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素晴らしい名演『マーラー 交響曲 第5番』2019年4月14日 スザンナ・マルッキ/ロサンジェルス・フィル «ネット配信»


スザンナ・マルッキ Susanna Mälkki
(ロサンジェルス・フィルハーモニック, Los Angeles Philharmonic)
現代音楽を得意としてアンサンブル・アンテルコンタンポランの首席指揮者も務めたフィンランド人女性指揮者のS.マルッキですね。現在首席客演指揮者を務めるロサンジェルス・フィルとのマーラー5番、UCLAの 'Classical KUSC' ウェブサイトからの配信です。

▶️ こちら (放送の中で公開は一週間との事!!)




マーラー 交響曲 第5番
(2019-4/14 at Walt Disney Concert Hall)

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第一部
ファンファーレは華麗に、葬送行進曲は鎮めてはいますがスロー基調の透明感があり美しさを感じますね。第一トリオは明確にテンポを上げて激しさも色添え、コントラストが際立ちます。回帰の主題は揺さぶりをかけて表情を変え、第二トリオは細く哀愁から明るさを奏します。第二楽章第一主題は第一楽章第一トリオの流れで速く切れ味鋭い流れを作ります。第二主題ではチェロが第一楽章第二トリオを優しく美しく奏でて、見事なコントラストを作り出していますね。展開部も主題をコントラスト良く変奏して、特にチェロの動機は美しく、再現部では山場からラストをハイテンポを入れたアゴーギクで作っていますね。見晴らしの良さと心地よさの素晴らしい第一部になりました。

第二部
スケルツォ主題はゆっくり目で優美、レントラー主題はさらに緩めとなってスローのアゴーギクで甘美です。両主題変奏後の第三主題はテンポを落としてオブリガートhrが表情豊かに見せ場を作っていますね。再現部では三つの主題の変奏がアゴーギクで組み合わされて大きな流れを作り、コーダは速い流れで華やかに締め括ります。お見事!

第三部
第四楽章は暖色系の音色で緩いアゴーギクの情感を加えています。中間部もかなりアゴーギク・ディナーミク強めで全体には甘美というよりも濃い味付けの個性的アダージェットですね。第五楽章は第一・第二主題が切れ味良いリズムで絡んで登り、提示部コデッタは軽妙からシャープに。コーダはアゴーギクを振って広がりと激しさの流れからラストはアッチェレランドをビシッと決めます! 感動的ですね!


明確なテンポ設定のコントラストと見晴らしの良さのマーラー5です。オケの鳴りの良さもあって、スローでは美しささえ感じますね。テンポ設定の落差はかなり大きいのですが、ギクシャクとせずに見事な流れです。アダージェットでさえ只の甘美ではありません。これがCDなら絶対に印ですね!!

マルッキのファンとしては映像付きの配信で欲しかったですね。それにしてもマルッキも50歳になったんですねぇ、年が過ぎるのは早いと実感しますw

残念ながらCDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。



一曲目のスティーヴ・ライヒの"Music for Ensemble and Orchestra"の世界初演もライヒらしいハイテンポの中に澄んだクールな気配を漂わせていい感じでしたね。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク音楽祭2018 ロッシーニ 歌劇「アルジェのイタリア女」をNHKプレミアムシアターで観る


昨年のザルツブルク音楽祭(Salzburger Festspiele)からロッシーニのオペラ「アルジェのイタリア女」(全2幕) ですね。

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(写真はネットからお借りしました)

演出がどうのよりも作品が楽しいので、コメディ・タッチと曲(歌唱)が楽しめればいいですね。(展開の割に少々長い感じがするのは変わらないでしょう)


演出
二人の演出家に知見がありませんが、イタリアン・オペラのコメディを王道的に表現して楽しませてくれました。もちろん前衛性は皆無です
長いプロローグを生かしたり、妙なバックヴィジョンを使ったりとしていますが、全体としてはシンプルさが良かったのではないでしょうか。

舞台・衣装
衣装は現代、サッカー選手の衣装も出てきますが、コメディが生きる様な設定だっと思います。
舞台は室内・室外設定ですが、基本はフラットな設置で背面的でした。

配役
まずはロッシーニらしい重唱やアリアが洒脱に歌われて、突出したソロは無いものの全員が楽しませてくれましたね。
タイトルロールのイザベッラ役バルトリはこの役ならではのコロラトゥーラを歌いこなし、強気なイタリア女性役ぴったりでした。
エルヴィーラ役のオルヴェラも、mezでしょうが、sopの様な素晴らしい伸びでしたね。表情も豊かでした。
男性陣ではアルジェリア大公ムスタファのアブドラザコフが演技・表情で楽しませてくれました。歌唱はまぁまぁでしょうか。何か巻いていましたが、凄いお腹で笑えましたねw
リンドーロのロチャのテノールはレッジェーロかリリコで風貌とは少し違和感を感じましたが、声量や伸びは聴かせてくれました。
海賊ハーリーのロサはラッパーの様な出で立ちで一味はストリート・ギャング風、控えめでしたね。

音楽
軽妙な音楽を生かした、という印象がありましたね。イタリア・オペラのコメディらしい洒脱さを、音楽を控えめながら上手く奏してくれました。


このコメディーをとてもシンプルに楽しませてくれました。カラフルな舞台設定や破茶滅茶シーンもそれらしく、演奏や歌唱もバランス良く作品自体の良さを生かしたといった感じですね。でも、やっぱり長かったですよねw

イタリアン・コメディを前衛で演出したら?! ちょっと興味あります。



<出 演>
イザベッラ (イタリア女, リンドーロの恋人):チェチーリア・バルトリ [Cecilia Bartoli]
ムスタファ (アルジェリア太守):イルダール・アブドラザコフ [Ildar Abdrazakov]
リンドーロ (ムスタファの奴隷でイザベッラの恋人):エドガルド・ロチャ [Edgardo Rocha]
タッデーオ (イザベッラに片思い):アレッサンドロ・コルベッリ [Alessandro Corbelli]
ハーリー (海賊の首領):ホセ・コカ・ロサ [José Coca Loza]
エルヴィーラ (ムスタファの妻):レベッカ・オルヴェラ [Rebeca Olvera]
ズールマ (エルヴィーラの奴隷):ローザ・ボヴ [Rosa Bove]

<合 唱> ウィーン・フィルハーモニア合唱団
<管弦楽> アンサンブル・マテウス [Ensemble Matheus]
<指 揮> ジャン・クリストフ・スピノジ [Jean-Christophe Spinosi]
<演 出> モーシュ・ライザー [Moshe Leiser]、パトリス・コーリエ [Patrice Caurier]


収録:2018年8月14・16・19日 モーツァルト劇場(オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年4月14日 東京春祭2019 最終日 大野和士/都響の シェーンベルク『グレの歌』at 東京文化会館


東京・春・音楽祭2019の最終日、天気下り坂の上野まで行ってきました。今回は大野さんの指揮ですから流れは何となく想像できたわけですが、もう一つのポイントは山鳩を得意とする藤村実穂子さんの期待値でしたね。グルントヘーバーは?、不安と期待がありましたが…w


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アルノルト・シェーンベルク『グレの歌, Gurre-Lieder』はレコード時代から大好きな曲で、13CDの聴き比べもしてあります。ぜひそちらもご笑覧下さい。

  ▶️ 『グレの歌 13CD聴き比べ:名盤・おすすめは





ヴァルデマルとトーヴェは始めからステージに、その他は歌う際のみ登場する珍しいパターンでしたね。大ベテランのグルントヘーバーは最後までステージに残りました。曲の繋がりだけでなく脚の具合も勘案したのかもしれません。

ヴァルデマル王 (クリスティアン・フォイクト, Christian Voigt)
入りの "迫り来る黄昏に" で、軽やかなテノールがヴァルデマルらしさを感じさせてくれました。ところが "馬よ!" では残念ながら声が前に出て来ません。表現は好みなのですが、強音の高音は無理を感じました。従って第二・第三部の神と対峙する姿勢は弱かったです。

トーヴェ (エレーナ・パンクラトヴァ, Elena Pankratova)
ヴァルデマルの"馬よ!" を受けての "星は歓びの…" は凄く速いテンポ設定で驚かされました。走っているごとくでしたね。太めのsopで表現力も濃厚、可憐な若さというよりも恋愛に長けた女性と言った風。個人的な好みのトーヴェとは少し違いました。

山鳩 (藤村実穂子, Mihoko Fujimura)
トーヴェの死の悲しみと怒りを、見事に色濃く歌い上げましたね。声量・表現・切れ味 共に素晴らしかったです。ただ、ヤンソンスとの共演盤の方が、絞り出す様な歌い方で好みではありますが。(中国初演:上海公演に近い感じだったかも)
やっぱり期待を裏切らない凄さでした。

農夫 (甲斐栄次郎, Eijiro Kai)
前半は慄きは上手いバス・バリトンで、"Da fährt's…" から後半のキリストに祈るパートではやや一本調子ではありましたが落着きを見せる表現でしたね。予想を上回る出来で、失礼!!、嬉しかったですね。

クラウス (アレクサンドル・クラヴェッツ, Alexander Kravets)
道化の具合は完璧! 本当に道化で、着崩れて一杯やりながら酔っ払った演技で登場しました。歌は速めでもちろんコミカル、笑いも入れてクールな内容を斜に構えて歌いましたね。本来ならあまり道化たクラウスは好みでは無いのですが、今回は一本取られましたw

語り手 (フランツ・グルントヘーバー, Franz Grundheber)
御歳81歳のシュプレッヒゲザングは前半は凄い早口。後半"夏の夢"からは内容に合った諭すようなバリトンが生きましたね。
登場時は杖を突いてゆっくりと出てきたので、また演技付きかと思いましたがマジでした。拍手!!

合唱団 (東京オペラシンガーズ)
"よくぞ来られた…" は、オケのパワーに負けてました。個人的な希望としては複数合唱団が良いですね、色々難しいでしょうが。"見よ, 太陽!" は混声合唱が活きていました。


演奏と流れ (東京都交響楽団/大野和士)
第一部序奏は速めで厚い音、管楽器が少し破綻をきたし不安がよぎりました。ところが "馬よ!" は第一部最高の演奏で、ディナーミクを振った派手さが生きました。第一部は前半の速めのテンポ設定が特に際立ちました。
第二部は動機群を山場 "ヴァルデマルの絶望" を含めて見事にメリハリを付けて鳴らしました。
第三部も第二部の流れからペースも上がって'出し入れ'の明瞭なこの曲らしさを味合わせてくれました。ここでも途中、管楽器の破綻が有ったのが実に残念ですが、目をつぶれる全体の見事な出来でしたね。



素晴らしいグレだったと言って良いのでは! 演奏は多少の破綻は有ったものの大野さんらしいドンシャン・メリハリを生かした演奏が決まり この曲らしさを見せてくれやした。

歌手陣も楽しさ十分でした。藤村さんの見事な山鳩、カーテンコールの拍手も一番!、を筆頭に農夫・クラウス・語り手それぞれが個性的に演じてくれましたね。主役二人がやや残念ですが、補って余りあり!でしたね。

この曲にはクールで良い録音もありますが、迫力系+演技の仕込で楽しめたのは間違いなく、今日は楽しかったです。



今年は『グレの歌』コンサート当たり年ですね。先月3月のカンブルラン/読響、そして10月にはノット/東響と三回楽しめます。

ちなみに個人的最大の聴き処は第三部#4「トーヴェの声で森はささやき」ラスト、亡霊になってなおヴァルデマルがトーヴェを慕う "Tove, Tove, Waldemar sehnt sich nach dir! "です。そこは次回のお楽しみと言う事で。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年4月10日 ハンヌ・リントゥ/フィンランド放送交響楽団『マーラー 交響曲 第9番』«ネット配信»


ハンヌ・リントゥ Hannu Lintu
(フィンランド放送交響楽団, Finnish Radio Symphony Orchestra)
フィンランド放送響創設以来初めてのマーラー・チクルス"Mahler x 10"から第9番は首席指揮者のH.リントゥです。(指揮者違いで進められている様ですね) フィンランド国営放送のデジタルサービス(yle Klassinen Radio)でオンライン映像付き配信中です。

▶️ こちら (カレンダーから演奏日2019-4/10を)

残念ながらCDではないので「マーラー第9番聴き比べ:100CD」にはアップしません。




マーラー 交響曲 第9番
(2019-4/10 at Helsinki Music Centre)

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第一楽章
第一主題は澄んで美しく、第二主題も静で入って大きな波から反復に、第三主題の激しさはありますが透明感のある提示部です。展開部も第一主題からJ.シュトラウスの引用もはスロー暗ですが澄んだ空気で良いですね。中盤は出し入れ強い流れを緩急強く表現して行きます、もちろん緩のパートは澄んだ空気です。経過部の見晴らしも良好ですね。再現部後半からコーダはこの演奏の特徴を表して、澄んだ空気感が心地よい見事な楽章になっていますね。

第二楽章
主要主題は落ち着いて歯切れを付けて穏やかなレントラーの流れを作っていきます。第一トリオでは弾む様なリズム感の優美さでレントラーのもう一つの顔を作り出し、第二トリオで緩やかな流れになりますね。優美な楽章です。

第三楽章
主要主題は落ち着いて締まりよく、第一トリオや"メリー・ウィドウ"の引用は軽妙に、第二トリオは澄んだ美しさが広がります。ラストは超スロー静音から鳴り良く落ち着いたフィニッシュです。

第四楽章
主要主題は暖色の穏やかさで5番のアダージェット風です。第一エピソードは早くもターン音型を静かに奏でてラストへ向かう方向性を明確にしていますね。第二エピソードも軸足は静的ターン音型ですが、二つの山場をやや速めに大きく奏でます。緊迫感がありますね。後半からコーダはスロー静のターン音型の浮遊感が際立ちます。演奏後も静かな間が保たれましたね。


スローで澄んだ空気の様な流れの個性的なマーラー9です。もちろん締まりのある強音もしっかり作りますが、終始穏やかさを欠かさない不思議なマーラー9です。配信音の良さも助けになっているかもしれません。

悲しみや狂気の無いマーラー9、なのに何故か惹きつけられますね。一聴の価値ありです。配信されている内に是非!!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2019年4月10日 ジョナサン・ノット / スイス・ロマンド管弦楽団『マーラー 交響曲 第6番 悲劇的』at 東京文化会館

春真っ盛りの東京にシトシトと寒い雨が降る中、上野の東京文化会館へノットのマーラー6番を楽しみに行ってきました。

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J.ノットはバンベルク交響楽団と素晴らしい演奏(2008年)を残していますね。今回は2017年から首席指揮者を務めるスイス・ロマンド管(Orchestre de la Suisse Romande)を率いての演奏です。バンベルク響の6番と基本的には同じ構成ですが、軸足がコントラストから激しさになっていました。

▶️ マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 60CDを聴き比べ
  (ノット/バンベルク響のインプレあり)





マーラー 交響曲 第6番《悲劇的》

■ 第一楽章
提示部第一主題は速く勇壮、パッセージで若干静めてアルマの主題は速めながら鳴りの良さを感じました。展開部では第一主題は激しさ、挿入部のスローも情熱を感じる流れ、コーダも第二主題は速めに走りました。
■ 第二楽章
スケルツォでした。主要主題は一楽章の流れに乗って速めで激しく、トリオも優美さよりも力の入った変拍子でしたね。
■ 第三楽章
アンダンテは全体スロー。主部二主題は穏やかな優美さと哀愁を、中間部では大きな安らぎを感じました。主部の再現では山場を大きく鳴らして、やや色の濃い緩徐楽章になってしまいましたね。
■ 第四楽章
この曲のキーの一つ序奏は締まり良く、提示部第一主題は一気に勢いと激しさを増して、第二主題は明るく穏やかな中に刺激を感じました。展開部は二つの主題のコントラストを生かして、騎行・行進曲と第一主題の激しさを際立たせました。再現部は第一主題回帰以降を激しさで突き進み、コーダで静めるとラスト一撃。全体的にやや荒っぽい力技的な流れですね。


速いテンポと激しさを全面に押し出したマーラー6でした。激しさはシャープや切れ味と言うより力感と荒っぽさですね。

コンサートならではの気持ちが現れた荒れは歓迎ですが、何か今ひとつスッキリしません。残念ながらオケの揃いや丁寧さと言った力量があまり伝わらなかったからかもしれません。
(第一ヴァイオリン第5プルトの二人は指揮者が入ってくるまでお喋りに花を咲かせていました。アジアツアーで疲れていて集中力が欠けていたのかもしれません。オーディエンスの拍手もあまり長くは続きませんでしたね)


番外で恐縮ですが、前半のメンデルスゾーン『ヴァイオリン協奏曲』vnの辻彩奈さんは暖色系でヴィブラートと出し入れが強く、表現力で大向こうを唸らせるタイプのヴィルトゥオーゾですね。細く切れる様なクールさとは異なる方向性です。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ペーテル・エトヴェシュ(Peter Eötvös) の『三つの新しい協奏曲:ヴァイオリン/チェロ/パーカッション協奏曲』を聴く


ペーテル・エトヴェシュ
(Peter Eötvös, 1944/1/2 - )
このブログではおなじみのハンガリー人現代音楽家・指揮者・教職者のエトヴェシュですね。今更になるので紹介は割愛です。
代表作「三姉妹」をアップしようと思いながら何年過ぎているでしょう…


DoReMi, CELLO CONCERTO GROSSO, SPEAKING DRUMS
今注目のアルファ・レーベルからリリースされたのが興味深いですね。エトヴェシュの三つの新作協奏曲ですが、チェロ以外それぞれ本CDソリストに献呈されています。(チェロはミクローシュ・ペレーニ[Miklós Perényi]に)
ヴァイオリン協奏曲ですが、五嶋みどりさんをMIDORIと紹介していますね。曲のタイトル"DoReMi"はそれを入替えたそうです。この曲の解説がエトヴェシュ本人が細かく書いているのでインプレするのに影響されそうですw
チェロは今回ジャン=ギアン・ケラス(Jean-Guihen Queyras)をフィーチャーしていますが、初演は上記ペレーニ(w/ ベルリン・フィル)でした。バルトークにインスパイアされて、ハンガリーの民族音楽が下敷きになっているそうです。
パーカションはマルティン・グリュビンガー(Martin Grubinger)です。始めの二つの楽章はエトヴェシュが度々参考にしているシャンドール・ヴェレシュ(Sándor Weöres)の詩を元に、第三楽章は12世紀インドの詩人ジャヤデヴァ(Jayadeva)を元にしているそうです。

指揮はもちろんエトヴェシュでフランス放送フィルハーモニー管弦楽団(Orchestre philharmonique de Radio France)による演奏です。






DoReMi, VIOLIN CONCERTO NO.2 (2012年)
I.は神経質に切れ上がるvnの鋭い音色に処々"ドレミ"や"ミレド"の音列が入ります。エトヴェシュ曰く"1-2-3"と同じだそうです。流れは先鋭・凶暴さを感じますね。II.も基本は同じ流れで、vnのトリル・トレモロが執拗に奏されてオケの強音が襲いかかります。III.はそれまでの小刻みな神経質さの中に低い音の流れやロングトーンも使われます。いずれ技巧性の高い先鋭・凶暴な全体構成には違いありません。
ラストの微分音"ミレド"は印象的ですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  何とコパチンスカヤのvnです!! ぜひご覧ください。
  五嶋みどりさんの方が強烈でしょうか。



CELLO CONCERTO GROSSO (2010/11年)
I.はまるでライヴ・エレクトロニクスが使われている様な弦楽どうしの重なりがありますね。その後はドン・シャン的なパートや 弦を弾いて指板に当てる‘Bartók pizzicato’、グリッサンドやトリル・トレモロの幽玄な流れと表情変化を付けています。II.は少しスロー化しますが楽器の特性からくる重心の低さや基本構成は同じですね。III.は回帰的で、トランシルバニア民族舞踊的なパートが現れます。
似た方向性ならvnコンチェルトの方が切れ味の面白さがありますね。


SPEAKING DRUMS (2012/13年)
I. TANZLIED / DANCE SONG - II. NONSENS SONGS - III. PASSACAGLIA
I.はvoice入りのパーカッション・ソロから入ってオケは調性感の煌びやかな響きで応えます。II.もperc.ソロで入りオケは調性感が強いです。それが流れの見通しを良くしてスッキリとした印象です。III.では鍵盤打楽器が入りアフリカン風ヴォイスがいっそう元気に叫ばれます。それが最大限生きる様な協奏曲構成ですね。
なぜか現代音楽パーカッション奏者のヴォイスは面白いです。



エトヴェシュですから無調でも旋律を持った構成で、実験音楽的混沌はありません。素晴らしいのはヴァイオリン協奏曲で、キレキレの技巧勝負。ぜひコンサートで聴きたいものです!!

パーカッション協奏曲も楽しさいっぱいで、三曲共に22'〜26'程度とコンサートの前半向きですね。十分楽しめておすすめの一枚ですね。



▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年11月19日 アンドリス・ネルソンス/ボストン交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


アンドリス・ネルソンス Andris Nelsons
(ボストン交響楽団, Boston Symphony Orchestra)
A.ネルソンスが現在音楽監督を務めるボストン響とカーネギー・ホールで演じたマーラー5ですね。何かと日本とも関連があるネルソンスも若手だと思っていたら40歳になったんですねぇ。N.Y.のWQXR放送のウェブサイトでAudio配信です。

▶️ こちら (開示期間が不明ですが…)

CDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしませんが、ネルソンスは2015年ルツェルン祝祭管のマーラー5番が素晴らしいですね。




マーラー 交響曲 第5番
(2018-11/19 at Carnegie Hall)

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第一部
葬送行進曲は静かな葬列ですが山場は大きく鳴らして、第一トリオでは明確に派手な流れに持って行きコントラストを付けます。第二トリオは主要主題に近い流れを感じます。第二楽章第一主題は適度な激しさですが切れ味は今ひとつ、第二主題ではブレーキをかけて哀愁を奏でます。展開部も動機の切替に締まりが不足気味、再現部も不要な荒っぽさや微妙なアゴーギクが気になります。

第二部
スケルツォ主題は揃いがよくありませんが、レントラー主題は緩やかに変化させ安定しています。第三主題(部)はオブリガート・ホルンが大きく鳴らしますがややもっさり。極短い展開部は荒れ気味で、再現部も各動機に変化を付けているのですがまとまりがありません。

第三部
アダージェットはクセがあり、主部はやや暗い珍しい流れで中間部は澄んだ美しさをクレシェンド的に奏します。第五楽章提示部はもやった流れ、山場とコーダで帳尻を合わせたい処ですが…


締りに欠ける残念なマーラー5です。流れも演奏(の揃い)も良くありません。録音も今ひとつなので更に足を引っ張っているかもしれません。この曲が持つ明瞭さが感じられませんね。

でも演奏後は大喝采とWQXRアナウンスのべた褒め?!! 駄耳の証明という事かもしれませんが。(汗)
2015年ルツェルン祝祭管との素晴らしい演奏があるだけにとても残念です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

今の時代のクラシック音楽:エサ=ペッカ・サロネン新作『チェロ協奏曲』ヨーヨー・マ(vc) を聴く


エサ=ペッカ・サロネン
(Esa-Pekka Salonen, 1958/6/30 - )
何と言っても指揮者の顔が浮かぶフィンランド人音楽家サロネンですが、元々はホルン奏者で現代音楽家ですね。同じフィンランド現代音楽家のマグヌス・リンドベルイ達と前衛集団"Toimii"(トイミー)を結成していた事もあります。作曲はシベリウス音楽院で習い、ドナトーニにも師事しています。指揮者になってから作曲の頻度は落ちているのが残念ですが。


Cello Concerto
中国系米人チェリスト:ヨーヨー・マ(Yo-Yo Ma)の為に書かれた作品で、ロサンゼルス・フィルの他にシカゴ響やN.Y.フィルとの委嘱作品になっている様です。
演奏はもちろんサロネン指揮で、音楽監督を務めたロサンゼルス・フィル(Los Angeles Philharmonic, 現音楽監督:G.ドゥダメル)になります。






チェロ協奏曲
3パートのコンチェルトです。
I.はアンダンテ的で、反復をベースに調性の薄い(実際には無調でしょう)中に旋律を持つ流れです。印象は幽玄でマのvcにも中華和声を感じる旋律もありますね。カデンツァはありません。
II.はキラキラとして煌びやかな入りですが緩徐楽章になっています。その後のスロー静の幽玄なvcカデンツァにライヴ・エレクトロニクスでループが使われている様ですね。シャリーノを思わせる様なグリッサンドもあって面白いですね。
III.は再び反復・変奏の流れになりますがアレグロの三部形式的です。前半(主部)はvcの先鋭な旋律がリードしながらパーカッションが入り、中盤(中間部or展開部?)はオケが鳴り渡ります。派手なオケも反復的で、その後主部の回帰の様な流れになり短いカデンツァ?が入りますね。フィニッシュはノイズです。



無調ですが調性感のある旋律で構成されていて実験的要素はなく、今の時代のクラシック音楽ですね。約35'で三楽章ですから、コンサート前半で使われ易い構成になっている気もしますね。それが委嘱作品という事かもしれません。

マのvcは伸びやかな音色を聴かせ、パートIII.では技巧性も高いvcの見せ所もありますね。



▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
▶️ 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

2018年1月 マンフレッド・ホーネック/シカゴ交響楽団『マーラー 交響曲 第5番』«ネット配信»


マンフレート・ホーネック Manfred Honeck
(シカゴ交響楽団, Chicago Symphony Orchestra)
ウィーン・フィルのヴィオラ奏者から指揮者になったM.ホーネットは、2008年からピッツバーグ響の音楽監督ですね。今回は度々客演している模様のCSOを振ったマーラー5です。昨年の演奏ですがCSOオフィシャルサイトにAudio登場です。

▶️ こちら (2022-3/24まで聴く事ができますね)

残念ながらCDではないので「マーラー第5番聴き比べ:175CD」にはアップしません。
ちなみにウィーン・フィルのコンマスで指揮者のお馴染みライナー・ホーネックは弟ですね。




マーラー 交響曲 第5番
(2018-1/25,27,30いずれかの日Live at Symphony Center)

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第一部
鬱を避けた葬送行進曲は華々しく明瞭に、第一トリオは底上げして派手な流れを作ります。第二トリオは本来哀愁が強いのですが、流れの良さを感じますね。第二楽章第一主題は切れ味よく、第二主題(一楽章第二トリオ)を美しさで奏でます。展開部では第二主題の静的配置が際立ちますね。再現部も激しさと言うよりも華やかな色合いを感じます。心地よい第一部ですね。

第二部
スケルツォ主題は軽妙に、レントラー主題は優美にとコントラストを付けています。第三主題も上手くテンポをスローにチェンジして奥行きを感じる鳴りを効かせます。展開部はあっさりですが、再現部は各動機を変奏で組合せた表情変化を上手く付けていますね。

第三部
主題部は暖色系で緩〜ぃアゴーギクが入り、中間部では透明感を高めていますね。クールで美しいアダージェットです。最終楽章は二つの主題を心地よく絡めてコデッタを優美に提示部を作ります。展開部のコデッタは軽妙に、山場も心地よさ。再現部は山場からコーダをパワープレイで鳴らすと、ラストはアッチェレランドを抑えめにビシッと決めます。


鳴りが良く心地よいマーラー5です。CSOらしい響きとコントラストと言ったらホーネックに失礼でしょうかw
安心してお勧めできる素晴らしさですが、CD化は難しでしょうねェ。

CDとしては音楽監督を務めるピッツバーグ響と2011年の録音を残していますが、"こちら"も抑揚が強く興味深いマーラー5ですね。



同ページから「チャイコフスキー 交響曲第6番 "悲愴"」も聴けます。これがテンポこそ違えムラヴィンスキー('60DG盤)を思わせる様な凄まじいテンションで一聴の価値ありです。マンフレッド・ホーネック侮れず!!


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

カティア・ブニアティシヴィリ の『シューベルト:ピアノ作品集』を聴く | "ピアノ・ソナタ第21番 D.960" は, マリア・ジョアン・ピリス, 内田光子 と合わせて


Schubert
Khatia Buniatishvili
2月の来日公演が中止になった、丁寧な断り文がありました、ブニアティシヴィリの新譜で 演奏予定だったピアノ・ソナタ#21がメインですね。若手人気女性ピアニストとしては、アリス=紗良・オットと並び 気になるCDリリースです。とは言え二人共30歳を越えたんですねぇ。(オットはMS:多発性硬化症を発症しているで7月の来日予定も気になります)
今やシューベルトは守備範囲外ですが、ブニアティシヴィリのタッチが生きそうですよね。(個人的には彼女のハードタッチな楽曲は…ですw)






ピアノ・ソナタ 第21番 変ロ長調 D.960
第一楽章第一主題から第二主題、アゴーギクを使っていますがいずれも柔らかくエモーショナルな印象が強いですね。提示部後半から展開部での転調もpfタッチはソフトで、アゴーギクとディナーミクを振っていても優しさは崩れません。
第二楽章は超スローが特徴的です。包む様な優しさのタッチがいかにもブニアティシヴィリですね。
第三楽章は一気に快速テンポアップで内田さんに近い構成ですが、中間部も含めて軽快感を強く感じさせて前楽章とのコントラストを付けています。
第四楽章も処々でアゴーギクとディナーミクを強く振っていますが優しさを感じさせる流れですね。


マリア・ジョアン・ピリス (2011 rec.)
昨年引退を表明したピリスですが、全楽章を通して見晴らしの良い流れを作っています。特にスローな表現に傾倒する事もなくアゴーギクを控えてディナーミクの情感が強めですね。この3人の中では最も明瞭で古典的印象でしょう。

内田光子 (1997 rec.)
第一楽章第一主題から弱音で緩やかに、第二主題もその後の転調パートも抑えた音色で構成します。前半二楽章の静暗スローの流れを第三楽章スケルツォで一気に速い流れに切り替えて来ます。ただ表情的には薄めな印象をキープしていますね。アゴーギクを振っていますが静音重視でディナーミクでの感情は抑え気味、クールな演奏ですね。


4つの即興曲 Op.90 D.899
ディナーミクの振りが大きく感じますが 軸足は弱音のソフトタッチにあり、そこから聴こえるエモーショナルな流れは変わりません。即興曲でもD.899はD.935よりも各主題や動機の旋律が美しいので、特に第一・三曲はマッチしている感じですね。


セレナード S.560 リスト編
最もブニアティシヴィリらしさが光る緩徐曲です。これを最後に置いたのもこのアルバムの良さでしょうね。このタッチが好めなければブニアティシヴィリは合わないという事かもしれません。




ブニアティシヴィリのファンのためのシューベルトですね。良くも悪しくもピアノ・ソナタ第21番の第二楽章が極みでしょう。その優しさとエモーショナルさは際立ちます。この曲はピリスの明瞭さ、内田さんのクールさ、三者三様で楽しめます。

全体としては以前よりもディナーミクの振り幅が大きくなっている気がしますが、いかがでしょうか。

やっぱりブニアティシヴィリは「マザーランド」をベストとして優しさ・エモーショナルな響きが好きですね。その背景をNHK「マザーランド・ライブ / 森の中のピアノ・コンサート」で知ると更にその演奏の意図がわかる気がしましたね。





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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