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マティアス・ヤキシッツ(Matthias Jakisic)の弦楽四重奏曲「Fragmente」


マティアス・ヤキシッツ
(Matthias Jakisic, 1977/5/14 - )
オーストリアの現代音楽家で、ヴァイオリニスト、音楽プロデューサーですね。アーティスト名"JIG"でも知られているそうです。プロデューサーとしてはロックやポップ系で多数のアルバムに関わっていたそうで、作曲はそんなエレクトロニクスやポップも反映された多様性の前衛方向の様です。そして劇場音楽での活躍も多いです。
ヴァイオリニストとしてはエレクトリック・ヴァイオリンも使っていますね。



Fragmente
(Strig Quartet)
タイトル通りに1パート5'半以下12の"断片"からなる弦楽四重奏曲です。
ライナーノートによれば "21世紀における古典の弦楽四重奏がどの様なサウンドなのか、オリジナルのヴィジョンを作り出す" のだそうです。よくわかりませんがw

演奏は、Lena Fankhauser (va), Emily Stewart (vn), Nikolai Tunkowitsch (vn), Asja Valčić (vc)です。今回は作曲家としてのアルバムなので演奏はしていませんね。







Fragmente (2021?)
1. 48A - 2. Sechsacht - 3. Forteforte - 4. Trauer - 5. Distel - 6. Frag1 - 7. Frag4 - 8. Chordstructure - 9. Frag2 - 10.Tragisch - 11. Streit - 12. Glassisch

1.はvnの特殊奏法が入り、基本は反復・変奏の構成です。ポップ調や舞踏系民族和声でもあっていかにも今風ですね。2.では古典やロマン派の流れを構築します。1.との対比と言う意味でしょうか?!

3.は激しいボウイングで今風、4.は新ロマン主義風、7.はバロック調、11.は微かに調性を乱し、ラスト12.は1.の舞踏モードが回帰します。
そんな感じで曲ごとに構成を変えて来ますね。はっきりとしているのは今風パターンのベースにあるのは反復・変奏だと言うことでしょうか。古典風と今風を混ぜる様な楽曲(パート)はありません。


 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  "1. 48A"です



バロック風から特殊奏法の現代調まで、まさにフラグメントであらゆるパターンの弦楽四重奏曲を順不同に並べて来ます。でも無調パートはありません。ベスト・トラックは"1. 48A"ですね。

通して一曲なので面白いかもしれませんが現代風パートが少ないのが微妙です。細切れ(フラグメント)ではなくて古きも新しきも絡んで混在させた楽曲にしてくれたらもっと面白かった様な…



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ジャンル : 音楽





ハンブルク国立歌劇場2021 シュトラウス歌劇「エレクトラ」をNHKプレミアムシアターで観る


昨年(2021)末のハンブルク国立歌劇場、R.シュトラウスの個性作品「エレクトラ Elektra」ですね。作品内容もさる事ながら演出がD.チェルニャコフですからただでは済まないでしょうw

今までも "2021バイロイト さまよえるオランダ人" や "2017エクサン・プロバンス カルメン" でハチャメチャな演出を見ている訳ですから。

個人的にシュトラウスのオペラならば「薔薇の騎士」よりも「サロメ」「エレクトラ」が好きですね。



オフィシャルのTrailerです


演出
例によってラストの書き換えが凄いです。原作にはないシーンになってしまいますね。時代背景は近現代に置き換えられています。

本来復讐の達成の喜びで部屋で踊り死すエレクトラがエンディングですが、今回そこには弟に復讐殺害された母親と愛人二人が運び込まれ、最後はオレストが妹クリソテミスも殺害してしまうという大変則のラストです。やっぱりチェルニャコフでした。そして三人の姉/兄/妹に奇妙なエロティックさを振るのも意味深でしたね。他にも斧を掘らないとか変則シーンはありましたが。

舞台・衣装
舞台はお屋敷の部屋を再現して、細かく調度品を配置されています。現代のオペラ舞台としては古典的ですね。衣装も近現代風で揃えられていて全体として一昔前的な舞台演出の印象を受けますね。

配役
【女性陣】タイトルロールのA.ストゥンディーテはどこを取っても難曲のパートをクリテムネストラとエギストへの怒りの狂気で歌い上げています。そして奇妙なエロティックさ、これぞエレクトラです。
その母クリテムネストラのV.ウルマーナはエレクトラと狂気を対比させる様に自らへ向かせて歌います。演技も見事で、この二人の狂気が見ものでしたね。
クリソテミスのJ.ホロウェイは一番声が伸びて良かったですね。キャラ的に演技・風貌もフィットしていました。

【男性陣】弟オレストのL.ヴァサルは徹底徹尾抑えた歌唱と演技で、エレクトラの投影像の様です。
エギスト端役の偉そうな道化で、J.ダザックもそんな感じでしたね。まぁこのオペラでは男性陣は出番が少ない訳で。

音楽
全歌唱パートを通してそれまでの心地良い機能和声からの逸脱を感じますね。調性なのですが歌唱に心地良い旋律は皆無で、時にオケとはポリフォニカルな対位的関係が作られています。今の時代のオペラに通じる楽曲構成ですね。


一にも二にもチェルニアコフの"エレクトラ"でした。まぁ予想通りと言う奇抜なエンディングだったでしょうか。

本来父親を殺された母親と愛人に対する姉弟の復讐のはずが、最後は妹まで殺害して母親と姉妹家族全員へのオレストの復讐劇に書き換えられていた訳ですね。

ただチェルニアコフの演出もなんとなく類型化して、最後にオリジナルにはない殺害シーンを入れる訳ですが本作はそれ以外のストーリーの弄りは控え目だった様に思えます。



【出演】
  ・エレクトラ:アウシュリネ・ストゥンディーテ [Ausrine Stundyte]
  ・クリテムネストラ:ヴィオレッタ・ウルマーナ [Violeta Urmana]
  ・クリソテミス:ジェニファー・ホロウェイ [Jennifer Holloway]
  ・エギスト:ジョン・ダザック [John Daszak]
  ・オレスト:ラウリ・ヴァサル [Lauri Vasar]

【合唱】ハンブルク国立歌劇場合唱団
【管弦楽】ハンブルク国立歌劇場管弦楽団
【指揮】ケント・ナガノ [Kent Nagano]
【演出】ドミトリー・チェルニアコフ [Dmitri Tcherniakov]


収録:2021年12月11日 ハンブルク国立歌劇場(ドイツ)


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『マーラー 交響曲 第8番 "千人の交響曲"』 «web配信» オスモ・ヴァンスカ指揮/ミネソタ管弦楽団 2022年6月10, 11日


オスモ・ヴァンスカ | ミネソタ管弦楽団
(Osmo Vänskä | Minnesota Orchestra)
ミネソタ管の音楽監督を務めるヴァンスカ最後のシーズン、マーラー・サイクルの一環として公演されたマーラー8の映像付き録音がオフィシャルサイトから公開されています。(本動画は2022/6/10-12の公演の10, 11日のものを使っているそうです)
当然BISからCD化されるでしょうね。

ソリストは、Carolyn Sampson(sop1, 3) ここに問題が…、Jacquelyn Wagner (sop2)、Sasha Cooke (mez1)、Jess Dandy (mez2)、Barry Banks (ten)、Julian Orlishausen (bar)、Christian Immler (Bbar)になります。


▶️ Minnesota Orchestra (公開期間は短いと思われますのでお早めに)





«web配信»
Mahler Symphony No. 8
"Symphony of a Thousand"


June2022VänskäMinnesotaOrchestraMahler8
[Live at Orchestra Hall, 10 & 11 June 2022]


第一部 『来たれ、創造主たる精霊よ』
提示部:第一部タイトルの第一主題はもちろん派手で少しハジケ気味です。第二主題のソプラノ(sop1)は少し遠く聴こえますが、続く重唱の絡みは落ち着いていますね。
展開部:ここの多重唱はオケが抑え気味で上手くソリストを浮き立たせます。第一主題変奏の合唱は激しく、オケと対峙する様にこの曲らしく約束通りに荒々しさを見せ、山谷を越える様な抑揚ある流れを作ります。
再現部:流れを沈める様にナチュラルに、コーダではソリストが気持ちを込めた声に合唱とオケが絡んで大きくまとめます。処々で調性を逸脱する様な音色を強調している感じもイイですね。全体的には標準仕様的ではありますが。


第二部 『"ファウスト"から最終場』
【1. 序奏:山峡・森・岩・荒地】
5度下降(一楽章第一主題は4度)のスローなピチカートが印象的な主題を澄んだ空気の様に情景を表現。長いパートですがスローの神聖さが生かされています。

【2. 緩徐:聖なる隠者たち】
「合唱とこだま」は優しさで大きく自然をめで、「瞑想の神父」は力強く自らの苦しみと救済を歌い上げますが、ややパワー切れ気味?!

【3. スケルツォ (アレグロ):天使たちと子供たちと】
女声合唱と少年合唱はそつなく。「成熟した天使たち」ではvnのソロとアルト(mez1)が色濃く交換しますがやや平凡感が…

【4. フィナーレ:マリア崇拝の博士、懺悔する女たち、栄光の聖母】
「マリア崇拝の博士」のテノールは唐突に登場する感じです。そして喜び感が薄いでしょうか。もっと讃えて欲しい気がしますねw
■ここからが聴き処ですが…
「かつてのグレートヒェンの告白」(sop2)は優しく美しく願いを歌ってフィットですがsop1とアルト2人はボチボチ。"贖罪の女三人の合唱"はもっともっと際どく切れ上がる様に絡んで欲しいですね。
「懺悔する女 (グレートヒェン)」はここでも伸びやかに喜びを見せて上手く歌います。
一番の見せ場「栄光の聖母」はバンダから優しく迎え入れます。が…煌めきが足りません。と言うよりもsop1が兼ねているから場所を移したのでしょう。
sop1が「栄光の聖母」を二役で歌うのですがそもそもは"罪深き女"、これではこのストーリーが成立しませんねェ。
聖母登場の後の「マリア崇拝の博士」はもっと感激的で感情的に歌って欲しいです、やっぱり。

【5. コーダ:神秘の合唱】
「神秘の合唱」は勿論厳かに、ソリストが入り山場へ向かいますが、sop1の高音が途切れますね。エンディングのオケはオルガンを荘厳に響き渡らせました。勿論大喝采が待っています。そう言う曲ですから。


オケは標準仕様でソリスト陣がちょっと残念なマーラー8でしょうか。オケの安定した演奏とストーリーは安心して楽しめます。でもソリスト個々の印象が個人的にフィットしません。合唱団の音厚ももう少し欲しかったかも。

一番の気掛かりはsopが一人不足している事でしょう。本来3人ですが2人。極短い登場ながらその威光でストーリーを決する"栄光の聖母"を "罪深き女"のsopが兼ねると言うのは余りにも残念です。



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仏現代音楽家 マーク=アンドレ・ダルバヴィ(Marc-André Dalbavie)の「La source d'un regard」


マーク=アンドレ・ダルバヴィ
(Marc-André Dalbavie, 1961/2/10 - )
フランスの現代音楽家で、指揮もこなす様ですね。パリ国立高等音楽院で作曲・アナリーゼ等を習いますが、この時にオーケストレーションをP.ブーレーズに師事しています。(現在は同音楽院でオーケストレーションを指導しているとの事)

その後IRCAMでエレクトロニクスに関する技法や作曲を習得しています。もちろんIRCAMの主宰はブーレーズで、評価は高かった事がわかります。
作品はベルリンフィルやコンセルトヘボウ他、著名オケからの委嘱が多いですね。


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La source d'un regard
(Seattle Symphony, Ludovic Morlot: cond.)
管弦楽集です。管弦楽と三曲の協奏曲(2. ob: Mary Lynch, 3. fl: Demarre McGill, 4. vc: Jay Campbell)になります。
演奏はシアトル交響楽団で、指揮は音楽監督を務めるルドヴィク・モルロー(仏)。彼らが続けているフランス音楽家シリーズの一枚です。







1. La source d’un regard (2008)
動機反復のスタート、それは調性+不協和音的です。その後も旋律のある構成にグリッサンドを挟んで微妙な調性感で浮遊的流れを作ります。
"静-烈-静-コーダ"構成の烈パートではトリル・トレモロ背景の調性力感ある音色を響せて、通して前衛スタンスはありませんね。


2. オーボエ協奏曲 (2009)
より調性側に寄っている感じで、ソロobは長い旋律を転がす様に走り廻って基本テンポも速いです。処々でホモフォニーが入ったり、それがヘテロフォニー風に変化したりしますね。obの早吹きにオケの各楽器が様々な相対的絡みをする面白さです。ソリストは休む暇がありませんw

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


3. フルート協奏曲 (2006)
ここでもflの細かく速い旋律で入ります。2.と異なるのはオケは対位的な絡みよりも背景音を作る事の方が多い事になるでしょうか。また、flも緩やかに流れる様な旋律パートも組み合わされています。
年代的にも一番古くやや平凡な構成に感じるかもしれません。この曲を進めたのが2.と言う事になりそうですね。


4. チェロ協奏曲 (2013)
やっぱり速く小刻みな旋律が走り廻ります。そしてスローが挟まれてソロvcにはグリッサンドも出てきますね。構成は古い3.に似ていますが遅速変化は明確、ソロが速い旋律のボウイングで終始走るのは2.の表現、短旋律動機の反復は1.です。最近作を聴いてみたいと思わせる楽曲ですね。楽器間の絡みは多彩です。



持ち味の巧みなオーケストレーションで構成され、速い流れの楽曲を様々な絡みで表現する面白さが味わえます。

以前も書きましたが、調性とか無調に拘る時代は終わっているのがわかります。それでもそう言う聴き方をする時代から聴いているトラウマから逃れられない現実がいる訳ですがw

ベストトラックは"2.オーボエ協奏曲"ですね。




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川上法子(Noriko Kawakami)さんの「室内楽作品集, Chamber Music」前衛のスタンスと変化


川上 法子
(Noriko Kawakami, b.1955)
愛媛生まれでドイツで活躍する現代音楽家ですね。国立音大で作曲を学んだ後にドイツに渡り、フライブルクでK.フーバー(Klaus Huber)にエッセンでN.A.フーバー(Nicolaus A. Huber)に師事しています。その後ジェイムズ・ディロン(James Dillon)にも師事しているので、エレクトロニクスはそこで習っているかもしれませんね。

経歴だと欧エクスペリメンタリズムのフライブルク楽派と言う事になるのでしょうか。ただ年代的には前衛の停滞期となって多様性が叫ばれた時代になりますね。
ニコ・ブルートゲ(Nico Bleutge)やジェームス・ジョイス(James Joyce)の詩にインスパイアされる事もあったり、和楽器の可能性にも興味があるそうで本アルバムにも展開されています。


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Zwischen Immer und Nie - Chamber Music
(Ensemble L’ART POUR L’ART, Thürmchen Ensemble Köln)
タイトル通りの室内楽集で、ソロ/デュオ/カルテット/クインテット/セクステットです。特徴的なのは楽器編成が標準的な弦楽奏ではない事、声楽やエレクトロニクスを取り入れている事でしょう。興味深い編成で楽しめそうですね。

作曲年代は2004-2015ですが、例によって作曲年代順に聴いてみようと思います。(CDの順番はNo.です)







3. Oh, die wilde Rose blühet …, for flute, clarinet, violin, cello, piano and percussion (2004)
ノイズでパルス、単音/短旋律の反復とグリッサンド、もちろん無調で非旋律的で音塊、そう言った懐かしさを感じる様な前衛実験音楽ですね。静空間を利用した空間音響系でもあり、一部邦楽和声も感じます。


4. An der Staffelei, for 2 saxophones and electronics [4 channel tapes] (2004)
エレクトロニクスは基本ノイズですが、その表情は多様でコラージュ風にも聴こえます。そこにサックスがディストーションした音色やインプロビゼーション風に絡みます。旋律感は低いので"音空間"ですね。
今聴くとポスト・セリエル前衛の残像の様な印象です。でも面白いw


2. Farbschattierung, for saxophone, accordion and cello (2007)
インプロビゼーション風ですが、ここでも静の空間とノイズが支配的です。基本は上記2曲と似ていますが、少し旋律性が上がって多様性の片鱗を見せる感じでしょうか。アコーディオンが生きていますね。


6. Zwischen Immer und Nie, for accordion, piano, percussion, violin and cello (2010)
ノイズと空間音響で、鍵盤打楽器を含めて多少の調性感がある流れを見せます。水を注ぐ様な音はエレクトロニクスではなくperc.担当のパフォーマンスでしょうか。
やや機能和声に踏み込んで多様性の今の時代の前衛実験音楽に向きを変えた感じですね。


5. Im Traum, den das Chaos webt, for accordion and bass koto [17-string koto] (2012/13)
基本はノイズと空間音響ですがアコーディオンと十七絃箏(じゅうしちげんそう)のデュオと言う興味深い楽曲です。旋律感はより強まって対位的ホモフォニーになっている感じです。
そして二つの楽器の新たな特徴を活かした緊張感のある流れを作ります。一番面白いベスト・トラックです。


1. luft.strömungen, for soprano, flute, guitar and percussion (2015)
静とパルス的ノイズの基本構造は変わりませんが、全体的にシンプル化していますね。研ぎ澄まされて来た?!



ノイズと空間音響系の前衛実験現代音楽です。その構成が古典的前衛から僅かづつ調性を絡める多様性にシフトしているのがわかりますね。

今の時代の前衛がこれからどう変化していくのか、このアルバムの先の川上さんを聴いてみたいですね。



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  全曲試聴出来ます!!



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ジャンル : 音楽





アルベット・シュネルツェル(Albert Schnelzer)の「バーバンクの変わり者, A Freak in Burbank」


アルベット・シュネルツェル
(Albert Schnelzer, 1972/6/3 - )
スウェーデンの現代音楽家で、同国のマルメ音楽院で作曲と指揮を学んでいます。その後は英の王立音楽大学で同じく作曲と指揮を習っていますね。
若い頃はロックバンドのキーボードだったそうですが。

オペラから管弦楽、室内楽と広いレパートリーで、現在 欧では演奏機会の多い現代音楽家の一人だそうです。今回のタイトル曲はその代表で70回以上のコンサート実績がある様ですね。(BISのサイトより)


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A Freak in Burbank
(Västerås Sinfonietta, Simon Crawford-Phillips: cond.)
ソロやデュオ曲から管弦楽まで、そして2000-2018年と言う作曲年台のアルバムです。幅広い楽曲と年代で、楽風変化も感じられるかもしれませんね。もしくは取り留めなくなってしまうか…w

年代順に聴いてみましょう。(No.がCDの並び順です) 年代順に並び替えると "ソロ, デュオ" がやや古い2000年台前半、"管弦楽" が2000年台後半から2019年となっていますね。

管弦楽(1, 3, 6)はサイモン・クロフォード=フィリップス指揮、ヴェステロース・シンフォニエッタ(スウェーデン)です。







2. Dance with the Devil, for piano (2000)
低音鍵盤を激しく叩く切迫感、途中から右手和音と高音アルペジオに。中間部では一転して緩徐に落ち着き、再び烈速パターンに回帰します。コーダもあってpfを唸らせますね。
ちょっと古い調性の"速-遅-速"楽曲です。


5. Frozen Landscape, for cello & piano (2002)
音数の少ない暗いホモフォニーはスロー反復ベース。変化率は低く淡々と流れます。タイトル通りのイメージ曲ですね。


4. Apollonian Dances, for violin & piano (2003)
2パート曲です。I. は音数少なく暗く低音鍵盤を鳴らし、そこに高音鍵盤音と弦がゆっくりキラキラと絡みます。後半のvnソロではダブルストップを効かせますね。
II. では得意の鍵盤を叩き回る激しさにvnが切れ上がるボウイングで絡みます。ここでも対位的なパターンはなくホモフォニーです。


1. A Freak in Burbank, for orchestra (2007)
フィルム・ミュージックですね。音を刻んだドンシャン的な激しさと静寂の対比ですが、上記のソロやデュオのpfのパターンをオケに焼き直したイメージです。


6. Violin Concerto No. 2 'Nocturnal Songs' (2018)
11年を隔てた協奏曲で、vnはイリア・グリンゴルツ(Ilya Gringolts)です。
美しい動機の静パターンは明らかに"夜曲"でしょう。もちろんそこにテンポアップの激しい波が絡むパターンですね。旋律感はいっそう明瞭になって、背景音の反復も強くなった印象です。
唯一の変化点は第二楽章の民族音楽の舞踏曲風パートで、印象的ですね。こう言ったチェンジは必要でしょう。
また、静のソロvnはもっと神経質な細い音色でもいいかもしれません。


3. Burn My Letters - Remembering Clara, for orchestra (2019)
音数の少ない静で入って波の様に強音に。そしてドンシャンの'烈'が登場します。要はこの組合せがA.シュネルツェルと言う事ですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  "BIS"のオフィシャル動画です




クセの強いタイトルとそれを表現する流れです。決して機能和声から逸脱する事は無く、表現パターンも主たる激しさに静のコントラストの一本勝負。

もちろん前衛的なアプローチは皆無で米オケが好みそうな派手な調性音楽ですね。




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イェスパー・ノルディン(Jesper Nordin)の「Emerging from Currents and Waves」


イェスパー・ノルディン
(Jesper Nordin, 1971/7/6 - )
今注目のスウェーデンの現代音楽家ですね。ストックホルム音楽大学でベント・ソアンセンらに習い、仏ではエレクトロニクス必須のIRCAMで、米ではスタンフォード大でブライアン・ファーニーホーに師事しています。

楽風はスウェーデンの民族音楽に電子音響や即興性、そしてロック等を取り入れる多様性の前衛でインスタレーションの方向もみせるそうです。

近年は作品をビッグネームが取り上げている事も注目で、今回[BIS]はエサ=ペッカ・サロネン指揮/スウェーデン放送交響楽団、次回[KAIROS]リリース予定の"Vicinities"は同オケでダニエル・ハーディング指揮です。


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Emerging from Currents and Waves
(Swedish Radio Symphony Orchestra | Esa-Pekka Salonen: cond.)
斬新な技法の現代クラリネット協奏曲です。ライヴ・エレクトロニクスが使われていますが、従来のプログラミング・ソフトではなく、AIを使ったモーション・コントロールの様な処理で、指揮者とソリストの動きに反応します。Gestrument (from ‘gesture’ and ‘instrument’)と呼ばれオリジナルはノルディン自身のツールですね。

クラリネットはマルティン・フレスト(Martin Fröst)、ライヴ・エレクトロニクスはIRCAMの技術スタッフが対応しています。
そして本人制作の映像が使われていてインスタレーションになっています。







Emerging from Currents and Waves (2018)
I. Currents - IIa. Emerging - IIb. Emerging - IIc. Emerging - III. Waves

三部作で、クラリネットが入るのは "パート II. Emerging"(a,b,c) です。
[I. Currents] 静から強への変化、そして暗鬱と激しさの対比、ロングトーンのバックグラウンドと表出する短旋律、空間とクラスター音塊、そんな流れです。中盤では'祈り'を感じる静空間、後半はそこに生命体が現れた様な緊張感を作り出します。

[II. Emerging] 冒頭 明るい森の中の様なサウンド・イメージに変化して変奏曲的なバックグラウンドとソロが幻想的な空間を構成します。clには技巧パートも準備されていて全体は激しいパートとのコントラストです。特殊奏法も使われますが技巧をひけらかす事はありません。

[III. Waves] パートII.の流れを引き継いでアタッカで入ると 直ぐに激しい反復音塊に発展。シャリーノの様な面白いグリッサンドなどの音表現を上手く織り混ぜながらも基本は反復変奏で構成されますね。中後半の怒涛さは凄いです。



協奏曲と言うよりも今の時代の標題音楽と言った風でしょう。音楽で風景やストーリーを作って、映像補填の音楽とは違いますね。
ただ表現的な前衛性は低く、お約束の "心地良い統一主題を排除 | 全体は幽幻で反復変奏 | 静烈のコントラスト付け" が明確な機能和声の音楽です。

このあたりが今の時代のクラシック音楽のメインストリームの一つになるのでしょう。ポリフォニカルで調性逸脱の自由度が見つからないのは少々残念ですが。





3'ほどのEXCERPTで、Baltic Sea Festival 2018 初演です



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ジャンル : 音楽





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