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エリッキ=スヴェン・トゥール(Erkki-Sven Tüür) の『Mythos』エストニア現代音楽


エリッキ=スヴェン・トゥール (Erkki-Sven Tüür, b.1959)
エリッキ=スヴェン・トゥールはエストニアの現代音楽家でタリン音楽院で習い、レポ・スメラにも師事しています。技法的にはミニマル・音響解析・等を使っているそうです。興味深いのは同時期にロック・グループ"In Spe"での活動がある事で、そこがポイントになり楽風にも影響を与えていれば面白そうですね。(以上、前回インプレ時と同文になります)



Mythos Paavo Järvi | Estonian Festival Orchestra
同じエストニアの指揮者パーヴォ・ヤルヴィに献呈された、神話や伝承を意味する"ミトス"をタイトルとする交響曲第9番をメインにしたアルバムですね。演奏はもちろんパーヴォ指揮で、エストニア祝祭管弦楽団になります。

P.ヤルヴィは、N響の首席指揮者(2015-)になる以前は好きな指揮者の一人だったのですが、近年はコンサートも行っていませんねぇ。ヤルヴィ家の三人の指揮者はそれぞれタイプが異なって面白いですね。個人的には弟のクリスチャン・ヤルヴィが好きです。







1. Symphony No. 9 "Mythos" (2018)
第一印象はドローン、アンビエント、エレクトリカ、的な空間音響系ですね。蠢く弦音が支配して管楽器ロングトーンの絡み合いが低く垂れ込めます。音色は澄んだ高音のパートや煌めくパートもあり、気配が繊細になったりもします。後半はポスト・ミニマル的ポリフォニーで、強い変奏・反復になりますが、それでもドミナントは空間の音です。ホールで聴いたら面白そうですね。


2. Incantation of Tempest (2015)
4'強の短い曲です。ここでも反復と低音の響きでポスト・ミニマルの楽曲になっています。音飽和的に鳴りが渦巻くのと、陶酔的な小刻みなリズムが印象的ですね。空間音響+ポスト・ミニマルです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  2016年エストニアのPärnu Music Festivalからです



3. Sow the Wind... (2015)
サチュラシオンの傾向もあるのでしょうか、ここでも音の密度の濃さが印象的ですね。唸る低音をバックに、vnのソロパートが出現したりと異なる流れも加わります。もちろん"空間音響+ポスト・ミニマル"が基本です。



基本的には調性音楽ですね。そして明確なのは音密度の高い"空間音響+ポスト・ミニマル"の流れでしょう。コンサート受けしそうな今の時代のクラシック音楽ですね。

欧エクスペリメンタリズムとは方向性が異なるでしょう。エレクトリカを感じるのはトゥールのバックボーンがあるからでしょうか?!



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近現代音楽家の「オーボエ協奏曲集」マルティヌー | B.A.ツィンマーマン | R.シュトラウス


Oboe Concertos シュテファン・シーリ (ob, Stefan Schilli)
ドイツ人オーボエ奏者のシュテファン・シーリをフィーチャーしたオーボエ協奏曲集ですが、ポイントはそこではありませんw

三人の近現代の音楽家の20世紀中盤の作品という事ですね。この時代は欧エクスペリメンタリズムの前衛真っ只中でした。

演奏は昨年11月に亡くなられたマリス・ヤンソンス指揮/バイエルン放送響の豪華オケ。実はそこに問題があったかもしれません。ちなみにシーリは同オケの首席奏者です。








ボフスラフ・マルティヌー
(Bohuslav Martinů, 1890-1959)
チェコの音楽家で、フランス音楽に傾倒した初期、ナチスから逃れ米活動の中期、欧州に戻って前衛と向き合う後期ですね。とは言っても新古典主義になります。

Concerto for Oboe (1955)
 欧州に戻ってからの後期晩年の作品になります。得意とする技巧性の高い協奏曲ですね。
いきなり民族和声的な軽快なリズムで入って来て驚きますね。obはオケの序奏が終わると澄んだ音色で牧歌的な印象です。第二楽章は緩徐で幽玄な流れになり、仏印象派を元にした様な流れを感じます。カデンツァと言っても良いpfとのDuoではよりその感が強いですね。第三楽章はいかにもアレグロ的にシャキッとしています。obも流れる様な旋律を奏でます。カデンツァは叙情的な中に技巧を見せる様になっていますね。
新古典主義とは言え、洒脱さは仏印象派を感じますね。



ベルント・アロイス・ツィンマーマン
(Bernd Alois Zimmermann, 1918-1970)
このブログでは一押しの、ちょっと古い前衛現代音楽家です。作風変化は過去のインプレにまとめてあります。

Concerto for Oboe (1952)
 セリエルの波に飲み込まれた中期の作品になります。この曲ですとH.ホリガーの名演がありますね。
パッと聴くと新古典主義の印象が強く、調性軸足的な流れですね。この時期・時代のツィンマーマンはセリエルを用いていますが、ヴェーベルンの様な使い方ではないので日和見に聴こえたかもしれません。それでもobは技巧的な流れが強い事がハッキリわかりますね。中間楽章の緩徐も緊張感が強く、出し入れも刺激的です。ラストのカデンツァも光りますね。コンサートでもう少し採用されても良さそうな気がします。
やっぱり20年生まれるのが早かったですね!

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  第一楽章です。obはH.ホリガー、ギーレン指揮・SWF SO Baden-Badenです
  こちらの方がオケ共に尖っていて、明確に前衛性があります




リヒャルト・シュトラウス
(Richard Strauss, 1864-1949)
言わずもがなのR.シュトラウスですから紹介などもちろん割愛です。

Concerto for Oboe (1945)
 前衛の時代を迎え、シュトラウス本人も古い音楽と言った晩年の作品です。
まず感じるのは入りのobの美しいロマン派の香りですね。前期ロマン派と言っても良い様な古典の響さえ感じます。残念なのは、交響詩やオペラのシュトラウスらしいストーリー性や抑揚が感じられません。昔帰りしている感じ?!でしょうか。
不協和音の様な調性の薄さも存在しないロマン派的流れは、今聴いても少し古く感じるかもしれません。



1940-50年代という前衛時代を背景にすると、いずれも時代の流れに乗れない楽風だったのかも知れません。そんな感慨の中で聴くのも一興かと思わせてくれる三曲ですね。

S.シーリのobは繊細さの音色を強く感じますね。オーケストラは演奏の流れ自体が流麗になっていて、前衛性を避けている感じもします。(ツィンマーマンのYouTubeを聴いてもらうと前衛性を感じます)



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エマヌエーレ・カサーレ(Emanuele Casale) の 室内楽集「Chamber Works」


エマヌエーレ・カサーレ (Emanuele Casale, 1974/10/14 - )
前回に続きカサーレです。下記紹介文は前回のコピぺになります。

イタリアの現代音楽家で、G.ソッリマ他に師事し S.シャリーノにも習っている様です。今注目の1970年代生まれ、前回インプレのステーン=アナセン他 個人的に勝手な思い込みですが、の現代音楽家の一人です。2001年には「"STUDIO No.2a" Bass Recorder and Tape」で、斬新な現代音楽作品を選ぶ "第22回 入野賞" を受賞しています。

楽風はパルス的超短の音と休符の組合せです。それを元にエレクトロニクス処理で構築します。楽曲タイトルも3, 7, と言った味気ない数値であったりと、何かと前衛ですね。



Chamber Works, 杉山洋一(cond.) | Mdi Ensemble
前回の"Chamber Music"に続く年代、2003年から2014年の室内楽作品集です。1. 2. 5. にはカサーレ本人がエレクトロニクスで入り、続編と言った感じですね。







1. 11 (2008)
  per ensemble ed elettronica
随分と出し入れが強く表情豊かになった感じです。パルスだけではなくロングトーンが入り、強音と弱音のコントラスト、と言った対比的なサウンド構成になりました。スロー静vsファスト強音ですね。もちろんファストはパルス(トリル・トレモロ的)です。静音パートの比率が大きいのも緊張感があって良いですね。


2. Questo è un gruppo e pace (2014)
  per trio d'archi, pianoforte ed elettronica
静音グリッサンドに突如現れる強音パルス、どこかで聴いた様な構成ですねw 主の流れはポリフォニーとホモフォニーの中間くらい、個々の楽器がそれぞれ会話をしている様です。その傾向は以前からありましたね。色彩感を感じる明るい楽しさもあります。


3. Esistere lago, nulla e un tempo (2006)
  per ensemble
入りはアンビエントの様な静かな心地よさです。そこに緩やかにパルス(トリル・トレモロ)が絡みながら変化、キラキラした流れからロングのグリッサンドとなります。幽玄な静音が全体を支配します。無かった流れですね。


4. 7 (2005)
  per quartetto d'archi
細切れの様なパルスとグリッサンドの弦楽で、次の"5"と共にカサーレの原点方向になるでしょうか。前三曲と比べると古さを感じますね。


5. 5 (2003)
  per flauto, clarinetto ed elettronica
"Chamber Music"にも入っていましたね。二つの楽器のDialogueが楽しいです。今聴くと楽曲的にはややフラットでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Jen McLachlen(fl)とDavid Barrientos(cl)のDialogueですね




基本的なパルス技法は同じですが、"Chamber Music" よりも本"Chamber Works" の方が静と強・ロングトーンとパルスの対比が強まり表情が付きました。明るい音の広がりも感じられますね。

本CDがカサーレのスタイル変化が見えてオススメです。



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エマヌエーレ・カサーレ(Emanuele Casale) の 声楽・室内楽集「Chamber Music」


エマヌエーレ・カサーレ (Emanuele Casale, 1974/10/14 - )
イタリアの現代音楽家で、G.ソッリマ他に師事し S.シャリーノにも習っている様です。今注目の1970年代生まれ、前回インプレのステーン=アナセン他 勝手な思い込みですがw、の現代音楽家の一人です。2001年には「"STUDIO No.2a" Bass Recorder and Tape」で、斬新な現代音楽作品を選ぶ "第22回 入野賞" を受賞しています。

楽風はパルス的超短の音と休符の組合せです。それを元にエレクトロニクス処理で構築します。楽曲タイトルも3, 7, と言った味気ない数値であったりと、何かと前衛ですね。



Chamber Music, Various Artists
2000年を跨ぐ少々古い、室内楽と声楽の作品集です。ソロからアンサンブル作品になりますね。そこにエレクトロニクスが入りますから、ヴァリエーションがあって楽風がわかりそうです。演奏者は楽曲下に記します。







1. 9 (2005)
  Icarus Ensemble, Giorgio Bernasconi
ネズミがチョロチョロと動いている様な音ですね。確かにシャリーノがいますw 細切れの音と休符を彷徨います。カサーレの音楽ですね。そこにエレクトロニクス処理が混ざって、アンサンブルの混沌になります。いかにも欧エクスペリメンタリズムですね。

2. Studio 2a (1998)
  Antonio Politano (flute)
パルス音と超短休符は同じですが、flをエレクトロニクス処理でサンプリング、ループ、ディレイ、と言った様な流れになっています。チョコマカ、コロコロした音です。入野賞を受賞したのはこれのバスリコーダーver.ですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  入野賞30周年記念演奏会でのLiveです
  少し表情が薄く、CDの方が面白いかも


3. Studio 1 (1997)
  Angelo Polino (horn)
細切れサウンドですが、ここではエレクトロニクスが打楽器的な音も作っていますね。調性的な流れで、何か雰囲気を感じますね。

4. Composizione Per Cinque Strumenti (1998)
  Ex Novo Ensemble
アンサンブルになると、無調混沌の系統が顔を出す様です。明らかに無調ポリフォニー、一部ホモフォニーです。後半の弦楽がシャリーノ風グリッサンドになりますね。ニャーニャー言っています。

5. 5 (2003)
  Svend Melbye (flute), Maria Sook Garmark (clarinet)
バスクラ?!でしょうか。二つの楽器の退位的流れが面白いですね。flはトリル・トレモロ的です。

6. Composizione Per Voce (1997)
  Anna Clementi (vocals)
アカペラです。それ以外は特に…ラストに出てくる虫の羽音の様なvoiceは面白いです!!

7. 3 (2002)
  Mario Caroli (flute), Pascal Gallois (bassoon)
Dou作品は5.もそうですが、対位的なDialogueが面白いですね。ここでも自由に動き回るバスーンが楽しいです。

8. Composizione Per Quattro (1999)
  Anna Clementi (vocals), Maurizio Persia (trombone), Mario Caroli (flute), Antonio Caggiano (cond.)
voiceも混ざる無調ポリフォニーです。voiceはヴォーカリーズで楽器の様な扱い、グリッサンドも出しながら上手く入り込んでいますね。



もちろん明確な旋律の存在しないのですが、サウンド全体に気配を感じて不思議です。パルス的な音技巧の欧エクスペリメンタリズムで特にDuo作品は面白く、演奏側が好みそうですね。

調性を取込んだ多様性現代音楽、編成が大きくなると無調ポリフォニー、と言った二面性もある様です。次回はこの続きとなる年代作品の室内楽集"Chamber Works"をインプレしたいと思います。



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シモン・ステーン・アナセン(Simon Steen-Andersen) の『Black Box Music』と言うパフォーマンス現代音楽


シモン・ステーン=アナセン (Simon Steen-Andersen, b.1976)
デンマークの前衛現代音楽家 ステーン=アナセンと言えば、何と言っても2014年ドナウエッシンゲン音楽祭での"落下破壊ピアノ協奏曲"(Piano Concerto)ですよね。私もあのNEOSのDVDで一気にファンになりました。細かい楽風や経歴は過去記事を参照くださいね。

基本的にはインスタレーション、今の時代の現代音楽ですね。本人曰く "Visual Music で、音楽は聴覚だけではない"、そうです。



Black Box Music, Håkon Stene | Oslo Sinfonietta
2012年にダルムシュタット夏季現代音楽講習会で紹介されていますから、上記"Piano Concerto, für Klavier, Sampler, Orchester und Video"よりも早かった訳ですね。
"古典的音楽の驚くべき楽しい解体"だそうです。解体の対象はオーケストラを前にした指揮者像で、それをBlack Boxの中での人形劇・手振りといったパフォーマンスにしています。(ジャケット写真にある様子です)

そして舞台(Black Box, スピーカー, 演奏者)も特殊配置で以下の様になっていますね。(今回はオーディエンスなしの様です)


SSAndersen-BlackBox-Stage.jpg


本DVDには他に、コペンハーゲンの王立図書館で収録されたビデオ・パフォーマンス "Run Time Error" と、そのメイキング・ビデオも収録されています。






DVD


1. Black Box Music (2012)
  for performer, amplified box, sinfonietta and video
  [I. Ouverture - II. Slow middle movement - III. Finale]
スタンスが古典の解体だからか、構成は古典的な三楽章の形式になっています。
 まずは電子ノイズから入ります。そこに多方向から旋律のない音塊が響きますね。音色は単音ありショート・グリッサンドあり、特殊奏法ありになります。楽器ではない構成の音も聴く事が出来ますね。パートは三つに分かれますが、所謂(いわゆる)緩徐といった概念は存在しませんね。基本リズムが変わるといった感じになります。全て明瞭な旋律が無い"音"の構成ですね。

途中でオーケストラのチューニングの様なシーンが現れて、そこからは打音リズムのパーカッション・パフォーマンスとなります。2nd mov.でしょうか、それまでと明らかに異なるサウンドで展開部か中間部に相当しそうですね。最後は即興クラスター的な音塊が戻って混沌となりますが、フィニッシュはノイズです。

Black Boxのカーテンを開け閉めしながら指揮兼パフォーマンスします。Black Boxの背面(ステージ正面)に配された大スクリーンにはブラックボックス内が大写しになります。それで演奏者全員もそれを確認できる様になっていますね。その中には"オモチャの類"も登場して、"偶然性"の構成にもなっていますね。

Black Boxのホーコン・ステーネ(Håkon Stene)はスコアを見ているはずなのですが、明確にはわかりません。顔の影にあるのがスコア用タブレットでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Zeiträume für Musik Basel 2017 での抜粋です



2. Run Time Error @ The Black Diamond #1+2 (2014)
  for a joystick-controlled video performance
サブタイトルにある通り、オーディオ&ビデオをジョイスティックで操作します。通常再生だけではなく、ジョイスティックでストレッチやリバースが出来ます。
 音楽"音"はエレクトロニクス処理されたノイズ・サウンドです。もとになっているのは会場に設置された様々な配置物の"転がったり、引っ掻いたり"と言った音ですね。それを次々に移動しながらの映像も流れます。従って変なノイズ音も元音を視認しながら聴けるパフォーマンスです。環境音も使ったミュージック・コンクレートでもあるかもしれませんね。

映像は同一映像を2画面に映してそれぞれをジョイステイック操作しています。同じ元映像が微妙なズレを生じさせながら、音(ノイズ)も変化していきますね。さすがにスコアは無いと思いますw


3. Run Time Error - Behind the Scenes (Bonus Material)
  filmed and edited by Ida Bach Jensen
メイキング・ビデオです。ノイズ元を準備したり、実際の収録シーンを見る事ができます。電子処理されていない生音に、解説の英文字幕もあるでので、とても興味深いですね。使われていないシーンも出てきますし、ソフトによるサウンド・メイキングも出てきますね。

2画面の合成の、それぞれを個別ver.(#1,2)もあって、それを見ると合成前(電子処理あり)も楽しめます。



インスタレーションと言うよりもパフォーマンス・ノイズ系前衛実験現代音楽ですね。まさに今の時代の現代音楽を楽しめるDVDになっています。(CD表現の域を超えています)

既に多様性現代音楽という表現でさえ、通じなくなって来た事が実感できますね。もちろんオススメの一枚です。



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アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ交響楽団 の「マーラー 交響曲 第1番 "Titan"」バランス良さですね


アダム・フィッシャー Adam Fischer
(Düsseldorf Symphony Orchestra, 2017-2/10-12 Live rec.)
アダム・フィッシャー/デュッセルドルフ響が進めるマーラー・サイクルから第三弾で登場した"第1番"ですね。

昨日インプレの1989年マーラー・フェスト・カッセル祝祭管から28年を経た"第1番"の変化はいかに!!ですね。




マーラー 交響曲 第1番「巨人」



第一楽章
序奏の弦ppp(pp)A音は鎮めて緊張感を与え、下降4度のカッコウ動機やファンファーレ動機との絶妙なバランスを作ります。提示部チェロの第一主題は明るく奏で、対位的な第二主題が絡むとリズミカルに広げますね。
展開部は透明感あるppスローからhr動機でテンポアップして穏やかな気配を作り、山場をハイテンポでバランスよく鳴らします。興奮はありませんね。
再現部は全体のおさらいの様に流れます。バランスが良く心地よさの第一楽章ですね。

第二楽章
スケルツォの主部は舞踏曲の様に優雅です。トリオでは繊細な弦の美しさをアゴーギクで際立たせ、上手い対比です。回帰では切れ味を加えた感じですね。

第三楽章
主部主題の短調『グーチョキパーで…』はやや速めに重さを控えた葬送行進曲で、カノンの流れを明確に奏しています。木管の二つの動機はスローからテンポを上げて雰囲気を変えて来ますね。良い流れです。中間部vnは緩徐の美しさを奏でて美しく、回帰からコーダは色合いを濃くするお約束になっています。

第四楽章
提示部第一主題はバランス良く落ち着いて、第二主題vnはスローな美しさに、そして緩やかに上げて行きます。
展開部第一主題も落ち着き感が強いですね。もう少しハジけても良いかもしれません。山場も行儀良さになっています。
厄介な再現部は序奏を静に心地よく、va動機を強烈に入れて雰囲気を緊張感に変えますね。コーダは落ち着いて勝利を讃えます。


突出したものはありませんが、バランス良く聴き易い"マーラー1"です。何か一つスパイスがあると嬉しい感じですね。

個人的好みはマーラー・フェスト・カッセル祝祭管との若々しさかもしれません。全体の流れはよく似ていますが、スローパートも含めて安定感のデュッセルドルフ響と言った感じでしょうか。




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アダム・フィッシャー/マーラー・フェスト・カッセル 1989 の「マーラー 交響曲 第1番 "Titan"」山場の鳴りの良さです


アダム・フィッシャー Adam Fischer
(グスタフ・マーラー・フェスト・カッセル祝祭管弦楽団, 1989 Live rec.)
A.フィッシャーがドイツのカッセル国立劇場の音楽監督時代(1987-1992)、グスタフ・マーラー・フェスト・カッセル音楽祭(1989年)で祝祭管弦楽団(Festspielorchester des Gustav Mahler Fest Kassel)を振った"マーラー1"が登場です。

なぜ今頃になって31年前の録音が登場したのでしょうか。デュッセルドルフ響とのチクルス推進中で"商売"になるという事でしょうねぇ。きっかけがなんであれ、聴けるのは嬉しい事ですが。




マーラー 交響曲 第1番「巨人」



第一楽章
特徴的な序奏A音静の7オクターブ・フラジョレットはやや音量が大きく、カッコウの4度下降は暗目です。チェロの第一主題が優美な舞踏風に登場、対位的な第二主題は繊細に流れます。明るい山場から反復して、展開部は繊細な序奏回帰で進みhrが明るさを見せて、山場は怒涛に鳴らします。再現部はその流れに乗って派手に、フィニッシュも壮大ですね。

第二楽章
スケルツォの主部は小気味よく低重心リズミカルです。トリオのレントラーでは軽妙ですが落ち着かない気配を感じますね。回帰ではいっそう重厚方向になります。

第三楽章
主部主題の短調『グーチョキパーで…』は暗さ控え目な葬送行進曲でカノンの流れは薄く感じます。木管の二つの動機は哀愁と軽妙さを上手く使い、中間部は緩やかなvnですが、今ひとつ締まりが弱いでしょうか。回帰は通常的で、アタッカで最終楽章へ入ります。

第四楽章
シンバルからの序奏はやや抑えて、提示部第一主題の管楽器と低弦が勇壮に出て来ます。激しい流れからの第二主題は優美スローですが、今ひとつ一体感に欠ける感じですね。
展開部第一主題は派手に鳴らして、徐々に上げて行き山場は落ち着いています。
厄介な再現部は静の表情を見せながら動機を並べて進みます。悪くはないのですが、緊張感が欲しい感じです。vaの動機で緊張感が出て山場は激走し、コーダは金管が鳴らし合いながら見事に終結させますね。


クライマックスの激しさを中心に据えたスカッとしたマーラー1です。なんと言っても鳴り派手な山場が聴かせどころでしょうね。スロー静のパートも悪くないのですが、そこに締まりがあったら更に良かったと思います。

こうなると次回は、デュッセルドルフ響との第一番をインプレしなければなりませんね。(未インプレですが既聴済みで、スロー静は一枚上手です)




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