ドビュッシー(Debussy) の「映像 Images I, II」聴き比べ ▶︎ マルカンドレ・アムラン、バヴゼ、ミケランジェリ


アムランの久々の来日(2018年6月)を前にCD棚を見たら印象の薄いドビュッシー「映像」がありました。ならばと、好きなバヴゼ、基準となるミケランジェリでちょっと聴き直してみました。

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【映像 第1集】(Images I, 1905年)
  1. 水の反映, Reflets dans l'eau
  2. ラモーをたたえて, Hommage à Rameau
  3. 運動, Mouvement
【映像 第2集】(Images II, 1907年)
  1. 葉ずえを渡る鐘, Cloches à travers les feuilles
  2. 荒れた寺にかかる月, Et la lune descend sur le temple qui fut
  3. 金色の魚, Poissons d'or



マルカンドレ・アムラン, Marc-André Hamelin
アムランがドビュッシーに合っていたのか記憶が消えています…
 ▶︎ このブログ内のM.A.アムランのCDインプレ


まずは一番知られた「水に映る影」ですが、繊細なタッチとエモーショナルで微妙なアゴーギクを振りますが全体としてはとてもソフトです。「運動」は技巧の見せ所なので、速いアルペジオに対して旋律側も速い弾きになっていますね。両手のコントラストが欲しい感じがします。「葉ずえを渡る鐘」はミケランジェリに近い硬質さを感じます。一番技巧性の強い「金色の魚」は本来の"何気なく超絶を弾き倒す"なのですが、エモーショナルさを前面にしています。

甘美さを抑えた美しさですが表情が薄い感じですね。アムランらしからぬソフトタッチが貫かれています。




ジャン=エフラム・バヴゼ, Jean-Efflam Bavouzet
個人的にフランス人の曲はフランス人演奏家、お国もの?、の印象が。ドビュッシーのピアノはバヴゼがいい感じで全集で持っていますね。


(バヴゼは右の全集がおすすめですね)

I-1.「水に映る影」はナチュラルな美しさで、明瞭なタッチと速めにアゴーギクを付けています。ディナーミクも大きく鳴り響かせます。I-3.「運動」は軽やかさと響のコントラストを生かし、II-1.「葉ずえを渡る鐘」はソフトな印象にまとめています。II-3.「金色の魚」はヴィルトゥオーゾ性を高める演奏です。
ミケランジェリでは印象の薄いI-2.「ラモーをたたえて」やII-2.「荒れた寺にかかる月」も美しさが染みますね。

ディナーミクとアゴーギクをうまく生かした情感深さが魅力のバヴゼです。静音のエモーショナルさは際立ちます。




アルトゥーロ・ベネデッティ・ミケランジェリ, Arturo Benedetti Michelangeli
今更ミケランジェリもないとは思うのですが、ドビュッシーのピアノというと思い浮かべるのも困ったものですw


(何かと基準となるミケランジェリ、所有は右の全集です)

「水に映る影」は硬質な美しさです。粒立ちの良いピアノの音色で陰影は薄めですが、シャープさが印象的です。「運動」では速いアルペジオに美しい音色とディナーミクを効かせてメリハリを付けていますね。「葉ずえを渡る鐘」の硬質透明さはミケランジェリらしさが感じられます。「金色の魚」ではアゴーギクで表情が強く感じられますね。

硬質な音色と切れ味のミケランジェリですね。抑揚も適度でクールさが魅力でしょう。




いかにもドビュッシーのピアノ曲らしさの「映像」。ソフトながら表情を抑えたM.A.アムラン、透明感ある甘美さのバヴゼ、硬質堅実なミケランジェリ。
個人的嗜好にはアムランは向かない印象です。やっぱりバヴゼ一押しでしょう。





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ルノー・カピュソンで聴くヴァイオリン現代音楽 | W.リーム、P.デュサパン、B.マントヴァーニ


ルノー・カピュソン (Renaud Capuçon, 1976/1/27 - )
若手と思っていたら今や中堅人気ヴァイオリニストですね。印象はアルゲリッチのルガーノ、ゴーティエとの兄弟音楽家、暖かい音色のvn、といった処が固定概念になっています。当初のカプソンからカピュソンになったのもw


三人の作曲家
R.カピュソンが三人の現代音楽家に委嘱したヴァイオリン協奏曲集で、いずれも世界初演Live録音ですね。
ヴォルフガング・リーム (Wolfgang Rihm, 1952/3/13 - )
 言わずと知れたドイツ人現代音楽家ビッグネームで、アコースティックへのこだわりですね。
パスカル・デュサパン (Pascal Dusapin, 1955/5/29 - )
 フランコ・ドナトーニやヤニス・クセナキス師事したフランス人現代音楽家で、折衷的印象です。
ブルーノ・マントヴァーニ (Bruno Mantovani, 1974/10/8 - )
 個人的には今注目のフランス人現代音楽家で、多ジャンルをベースにIRCAMで学んでいます。

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Violin Concerto, "Gedicht des Malers" / Wolfgang Rihm
無調ながら繊細な旋律の存在するvn、そしてそれに呼応する幽玄なオケ、時折の強音。美しさを感じるvnの音色はルノー・カピュソンらしい暖色系です。現代音楽苦手派にも聴いてほしい、まさに今の時代のヴァイオリン協奏曲ですね。
オケはフィリップ・ジョルダン指揮、ウィーン交響楽団です。

Aufgang / Pascal Dusapin
変奏的反復を主体にしたvnとオケが対峙します。その関係もシンプルなポリフォニーで混沌ではありません。時に緩やかに、時にハイテンポ、調性感ある旋律も現れ、表情があります。vnはキレキレですね。中途半端といえばそうかもしれませんが、このくらいが聴き易いのも事実でしょう。
オケはチョン・ミョンフン指揮、フランス放送フィルハーモニー管弦楽団です。

Jeux d'eau / Bruno Mantovani
前二曲に比べるとパルス・クラスター的なオケのパートが現れ緊張感ある陰影付けがされます。そこはマントヴァーニですから混沌無調ではないので大丈夫、何が?(笑) vnにも技巧性の強いパートがカデンツァ的にも出現します。やっぱりこの曲が一番面白いでしょうね。
オケはフィリップ・ジョルダン指揮、パリ国立歌劇場管弦楽団です。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる?



幽玄幻想的、明瞭な主題は存在しませんが実験的現代音楽ではありません。いずれも聴き易い印象で、カピュソンのvnも生きています。
この辺りでまとめるのがルノー・カピュソンらしさかもしれませんね。機能和声に近いので、現代音楽を覗いてみるのにもイイ感じかも。






テーマ : クラシック
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パトリツィア・コパチンスカヤの「DEUX」を聴く


パトリシア・コパチンスカヤ (Patricia Kopatchinskaja, 1977 - )
何かと印象の深いコパチンスカヤのα(アルファ)レーベル第三弾で近現代音楽家の作品になります。前作シューベルト「Death & the Maiden」は今ひとつでしたが「TAKE TWO」は素晴らしかったですよね。

本blog内のコパチンスカヤのCDインプレ


DEUX
今回はフランスとハンガリー作曲家のvn-pfDuo、vnソナタ集になりますね。年代を近現代に戻して来て期待値が上がりますね。ピアノはポリーナ・レシチェンコ(Polina Leschenko)になります。



プーランク:ヴァイオリン・ソナタ FP119
フランシス・プーランク(Francis Poulenc, 1899/1/7-1963/1/30)は機能和声の瀟洒なイメージですね。
プーランクらしい美しさの第二楽章の緩徐性は活かしつつ、前後楽章では陰影を思い切り付けるvnとpf二人の激しいやりとりがDuo=Dialogueです。この激しいアゴーギクとディナーミクがコパチンスカヤでしょう。プーランクが聴いたら怒る驚く?

ドホナーニ:ドリーブ『コッペリア』のワルツ (arr. for piano by Ernst von Dohnányi)
エルンスト・フォン・ドホナーニ(Ernst von Dohnányi, 1877/7/27 - 1960/2/9)はバルトークと同窓のハンガリー人近現代音楽家ですが、作風は古典・ロマン的ですね。
レオ・ドリーブのバレエ「コッペリア」のワルツをドホナーニが編曲しているわけですが、ここでは心地よい二人の演奏が楽しめます。優美なワルツを多少の揺さぶりで洒脱な印象を付けていますが特異性は低いです。

バルトーク:ヴァイオリン・ソナタ第2番 Sz.76
ベーラ・バルトーク(Béla Bartók, 1881/3/25 - 1945/9/26)、この顔ぶれ中では一番好みでしょう。
調性の薄さ、幽玄な繊細さ、激烈さといったバルトークらしさを二人が最大限活かします。それは曲目リストを見た時から想定していて、期待に応えた楽しさと言えばピッタリでしょうか。この二人のライヴで観たい!ですね。ベスト・トラックです。

ラヴェル:ツィガーヌ M.76
個人的にピアノ曲では一番好きなモーリス・ラヴェル(Maurice Ravel, 1875/3/7 - 1937/12/28)、言わずと知れたフランス印象派重鎮ですね。
二人は強い陰影付けで「ツィガーヌ」の持つハンガリーの民族音楽性を、バルトークの様に展開します。上記バルトークの第三楽章といっても良い様な流れ、この二曲の流れを二人は企画したのでしょう。


ともするとやり過ぎ、スタンドプレーに陥りかねないラインをすれすれに表現主義的演奏です。昔からのクラシック音楽ファンには鬼門?、でも今の時代のクラシック音楽でいいのではないでしょうか。特に三四曲目の流れは楽しめますね
コパチンスカヤの現代的奔放さを活かすなら、20世紀後半以降の現代音楽だと思います。




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イェルク・ヴィトマン(Jörg Widmann) の「Viola Concerto」をアントワーヌ・タメスティで聴く


イェルク・ヴィトマン (Jörg Widmann, 1973/6/19 - )
以前「Elegie」を紹介しているヴィトマン、先日来日もあり今注目の現代音楽家・クラリネット奏者ですね。(紹介文はElegie参照下さい)
楽風は空間音響系と即興系の二面性を持ちますね。本CD「ヴィオラ協奏曲」は下記タメスティのために書かれたタイトル曲を主体とした室内楽集で、発売が決定した時点で聴きたいと思いました。


アントワーヌ・タメスティ : ビオラ
フランス人ヴィオラ奏者 アントワン・タメスティ*(Antoine Tamestit) はパリ高等音楽院ヴィオラ科教授を務めた後ソロ活動を広げる38歳の若手実力者の一人、ハルモニアムンディからの第一弾だそうです。使用しているストラデバリウスの名前が"マーラー"(1672年)というのも気になりましたw
*本年10月19日の来日では都響863回とブルーノ・マントヴァー二「2つのヴィオラと管弦楽のための協奏曲」を演奏しますね。楽しみです。



Viola Concerto : for Antoine Tamestit
タメスティに献呈されたヴィオラ協奏曲ですね。オケはダニエル・ハーディング指揮、バイエルン放送交響楽団です。
特殊奏法、民族音楽風、刺激的な静音vs強音、いわゆる旋律を協奏させる訳ではありません。一部ノイズ系や即興的なパートも顔を出しますが、基本は静的パートでその中にシャープな音色が切れ込む空間音響系現代音楽ですね。vaはピチカートからロングボウイングや"叫び"まで表情豊かに、オケも戦慄的なパルスをはじめ刺激音で対抗します。最終の第五楽章に調性感の漂う幽玄さを持って来るのも面白いですね。
緊張感が漂い舞台に何か演出があればインスタレーション受けしそうな素晴らしさです。コンサートでぜひ聴きたいですね。

 ★ 試しにYouTubeで観て見る?
  エストラーダ指揮フランクフルト放送響(hr交響楽団)、vaはもちろんタメスティです。
  必見,ぜひ一度!


24Duos (selection) : for violin and violoncello (arr. with viola by Antoine Tamestit)
本来はヴァイオリンとチェロのためのDuoですが、ヴィオラとヴァイオリン、もしくはチェロとのDuoにタメスティが編曲しています。
繊細幽玄な流れを中心に1'台かそれ以下の小曲9曲で、無調ですが旋律を残した流れで言葉少ななDialogueの様相です。NO.21ではバロックか古典の引用も感じます。小ホールで聴きたいですね。

Jagdquartett : String Quartet No.3 Allegro vivace assai
民族音楽風に不協和音を絡ませた技巧系弦楽四重奏曲です。リズミカルで絶叫voiceも入り、スピード感あふれて楽しめます。演奏はSignum Quartettです。


ヴィトマン侮れずですね。もちろん無調ですが、静からの刺激や旋律の絡みは無理がなく楽しめます。タメスティも冴えたvaを聴かせます。おすすめの一枚ですね
クラリネット奏者としてドナウエッシンゲン音楽祭にも出ていますし、しばらく注目して行きたい感じです。




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2018年3月14日 ズヴェーデン/ニューヨーク・フィルハーモニック の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今日は何と言ってもマーラーを得意とする歴代指揮者が並ぶニューヨークフィル(NYP)ですね。

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ヤープ・ヴァン・ズヴェーデンのマーラーは第5番(ロンドンPO)と第6番(ダラスSO)でインプレしていますが、共にLiveながら "きれいにまとめる" 印象です。NYPにはLiveならでは情熱を期待したいところです。




メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64

残念ながら印象はマイルド。vnは五嶋龍さんらしい優しい音色を奏でました。特に第一楽章展開部のカデンツァ、スロー側にアゴーギクを振っていたのでヴィルトゥオーゾ性には欠けましたが。
NYPの基本スロー、ディナーミク抑えめの流れが一番のマイルドさの要因でしょう。


マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体としてはNYPのパワーサウンドが、うまいアゴーギクとディナーミクで生かされた聴き応えあるマーラー5番でした。特に素晴らしかったのが金管楽器群で、ホールに鳴り響きましたね。
第一楽章・第二楽章
ファンファーレから主部主題葬送行進曲の適度な揺らぎで"これは良いかも"って感じました。第一トリオでは切れ味良く、弦楽の第二トリオは哀愁の美しさでした。
第二楽章第一主題も歯切れ良く、弦主体の第二主題も優しさでコントラスト良かったですね。適度な揺さぶりが随所に生きていました。
第三楽章
特徴的な力強いスケルツォから切れ味のレントラーと一味違う流れで入り、第二トリオはスローに美しく。コーダは見事な管楽器群が鳴り響きました。オブリガート・ホルン、第一トランペットは素晴らしかったです。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは速めでトロトロの甘美さを避けました。特に中間部は鋭ささえ感じさせる揺らぎが印象的でした。
最終楽章第一第二主題を抑揚付けて上げて行き、展開部と再現部の山場を大編成を生かして見事に盛り上げ、コーダからフィニッシュは重量級にまとめました。



メインディッシュでNYPが期待に応えてくれましたね。コンサートならではの興奮や情熱とまではいきませんでしたが、近年のマーラー5番では一番楽しめました。

この方向が音楽監督就任早々のズヴェーデンなのかNYPなのかはわかりません。アンコールのローエングリン第三幕前奏曲抜粋も似た流れながら揺さぶりが弱かったのをどう見るかでしょうか。

フィニッシュで大きく両手を上に開くポーズはちょっといただけませんw




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2018年3月11日 サカリ・オラモ/BBC交響楽団 の マーラー交響曲第5番 at サントリーホール

今シーズンのマーラー5番、今日のオラモ/BBCに続いて三日後14日(水)にズヴェーデン/ニューヨークフィル、そして5/28日のメータ/イスラエルフィル、と続けて楽しめますね。
まずは第一弾、BBC風に言えばカリ・オラモを楽しみに行ってきました。

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英国でも活躍するフィンランド人指揮者オラモ(Sakari Oramo)、音楽監督を務めたバーミンガム市響とのLive録音が『マーラー5番:170CD聴き比べ #9』にインプレしてあり、そこには "コンサートで聴いてみたい" と。^^/
CDではクセのない王道演奏の好演でしたが、さてコンサートではどうだったでしょう。




ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18

この曲はラリードライバーの様なスリルと迫力がライヴでのポイントですが、お抱え運転手さんの様な手堅さで終始しましたね。好みの問題かもしれません。

第一楽章の主役のオケも、弾きっぱなしのピアノも、鳴りの良さをみせてくれたもののフラットに感じましたね。
第二楽章のオケも緩徐の美しさでは無く淡々とこなした感じです。pfカデンツァからの美しさを期待したのですが残念。
第三楽章も派手な第一主題と民族的叙情の第二主題でオケは抑え気味、ならば小菅優さんのピアノがもっと情熱的に振舞ったら楽しかったでしょうね。



マーラー:交響曲第5番 嬰ハ短調

全体的にCDと良く似た王道のマーラー5番で、出会えそうでなかなか出会えないライヴだったかもしれません。
ただ何か一つ足りず、少し心残りを感じます。

第一楽章・第二楽章
主部主題葬送行進曲はスローに、第一トリオ、第二トリオはうまくメリハリを付けました。
第二楽章へはアタッカで繋げて第一主題は激しく、コントラストをつける第二主題のチェロは哀愁と王道です。
第三楽章
スケルツォはリズムよく、レントラーは優美に、第二トリオはスローの哀愁美とこの楽章の良さを引き出していました。オブリガート・ホルンも鳴り良く聴かせ、コーダは華々しく決めましたね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットはCDより速めになって、ハープが抜けるトリオからラストでの透明感が増した様です。
アタッカで進んだ最終楽章は第一第二主題を切れ味よく絡めて第4楽章中間主題を使ったコデッタで優美に流れます。コーダからフィニッシュは見事、アッチェレランドも切れ上がりましたね。

重箱の隅を突くなら、最終楽章序奏のHrが素っ頓狂な音を立てたくらいでしょうw



BBCプロムスでの活躍等、今聴きたいユニットでオラモの真面目さが伝わる王道マーラー5番でした。スパイスが加わって味に深みが出れば素晴らしかったでしょう。

アンコール二曲はシベリウスだったけど少しプロムスっぽかったかな。

計画アンコール二曲を終えたらさっさと退場するBBCは笑えましたが、前半のラフマニノフ不発弾は残念でした。^^;




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ストラヴィンスキーの『春の祭典』四手ピアノ版 聴き比べ || バヴゼ&ギィ、ラベック姉妹、マルカンドレ・アムラン&アンスネス

ストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882/6/17 - 1971/4/6)の『春の祭典, Le sacre du printemps, The rite of spring』前回はオケ版でインプレしましたが、今回は 4-hands piano版ですね。注目の顔ぶれ3CDの聴き比べです。

以前アシュケナージとガブリーロフのピアノでもインプレしていますね。


ジャン・エフラム・バヴゼ(Jean-Efflam Bavouzet)
フランソワ・フレデリック・ギィ(François-Frédéric Guy)
個人的に好きなピアニストの一人バヴゼですね。フランス人音楽家のピアノ曲ならバヴゼが一番です。相方もフランス人ピアニストのギィですね。


序奏は繊細さが光ります。繊細スマートの「春のきざし - 誘拐」でも強音は爆裂的ではなく切れ味です。「敵の部族の遊戯」の躍動感もいいですね。第二部の序奏、そこから続く繊細なタッチのパートもこのDuoの聴かせ処でしょう。一転「選ばれし生贄への賛美」のパワーも光りますね。「生贄の踊り」のリズムの組合せも切れ味を感じます。

興奮を排した繊細さがバヴゼらしいスマートな春祭ピアノ版ですね。あくまでも冷静沈着クールなスタイルです。

同時収録されているバルトーク:2つの映像、ドビュッシー:遊戯(2台ピアノ版バヴゼ編曲)も素晴らしく、おすすめ盤ですね。




ラベック姉妹 (Marielle et Katia Labèque)
フランス人カティアとマリエルの姉妹ピアノDuo、2016年のシェーンブルンでも楽しい演奏を披露してくれましたね。
アルバム「Invocations」からです。


序奏ではソフトで柔らかさを感じますね。不協和音も生きています。「春のきざし - 誘拐」では強音パートと弱音パートのコントラストが見事です。ディナーミクとアゴーギクの組合せがうまく、パワー主体に美しさが同居しますね。「春の輪舞」の影のある緩やかさも聴き処でしょう。「生贄の踊り」では厄介なリズムが見事に表現されます。でも印象はなんといってもパワープレイのピアノでしょうね。

カラフル迫力の春祭ピアノ版です。楽しさとパワーの組合せは得意のパターン。
見方を変えると大向こうを唸らせるショーマン的タイプかもしれませんが、それが彼女たちの個性ですよね。




マルカンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)
レイフ・オヴェ・アンスネス(Leif Ove Andsnes)
6月に久々の来日を控えたM.A.アムラン、ノルウェーのアンスネスという強力布陣ですね。


序奏から硬質な響きで、音の粒立ちの良さが明瞭です。「春のきざし - 誘拐」でもこれ見よがしの表情を見せずに細かく速いアルペジオを聴かせます。この切れ味こそが まさにアムラン(主導)でしょう。「春の輪舞」の沈んだ気配も美しいです。全体として揺さぶる様なアゴーギクを振らずに流れるのも印象的で「大地の踊り」ではそこにパワーが発揮されます。

印象は硬質、とにかく個々の音の粒立ちが明瞭でキレキレ・シャープな春祭ピアノ版です。まさにヴィルトゥオーゾなDuoピアノ。
いつものアムランよりも弾けて(はじけて)いる?!




ホールでじっくり味わうバヴゼ&ギー、フェスティバル向き熱狂のラベック姉妹、ヴィルトゥオーゾに酔うアムラン&アンスネス。
それぞれ個性際立つ楽しい3枚ですね。






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ストラヴィンスキーの『春の祭典』クルレンツィス、ロト、シャイーで聴き比べ

古楽器を使った演奏で高評価のロトとクルレンツィスのストラヴィンスキー(Igor Stravinsky, 1882/6/17 - 1971/4/6)『春の祭典 (Le sacre du printemps, The rite of spring)』ですが、発売元や評論家の先生方の思惑が渦巻いていそうなので買ってそのままでしたw 今回シャイー盤が出たので聴き比べをしてみました。


テオドール・クルレンツィス (Teodor Currentzis, 1972/2/24 - )
ギリシャ生まれでロシアの指揮者、ロトよりも三ヶ月若いクルレンツィスと自ら創設したムジカエテルナ(MusicAeterna)ですね。2019年2月来日が決まって大騒ぎしていますが、この曲以外でクルレンツィスを知らないのでなんとも…


「春のきざし - 誘拐」の切れ味、冒頭ゆるい「春の輪舞」のコントラストは素晴らしいですね。その後も突撃的なパートをストラヴィンスキーらしい動機を生かすような激しさで展開しています。激か静かの演奏です。個人的注目の「生贄の踊り」、しばしば現代音楽で三つの変拍子を動機としている事でアナリーゼ対象となりますね、はそのリズムを切れ味よく聴かせます。
バレエ音楽としたら濃すぎる感じがします。

強烈なメリハリの春祭ですね。コンサート受けは間違いなし的な展開です。特に古楽器がどうの といった印象は受けません。(駄耳だから?!)
弱音パートでの神秘的表情が薄い気がしてしまいます。





フランソワ=グザヴィエ・ロト (François-Xavier Roth, 1971/11/6 - )
2016年来日で都響との「ペトルーシュカ」「火の鳥」を観ましたが、素晴らしかったですね。→インプレです
そういう事からもレ・シエクル(Les Siècles)とのCDが際物ではないことは感じますね。今回の来日公演には行きませんが。
ちなみに1911年初版を使っています。


「春のきざし - 誘拐」ではメリハリよりも序奏からの流れを生かしています。静の中から表情展開は舞台を彷彿させてくれますね。湧き立つ激しさも突出ではなく、静音パートでも表情は豊かです。「生贄の踊り」ではそれぞれのリズムにディナーミクの差別化を配して激しさに陥らない客観視をしています。
コンサートで聴いた「火の鳥」の様なバレエ曲らしい完成度を感じます。

ストーリーを感じる表情のある春祭ですね。アゴーギクとディナーミクのバランスの良さが心地よい感じがします。





リッカルド・シャイー (Riccardo Chailly, 1953/2/20 - )
今や円熟の年代に入ったシャイーとルツェルン祝祭管(Lucerne Festival Orchestra)ですから期待は大きいですね。
2014年のゲヴァントハウスとの来日で聴いたマーラーの第7番は素晴らしかったですね → インプレです


序奏から色の濃い展開です。「春のきざし - 誘拐」への繋がりも同じですが、唐突的な大音響展開はありません。全体的に濃厚な演奏で静音と強音とに落差をあまり付けませんね。「生贄の踊り」でもリズムが突出することはありませんでした。
バレエの姿を想像するのは難しいかもしれませんが、本来の"大規模な管弦楽"らしさは一番かもしれません。

バレエ音楽というよりも管弦楽曲的春祭です。楽器の鳴りも朗々として微妙な表情よりも祝典(Celebration)的明瞭さですね。




ドンシャン的なクルレンツィス、情景浮かぶバレエ音楽のロト、管弦楽風のシャイー、それぞれの楽風で楽しめます。
個人的には 煮詰めたロトの完成度に一票でしょうか。


次回はM.A.アムランやバヴゼらの四手ピアノ版でインプレ(聴き比べ)します。


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オスモ・ヴァンスカ(Osmo Vanska) の マーラー交響曲第六番 を聴く


オスモ・ヴァンスカ (Osmo Vänskä, 1953/2/28 - )
フィンランドの指揮者ヴァンスカというとラハティ響を育て上げた事が浮かびますね。
そして近年では昨年発売のマーラー第五番2015年来日のシベリウス「フィンランディア」(w/読響)を思い出します。(両インプレあり)
現在音楽監督を務めるミネソタ管弦楽団(Minnesota Orchestra)とのマーラー5番はややクセ者的な印象もあったのですが、チクルス第二弾の6番はどうでしょう。

『交響曲 第6番 30CD 聴き比べ』には次回追記予定です。



第一楽章
スローで抑えめの第一主題、モットーは美しくアルマの主題ではそれを広げる様に華やかですがスローのアゴーギクが気になりますね。反復後の展開部も力強さはあっても冷静さが常に背後にいます。再現部では少し躍動感が感じられるかもしれません。
第二楽章
アンダンテを持ってきました。主要主題・副主題ともにごく普通の優美さ、中間部も流れは同じですが明るさが現れますね。美しい緩徐楽章ですが個性は薄いです。
第三楽章
スケルツォですね。主要主題は客観的で迫力や興奮を否定しているかの様です。クールとは違いますね。トリオは優美なスケルツォですが、それ以上でもありません。
第四楽章
序奏は緊張感の漂う素晴らしい流れかと思いきやスローモッソリに落ち込みがっかり。長い序奏から提示部の第一主題と経過句は勇壮ですがアゴーギクを殺して抑え込み、第二主題も同様です。展開部は序奏と同じく揺さぶりの効いた前半パートとフラット単調さの行進曲以降の組合せです。再現部も同じですが、それでもこの楽章が一番良いかもしれません。

よそよそしく掴みどろこの薄いマーラー6番です。この曲は興奮かクールさかですが、はっきりしないのはどうも…好みの問題になるかもしれませんね。
シベリウス・アカデミー同期生サロネンやサラステのマーラーの様にはいかない様です。






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ブラガ・サントス(Braga Santos) の 交響曲第3番, 第6番 を聴く


ブラガ・サントス (Joly Braga Santos, 1924/5/14 - 1988/7/18)
ポルトガルの現代音楽家サントスは、後期ロマン派から民族音楽や調性感の低い音楽に変異していますね。もちろん前衛ではありません。


Symphonies No.3 and 6
6曲の交響曲を書いていて、後期ロマン派と調性を逃れるまでの変化の2曲が楽しめますね。
演奏はアルヴァロ・カッスート(Alvaro Cassuto)指揮、ポルトガル交響楽団(Portuguese SO)です。



■ 交響曲第3番 (1949年)
第三楽章にスケルツォを配した四楽章形式です。後期ロマン派ですが、ちょっとブリテンを思わせる様な風景感のある流れで英国音楽的な臭いがしますね。絶対音楽というよりも標題音楽風です。20世紀中盤としては凡庸ですが米国あたりで受けそうな展開の明瞭さです。ラストはストラヴィンスキーのバレエ曲の大団円的w

■ 交響曲第6番 (1972年)
六楽章で最後の二つの楽章にはソプラノのアナ・エステル・ネヴェスとカルロス国立劇場合唱団が入ります。歌詞は16世紀のポルトガルの詩人ルイス・デ・カモンイス(Luis de Camoes)の船乗りの男と女のお話です。
気配だけは現代風ですが調性範囲で多少の不協和音でしょう。パルス的な強音や旋律・動機の不明瞭化でそれらしく聴こえます。それ以上ではない様な。合唱とソプラノのラスト二楽章は多少色合いが変化しますね。


平和でやや退屈な第三番、現代風の衣をまとった第六番、いずれも残念ながら興味の対象外ですね。
似ているのは両曲ともに楽章間の変化に乏しいことでしょう。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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