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ネマニャ・ラドゥロヴィチ の チャイコフスキー「ヴァイオリン協奏曲 / ロココの主題による変奏曲」を聴く

来日も含めてさほどの興味はなかったセルビア人ヴァイオリニストのラドゥロヴィチ(Nemanja Radulović)、見た目から派手で当たりの強そうなボウイングかなといったイメージだけでした。
チャイコのvnコンチェルトも特にこれといった演奏が脳裏にあるわけではありませんが、イメージと合わせて初めて聴くならこの辺りでどうでしょう。(メジャーデビューのパガニーニ*は避けましたw)
 *YouTubeで「24のカプリース」#24Quasi PrestoのLiveを観る限りではvnの鳴りも超絶技巧性もクセを感じるアゴーギクも、絶賛とはいかない感がありました

オケはサッシャ・ゲッツェル(Sascha Goetzel)指揮、音楽監督を務めるボルサン・イスタンブール・フィルハモニー管弦楽団(Borusan Istanbul PO)になります。

TCHAIKOVSKY Violin Concerto - Rococo Variations / Nemanja Radulović

ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 作品35:チャイコフスキー
ラドゥロヴィチのvnは予想したよりも繊細な音色で驚きました。細く神経質な音色で、太く豪快に弾き倒す方向ではありませんね。第一楽章カデンツァではやや拍子抜けしたくらいです。第二楽章がまだ合う様な感じですが、クールさが強く情感は低めです。第三楽章でテクと力強さを見せますが、それでも強引さはありません。
この曲の好みからいくと豪快さも叙情も弱く今ひとつです。オケはよく知らないのですが、堂々とした正攻法で悪くありません。

ロココの主題による変奏曲 イ長調 作品33: チャイコフスキー
  (イヴァン・カッサールによるヴィオラ、弦楽アンサンブルとピアノのための編曲)
チェロ曲ですがヴィオラ編曲版をラドゥロヴィチがvaで弾きます。まぁこの曲は作曲出版時からチェリストのフィッツェンハーゲンが勝手な書き換えを行なって問題になっていますからね。
 むしろ興奮のないメロウなこの曲の方がvaの低めの音色とマッチしていいかもしれません。ラスト第7変奏を除き曲も演奏も退屈ですがw
ちなみに第7変奏が本CDのベストトラックですね。



ミキシングでvnを少し強めにしても良かったのでは…などと邪念してしまうほど、予想に反して繊細で冷徹な音色のネマニャ・ラドゥロヴィチです。もっとヴィジュアルに合わせた派手で強引さを想像・期待していましたが本CDではクールな技巧派に思えました。
実際には生で聴かなければわかりませんが、ここでは悪そうな気配を漂わせたお利口さんでしょうか。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ライヴ・フロム・ブエノスアイレス / M.アルゲリッチ & D.バレンボイム を聴く

久しぶりにアルゲリッチを聴いてみました。例年楽しみにしていた「Live from Lugano」も毎年リリースされて楽しめましたが、マンネリ化は避けられず今年は購入を見合わせました。2016年のラスト公演でしたが。

バレンボイムもさほど興味があるとは言えませんが、この二人のライヴが2014年4月と8月に行われて話題になったのは知っていました。何を思ったか2015年7月の第三弾を購入していたので、封を切って気分転換に聴いてみようと思いました。
昔の様にアルゲリッチがかつて演奏した事がある曲か調べたり、聴き比べたりする事もありません。

今更紹介も不要なアルゼンチン生まれの巨頭二人のデュオ、母国の首都ブエノスアイレスでのライブですね。

Live from Buenos Aires / Martha Argerich & Daniel Barenboim

シューマンカノン形式による6つの小品 (作品56) ドビュッシー編
 シューマンらしい優しさと美しさ。ただただソフトに美しく…そういう曲ですから、それ以上でも以下でもありません。後半曲の切れ味のあるパートで魅せてくれますが、突出した素晴らしさという事でもない様な。

ドビュッシー白と黒で
 ドビュッシーの和声を生かし緩急生かしのカラフルな色合いを見せるところは流石ですね。アゴーギクとディナーミクを振るのも手の内です。ドビュッシーらしい美しさと、らしからぬ強鍵パートの組み合わせはまさにアルゲリッチ!!
ブラインドで聴いても強鍵パートは"アルゲリッチかな…"なんて言ってしまうかもしれません。

バルトーク2台のピアノと打楽器のためのソナタ (Sz.110)
 一番期待値の高かったバルトークですね。バルトークらしい陰鬱さにコントラストを付ける様なディナーミク。パーカッションも加えてリズムを自由に振るアゴーギク。スリルも迫力も情熱もあり素晴らしい演奏なのですが、何かもう一つ欲しい様な。(これ以上何が欲しい?!! って言われそうですね)
好みから行くと、暗く澱んだ陰鬱さも聴かせて欲しい曲です。



アルゲリッチといえばデュオでの丁々発止のやり取り、若手アンサンブルとの煽る様な攻撃性、等々パートナーを叱咤し演奏の完成度を高める印象がありますね。
でもここでも手慣れた見事さは味わえましたが、それ以上のワクワク感には出会えませんでした。もちろんアルゲリッチと知らなければ、絶対好印象に違いありません。

お馴染みの大好きなお店の料理をいただいた後、"やっぱりこの味だね" っていう感じです。それ以外のコメントは帰り道にありません。






テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

R.シュトラウスの「英雄の生涯」を カラヤンBPOの3CD + シュトラウス本人指揮で聴き比べ

リヒャルト・シュトラウス(Richard Georg Strauss, 1864/6/11 - 1949/9/8) の代表作の一つで最後の交響詩『英雄の生涯, Ein Heldenleben (作品40)』ですね。

次週(2017年8月24日) ファビオ・ルイージ/読響のコンサートがあるので予習です。
➡︎[後日記] コンサートのインプレです

R.シュトラウスといえば、やっぱりカラヤン(Herbert von Karajan, 1908/4/5 - 1989/7/16)とベルリンフィル(BPO)。3CD出していますので聴き比べしましょう。そしてR.シュトラウス本人の指揮も残っていますので参考に。全て第2稿を採用しているのでラストは盛り上げです。(ルイージは第1稿を採用)

この曲は途切れ目がないのでポイントは以下ですね。
[1. 英雄] ➡︎ 木管楽器で [2. 英雄の敵] ➡︎ ヴァイオリン・ソロで [3. 英雄の伴侶] ➡︎ トランペットのファンファーレで [4. 英雄の戦場] ➡︎ 4.の英雄の凱旋の後が [5. 英雄の業績] ➡︎ 5.の最後一呼吸の"間"、その後全休止で [6. 英雄の隠遁と完成]



Karajan BPO / 1959
[DG]
「1.英雄」は見通しの良い演奏、vnのBPOコンマスのミシェル・シュヴァルベ(Michel Schwalbé)が感情移入と切れ味を見せる「3.英雄の伴侶」は、オケの英雄との会話が素晴らしいですね。「4.英雄の戦場」は抑え気味、「5.英雄の業績」ではR.シュトラウス自身の曲の引用をスケール大きく奏でます。「6.英雄の隠遁と完成」は叙情性が高い演奏です。
・・・・・
切れ味と表情豊かな流れがスマートな「英雄の生涯」で好きな演奏です。古い録音ですがリマスターで音質が良くなったのは嬉しいですね。
iTunesに入れてあるのはこの演奏ですから一番馴染みがあります。




Karajan BPO / 1974
[EMI]
「1.英雄」で音に華やかさが増しました。抑揚は抑え気味になりましたが重厚です。「2.英雄の敵」では木管のヒソヒソ話の様な音色がよりそれらしく、流れは陰影が強くなっています。「3.英雄の伴侶」のvnは同じくシュヴァルベですが控え目軽めで、オケの英雄もややフラットに感じます。(録音上の問題?) 「4.英雄の戦場」はアゴーギクを強くしてより切れ味と激しさを追求、その後の2パートも彫りの深さが増しました。
・・・・・
華やかで重厚に、「4.英雄の戦場」も激情的になってカラヤンらしい展開になりました。ですが「3.英雄の伴侶」のフラットさは残念、「6.英雄の隠遁と完成」が憂いから見晴らし良くなったのは迷う処ですね。



Karajan BPO / 1985
[DG]
「1.英雄」は より華やかで重厚に、「2.英雄の敵」では敵を密度高く、「3.英雄の伴侶」のヴァイオリンはBPOコンマスですがレオン・シュピーラー(Leon Spierer)になり、エモーショナルさを優先してオケ英雄とのバランスが良いですね。「4.英雄の戦場」「5.英雄の業績」も聴きごたえがあり、「6.英雄の隠遁と完成」では英雄の心を穏やかに描きます。
・・・・・
カラヤンの「英雄の生涯」完成形でしょうね。華やかさ・重厚・見通しの良さ、隙のない完成度にカラヤンらしさを感じるのは先入観?!



R.Strauss Bayerisches Staatsorchester / 1941
[DG]
R.シュトラウスが音楽監督(1894 - 1896)を務めたバイエルン国立管弦楽団との演奏です。このBox(Strauss Conducts Strauss, 7CDset)ですとドン・ファン、ドン・キホーテの他、ベートーベンの第5番や第7番・等で指揮者としても大活躍だったシュトラウスが楽しめますね。

「1.英雄」はモノラルながら出し入れの良い雄大さを感じ、「2.英雄の敵」は敵と英雄の不安さの対比を明確に感じます。「3.英雄の伴侶」のvnはプラチドゥス・モラーシェ(Placidus Morasch)で表現良くオケ英雄と絡みます。「4.英雄の戦場」「5.英雄の業績」録音音域の問題で迫力に欠けるの仕方ありませんが、キレのある演奏、一番気になった「6.英雄の隠遁と完成」の英雄の表現は "翳りはなく最後に静かな死を" の感じでした。
・・・・・
的確な表現と演奏のマッチングと流れが良く、聴き易い演奏です。もったいぶったタクトを剥がしてコアにした感じでしょう。なるほど、これが本人の「英雄の生涯」か!! といった感じです。
1941年録音としては音は良く、今から見れば当時の速さが再認識できる事ですね。(全てにおいて現在はスロー重厚化してのが事実ですね)






①オススメなら、最後のカラヤンBPO(1985年 DG)
②個人的好みは、最初のカラヤンBPO(1959年 DG)
一度は絶対聴いておきたい、シュトラウス本人指揮の演奏
という事になりますね。
^^

個人的には「3.英雄の伴侶」でのvnとオケの掛け合い、「6.英雄の隠遁と完成」の英雄の表現がポイントなのですが、さてルイージ/読響はどう楽しませてくれるでしょうか。




テーマ : クラシック
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NHKプレミアムシアターで観る ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサート2017 の素晴らしさ

前半のウィーン・フィル シェーンブルン夏の夜のコンサート2017 は今ひとつでしたが、ベルリン・フィル ワルトビューネ・コンサートは楽しめました。

メインにワーグナーの指輪のダイジェストを持ってきたのですが、何と言ってもアンコールの3曲が白眉でしたね。
トリスタンとイゾルデの「イゾルデの愛の死」はゾクゾクするものを感じました。ローエングリンの「第三幕前奏曲」も尻切れとんぼではありましたが、切れ味鋭い演奏でした。
そして最後のお約束、ワルトビューネはこれと決まってますね、パウル・リンケ作曲の「ベルリンの風」では指揮のG.ドゥダメルが、この日のコンマス ダニエル・シュタブラーヴァに変わってvnを弾きました。同じくBPOの第一コンマスを務める樫本大進ともこの笑顔。ボウイングもしっかりと合ってましたね。

WaldbühneBerlin2017

最高の盛り上がりで楽しめました。CD・映像化されたら絶対欲しいです。
そうそう、首席ヴィオラの清水直子さんもしっかり映ってましたね。


テーマ : クラシック
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先月発売の アムラン と ブニアティシヴィリ で聴き比べるラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番

ここ近々で発売されたセルゲイ・ラフマニノフ(Sergei Rachmaninov, 1873/4/1 - 1943/3/28)のピアノ協奏曲第三番、注目の二枚を聴き比べてみようと思います。
言わずと知れた人気の超絶技巧ピアノ・コンチェルトですのでラフマニノフと曲の紹介は割愛ですね。
それにしてもジャケットもモノクロでタイトルが赤と似ていますよね。

HamelinBuniatishvili.jpg



かつてハマっていたアムランのCDは10枚以上インプレ済みだと思いますが、近年は来日がありませんね。
マルク=アンドレ・アムラン(Marc-André Hamelin)と書きますが、発音はマルカンドレ・アムラン。そんな事は音楽に関係無いと思いますが、こだわる人もいて日本語化は面倒です。

Medtner Piano Concerto No.2, Rachmaninov Piano Concerto No.3 / Marc-Andre Hamelin

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
 全体スローです。第一楽章の例のカデンツァ(長くなるのでオリジナルとオッシアの件は割愛w)は切れ味の効いた、これ見よがしの無いシャープさです。アムランらしいですね。第二楽章のエピソードなどもピアノの歯切れの良さは素晴らしいですね。通してピアノパートは派手さを抑えたアムラン・パターン、オケも控えめで落ち着いたコンビネーションです。pfはたとえ強音パートでも興奮より雄大さ。ユロフスキ指揮/ロンドンフィルも寄り添うように必要以上の盛上げを回避しています。全てで音の粒立ちの良さはアムランらしい さりげない超絶テク、まさにクール!
コンサートで熱狂を誘う様なあざとい演奏とは一線を画した、アムランのコンチェルトですね。

□ メトネル・ピアノ協奏曲第2番
 カップリングはメトネル(Nikolai Karlovich Medtner, 1880/1/5 - 1951/11/13)です。と言ってもアムランとイリーナ・メジューエワくらいしか浮かびません。アムランのアルバムで初めて聴いたのが正直なところです。ラフマニノフの7歳上、印象はロシア的ロマン派ですね。
まさにそんな曲ですが、ここでのアムランはラフマニノフよりも饒舌です。表情を強く出す様なディナーミクと見合ったpfの力を見せてくれますね。特別面白い曲でも無いのですが、打鍵の切れ味の良いアムランのpfが最大の魅力です。



見た目の肉感的(失礼!)な様相とは違うエモーショナルさが好きなピアニスト、ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili)です。この二曲は不安感でした。大向こうを唸らせる演奏が今のブニアティシヴィリの個性に合ってとは思えない気がするからですね、個人的にですが。

Rachmaninoff Piano Concertos Nos 2&3 / Khatia Buniatishvili

ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第3番
 速めでアゴーギクを振ります。第一楽章のカデンツァは濃い感じがブニアティシヴィリらしく無い気がします。速めな分、pfは技巧を見せつけたくなる展開ですがそこはブニアティシヴィリ、明るいパートやスローなパートでの情感あるエモーショナルさを聴かせます。この曲の持つ美しさを最大限表すブニアティシヴィリの良さですね。ただ、オケ(P.ヤルヴィ/チェコフィル)はもったいぶった陰影を付け過ぎのきらいが感じられます。強音パートでのpfのブニアティシヴィリも今ひとつ、そこでのネガティブ感が強いですね。プロデューサー、グロスの責任?w

□ ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番
 カップリングされたのは第2番、ここでも同じ事が感じられます。確かにこの二曲は重厚壮大さでコンサートでは大受けとなるわけですが、ブニアティシヴィリの良さを生かすのが本当にその王道でP.ヤルヴィ/チェコフィルの様なセットなのかなぁ、って思います。ブニアティシヴィリの感性を生かした解釈で新しいラフマニノフのピアノ協奏曲を作っても良かったのでは。今更リヒテルも無いでしょうし、アルゲリッチから脱却してもいいと思います。その手はラン・ランあたりに任せて、今の時代の新しい演奏が聴きたいですね。

このブログのブニアティシヴィリ関連投稿記事



クールなヴィルトゥオーゾ、アムラン。際立つ超絶技巧を軽々と難なく見せつけるスタイルはやっぱり素晴らしく、買って損なし!!です。メトネルの情熱ある演奏も良いですね。久しぶりのアムランを楽しめました。
 一方ブニアティシヴィリは彼女らしい情感の高さを生かすも、重厚な興奮を求めたくなるパートでその良さが生かせず。もし、そのパートを音楽監督やプロデューサーが新しいオリジナリティを考えていたらもっと違った世界があったかもしれません。良い悪いはわかりませんが、期待したブニアティシヴィリではありませんでした。



テーマ : クラシック
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シモン・ヴァン・ホーレン(Simon Van Holen) の Pro Contra! を聴く

ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団(RCO)のコントラファゴット奏者シモン・ヴァン・ホーレン(Simon Van Holen, 1985 - )のアルバムですね。
なぜか管楽器のソロ、もしくは主役のアルバムは衝動買いの対象ですw 扱われている楽曲が特に現代音楽ではなくとも独特な世界が楽しめますよね。

ソロ、チェロとのDuo、ヴィオラx2とチェロとの四重奏、弦楽五重奏との共演と演奏形式が多彩です。また楽曲も古典から近代、現代に及びます。
バスーン曲のヴァリエーションを散りばめたアルバムで、バスーン以外はRCOのメンバーになります。

Pro Contra!: Works for Bassoon & Contrabassoon / Simon Van Holen

Divertissement for bassoon and string quintet (1942年)
フランスの新古典主義音楽家ジャン・フランセ(Jean Françaix, 1912/5/23 - 1997/9/25)の若き日の作品です。
四楽章で、軽妙洒脱なフランス曲です。弦楽とファゴットに違和感は全くなく、ちょっと洒落たBGMといった感じですね。作風から行けば後期ロマン派の流れも感じます。曲としたらこれが一番です。

Baßnachtigall for contrabassoon solo op.38 (1922年)
ナチスによる退廃音楽として知られる?ダダイズムのチェコ人音楽家エルヴィン・シュルホフ(Erwin Schulhoff, 1894/6/8 - 1942/8/18)の作品ですね。
コントラバスーンのソロです。陰鬱な気配が楽器の音色とあっています。個人的には第二楽章の技巧系がいい感じですね。でも、もっと尖っていてもいい気がします。
 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ライヴ演奏です。


Sonata for bassoon and cello KV292 (1775年)
KVを見れば一目でわかるモーツァルト(Wolfgang Amadeus Mozart, 1756/1/27 - 1791/12/5)の作品ですね。曲もまんま宮廷音楽で、ヴァイオリンに変更してチェロとのデュオ曲としても印象は同じでしょう。どんな楽器でも良い感じで、バスーンである必要性は??

Quartet for bassoon, 2 violas and cello op.46 no.1 (1804年)
ボヘミア生まれの古典派フランツ・クロンマー(Franz Krommer, 1759/11/27/ - 1831/1/8)の作品です。
モーツァルトと同じです。楽器構成が変わっただけですね。これは思い切り退屈ですw

Concertino for contrabassoon and string quintet (2014年)
オランダ・アムステルダム生まれのバスーンニスト、現代音楽家のケース・オルトゥイス(Kees Olthuis, 1940/11/28 - )の作品になります。1970年から2005年までRCOのバスーンニストでした。
現代音楽とはいえ20'弱の機能和声の曲になります。曲調はミステリー的な映画音楽風というと分かりやすいでしょうか。要は表情を変化させますね。でもその色合いを演出しているのは弦楽団で、コントラバスーンではありませんが。



手広いパターンで曲を構成していますが、バスーン(ファゴット)ならではの鳴りや超絶テクを味わえません。あえて言うならシュルホフのソロ曲ですが、もっと特殊奏法も絡めてこの楽器の可能性を見たかった気がします。より先鋭な現代曲を入れた方が面白かったのでは。
全体通して退屈さがぬぐえません、残念




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

パトリシア・コパチンスカヤ の Death & the Maiden SCHUBERT を聴く

何と言っても前回の「TAKE TWO」が楽しかったコパチンスカヤ(Patricia Kopatchinskaja, b. 1977 , vn)、新譜は弾き振りのシューベルトをメインに持ってきましたね。そして全曲"死"をテーマにした曲構成です。

メインの「死と乙女 (Death & the Maiden)」四つ楽章の間に別の曲を挟むというパターン。これは以前紹介したサルヴァトーレ・シャリーノの「Infinito Nero / Le Voci Sottovetro 」と同じです。その中にカルロ・ジェズアルド(Carlo Gesualdo, 1561-1613)が入っているのも同じですね。

Death & the Maiden / Patricia Kopatchinskaja

やっぱりシューベルトは聴いて楽しさが感じられませんでした。それがコパチンスカヤの弾き振りで個性的であってもですね。感性不足の駄耳では太刀打ちできません。
楽曲構成の間に色々とはさみ込むアイディアも、挟まれる曲はさらに古いルネッサンス期のネルミガー、ダウランド、ジェズアルドでペタッとした感じです。
ちなみにジェズアルドは殺人者です。ただ、その6.Madrigal: ‘Moro, Lasso, Al Mio Duolo’ はジェズアルドらしい不思議な調性感があって面白いですが。
このアルバムの個人的なメインはもちろんクルターク(Gyorgy Kurtag, 1926/2/19 - )です。(コンサートでは取り上げる機会があるようです)
8.Ligatura-Message To Frances-Maria は、例によって静的な音から幽幻な音色が暗く演奏されて良い流れです。9.'Ruhelos’ (‘Restless’) From Kafka Fragments は26"しかない「カフカ断章」ですが、シュプレッヒゲザングとギロギロのボウイングw 瞬間芸みたいでコパチンスカヤにぴったり、得意のパターン?!
ラストの「死と乙女 第四楽章」の主題はベートーヴェンのクロイツェルに似てるんですね。疎いので知りませんでした。

試しにYouTubeでPV?を観てみる?



このアルバムちょっと残念でした。コパチンスカヤの奔放性を生かすなら現代曲方向が面白いと思いますが、それはこっちの勝手な思いということでしょう。(汗)


テーマ : クラシック
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メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲 5CDs聴き比べ:やっぱりハイフェッツ?!

フェリックス・メンデルスゾーン(Felix Mendelssohn, 1809/2/3 - 1847/11/4) のヴァイオリン協奏曲はもう一曲存在していますが、一般的にこの「ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 Op.64」(1844年)を指すことはお約束ですね。作曲者・題名を知らずとも誰でも一度は聴いたことがある超有名曲ですね。
今回は週末25(金)のD.ハーディング/パリ管の予習で聴き比べしてみました。



Anne Sophie Mutter(vn) / Karajan(cond.), BPO
 例によって聴く前から想像のできるムター/カラヤンBPOで、ともにヴィルトゥオーゾの勿体ぶった演奏ですね。好みははっきり分かれるでしょうか。濃厚なポタージュです。
 1981年アンネ=ゾフィ・ムター10代の録音です。
第一楽章第一主題は表情豊かなvn、そして重厚派手なBPOです。第二主題も朗々とした音色を響かせます。カデンツァは揺さぶりが強く聴かせに入りますね。コーダは豪華です。
第二楽章は一転緩さを強調する様にオケはまろやかさを見せ、vnも穏やかさと繊細さを鳴らします。第三楽章第一主題・第二主題ともに表情を軽妙さに変えて軽やかに走ります。ラストは当然の豪華さです。
スローな展開、見事な構成と表現はこのセットの真骨頂でしょう。



Anne Sophie Mutter(vn) / Kurt Masur(cond.), Gewandhausorchester Leipzig
 細く切れる様な音色のvn、でしゃばらないオケです。好みの神経質な音色ですが全体としては印象は薄いかもしれません。でもこちらのムターの方がいい感じ。選りすぐられたコンソメです。
 ムターのもう一枚、カラヤンBPO録音の27年後の2008年作品。
第一楽章第一主題を細く切れ上がるように奏で、オケは重厚に対応します。テクニックを見せた後の第二主題も神経質な音色で悪くありません。カデンツァは冷静、コーダはキレキレです。
第二楽章の主題は緩徐な美しい音色ですが、細くシャープな切れ味は十分。第三楽章主題は軽快に飛ばして第二主題も軽やかですね。
ムターのvnはカミソリの刃のような切れ味を感じました。BPOとの録音より全体的に速めです。現代音楽も得意とするムターも今や53歳、昨年見た時はあまりにガリガリで驚きましたが…



Hilary Hahn(vn) / Hugh Wolff(cond.), Oslo Philharmonic Orchestra
 個性は薄いですが、流麗な音色を聴かせるハーンとオケのバランスが良いですね。こう言うクドイ曲には自然体の演奏がしっくりくる気がします。ちょっと淡白かもしれませんが…
 鳴りの良いハーンの第一主題とバランスの良いオケから、流れるようなvnテクニックを見せます。カデンツァでも、これ見よがしではなく落ち着いた演奏ですね。シャープなコーダです。
第二楽章主題は優美さを見せる音色ですがクールです。ただ流れがフラットで飽きますが… 第三楽章の第一主題はハイペースで切れ味があります。スピード感を持ったまま第二主題も進みハーンのvnの見せ場的です。



Chad Hoopes(vn) / Kristjan Järvi(cond.), MDR Leipzig Radio Symphony Orchestra
 オケの個性が強くvnの印象が残りません。それがクリスチャン・ヤルヴィなのかMDRなのかはわかりませんが…
 以前カップリングのJohn Adamsで紹介した若手のチャド・フープスです。
第一楽章第一主題はオケの迫力が強くvnが細く感じてしまいます。美しい音色ですが、テクニックパートでも際立つものはなく淡々と弾きます。第二主題も悪くないのですが、オケが勝ち気味。カデンツァは可も無し不可も無し的でしょうか。コーダは締まっています。
第二楽章はちょっとモッサリ感があります。緩徐楽章ですが引っかかるような落ち着かない感じは、オケの揺さぶりでしょう。何れにしてもこの楽章は難しい感じです。第三楽章、第一主題は流麗さよりトゲトゲしく、第二主題でもクセを感じます。その辺がフープスの個性でしょうか。でもラストはスピードに乗って決めています。



Jascha Heifetz(vn) / Charles Munch(cond.), Boston Symphony Orchestra
 ダイナミックな中に心地よさを感じる流れの良さが、このセットの一番の魅力でしょうか。安心して楽しめますね。なんでもスロー重厚に演奏する傾向の近年に警鐘を鳴らしているかの様です。
 何回も再発が繰り返される盤、ヤッシャ・ハイフェッツ/ミュンシュBSOです。
第一楽章第一主題、速いのですが切れ味よく揺さぶるvnとオケのバランスは重厚な中に良い流れを感じます。この時点で他のアルバムより良いと思ってしまうくらいです。ハイフェッツの音色は安心感があります。第二主題も美しい音色が優美です。カデンツァはやや平凡かな。
第二楽章主題は緩徐楽章らしさを見せる上品な優美さです。ペースもよく、飽きさせませんね。第三楽章の第一主題はオケと足並み揃えた軽快さが生きています。古臭さを感じなくもないですが、最後まで気持ち良く聴けますね。




心地よい安心感のハイフェッツが一番、切れ味のムター/ゲヴァントハウスが次といった好みの方向だと思います。今更ハイフェッツというのも気が引けますがw
若手ヴァイオリニストで新鮮な演奏を見つけて楽しめたら嬉しいと思います。ご存知の方は教えていただけると嬉しいです。



テーマ : クラシック
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ルノー・カピュソンとブニアティシヴィリで聴く Franck/Grieg/Dvorak ヴァイオリン・ソナタ

このところ現代音楽ではないCDばかり、いい加減軌道修正が必要ですねw
とりあえずもう一枚普通のクラシックです。

先日、アリス=紗良・オットのWonderlandをアップした際にブニアティシヴィリもグリーグをやっていた記憶があったので購入してみました。
ピアノ曲ではなく、ルノー・カピュソン(Renaud Capuçon, b.1976)のヴァイオリン・ソナタ集のパートナーにカティア・ブニアティシヴィリ(Khatia Buniatishvili, b.1987)が入ったものになります。
この二人はアルゲリッチのルガーノの印象が強いですが、どうでしょうか。カプソンはルガーノの以外での興味は薄いので、CDはこれが初購入。最後になるかもw

Franck, Grieg, Dvorak ViolinConcert / Capucon and Buniatishvili

フランク:ヴァイオリン・ソナタ イ長調
 古いこの曲が出てくると困りますね。鳴りの良いデュメイ/ピリスや、アルゲリッチも録音を残しています。今回は聴き比べなしです。
 美しさと激しさが交錯する曲ですが、カピュソンのvn音色は芳醇な甘さはありません。切れ上がるパートでも細い刃物の様な感もありません。ブニアティシヴィリのpfも曲の持つ力に負けて彼女の持つエモーショナルさが弱い感じです。またアルゲリッチの様にvnを鼓舞する様なリードも当然ですがありません。ハードさが先行する様な演奏です。

グリーグ:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ハ短調 Op.45
 ここでも同じ流れを感じますね。もう一つvnとpfがしっくりとマッチして絡む様な展開が欲しいと思うのは欲張りでしょうか。ソフトさが弱く、激情パートは激しいだけ…的な。

ドヴォルザーク:4つのロマンティックな小品 Op.75
 緩やかな第一楽章の音色が硬く聴こえるvnと、無表情に聴こえるpf。やはり全体通して、聴く側の期待イメージとの違いが大きく、良さを受け入れられません。第二楽章の激しさもvnの演奏が強いだけに聴こえてしまいます。第四楽章の静的パートには透明感も欲しいところです。

・・・・・

以前聴いたカピュソンのvnはもう少し音色と切れ味が好みだった気がします。またブニアティシヴィリもディナーミクは振っていますが得意とするエモーショナルさに欠ける気がします。
硬軟交えた二人の演奏を期待していましたが、柔らかさ円やかさ透明感に欠けたトゲトゲしい感じです。コンサートだったらウケるパターンかもしれませんが。

一番大きいのは単に個人の好みか、はたまた駄耳の証明か…
m(_ _)m


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ジャンル : 音楽

アリス=紗良・オット のワンダーランドWonderland を聴く

アリス=紗良・オット(Alice Sara Ott, 1988/8/1 - )の新譜ですね。前作Picturesから久しぶりのアルバムです。
オットはブニアティシヴィリと並んで、体格も含めて異なる個性で、メジャーでは好きな若手女性ピアニストです。ライヴ向きのオットと小コンサートやコンセプト・アルバム向きのブニアティシヴィリの違いは、同じムソルグスキーの展覧会の絵で聴き比べてしてあります。
Pictures / Alice Sara Ott と Kaleidoscope / Khatia Buniatishvili
コンサートでも対照的ですね。

今回はノルウェーのエドヴァルド・グリーグ(Edvard Hagerup Grieg, 1843/6/15 - 1907/9/4)で「ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16」と「抒情小曲集 (一部ペール・ギュント組曲含む)」からになりますね。

Wonderland / Alice Sara Ott

 得意とするピアノ協奏曲をライヴでもってきていますね。皆んな良く知るグリークの「ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16」です。ややディナーミクとアゴーギクを振りながらのオケをバックに強音パートでは切れ味のある迫力を聴かせてくれます。でも、弱音のエモーショナルなパートはやはりいまひとつの感を拭えません。実はエサ=ペッカ・サロネン指揮バイエルン放送響の演奏が、スケールを感じさせる好演ですね。
 「叙情小曲集」ですが、個人的にはもっと舐めるような緩やかなタッチが好みです。オットの硬質な響きは透明感よりも硬さを感じてしまいます。蝶々(Op.43-1)やアルバムの綴り(Op.12-7)の様な細やかなリズムでもそれを感じます。そこがオットのいいところ、と言う事なのかもしれませんが…
従って有名な ソルヴェイグの歌(ペール・ギュント 第2組曲 Op.55 第4曲)では、好みはもっと細いエモーショナルさですね。
得意とするのは 小人の行進(Op.54-3)や 山の魔王の宮殿にて(ペール・ギュント 第1組曲 Op.46 第4曲)、トロルドハウゲンの婚礼の日(Op.65-6) の歯切れとリズム感のある曲でしょう。

あとラストの国内盤限定の 小妖精(Op.71-3)は、無い方がアルバムとしての締まりは良かったのでは。タイトルはちょっとあざといかなw

・・・・・

聴く前から先入観が介在してしまいますが、協奏曲ではやはり第三楽章のようなメリハリのあるパートの方がいいですね。
「叙情小曲集」はPicturesで感じたのと同じように、好きなオットのパターンは明確…と言った感じになりました。

今月来月の来日コンサートは行きませんが、演目のリスト/ピアノ・ソナタは気になるところです。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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