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ヨハネス・カリツケ(Johannes Kalitzke) の現代音楽オペラ「Die Besessenen」を聴く


ヨハネス・カリツケ (Johannes Kalitzke, 1959/2/12 - )
ドイツ人の指揮者で現代音楽家、以前も歌劇「音楽家ジャック・ティーアガルテンの死による物語 (Report of the Death of the Musician Jack Tiergarten)」をインプレしています。
作曲に関してはヨーク・ヘラー(York Höller)に師事し、エレクトロニクスをIRCAMで習っていますね。


Die Besessenen (取り憑かれて)
ポーランドの劇作家ヴィトルド・ゴンブローヴィッチ(Witold Gombrowicz)の同名小説を基にした四幕75分のカリツケ四作目のオペラになります。「ティーアガルテンの死」と同様に人々の思惑と死で、タオルがキーですね。
タイトルは"脅迫"という日本語標記(naxos)が見られますが、"取り憑かれる"と言った意味の方がストーリーに合っている気がします。英題(The Possessed)もそう訳されていますね。
Theater an der Wien による委嘱作品で、カリツケ本人指揮 Klangforum Wienの演奏になります。


配役とあらすじ
Ocholowska (Majaの母) : Noa Frenkel
Maja (Ocholowskaの娘) : Hendrickje van Kerckhove
Cholawicki (Ocholowskaの使用人で老王子の世話人) : Leigh Melrose
Leszczuk (Majaの恋人) : Benjamin Hulett
Holszanski (老王子) : Jochen Kowalski
Skolinksi (美術史家) : Manfred Hemm
Maliniak (金持ちの老人) : Rupert Bergmann

娘Majaを金持ちに嫁がせたい母Ocholowskaは使用人で老王子Holszanskiの世話人であるCholawickiとの結婚を画策します。目的は王子蔵の絵画を売って高級ホテルの所有です。
 しかしMajaには恋人のLeszczukがいて、二人で絵画を持ち逃げする事を計画します。一方Cholawickiは美術史家Skolinskiを呼んで王子の城の絵画を鑑定、そこに幽霊がいる事を知ります。
 それは王子が認知を拒んだ私生児の息子がタオルを使って自ら絞殺死した、そのタオルが現れるのでした。王子は苦悩し、息子が許してくれる事を望んでいました。
 一方MajaとCholawickiの結婚は失敗し、母Ocholowskaは老紳士のMaliniakと結婚させようとしますが、その矢先Maliniakは殺害されてしまいます。
 Mayaは王子の息子がすでに許していると信じてタオルから呪いを解放し、王子の平穏を取り戻します。そこでCholawickiは絵画を持ち出して、美術史家が国に帰属する物だというにも関わらず、売ってしまいます。
 波乱の末、MayaとLeszczukはそれぞれ異なる未来に向かって進んで行く事を決めます。



Die Besessenes (2008-2009年), Opera in four acts
音楽は出し入れの強い無調の混沌ですが、基本はホモフォニー構成を感じオペラ背景音楽としては違和感は少ないでしょう。一方歌唱は明瞭な旋律は無く、トーキングに近い不協和音旋律で歌われます。とは言え大きな音程跳躍も無いので舞台全体としては今の時代のオペラであり、現代音楽を敬遠される方にも楽しんでもらえそうです。(第三幕後半あたりは前衛度が高いところも散見できますが)

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  超ダイジェストですが映像付きで雰囲気は十分伝わると思います



今まで何作も現代音楽オペラをインプレしていますが、現代音楽による背景音楽は実験的な作品はないので違和感なく楽します。歌も人間は微分音等で歌ったりノイズで表現したりする事はなく、旧来のオペラに比べれば演劇に近いのかもしれませんね。完全実験的前衛のオペラも観てみたいですが…

82ページのライナーノートに舞台のカットと英訳、原語は独語、が載っていて展開は事前に読めますが、やっぱり映像で観たいですね。演技は狂気もありそうなのでDVD付きで出してくれたらよかったのですが。(そういう作品もありますから)




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ミカエル・ジャレル(Michael Jarrell) の朗読オペラ「Cassandre」を聴く


ミカエル・ジャレル (Michael Jarrell, 1958/10/8 - )
スイス人現代音楽家で、クラウス・フーバーに師事していますから基本は「新しい複雑性」のフライブルク楽派という事になりますね。その証は技巧性を基本とするスコアや、スコア自体を32分音符グリッドの様なものに見られる様です。IRCAMで電子音楽コースにも入っていますね。
楽風の変化は多様性に変わる今の時代のメインストリームにあり、機能和声や穏やかさを見せる様になっています。


カッサンドラ
ジャレルの代表作の一つで、サブタイトルに『アンサンブルと女優のための朗読オペラ』とある様に劇音楽で16の小曲構成、約55分ほどのギリシャ神話を元にした小作品になります。
演奏はスザンナ・ マルッキ(Susanna Mälkki)指揮、アンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble intercontemporain)で、IRCAMがエレクトロニクスという問答無用のメンバー。女優はアストリッド・バス(Astrid Bas)です。


あらすじ
タイトルロールのカッサンドラはトロイ*の統治者の娘の一人で、アポロから予知・予言能力を授かりながら見棄てられ、その予言を誰も信じない様に呪いをかけられてしまいます。彼女はトロイの悲運を予言しますが、誰も信じません。トロイの木馬の話ですね。

*近年はトロイア表記の方が多い様です



Cassandre (1994年), a spoken opera for ensemble and actress
1.Apollon te crache dans la bouche… - 2.Hecube, ma mere… - 3.Le cypres… - 4.Vers le soir… -5.Quand je remonte… - 6.1er interlude instrumental - 7.Polyxène, ma sœur - 8.C‘était la veille du départ... - 9.Remarquez bien... - 10.2e interlude instrumental - 11.C‘était une journée pareille... - 12.Je vis mon frère hector... - 13.Enée vint à la nouvelle lune... - 14.Depuis qu‘en ce lieu... - 15.L‘effondrement vint vite... - 16.Oui, ce fut ainsi...
音はタンギングの連続音やトリル・トレモロを多用した重なりで流れ、それにロングトーンや打楽器の残響が入ります。旋律の類はなく、全体としては抑揚を抑えた空間音響系でしょう。エレクトリック処理の詳細は分かりませんが、サンプリングによる背景音やエコー処理だけということはないでしょう。

「新しい複雑性」とはいえ曲調は穏やか、ライナーノートのサンプル・スコアを見てもその気配はありません。唯一感じたのはCass.パートは歌詞だけなので合わせるのが難しそうに見えた事でしょうか。そのA.バスの語りはまさに朗読で、表現力は見せますが所謂(いわゆる)シュプレッヒゲザングの様な狂気はありません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  残念ながら少しだけです。ヴィユアライズされていてインスタレーション化の方向にありますね


現代音楽アンサンブルをバックにした一人芝居か朗読で、相性は良い感じです。ただ全体としてはフラットで、実際に観るか、空間音響系音楽に集中して聴くか、という事になろうかと思います。Textはフランス語で英訳はありますが平行記述ではないので着いていけませんw

好きな曲調ですが抑揚に薄いのが足を引っ張っている気もしますね。




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レナード・バーンスタイン生誕100周年記念限定盤/DG&DECCA録音全集(121CD+36DVD+1ブルーレイ・オーディオ)購入


レナード・バーンスタイン(Leonard Bernstein, 1918/8/25 - 1990/10/14)生誕100周年記念での発売、悩んだ末にポチッてしまいましたw

LeonardBernstein-CompleteRecordingsOnDeutscheGrammophonDecca1Box.jpg

ドイツ本国からのパッケージ状態のままでやってきます。『客先までこのまま送れ』とあり、箱の角つぶれの心配もありません。

マニアでもないのに… ダブる所有CD/DVDも多いのに… 全部聴くわけもないのに… でも欲しいという欲望が勝ちました。

ブックレットの最後のページにはシリアルナンバー(/限定4,000部)が入っています。それと嬉しいのはオリジナルの紙スリーブに入っているので、全集物にありがちな枚数削減の為の不自然な曲の割り込みがない事でしょうね。マーラー交響曲全集(の一部)など酷いものもありましたから。
ブックレットの大半は録音の詳細情報の付いたCD/DVDリストです。


(購入時価格は¥42,384でした)

ジャケット裏面に通し番号が入っていますので、中身の順番がわからなくなる心配はありませんね。マーラーを除けば殊更にバーンスタインを持っている訳ではありませんが、それでも30枚くらいはダブります。それらを手放せばもう少しお得感があって、CD棚も少し空くかもw

購入後に知ったのですが、BDを含むベートーヴェンの交響曲は昨年発売になった「Beethoven・Bernstein 9 Symphonies」と同等品ですね。

という事で後悔無しの、お買い得でした。
今回は個別アルバムの紹介も楽曲のインプレもありません。^^ゞ




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ブルーノ・マントヴァーニ(Bruno Mantovani) の「Concerto pour deux altos・Time Stretch・Finale」を聴く


ブルーノ・マントヴァーニ (Bruno Mantovani, 1974/10/8 - )
フランス人現代音楽家ですね。ジャズなど異なるジャンルをベースにしてIRCAMで音楽処理技術を学んでいます。そういった経歴の音楽家が好みですね。また何故かフランス現代音楽は、メシアンやブーレーズの様な古典現代音楽も含めて、気に入っています。

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Concerto pour deux altos・Time Stretch・Finale
管弦楽にソロ楽器をフィーチャーした楽曲集ですね。裏ジャケットには"Time Stretch"が本人名の横に大きく書かれ、メインである事を示しています。マントヴァーニの代表作でジェズアルドをテーマにしているそうです。
カルロ・ジェズアルド(Carlo Gesualdo, 1613/9/8没)は半音音階を使うルネッサンス時代の作曲家で、サルヴァトーレ・シャリーノも取り上げていました。古い音楽様式マドリガル(Madrigal)がポイントですが、殺人鬼としての顔があるのも話題性が高いのかもしれません。
演奏はOrchestre Philharmonique Royal de Liège & Pascal Rophé(cond.)になります。



Concerto (2007-2008年), pour deux altos et orchestre
サブタイトルにある通りで二挺のヴィオラ(Tabea Zimmermann, Antoine Tamestitとビッグネーム)とオーケストラの為の曲です。神経質なvaのDialogueにオケがクラスター的に反応する、といった緊張感のある流れがメインです。無調ですが実験的や混沌では無く、旋律感がある刺激的な構成です。こういう展開は好きですね。

Time Stretch (on Gesualdo) (2005年), pour orchestre
マントヴァーニによればクラリネットをフィーチャーした管弦楽曲との事。一曲目と似た構成ですがオケの出番が増えています。管楽器同士がポリフォニーで絡むパートが強弱をつけて現れますね。その中の主役がclといった感じでしょうか。刺激的ですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

Finale (2007年), pour orchestre
これも管弦楽の中にフルートを前面に押し出しています。流れは上記二曲と似ていますが、静のパートと強音クラスターの対比が明瞭です。一曲目のコンパクトver.の様に感じます。


現代音楽にはよくある静と烈の対比ですね。とは言えその表現はノイズや特殊奏法や即興風ポリフォニーから無調混沌までいろいろですが、マントヴァーニは旋律を持たせたクラスター(音塊)の真っ向勝負、今の時代のクラシック音楽に近いかもしれません。

フランス生まれの米現代音楽家エドガー・ヴァレーズを思い浮かべますね。






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ジョナサン・ノット/東京交響楽団 の「ブルックナー:交響曲第9番」を聴く


コンサートとCD化
本年2018年4月14日のサントリーホールでのコンサート二曲がCD化されました。二枚組ですが、昨日インプレしたマーラー10番は28分でCD一枚という半端な編成。どうしても二曲共出したかったのでしょうね。


ブルックナー交響曲第9番
当日のコンサートのインプレでも書きましたが、この曲は楽しめました。CD化ではどうでしょう。コンサートのインプレも参考ください。(15日のミューザ川崎の同曲演奏会も使われているので、どちらがメインでどこまでマスタリングで調整されているのかはわかりません。いずれ演奏に大きな違いはないとは思いますが。)



第一楽章の第一主題からコンサートの印象通りにメリハリと緊張感が張り詰めています。第二主題でも広がりよく、第三主題も微妙な音の使い回しが綺麗です。展開部・再現部も音の鳴り良く押し寄せる山場を緊張感の中聴かせてくれます。ラストのトゥッティは迫力です。
第二楽章は主要主題と副主題がキレキレのパワーを炸裂させています。この曲のポイントと言っていい出来ですね。トリオでは手を返して軽快に弾みコントラストの良さを対比させています。
第三楽章の不思議な響きの動機を組合せた第一主題から第二主題も出し入れの良さが光ります。妖しげな調性をスローに隠と陽、そしてパワーを表現して緊張を維持していますね。欲を言えば、どこかで緊張を解した見晴らしの良さがあれば尚良かった気がします。(コーダは穏やかで良いのですが時すでに遅し、この楽章の特性もありますが)


スローな低重心というヴァント以来の時代流を保ちつつ、荒さを見せながら澄んだ音色と流れを作る好演のブルックナー9です。コンサート・インプレでも書いた通りで、第三楽章の重厚一辺倒の印象を澄んだ流れ等で拭えれば名演と言ってもよかったのでは…
(ダイナミックレンジが広いのでヴォリュームをあげられる環境がおすすめです)

東響の演奏も見事でノットの意図を見事具現化している様です。本コンサートとCDで、来期は東響の定期会員になろうかと思います。^^v







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ジョナサン・ノット/東京交響楽団 の「マーラー:交響曲第10番アダージョ」を聴く


コンサートとCD
本年2018年4月14日のサントリーホールでのコンサートで録音していたのは知っていましたが、こんなに早くリリースされるとは思っていませんでした。コンサートのインプレとの違いはあるでしょうか。ブルックナーの9番は別途インプレしますね。→ こちら


マーラー交響曲第10番アダージョ
以下コンサートインプレと同じです。『ソナタ形式ですが個人的印象は①序奏主題、第一主題、第二主題がロンド形式の様に展開する前中盤、②まるでトリオ(中間部)の様なコラールから和音、③緩徐の長いコーダですね。』



序奏主題はコンサートより鬱に沈んだ印象、第一主題と反行形主題は暖かな美しさに感じました。特に暖色系の気配が印象的になっています。第二主題はコンサートの印象と同じく個性的な旋律が生きました。
中間部の様な管楽器主役の和音は迫力は抑え気味、コーダの緩徐は静美的印象が薄く感じたのもコンサート同様ですね。


調性の妖しさよりも温もりと力強いアダージョですね。コンサートで感じた通りのコントラストでしたが、スパイス不足の感は無くより明快に感じました。鬱的な、例えばD.ハーディングの様な、方向とは対極になる演奏でしょう。

出来ればノットには全曲を一度やってほしいです。







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バーンスタイン生誕100周年『バーンスタイン・オン・ブロードウェイ』を聴く


レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein, 1918/8/25 - 1990/10/14 )
指揮者の顔が大きいので現代音楽家としての紹介が少ないのですが、今年は生誕100周年という事で色々CDが出ますね。バーンスタインの楽風は代表的なミュージカル系と交響曲に代表される多様性とになりますが、いずれにしても聴きやすい訳でアメリカの今の時代の流れの本流の一つでしょう。


Bernstein On Broadway
今回はタイトル通りミュージカルの代表作三作(抜粋)が並んだアルバムですね。何回目かの再発だと思います。
演奏はロンドン交響楽団*(LSO)で "West Side Story"と"Candide*"がバーンスタイン本人指揮, "On the Town*"が師弟関係となるマイケル・ティルソン・トーマスになります。歌手陣もホセ・カレーラス、キリ・テ・カナワ、他当時の豪華メンバーが揃います。



ウエスト・サイド物語 West Side Story (1957年初演)
The Dance At The Gym - Something's Coming - Maria - Tonight - America - I Feel Pretty - Somewhere
誰もが知る曲が並びますが、意外とバーンスタインの曲と知らない人が多いのでは。改めて聴き直してみるとマンボを始めジャズの要素を取り入れて明瞭な米人好みのサウンドとして作られているのがわかりますね。その中にカレーラスのトニーとテ・カナワのマリアの名曲Maria-Tonightが入って来ますね。やっぱりTonightはいいですね。^^
Americaを聴くとThe Niceのロックver.を思い出します、古い!!

オン・ザ・タウン On the Town (1944年初演)
New York, New York - Taxi Number: Come Up To My Place - Carried Away - Lucky To Be Me - Ya Got Me
みんな知っている"New York, New York"の華やかさとメリハリのサウンドに代表される訳ですが、当時のMGMのミュージカル映画を思い出しますね。

キャンディード Candide (1956年初演/1989年改訂)
Overture - Life Is Happiness Indeed - Oh, Happy We - Glitter And Be Gay - I Am Easily Assimilated - Make Our Garden Grow
三曲の中では前奏曲が入って一番管弦楽パートが練られている感じです。ドンシャン的な明瞭な楽風は米国オケが委嘱しそうな気配を感じます。その他曲調も表情が豊かです。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる? (DGのアルバムTrailer(予告編)版です)


これを聴くとバーンスタインがメロディーメーカーとしても実力があった事がわかりますね。凝ったオーケストレーションが施されている訳でもなく、あくまでもミュージカル曲なのでそうそう聴く機会があるとは思いませんが100周年という事でチャンスが来たのは嬉しい事です。
指揮者としての記念アルバムはDG超大物セットを購入しようかどうか思案中ですw




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サイモン・ラトル指揮 ベルリン・フィルのフェアウェル・コンサート『マーラー交響曲第6番』NHKプレミアムシアター

先月2018年6月19・20日のサイモン・ラトル、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団(BPO)常任指揮者としてのラスト・コンサートですね。ラトルはBPOとの初ライヴ(1987年客演)もこのマーラー第6番で、CD化されていています。(ラトルのマーラーの6番はもう一枚あり、その2年後1989年に手兵だったバーミンガム市響との録音を残していますね)

このブログでは『マーラー交響曲第6番 40CD聴き比べ』でラトルの二枚のCDもインプレしています。



マーラー 交響曲 第6番「悲劇的」 / ラトル・BPO

【第一楽章】
第一主題は切れ味良く重厚さは抑え気味、アルマの主題では少しスローにして優美さを見せますね。展開部・再現部でも切れ味重視で過度の色付けをしていません。重厚さや華美を控えてクールなラトルらしからぬ第一楽章ですね。

【第二楽章】
アンダンテです。主要主題は抑えた優しさを感じ、副主題のobとclも静かな哀しみを表現しました。中間部も抑えられた流れを継承しまして、ラスト前山場の溢れ出す哀愁は見事でしたね。

【第三楽章】
スケルツォは主要主題はやや速めの流れで切れ味良く、トリオは抑えながら変拍子を活かしました。最終楽章へはアタッカで繋げましたね

【第四楽章】
キーの一つ序奏はオケの個々の楽器の鳴りが澄んで見事でした。提示部第一主題は切れ味そのもの、パッセージを大きく奏でて第二主題をのどかに。展開部・再現部はバランスの良いアゴーギクとディナーミクでコントラストと見晴らしの良さが際立ちました。この楽章は素晴らしい出来でした。


クールで緊迫感のあるマーラー6でした。もっと大袈裟に来るかと思っていましたが、予想を裏切る抑えの効いた締まりの良い演奏で驚きました。白眉は最終楽章でしたね。

既発CDとの比較ではバーミンガム市響よりもBPOとの初ライヴに近く更に落ち着きと切れ味を増した感じでしょうか。


BPOのメンバーのセリフはまさに我儘天狗軍団で笑えましたね。



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トーマス・エンコ(Thomas Enhco) と ヴァシレナ・セラフィモワ(Vassilena Serafimova)のピアノ/マリンバDuo「Funambules」を聴く


Funambules
今回は肩の力を抜いてリラックスできるピアノ/マリンバの音をw

フランス人ジャズピアニストのトーマス・エンコ(Thomas Enhco)とブルガリアのマリンバ奏者ヴァシレナ・セラフィモワ(Vassilena Serafimova)のDuo作品です。エンコは指揮者ジャン=クロード・カサドシュ(Jean-Claude Casadesus)の孫だそうですが、ここではエンコを現代音楽家として調べる必要はまだ感じませんね。
ジャズなのかクラシックなのかと問えば、モーツァルトが居座っているのでクラシックでしょう。エンコの曲や二人による編曲も含めてデュオ曲(一部ピアノ曲)になります。



1.Éclipse(Enhco) - 2.Signs Of Life - Blood Pressure(Zimmerli) - 3.Sonata for two pianos in D Major K.448(Mozart) - 4.Palimpseste(Enhco) - 5.Pavane, Op. 50(Fauré) - 6. Dilmano Dilbero, variations on a Bulgarian folk song(Enhco) - 7.Mare A Mare(Serafimova) -8.Sonata for solo violin in G minor BWV 1001 – Fuga(J.S. Bach) - 9.Aquarium (Improvisation after "Le Carnaval des animaux, 動物の謝肉祭 by Saint-Saëns") - 10.Bitter Sweet Symphony(同上)

上記曲構成ですが個別にインプレする内容ではありません。また最後の一曲はストーンズとザ・ヴァーヴの著作権問題になった同名曲をベースにしていますね。

まずは#1(YouTubeです)を聴いていただくとすぐにわかると思います。ピアノとマリンバの相性が思いの外ぴったりとマッチして上質クールな曲選択に合っていますね。エンコ本人の曲は叙情的でジャジーな気配も感じますね。(キース・ジャレットのソロを彷彿させるので危険性はありますが) その流れでインプロヴィゼーション風な曲もあり、例えば2.Signs Of Life - Blood Pressureなどはミニマルでありジャズっぽいかもしれません。またフォーレなどはピアノ曲でエンコの曲の印象に近い演奏ですね。
白眉は6.Dilmano Dilberoで調性感の薄さと民族音楽を生かしてキレの良い演奏を聴かせてくれます。BGMとはいかない素晴らしい演奏です。
普段は聴かない古典やバロック(MozartとJ.S. Bach)も曲調はそのままにピアノ/マリンバでリフレッシュ、でもモーツァルトは三楽章全部で20'超えで個人的にはキツイですがw

ジャズ風から古典まで、なんともピアノとマリンバの音色が洒脱に感じられます。BGMとして部屋でかけているのですが、こう言った幅広い構成が生きますね。
古典は長いモーツァルトを抜いてバッハだけなら尚可、でした。ヾ^^;






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オッリ・ヴィルタペルコ(Olli Virtaperko) の「Romer's Gap – Three Concertos」を聴く


オッリ・ヴィルタペルコ (Olli Virtaperko, 1973/12/29 - )
注目のフィンランド現代音楽の一端、前衛系のジャズやロックとの融合、を展開するO. ヴィルタペルコですね。更に一味違うのはバロックも視野に入れている事でしょう。
エジンバラ大でピーター・ネルソンに、シベリウスアカデミーでタピオ・ネヴァンリンナやマルック・ルオラヤン= ミッコラに師事しています。チェロに明るいのはミッコラの影響ですね。名前が知られる様になったのは彼のバロック・アンサンブル「Ensemble Ambrosius」がフランク・ザッパを取上げたアルバム「The Zappa Album」で、その後ロックの「Ultra Bra」でも活躍しています。ちなみにEnsemble Ambrosiusはバロック音楽そのものではなく、バロック楽器で現代音楽を演奏するユニットでチェロを担当していました。


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Romer's Gap – Three Concertos
タイトル曲を含む三つの協奏曲と言うことになります。アンプを使ったチェロ、バリトンサックス、モノラル・シンセサイザー、といった興味深いソロ楽器構成ですね。オケはヴィッレ・マトヴェイェフ(Ville Matvejeff)指揮、ユヴァスキュラ・シンフォニア(Jyväskylä Sinfonia)です。



Romer's Gap (2016年), for amplified cello and sinfonietta
I. Cadenza, II., III.
チェロはフィンランドのチェロ・ロックバンド「アポカリプティカ, Apocalyptica」のリーダーであり現代音楽家のペルットゥ・キヴィラークソ(Perttu Kivilaakso)です。
初めは少しアンビエント系の様な気配も見せながら調性感の強い新古典主義的チェロ協奏曲ですが、I. Cadenzaの終盤でチェロにアンプを使ってディストーションをかけています。II.では音数の少ないアンビエント、III.は電子処理したチェロは面白いですが、オケは物分かりの良いフィルム・ミュージック風になります。
特異性や冒険はないです。アンプを使ったディストーションのチェロ以外はマニエリスムで、イマイチです。

Multikolor (2014年), for baritone saxophone and small chamber orchestra
サックスは現代音楽を得意とするヨナタン・ラウティオラ(Joonatan Rautiola)ですね。
ここでもアンビエントの顔つきでサックスは特殊奏法も見られます。無調前衛風の表情を見せていますが多調で括れそうな機能和声の楽曲でしょう。ロングトーンが主体ですが音響系でもありませんね。長い16'です。

Ambrosian Delights (2016/2015年), for Knifonium and chamber orchestra
I. Fat & Filth - Cadenza (attacca), II. Ambrosian Delights (attacca), III. Passacaglia, IV. More is More
元Ensemble Ambrosiusのメンバーで真空管式モノトーンのシンセサイザー「クニフォニウム(Knifonium)」を製作者の一人であるヨンテ・クニフ(Jonte Knif)が弾きます。
楽器構成を変更しただけで音楽は同じ流れになります。処々でポップ感や今更シンセの懐かしい音色を奏でられても…(キース・エマーソンが草葉の陰で笑ってます ^^;)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  2013年バロック・オーケストラ版になります。


もっとハチャメチャで はじけていて欲しかった気がします。ベースになる管弦楽はアンビエント風か、米オケが好んで委嘱しそうなフィルム・ミュージックや新古典主義的な音楽です。そこに個性的なソロが絡むと言う構成ですね。
真面目さが強く、経歴から期待するほどの新しさや楽しさが見られないのが残念です。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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