますが、いかがでしょうか。特にディナーミクの振りが強く出し入れの明瞭な流れになっていた感じでした。


一にも二にもファルスタッフのアンブロージョ・マエストリのオペラでした。それが全てと言っていいくらいですね。

演出的には今の時代としてはスタンダード範疇で、もっとエロティックか危険な笑いの香りが欲しい気がしました。ビエイトですから。アヴァンギャルドな喜劇だったら興味深かったかと。



<出 演>
 ・ファルスタッフ:アンブロージョ・マエストリ [Ambrogio Maestri]
 ・フォード(金持ちの市民):マルクス・ブリュック [Markus Brück]
 ・アリーチェ(フォード夫人):マイヤ・コヴァリェフスカ [Maija Kovalevska]
 ・ナネッタ(フォード夫妻の娘):エルベニータ・カイタージ [Elbenita Kajtazi]
 ・クイックリ夫人:ナデジュダ・カリャジナ [Nadezhda Karyazina]
 ・メグ(ページ夫人):イダ・アルドゥリアン [Ida Aldrian]
 ・フェントン(青年紳士):オレクシー・パルチコフ [Oleksiy Palchykov]
 ・ケイアス(医者):ユルゲン・ザッハー [Jürgen Sacher]
 ・バードルフ(ファルスタッフの従者):ダニエル・クルーゲ [Daniel Kluge]
 ・ピストラ(ファルスタッフの従者):ティグラン・マルティロシャン [Tigran Martirossian]

<合 唱> ハンブルク国立歌劇場合唱団
<管弦楽> ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> アクセル・コーバー [Axel Kober]
<演 出> カリスト・ビエイト [Calixto Bieito]


収録:2020年1月19日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





トニー・バンクス(Tony Banks) の『Five』はジェネシスのオケ版?!



トニー・バンクス (Tony Banks, 1950/3/27 - )
ロックバンド「ジェネシス」のメンバー(keyboards)ですね。なぜロックではなく現代音楽で??と言う事になりますが、ジェネシスでもそうですが重厚な音はクラシックの影響と言われています。直接的にマーラーを思わせる事はありませんが、影響を受けているそうで 既にクラシック系のCDも数枚リリースしていますね。



ファイヴ, Five
管弦楽集になります。少々変わっているのは殆どのパート、本人のピアノとチェレスタを含め、を個別録音で構成している事ですね。そしてクレジットにはオーケストレーションとアレンジがニック・イングマン(Nick Ingman)となっている事。一瞬、バンクスは主旋律だけで後は全てイングマンかと思いましたが、個別録音での指揮者であるイングマンが完成度を上げる為に手を加えたそうです。

演奏はイングマン指揮、チェコ・ナショナル交響楽団(Czech National Symphony Orchestra)です。指揮者・オケ共にポップを得意とするセットですね。







1. Prelude to a Million Years
機能和声の緩やかで広がりを感じる音楽ですね。映画音楽かドキュメンタリー音楽かといった風です。途中で重厚な動機(トリオ?)が現れるのはジェネシスと同じです。細かく聴いてはいませんが複合三部形式の様な構成を感じます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

2. Reveille
出だしはミニマル風、すぐに音厚のある調性旋律になります。心地良い主題がくどいほど反復されます。

3. Ebb and Flow
ここでも緩やかに出て力感ある旋律に入れ替わるパターンになっています。途中で一瞬ですが中華和声らしきモードが出て来ますね。

4. Autumn Sonata
同じ流れです

5. Renaissance
同じ流れでしょう



只々わかり易く気持ち良い音楽です。一言で言えばジェネシスのキーボードをオケにした音楽と言う事でしょうか。

今の時代の管弦楽ですから現代音楽にはなるわけですが、残念ながらフランク・ザッパの様にはいかずこのブログでの守備範囲ではありませんでした。勿論前衛のカケラも無く、マーラーやショスタコーヴィチを思わせるパートも存在しませんね。




テーマ : 音楽のある生活
ジャンル : 音楽





リュドヴィク・テジエ(Ludovic Tézier) のバリトンで聴く『ヴェルディ・アリア集』



VERDI
Ludovic Tézier (リュドヴィク・テジエ, b.1968)
これまでソロアルバムを出していなかったのが不思議なフランス人の人気バリトン、リュドヴィク・テジエですね。53歳と脂の乗ったバリトンは、近年ですと2018ザルツブルク音楽祭の「トスカ」のスカルピア男爵、2019ロイヤル・オペラ「運命の力」のドン・カルロが光りましたね。

ガラで歌うのも得意としていますが、ブリン・ターフェルの様なエンターテイメント性とは違ってオペラからはみ出す印象は個人的にはありません。アリアを朗々と聴かせてくれる印象が強いです。

CDの日本語紹介文にはカウフマンのアルバムでのビゼーの"真珠採り"「神殿の奥深く」のデュエットが紹介されていますが演奏含めてテンションが低く、この曲のテジエなら2007年の"オペラ・ガラ バーデン・バーデン"でのヴァルガスとのデュオが良いでしょう。

演奏はフレデリック・シャスラン指揮、ボローニャ市立歌劇場管弦楽団。満を持してのヴェルディのアリア集です。







楽曲 1. "運命の力"「死ぬということ…何と恐ろしいことだろう」2. "ドン・カルロス"(仏語版)「私です、カルロス!・・・わが生涯の最高の日」3. "エルナーニ"「偉大な神よ!この墓の大理石の上で奴らは」4.同じく「私と一緒に来ておくれ、バラだけで」5. "ファルスタッフ"「これは夢か? まことか?」6. "トロヴァトーレ"「全く人の気配はない・・・あの人のかすかな微笑みは」7. "椿姫"「プロヴァンスの海と大地」8. "マクベス"「裏切り者め!イングランドと組んで私に刃向かうか」9. "ナブッコ"「ユダの神よ」10. "オテロ"「俺は信じる、俺を造り給うた無慈悲な神を」11. "リゴレット"「廷臣たちよ、下劣で呪われた者どもよ」12. "仮面舞踏会"「あなたに微笑んでいる人生には」13.同じく「立て!お前の息子はあそこだ」14. "ドン・カルロ"(伊語版)「私です、カルロス!・・・わが生涯の最高の日」


1."運命の力"のカルロの様な曲に抑揚があるシーンはテジエらしい艶やかなバリトンが生きますし、4."エルナーニ"のカルロの様なトーンが高いパートはテノールの様な伸びのあるテジエの声質にはピッタリですね。

5."ファルスタッフ"のフォードは激情的で気持ちが入っているのが分かります。6. 7.と落ち着いた曲を並べるのも上手い構成になっているでしょう。8."マクベス"や9."ナブッコ"では表情変化を付けて歌い、10."オテロ"のヤーゴ 11."リゴレット"では力感を見せますね。

2.と14.は同じ"ドン・カルロス"のお馴染みアリア「ロドリーゴの死」ですが、仏語と伊語で歌いわけます。元々は仏語の方が先で、後から伊語版が出来ていますが、当然ながら仏語の方が歌唱がテジエにフィットした感じです。伊語ver.がスローに歌われているのもあるかもしれませんね。このシーンですとスローの方が良いのかもしれませんが…



テジエらしいバリトンと並びの良い楽曲で楽しめる一枚になっています。テジエらしい艶やかでテノールの様な伸びあるハイ・バリトンが素晴らしいですね。

欲を言えばデュオが入っていても良かったかもしれません。(3.ではほんの僅かなDuoがありますが)



 ★試しにYouTubeで観てみる?
  今回は入っていない"カルメン"「闘牛士の歌」です。素晴らしいので是非!!
  (2007年の"オペラ・ガラ バーデン・バーデン"から)
  今ほどの体型でもなく、声質もよりハイです

  参考までにブリン・ターフェルが歌う"闘牛士の歌"もどうぞ
  (アバド指揮で女性陣もフォン・オッターを含めて豪華布陣です)
  試しにターフェルも観てみる?



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





キャロライン・ショウ(Caroline Shaw) の『Narrow Sea』広がりあるパーカッション



Narrow Sea
キャロライン・ショウ (Caroline Shaw, b.1982)
N.Y.を拠点に活躍する米女性現代音楽家ですね。前回の弦楽四重奏曲インプレで紹介済みなので割愛です。今回はソプラノ/ピアノ/パーカッションの楽曲になります。

"Narrow Sea"はジョージ・クラムのアメリカン・ソングブックに倣っているそうです。それで楽器編成が理由がわかりますね。もちろん米聖歌と米民族音楽(例えばアフリカ系アメリカ人の)をベースにしている事もクラム同様のスタンスです。クラムはスパニッシュ・ソングブックも作っているので、同様にシリーズ化する可能性もあるのかもしれません。また、何となくジュユリア・ウルフの方向性も感じてしまいますが、そこまで深堀はしていないでしょう。

"Taxidermy"はパーカッション曲でプリンストン時代にフラグメントが作られているそうです。当時Sō PercussionのメンバーEric Cha-Beachとハミングもしているとか。

編成はsopがドーン・アップショウ(Dawn Upshaw)、pfがギルバート・カリッシュ(Gilbert Kalish)、perc.がソー・パーカッション(Sō Percussion)です。TaxidermyはSō Percussionですね。


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1. Narrow Sea I-V (2017)
5パート楽曲です。美しいpfとsop、そこに被るパーカッション。そんな構成です。基本は女性のリート曲なのですが、特殊なパーカッションが入る事で奥行きが広がっていますね。

注目すべきはそのパーカッションで、鍵盤打楽器以外に様々な道具類を用いています。他にエレクトロニクス(ライヴ・エレクトロニクス?)も使っていますね。それで曲の変化量が大きくなって魅力がアップしています。この存在の有る無しで曲のイメージは大きく変わってしまうでしょう。白眉はIII.で、ピアノの特殊奏法でツィムバロムの様に弾いたりもして、後半は実験系前衛的にパワーのカオスの色付けもしています。

sopとpfは調性の美しさでC.ショウらしさです。最後は冒頭回帰が入ってループの様な感じも作られていて、ラストの歌詞は"Narrow Sea"について本人が語った最後の文面を表現している様です。


2. Taxidermy (2012)
シンプルなパーカッションで、緩やかに変奏されながら反復します。その中に微妙なピッチとテンポのズレやポリリズムが挿入されて行きます。ガムラン風になったりしつつ、音量が厚くなってvoiceも入り込みますね。detailとpardonです。これも面白いパーカッション曲ですね。ポスト・ミニマルと言っていいでしょうか。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Official Videoで録音風景でしょう。全曲楽しめますね
  特殊奏法をはじめ打楽器類が全てわかります



美しいソプラノのリートにパーカッションと様々な特殊奏法が彩る素晴らしさになっていますね。ミニマル色も随分と減っています。

Sō Percussionの表現力がなかったら、ただのリートで終わっていたかもしれませんね。前回"Orange"のインプレではパターンの狭量さを感じてしまいましたが、今回は表情豊かで自由度が高くキャロライン・ショウのこれからが楽しみになる一枚でした。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





キャロライン・ショウ(Caroline Shaw)『オレンジ』美しい多様性ミニマル



キャロライン・ショウ (Caroline Shaw, 1982/8/1 - )
元はヴァイオリニストですがPh.Dは作曲でも取得していて、30歳で最年少のピューリッツァー賞を受賞しています。2014年グラミー賞の受賞作品にはヴォーカルとしても参加していますね。大学で教鞭をとり、プロデューサーとしても活動していたりと今注目の米女性現代音楽家です。

ブルックリンを拠点としているので"So Percussion" や "Bang On a Can"とのコラボ(委嘱作品)もありますね。作曲家としてのインプレは初めてですが、以前Daniel Wohlのアルバムでヴォーカリストとして聴いています。


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オレンジ (Orange)
アタッカ四重奏団 (Attacca Quartet)
弦楽四重奏曲で、キャロライン・ショウ本人とアタッカ・クァルテットがオレンジを育てるプロセスをテーマにしているそうです。パート毎のタイトルもそれにならって、CDもオレンジの輪切りで美味しそうですw

アタッカ・クァルテットはジュリアードの学生で2003年に創設されて米を活動拠点としていますが、グローバルに展開、来日もありますね。#2vnに徳永慶子さんが入っています。(現在は退団)
ちなみに本作品も2020年グラミー賞受賞になっています。







1. Entr’acte
美しい調性旋律の反復と、そこにディナーミクと特殊奏法ノイズの色付けが入って来ます。シャリーノ的なグリッサンドも効果的に使われて、一部ポリフォニーも散見できますね。ピチカートが作る旋律が古典的な美しさです。

2. Valencia
トリル・トレモロ反復の上に美しい旋律のピチカートの組み合わせです。グリッサンドとディナーミクで不安定感を盛り込んだりしていて、ポスト・ミニマルと言って良いのかもしれません。

3. Plan & Elevation
  I. The Ellipse - II. The Cutting Garden - III. The Herbaceous Border - IV. The Orangery - V. The Beech Tree
5パートの楽曲です。ここでも美しい調性旋律のミニマルが主役です。II.の様に調性の不安定さを見せたり、III.の様なロング・ボウイングを生かしたり、IV.は端的なミニマル、V.は美しいvcピチカート、と表情を変えます。変化はあるのですが落差は小さく、全体としては一曲に聴こえるかもしれません。

4. Punctum
3.と同じ様な流れと変化ですね。その中に古典的な旋律が入っていますね。

5. Ritornello 2.sq.2.J.A.
3.と並ぶメインパートと思われます。ロング・ボウイングの美しさから、ピチカート変奏、と変化は多少なりとあるのですがいずれどの曲を聞いても同じ様に感じてしまいますね。

6. Limestone & Felt
強いピチカート、一部はバルトーク・ピチカート、で入ります。でもすぐに美しい旋律のピチカートが割り込んで来ます。その後はいつもの通りですね。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  LIVEです。CDの再現の様でLIVEでの高揚感の様なものは感じませんね



①美しい調性旋律 ②反復多用 ③特殊奏法ノイズ ④ディナーミク ⑤前衛的グリッサンド と垣根を低くした美しさの多様性ミニマルです。ディナーミクの出し入れ強調も顕著ですね。

残念なのはどの曲も似たり寄ったりで、イデーフィクスやストーリー性の統一感と言うよりもパターンの脆弱さでしょう。長く感じてしまいます。



次回は先月リリースされた「Narrow Sea」をリベンジ・インプレしたいと思いますw


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ニコラス・ハッジス(Nicolas Hodges)の『A Bag of Bagatelles』ベートーヴェンとバートウィッスル



ニコラス・ハッジス (Nicolas Hodges, pf)
本ブログでは度々登場する英国(イングランド)のピアニストですね。例によってハッジスなのかホッジスなのか良くわかりませんがw

マッシミリアーノ・ダメリーニ、ジェフリー・ダグラス・マッジ、ジョナサン・パウエル、イアン・ペイス、と言った超絶技巧の現代音楽ピアノ曲を得意とするヴィルトゥオーゾの一人ですね。パウエル、ペイスも英人(イングランド)で、なぜか技巧性を得意とするピアニストが英国から現れるのが不思議です。



A Bag of Bagatelles
Ludwig van Beethoven | Harrison Birtwistle
新旧二人の音楽家、ハリソン・バートウィッスルとベートーヴェンをミルフィーユした『ピアノ小曲(バガテル)のバッグ』ですね。

ハリソン・バートウィッスル (Harrison Birtwistle, b.1934)
英(イングランド)の現代音楽家ですね。年代から行くと欧エクスペリメンタリズム(トータルかポストのセリエル)ですが、前衛不毛の地イギリスですから無調ではあっても実験的ではありません。三度五度の旋律や反復を用いて、初めから今の時代の多様性を進めていた様な楽風ですね。

バートウィッスルの三曲は全て世界初録音です。ちなみにハッジスはバートウィッスルのピアノ作品全集もリリースしていますね。







1. 幻想曲 Op.77 (1809):ベートーヴェン
曲は古典ですから何とも…ですが、ベートーヴェンらしいコントラストのある曲です。ハッジスのpfは流麗さよりも歯切れの良さを明瞭に表現します。スロー静とファスト強ですね。音の粒立ちが良いのもハッジスらしさですね。


2. variations from the golden mountain (2014):バートウィッスル
10分の変奏曲です。一瞬の速いアルペジオに鬱で音数の少ない主題です。無調なのか調性に不協和音なのかスコアを見ないとわかりません。その不安定さが魅力ですね。ここでは1.とは逆に静で鬱な流れを神秘的に奏で、時折強鍵を見せたりペダリングを変えたりと変化を聴かせます。ラストの緊張感は素晴らしく、今の時代のピアノ曲でハッジスのスタイルにフィットしていますね。


3. 6つのバガテル Op.126 (1824):ベートーヴェン
タイトル通り2-3分のバガテル6曲のセットです。No.1は緩徐曲で、2.の後に聴くとホッとするかもしれません。No.2の様な速くて技巧を要する曲の切れ味は流石はハッジスと言った処でしょうか。


4. gigue machine (2011):バートウィッスル
調性の薄いアルペジオが左右の手で対位的に流れます。ホモフォニー的な通常のピアノ曲の流れにもなって、瞬間的にはモノフォニーも現れますね。その変化と出し入れの強さをハッジスが表現します。面白いのは基本構成が点描的である事です。反復があるからか古臭い感じはありません。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ハッジスの演奏です



5. アレグレット ロ短調 WoO 61 (1821):ベートーヴェン
2'24"のバガテルですね。ユニゾンの流れが平和な古典ピアノ曲です。


6. dance of the metro-gnome (2006):バートウィッスル
1'46"のバガテルで、メトロノームとピアノの組合せは前衛っぽいですね。voiceも"シュッ・シャッ"と入って三重奏曲?ですw



交互に入れ替わる古典と現代音楽の対比、そのコントラストが楽しいですね。ベートーヴェンの3.ではパート毎の静と強の対比を見せています。

楽曲的にはバートウィッスルの調性の薄い流れと神秘的曲調が今の時代のピアノ曲らしさがあって、ハッジスのpfもフィットしていますね。

ハッジスは例によってどの様な流れでも音の粒立ちが見事です。それがヴィトゥオーゾの証ですね。



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