オランダ国立歌劇場公演 2017 オペラ「サロメ」を NHKプレミアムシアターで観る

リヒャルト・シュトラウスのオペラ、全一幕(4場)の「サロメ (Salome Op.54)」です。交響詩を得意としたR.シュトラウスが最後に「英雄の生涯」を書き上げた後、初めに評判になったオペラですね。この後、「エレクトラ Op.58」「ばらの騎士 Op.59」「ナクソス島のアリアドネ Op.60」とヒット作を飛ばします。

このエログロ風の作品をトネールフループ・アムステルダム(劇団)芸術監督のイヴォ・ヴァン・ホーヴェ*による新演出でどうなるのかが個人的な楽しみです。
*本年11月に「オセロー」の東京公演を行いますね。

RichardStrauss-Salome-DutchNationalOpera2017.jpg


演出
 I.V.ホーヴェは2012年にリヨンで大野和士さんの元、マクベスも演出してします。ここでも現代風のコスメティックに誇張された表現が生きています。ヤン・ファンデンハウエのドラマトゥルグも合っていましたね。ラストは生首のはずのヨカナーンが血みどろで現れてサロメが絡むのはまさにグロテスク。

舞台・衣装
 舞台はシンプルで黒、暗くスポットライトで浮かび上がる設定です。衣装は当然現代に置き換えられています。近現代風といった感じですが。

配役
 タイトルロールのサロメ役に尽きるオペラですから、マリン・ビストレムですね。素直な声はもっと狂気を感じたかった気もしますが、演技と表情は素晴らしく楽しませてくれました。"7つのヴェールの踊り"もビストレム本人が演じました。
ヨカナーンのニキーチンは声も体格も大柄すぎですw、だいたい肌も白くないし全身刺青で髪も黒くないですから。

音楽
 ダニエレ・ガッティにしては揺さぶりが弱かった感じです。このオペラには彼らしい起伏があっても良かったと思います。



全体としては今の時代の先鋭な"サロメ"が楽しめて素晴らしかったです。M.ビストレムもエロティックでグロテスクさを魅せてくれました。
一に演出、二にM.ビストレムでしたね。

<出 演>
 ヘロデ(ユダヤの領主): ランス・ライアン [Lance Ryan]
 ヘロディアス(領主の妻): ドリス・ゾッフェル [Doris Soffel]
 サロメ(ヘロディアスの娘): マリン・ビストレム [Malin Byström]
 ヨカナーン(予言者): エフゲニー・ニキーチン [Evgeny Nikitin]

<管弦楽> ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団
<指 揮> ダニエレ・ガッティ [Daniele Gatti]
<演 出> イヴォ・ヴァン・ホーヴェ [Ivo van Hove]

収録:2017年6月12・27日 ミュージックシアター(アムステルダム)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バイロイト音楽祭2017 ワーグナーの楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」を NHKプレミアムシアター で観る

今年のバイロイト音楽祭の初日を飾った『ニュルンベルクのマイスタージンガー, Die Meistersinger von Nürnberg』ですね。新演出となり、前衛でならすカタリーナ・ワーグナー(R.ワグナーの孫で音楽祭総監督ですね)からバリー・コスキーの演出になりました。

BayreutherFestspiele2017-DieMeistersingerVonNürnberg

演出
ユダヤ系演出家B.コスキーが持ち込んだのは二つ。①ワーグナーの反ユダヤ主義と②ワーグナー家族・知人関係を配役に当てはめています。そこにはワーグナーやリスト(ワーグナーの妻であるコジマの父です)達が現れます。デフォルメされた張りぼて頭や大風船のワグナーも現れ、その頭にはユダヤの帽子が被されています。そんなネガティヴ・テーマを自虐的に登場させる演出はバイロイトならでは?!
ラストはザックスのドイツ芸術を讃える歌の後、前奏曲をザックス演じるワーグナーが舞台上のダミーオケを指揮をして終わります。

舞台衣装
前奏曲でピアノから何人ものワーグナーが出てきます。第一幕はそのままワーグナー家「ヴァーンフリート荘, Villa Wahnfried」で聖カタリーナ教会ではありません。第二幕は草原(背景は第三幕)、第三幕は1945年のWWIIのニュルベルク裁判法廷で、戦勝国の国旗が見えます。
衣装はアヴァンギャルドさはなく、マイスタージンガーの時代背景的?です。

配役
それぞれがワーグナーと、取り巻く人物になぞらられています。(下記<出演>を参考下さい)
そっくりさんショーを除けば、まずは同じみヘルデンテノールのフォークト演じるヴァルターですよね。その伸び伸びとした軽やかなテノールの第三幕第五場「朝はバラ色に輝いて」は感動的です。
光ったのはポーグナー役グロイスベックと役得ザックスのフォレのバス-バリトンで、演技も合わせて楽しさいっぱいでした。ほぼ主役のミヒャエル・フォレは楽しませてくれましたね。
それにしてもリスト役のポーグナーを演じる、グロイスベックはリスト(の写真)そっくりw

音楽
P.ジョルダンの指揮はかなり抑え目に感じてしまいましたが、いかがでしょう。



全体としては、リストやワーグナーそっくりさん等々に面白さはあったものの、この楽劇に感じる4時間をゆうに超える長さは払拭できませんでした。

問題の香りがするドイツ・芸術を讃えるザックスを最後に浮き立たせる様に反ユダヤ舞台展開をしたり、エヴァが愛した2人(ザックスとヴァルター)を共にワグナーにしたりと刺激のある演出ではありました。もっと視覚的にもアヴァンギャルドさを期待してしまいますね、バイロイトですからw

ワグナー役のザックスが、憎まれ役ベックメッサーのユダヤ人指揮者レヴィをばかにした態度をとったり、本来の喜劇的演技はそのまま生かされて楽しめました。

ネットでの現地の印象、音楽と政治的背景の関連付けについての反応は様々な様です。




<出演>
ハンス・ザックス(靴屋):ミヒャエル・フォレ [Michael Volle]
 → 老ワーグナー
ファイト・ポーグナー(金細工師):ギュンター・グロイスベック [Günther Groissböck]
 → リスト
ジクストゥス・ベックメッサー(市役所の書記):ヨハネス・マルティン・クレンツレ [Johannes Martin Kränzle]
 → へルマン・レヴィ (指揮者Hermann Levi, 1882年パルジファル初演を振った)
  実はクレンツレもレーヴィ(の写真)にそっくり!!
ヴァルター・フォン・シュトルツィング(若い騎士):クラウス・フロリアン・フォークト [Klaus Florian Vogt]
 → 若きワーグナー
ダーヴィット(ザックスの従弟):ダニエル・ベーレ [Daniel Behle]
 → 前奏で現れたワーグナーの一人
エヴァ(ポーグナーの娘):アンネ・シュヴァーネヴィルムス [Anne Schwanewilms]
 → コジマ (ワグナーの奥さんで、リストの娘です)
マグダレーネ(エヴァの乳母):ヴィープケ・レームクール [Wiebke Lehmkuhl]
 → ポーグナー家の女中

<合 唱> バイロイト祝祭合唱団
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮> フィリップ・ジョルダン [Philippe Jordan]
<演 出> バリー・コスキー [Barrie Kosky]

収録:2017年7月25日 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)

*例えば「barrie kosky Die Meistersinger」等で検索すると情報が色々出てきますね。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク復活祭音楽祭2017 楽劇「ワルキューレ」を NHKプレミアムシアターで観る

7月の「ザルツブルク音楽祭」より前、4月に行われる「ザルツブルクイースター音楽祭 (Die Salzburger Osterfestspiele)」は、1967年にカラヤン(Herbert von Karajan, 1908/4/5 - 1989/7/16) によって設立され50周年を迎えましたね。
今回の「ワルキューレ (Die Walküre)」は、カラヤンが自ら演出も行った そのザルツブルク復活祭(イースター)音楽祭1967年公演の再演出ですね。

今更のワーグナーの"指輪"ワルキューレに関しては案内は不要でしょうね。4時間近くかかりますが、豪華な主役陣を楽しみましょう。

SalzburgerOsterfestspiele2017-Walküre

はどこまでがカラヤンの再現で、ネミロヴァのオリジナリティが生かされたのかはわかりません。でも近年にはない時代を感じたのは衣装を含めてアヴァンギャルドさが低い事かもしれません。
今のバイロイトとはやっぱり違いますね。

台・は、トネリコの木を模した第一場やリングの第二・三場等、基本はオリジナルベースですが、バックに投影した手書きの絵は現代の技術に置き換えられているそうです。
衣装も今の時代の演出のようにスーツ姿やアヴァンギャルドさはありませんね。

、男性陣ではヴォータンのコワリョフはハマリ役の出来でしたね。お馴染みツェッペンフェルトのバスはバリトンよりで、重厚な役よりもフンディングの様な地味な役が合いますね。ジークムントのザイフェルトは演技・歌唱共に魅せてくれました。(体型と動きのモッサリ感は…w)
女性陣では、アニヤ・カンペは役得のブリュンヒルデを演じましたが、同じアニヤでもハルテロス演じるジークリンデの素晴らしさが光りました。名脇役?クリスタ・マイヤーも流石で、キーとなるヴォータンの妻フリッカを楽しませてくれましたね。

はもちろん注目のティーレマン。今やバイロイト音楽祭を牛耳り、ワーグナー振りの第一人者ですからねぇ。4管編成・弦5部16型で、ティーレマンの指揮は陰影強いディナーミクが感じられました。きっと生の舞台では凄かった事と思います。



全体としては、第三幕ブリュンヒルデとヴォータンのシーンは今ひとつだったかもしれませんが、いつ観ても楽しいワルキューレですね。ただ、ワグナーの楽劇は個人的にはアヴァンギャルド傾向が好みなので、目新しい刺激に欠け旧態さを感じてしまいました。
とは言え自宅で今年のザルツブルクイースター音楽祭「ワルキューレ」が観られるなんて素晴らしい事です。



<出 演>
 ジークムント : ペーター・ザイフェルト [Peter Seiffert]
 フンディング : ゲオルク・ツェッペンフェルト [Georg Zeppenfeld]
 ジークリンデ : アニヤ・ハルテロス [Anja Harteros ]
 ブリュンヒルデ : アニヤ・カンペ [Anja Kampe]
 ヴォータン:ヴィタリー・コワリョフ [Vitalij Kowaljow]
 フリッカ:クリスタ・マイヤー [Christa Mayer]
  ゲルヒルデ:ヨハンナ・ヴィンケル [Johanna Winkel]
  オルトリンデ:ブリット=トーネ・ミュラーツ [Brit-Tone Müllertz]
  ヴァルトラウテ:クリスティーナ・ボック [Christina Bock]
  シュヴェルトライテ:カタリーナ・マギエラ [Katharina Magiera]
  ヘルムヴィーゲ:アレクサンドラ・ペーターザマー [Alexandra Petersamer]
  ジーグルーネ:ステパンカ・プカルコヴァ [Stepanka Pucalkova]
  グリムゲルデ:カトリン・ヴントザム [Katrin Wundsam]
  ロスヴァイセ:ジモーネ・シュレーダー [Simone Schröder]


<管弦楽> ドレスデン国立管弦楽団 [Staatskapelle Dresden]
<指 揮> クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]

<演 出> ヴェラ・ネミロヴァ [Vera Nemirova]
<舞台美術> ギュンター・シュナイダー=ジームセン [Günther Schneider-Siemssen]
<舞台再構築> ジェンス・キリアン [Jens Kilian] 1967年の舞台再現者

収録:2017年4月5,8日 ザルツブルク祝祭大劇場


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バーデン・バーデンのオペラ・ガラ(OPERA GALA live from Baden-Baden)を楽しむならやっぱり映像付きですね

当初CDで所有していた2007年盤ですが、2016年盤が映像オンリーだったので、合わせてDVDを購入して楽しみました。遅れてのインプレですw

オペラ・ガラ バーデン・バーデン

オペラはもちろん楽しいですが、この様なガラ・コンサートでは色々なアリアを舞台さながらに、またエンターテイメントを効かせて楽しめるので大好きですね。
バーデン・バーデンのホールは、オーケストラを周り囲むように舞台設定されています。2016年は舞台右側にも回り上がっていますね。



THE OPERA GALA live from Baden-Baden 2007
Anna Netrebko(soprano), Elīna Garanča(mezzo-soprano), Ramón Vargas(tenor), Ludovic Tézier(baritone), Marco Armiliato(cond.)

曲目も四人のバランスの良さも楽しさいっぱいです。でもこの年は花のある女性陣二人エリーナ・ガランチャとアンナ・ネトレプコが主役でしょう。艶やかな声のネトレプコ(まだプロポーションも…w)と、個人的にファンのガランチャの透明感と切れ味の歌声ですね。そして重唱曲が多いのも楽しめます。


6曲目 ベッリーニ:『ノルマ』より「清らかな女神よ」ネトレプコ:前半はしっとりと、後半はコロラトゥーラ風に素晴らしいソプラノを聴かせてくれます。お見事!!の喝采です。
7曲目 ロッシーニ:『チェネレントラ』より「不安と涙のうちに生まれ」ガランチャ:続けてガランチャもテクニックを見せつけるような素晴らしい歌声披露です。もちろん大喝采
10曲目 ドリーブ:『ラクメ』より「花の二重唱」ネトレプコ、ガランチャ:澄んで美しい重唱です。ラストは舞台から去りながら遠ざかる歌声が静かに流れます。このデュエットの素晴らしさで、前半のハイライトですね。
 ★試しにYouTubeで観てみる?

11曲目 ビゼー:『真珠とり』より「神殿の奥深く」ヴァルガス、テジエ:続く男性人重唱も聴かせます。しっとりとした前半から風雲急を告げる変化に美しい調べ、男の友情で好きな楽曲でグッと来ます。前曲ドリープのラクメと似た同じ叙情的フランス・オペラで曲調もよく似ていますね。
16曲目 ヴェルディ:『リゴレット』より「愛する美しい乙女よ」ネトレプコ、ガランチャ、ヴァルガス、テジエ:全員登場です。選択曲も良く、特にガランチャとヴァルガスはバッチリ。この日のメインでしょう。
17曲目 レハール:『ジュディッタ』より「私のくちびるは熱いキスをする (私は自分自身が分からない)」ネトレプコ:歌って踊って、靴を脱ぎ飛ばす。観客に花を投げたり、コンマスに抱きついたりと大暴れのネトレプコちゃんエンターテイメントの舞台です。楽しさいっぱい、ガラならではの楽しさですね。大ブラボーです!!
20曲目 ビゼー:『カルメン』より「闘牛士の歌」テジエ:控えめながらテジエのバリトンは好みの声で、この曲らしさをスマートに楽しめます。やっぱりこの曲は大喝采です!!
 ★試しにYouTubeで観てみる?

21曲目 ヴェルディ:『椿姫』より「乾杯の歌」ネトレプコ、ガランチャ、ヴァルガス、テジエ:全員ワイン片手で乾杯しながら歌います。手拍子も沸き、もぅ最高です!! これほどピッタリな曲はないでしょう。スタンディングオベーションです。最後の二曲は選曲がずるい!!

【演奏】マルコ・アルミリアート(指揮)、SWR南西ドイツ放送交響楽団
【収録】2007年7-8月、バーデン・バーデン祝祭劇場

試しにYouTubeで全部観てみる?
 なんと全編観られます!! 映像も良く、それも英訳付きです。


CDですと曲目は少なくなりますが、いい曲は全部入っていますね。




OPERA GALA live from Baden-Baden 2016
Anja Harteros(soprano), Ekaterina Gubanova(mezzo-soprano), Jonas Kaufmann(teno), Bryn Terfel(bass/baritone), Marco Armiliato(cond.)

2016年の主役はやっぱり男性陣ですね。女性陣二人もさることながら、情感と艶やかな歌声のヨナス・カウフマンと、表情豊かに演じ歌うブリン・ターフェルの二人は場をもたせますね。


4曲目 プッチーニ:『トスカ』より「星は光りぬ」カウフマン:実はあまり好きではないカウフマンですが、情感強いテノールはこの曲にぴったりです。声援も一番人気です。
5曲目 ボイト:『メフィストーフェレ』より「私は悪魔の精」ターフェル:演じるターフェルの楽しさいっぱい、会場と掛け合う指笛でも楽しませてくれます。
7曲目 マスカーニ:『カヴァレリア・ルスティカーナ』より「お前ここにいたのか、サントゥッツァ?」グバノヴァ、カウフマン:やっぱりガラの楽しみの一つはデュエットですね。オペラの舞台さながらのやり取りは素晴らしいです。グバノヴァの熱唱とカウフマンの艶やかな歌声が素晴らしいですね。前半の見せ場です。
11曲目 ヴェルディ:『ドン・カルロ』より「呪わしき美貌」グバノヴァ:グバノヴァの熱唱はやっぱり聴かせます。予定では好きなガランチャだったのですが、これなら変わっても納得感が高いですね。
16曲目 ジェリー・ボック:『屋根の上のバイオリン弾き』より「金持ちだったら」ターフェル:ターフェルの語りとダンスw付きですから最高ですね。この歌は英語版なので楽しめます。コミカルな曲調でターフェルの魅力に溢れてます。
 ★試しにYouTubeで観てみる?

18曲目 レハール:『ほほえみの国』より「君こそわが心の全て」グバノヴァ、カウフマン、ハルテロス、ターフェル:お約束の全員揃いです。四人の仕草も含めて楽しさいっぱい、これが楽しくないわけがありませんね。ちなみにジャケットはこの歌のシーンです。

【演奏】マルコ・アルミリアート(指揮)、バーデン・シュターツカペレ
【収録】2016年7月22, 24日、バーデン・バーデン祝祭劇場



価格からも絶対オススメですね。楽しさいっぱいですから。こんなのからオペラに入ってもいいですよね。
どちらか一本なら2007年盤の方。重唱シーンも多く、選曲が舞台受けするうまさもありますね。個人的には好きな曲も多いです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バイエルン国立歌劇場公演 歌劇「ラ・ファヴォリータ」をNHKプレミアムシアターで観る

言わずと知れたイタリアのオペラ作曲家ガエターノ・ドニゼッティ(Gaetano Donizetti, 1797/11/29 - 1848/4/8)、その後期(1840年)作品ですね。初演はその年の12月2日、パリ・スカラ座ですからいかに人気があったかわかります。
個人的には馴染みのない「ラ・ファヴォリータ La favorite (全4幕)」ですが、なんといってもレオノーラを演じるMSガランチャのファンですから これを観ない手はありません。

■超あらすじ
国王アルフォンソの愛人レオノーラに恋をした修道士フェルナンドは、修道院を出てレオノーラを射止める為に武勲をたてます。その褒賞として王からレオノーラとの結婚を得ますが、王の愛人である事を知りません。式で修道院長であるバルダッサーレに知らされ屈辱と失望で修道院に戻ります。
フェルナンドの元に瀕死の尼僧姿のレオノーラが現れ許しを請います。許されたレオノーラはフェルナンドの元で息を引き取ります。
BayerischeStaatsoper2016-LaFavorite.jpg

新演出 になり原作フランス語版で、時代は現代に置き換えられていますね。舞台は前衛ではありませんが、血まみれのキリストが蠢いたり、プロジェクションマッピングの使い方でそれなりの特異性が感じられます。ただ、ストーリー展開では知見がないのでニーアマイアが何か変化球を投げているかはわかりませんw

舞台・衣装 は現代的にシンプルに、これも今の時代の主流のパターンでしょう。
スーツが基本で派手な絵柄を排し、暗めの照明や具象的なもののない舞台と合わせて時代背景を排除していますね。その中でレオノーレの赤のコート、王のブルーのスーツでの色のコントラストや、暗い舞台に斜光のライティングは特徴的です。

配役 ではフェルナンド役のポレンザーニのテノールは悪くありません。表現ある演技と合わせて楽しませてくれました。ちょい役の二人、イネスのブノワのソプラノとガスパーロのミルズの声も良かったですね。
バルダッサーレ役のカレス、アルフォンソ11世のクヴィエチェンは声の表情が薄く感じましたね。
そして何と言ってもガランチャのメゾソプラノですね。声量があり伸びも素晴らしく、ちょっと臭い演技と合わせて楽しませてくれました。演技はドラマトゥルギーのカーリチェックの範疇かもしれませんが。

音楽 は特に違和感や主張を感じませんでした。同歌劇場2011年9月29日の来日公演の演奏でも奇をてらわない印象をインプレしてありますから、方向性は同じかもしれません。

気になった事 があるとすれば、フェルナンドの性格がおよそ修道士とは思えないほど激情的。最後に瀕死のレオノーラが現れるのがあまりに唐突。そしてオペラ内容とは違いますが、日本語字幕にかなり違和感を感じた事でしょう。



全体では舞台演出や重厚さのパートに目が行ってバイロイトのワグナーの様な気配を感じましたね。もちろん全体を流れる曲調は全く異なります。ただこのオペラ自体にも山場のメリハリや、王と神(ここではキリスト)との葛藤等、そして最後の救済で十分なストーリー展開があり楽しめました
40歳になったガランチャは艶やかな声に落ち着いた磨きがかかり素晴らしいのですが、思いの外出番が少なかったですね。


<出 演>
・レオノーラ (アルフォンソ11世の愛人):エリーナ・ガランチャ [Elīna Garanča]
・フェルナンド (レオノーラに恋する修道士):マシュー・ポレンザーニ [Matthew Polenzani]
・アルフォンソ11世 (カスティーリャ国王):マリューシュ・クヴィエチェン [Mariusz Kwiecień]
・バルダッサーレ (サンティアゴ・デ・コンポステーラ修道院長):ミカ・カレス [Mika Kares]
・ドン・ガスパーロ (廷臣):ジョシュア・オーウェン・ミルズ [Joshua Owen Mills]
・イネス (レオノーラの侍女):エルザ・ブノワ [Elsa Benoit]

<合 唱> バイエルン国立歌劇場合唱団
<合唱指揮> ゼーレン・エックホフ
<管弦楽> バイエルン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮> カレル・マーク・チチョン [Karel Mark Chichon]

<美 術> アレクサンダー・ミュラー・エルマウ [Alexander Müller-Elmau]
<衣 装> キルシュテン・デフォフ [Kirsten Dephoff]
<脚色・ドラマトゥルギー> ライナー・カーリチェック [Rainer Karlitschek]
<照 明> ミヒャエル・バウアー [Michael Bauer]
<演 出> アメリ・ニーアマイア [Amélie Niermeyer]


収録:2016年11月3日、6日 バイエルン国立歌劇場(ドイツ・ミュンヘン)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ウィーン国立歌劇場公演 フンパーディンクの歌劇「ヘンゼルとグレーテル」をNHKプレミアムシアターで観る

エンゲルベルト・フンパーディンク(Engelbert Humperdinck)と言うと普通はイギリス人の歌手を思い浮かべるでしょうかw
唯一知られる?オペラ「ヘンゼルとグレーテル」、昨年のウィーン国立歌劇場公演ですね。
もちろん原作はグリム童話ですが、一部異なります。母親は義母ではなく、家を追い出されるのではないと言う事で、ストーリー全体を通して暗い部分を明るい展開にしてありますね。
ウィーン国立歌劇場公演 フンパーディンク 歌劇「ヘンゼルとグレーテル」

演出はエイドリアン・ノーブルで、童話らしくメルヘンで所々にコメディを織り込んでいます。
一部プロジェクションマッピングが使われていますが、もちろん前衛的な解釈など入りません。前奏曲でストーリーとは緒結しない家族のシーンを挟んだくらいでしょうか。よく使われるパターンですが。

舞台・衣装は、正確な時代考証はわかりませんが、それらしい衣装とメルヘンチックな舞台背景です。それがこのオペラのお約束でしょう。

配役では、ヘンゼル役のダニエラ・シンドラムはちょっと歳が行き過ぎの感じ。ズボン役でメゾソプラノが演じますね。聴かせどころはグレーテルなのですが、イレアナ・トンカは何か飛び抜けたソプラノという感じもありません。同じソプラノなら眠りの精/露の精のアニカ・ゲルハルツの方が良いかも。
一番良かったのは役得の魔女ミヒャエラ・シュスターだったでしょう。

音楽は指揮のクリスティアン・ティーレマン。ディナーミクを振り、メリハリの強い演奏です。今やバイロイトに居座る顔役でありウィーン・フィルおよびこのウィーン国立歌劇場でも幅を利かせています。



全体としてはオペラにつきものの死や激情的なものはなく平板です通してメルヘンで、幸せな大団円が待っているを楽しむ作品なのでしょう。魔女だって怖くありませんw
タイトルロールの二人をもっと若手にしても面白かったかもしれません。


<出 演>
 ヘンゼル(兄):ダニエラ・シンドラム [Daniela Sindram]
 グレーテル(妹):イレアナ・トンカ [Ileana Tonca]
 ペーター(ほうき作り):アドリアン・エレート [Adrian Eröd]
 ゲルトルート(その妻):ヤニナ・ベヒレ [Janina Baechle]
 魔女:ミヒャエラ・シュスター [Michaela Schuster]
 眠りの精/露の精:アニカ・ゲルハルツ [Annika Gerhards]

<合 唱>  ウィーン国立歌劇場児童合唱団
<管弦楽>  ウィーン国立歌劇場管弦楽団
<指 揮>  クリスティアン・ティーレマン [Christian Thielemann]

<演 出> エイドリアン・ノーブル [Adrian Noble]


収録:2015年11月22、29日 ウィーン国立歌劇場(オーストリア)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

グラインドボーン音楽祭2016 歌劇「セビリアの理髪師」を NHKプレミアム・シアターで観る

今年2016年の英国グラインドボーン・オペラ音楽祭(Glyndebourne Festival Opera)から「セビリアの理髪師」ですね。
ロッシーニ(Gioachino Antonio Rossini, 1792/2/29 - 1868/11/13)が書いた全二幕の超定番オペラで、有名な序曲とモーツァルトの「フォガロの結婚」に続くイメージですよね。
フランス人劇作家ボーマルシェの原作のフィガロ三部作ですが、第三部の「罪ある母」はよくわかりませんw

今年の英プロムスでも登場したグラインドボーン祝祭歌劇場の出し物もこの作品(同キャスト)でした。
グラインドボーン音楽祭2016 歌劇 「セビリアの理髪師」 NHKプレミアム・シアター

はグラインドボーンでも過去「ジャンニ・スキッキ」「愛の妙薬」「けちな騎士」を担当したアナベル・アーデンの新演出です。オケ・ピットと舞台の掛け合いも楽しく、役柄を際立たせてオーディエンスを楽しませる気の利いた得意の演出が生きています。
アリアのパートでの入れ替えがあったとの情報もあるようですが、あまり気になりませんでした。

台・はアーデンの演出らしく突飛さはなく、今の標準でしょう。舞台背景等は時代考証的ではなく抽象的、衣装も時代と現代の折衷風です。前衛性はありません。

ではグラインドボーンでも人気のソプラノ、ドゥ・ニースがメゾソプラノで歌うロジーナですでしょう。ハイトーン側は流石の伸びで、当然ですがw、このオペラらしい派手な演技と共に歌姫を演じました。ヴィブラートの強さが少々気になりましたが。
タイトルロールのフィガロのバリトン、ビュルガーも役柄らしい楽しさいっぱいの演技で楽しませてくれましたね。
ステイトン演じるアルマヴィーヴァ伯爵は伸びるテノールですが演技抑え目、そのくらいがこのオペラを生かすでしょう。
でもこの舞台を盛り立てるのはバルトロ役ですね。コルベルリも演技・歌共に名演でしたね。
アリアでは「爺さんは妻を求め」を脇役ベルタが歌うのが気が利いているといつも思います。

では、まず有名な序曲で抑えの効いた中にメリハリがあるマッツォーラLPOも悪くないと思いました。ドンシャン場面では大騒ぎに、でもオブリガートな細かい音でのパートは上品です。



全体としては、シンプルな中にこのオペラらしい楽しさを存分に盛込んだ演出が生きていました。楽しかったですね。

<出 演>
 フィガロ(理髪師):ビヨルン・ビュルガー [Björn Bürger]
 ロジーナ(バルトロの姪):ダニエル・ドゥ・ニース [Danielle de Niese]
 アルマヴィーヴァ伯爵:テイラー・ステイトン [Taylor Stayton]
  バルトロ(医師、ロジーナの後見人):アレッサンドロ・コルベルリ[Alessandro Corbelli]
  バジリオ(音楽教師):クリストフォロス・スタンボグリス [Christophoros Stamboglis]
  ベルタ(バルトロ家の女中):ジャニス・ケリー [Janis Kelly]
  フィオレッロ(伯爵の召使):フー・モンタギュー・レンドール [Huw Montague Rendall]


<合 唱> グラインドボーン合唱団 [Glyndebourne Chorus]
<管弦楽> ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団 [London Philharmonic Orchestra]
<指 揮> エンリケ・マッツォーラ [Enrique Mazzola]

<演 出> アナベル・アーデン [Annabel Arden]


収録:2016年6月17、21日 グラインドボーン音楽祭歌劇場(イギリス)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

サボンリンナ音楽祭2016 ヤナーチェクの歌劇「死者の家から」を NHKプレミアム・シアターで観る

今年のフィンランドのサヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル(Savonlinnan oopperajuhlat/Savonlinna Opera Festival)から、ヤナーチェク(Leoš Janáček, 1854/7/3 - 1928/8/12)の最後のオペラ「死者の家から(Z mrtvého domu/From the house of death) 全3幕」ですね。

原作はドストエフスキーのシベリア収容所を舞台にした小説『死の家の記録』で 初演は1930-4/12、ヤナーチェク死後2年を経ていました。
ヤナーチェクは民族音楽色の強い音楽ですが、クールで特徴的ですね。

超あらすじ
[第一幕] 政治犯ゴリャンチコフはシベリアに投獄されて鞭打たれながらも、タタール人の少年アリイェイヤに読み書きを教える様になります。[第二幕] 復活祭の休日には囚人による演劇やパントマイムが行われますが、アリイェイヤが怪我を負ってしまいます。[第三幕] 囚人の一人シシコフが恋人を殺した罪を語ると、その恋の宿敵モロゾフが目の前で獄中死したクズミッチだとわかり驚愕します。そして最後はゴリャンチコフが釈放され、アリイェイヤが感謝を表し「あなたは父だ」と呼びます。

明確な主役や起承転結のあるストーリー性は極薄く、全てが唐突で脈絡不明です。一連の流れの中に、囚人たちが自らの犯した内容を語ります。それが多くを占め、その内容こそが主役の様です。

2016SavonlinnaOperaFestival-FromTheHouseOfDeath.jpg

は、今回の再演を受けてキャロライン・クレッグが担当しているそうです。囚人のリアリティを出すために鉄の枷を使ったりしているとの事ですが、その割には 状況の悲惨さや凶暴さを印象付ける脚色は感じられません。

台・は暗いレンガ風の崩れたような作業獄に年代考証に準じた感の衣装で、今の時代のオペラとしては平凡です。悪くはないのですが、生かされていない感じです。
プロジェクションマッピングは少し使われていましたが、今や普通でしょう。

ではゴリャンチコフ役のルサネン、少年兵アリイェイヤの"ズボン役" メゾソプラノのハンナ・ランタラがメインかもしれませんが、いずれ出番が少なすぎですw
囚人のクズミッチは大柄のポホヨネンで、ドラマティコなテノールがとてもマッチしていました。シシコフ役オッテリのバリトンも良かったですね。出演者全体として、風貌・声ともに良かった感じです。

は音の揃いが良く、クールで悪くありません。音楽だけで聴いても、舞台を生かした控えめさはあるかもしれませんが、十分に良かったのでは?!

・・・・・

全体としては、ストーリー展開が薄くわかりづらい内容に違いありません。演出や舞台も今ひとつで、煮え切れません。特に演出でしょう。そこに強烈な主張がないと「シベリア収容所」の厳しさが伝わらない感じです。荒くれ者の酒場の舞台に変えても同じ様に見える気がしました。自由の象徴"鷲"のシーンも印象が薄いです。
唯一良かったのはシシコフのシーンでしょうが、決着が見えず浮いていましたね。ラストも突然の釈放で、意味不明の感が拭えません。もっと狂気の様なモノが必要では…
これなら現代音楽のオペラ、例えばツィンマーマンの「兵士たち」、の方がクドさが見栄えがしますね。

とは言え、歌手や演奏は楽しめたわけで、またもや自分の感性の無さが証明されただけ?! これまたオペラ・クラシック通向きの作品なのでしょうか。
^^ゞ


<出 演>
 アレクサンドル・ペトロヴィチ・ゴリャンチコフ(政治犯):ヴィッレ・ルサネン[Ville Rusanen]
 アリイェイヤ(タタール人の少年囚):ハンナ・ランタラ[Hanna Rantala]
 ルカ・クズミチ(実はフィルカ・モロゾフ):ミカ・ポホヨネン[Mika Pohjonen]
 シシコフ:クラウディオ・オテッリ[Claudio Otelli]
 スクラトフ:アレシュ・ブリスツェイ[Ales Briscein]
 シャプキン:エイドリアン・トンプソン[Adrian Thompson]
 他

<合 唱> サボンリンナ音楽祭合唱団
<管弦楽> サボンリンナ音楽祭管弦楽団
<指 揮> トマーシュ・ハヌス(Tomas Hanus)

<演 出> デーヴィッド・パウントニー(David Pauntney)
<再演演出> キャロライン・クレッグ
<舞台装置&衣装> マリア ビヨルンソン(Maria Bjornson)
<照明> クリス エリス(Chris Ellis)
<合唱指揮> マッテイ ヒョオキ(Matti Hyokki)


収録:2016年7月26、28日 オラヴィ城中庭 特設会場(フィンランド)

NHKプレミアム・シアターで最新のオペラを見られるのはとても嬉しいのですが、一般的に使われている名称を変えますよねぇ。「パルファル→パルファル(NHK)」とか、今回も「サヴォンリンナ→サンリンナ(NHK)」ですし。
何か意図があるのでしょうかねぇ。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ザルツブルク音楽祭2016 歌劇「ダナエの愛」をNHKプレミアムシアターで観る

今年2016年のザルツブルク音楽祭(Salzburger Festspiele)から、新演出のリヒャルト・シュトラウス(Richard Strauss, 1864/6/11 - 1949/9/8) の後期のオペラ『ダナエの愛/ Die Liebe der Danae (The Love of Danae), Op.83 1940年』ですね。恥ずかしながらのw、初ダナエです。
初演は同じくザルツブルクで、シュトラウス没後の1952年に行われています。

台本はヨーゼフ・グレゴールで、その前の作品『ダフネ, Op.82 1937年』との二作でコラボしていますね。
ザルツブルク音楽祭 2016 ダナエの愛

超あらすじ (全3幕)】財政難に苦しむ国の王女ダナエを相手に、若き王ミダス(触れるものを金に変えられる力を持つ)と神の中の神ユピテル(ゼウス?!)の恋の鞘当て。ミダスはユピテルに黄金の力を取り上げられますが、それでも二人は貧しくも愛し続けるというギリシア神話をベースにしたお話です。(その中にダナエが黄金になったり、全能の神ユピテルが笑い者になってしまったり、します)

はアルヴィス・ヘルマニス。2014年のザルツブルク「イル・トロヴァトーレ」で観ていますが、avant-gardeではありませんね。
黄金づくしのストーリーらしく黄金の金ぴか衣装だったり、この時代のシュトラウスは基本コメディなので、ポルックスのシーンはそれをちゃんと生かしていました。エンディングはダナエのミダスに対する愛の言葉でちゃんと締めくくられます。

/では、舞台はシンプルで具象物を避けた無機質な構成です。近年よく見られますね。プロジェクション・マッピングも控えめに使われていました。
また衣装は神話時代をモチーフとしているようが、昨年のミラノ・スカラ座「愛の妙薬」のファンタジー風の衣装を思い出しました。(マルペンサ空港公演ではありません)
また姉妹四人の胸をはだけた様な衣装も以前どこかで見た様な…w

はタイトルロールのダナエ役ストヤノヴァは悪くありませんが、特に素晴らしいといった事もないでしょう。ダナエの手振り身振りがくどいのは、ロニー・ディートリッヒ(Ronny Dietrich/Dramaturgie 劇作術者?)の問題でしょうか。
ミダスのジーゲルは、ドラえもん的見た目はともかくw、ドラマティコとは言いませんが落ち着いたテノールでした。もう少しリリコの方が良かったような。
一番良かったのは、ユピテル役のコニェチュニですね。2014年のザルツブルク「ドン・ジョヴァンニ」で騎士長で観ましたが、押出しが良く 通るバリトンで聴かせてくれました。ラスト前のシーンも舞台を〆てくれましたね。

は特に気になる事もなく聴きましたが、音色の美しさを所々で感じました。流石のVPOといったところでしょう。(先入観ですか?!)

・・・・・

全体としては、今ひとつ掴み処の薄いストーリーと変化に乏しい舞台設定、そしてシュトラウスの音楽もストリーを強調するようなアリアや展開も弱く……といった感じでした。オペラ通の作品といったところでしょう。
まずは初の「ダナエの愛」でしたが、コニェチュニが楽しませてくれて良かったです。最後にダナエからユピテルに渡される髪飾りは、神が使ったダナエとミダスを結びつける金だったのですね。


先週のバイロイトといい、新演出の話題の2016音楽祭作品がNHKプレミアム・シアターで見られるのは本当に嬉しいことです。

<出 演>
 ダナエ(エオス王の娘):クラッシミラ・ストヤノヴァ [Krassimira Stoyanova]
 ユピテル(神々の長):トマシュ・コニェチュニ [Tomasz Konieczny]
 ミダス(リディア王、元は貧しいロバ引き):ゲルハルト・ジーゲル [Gerhard Siegel]
 ポルックス(破産の危機に瀕したエオスの王):ヴォルフガング・アプリンガー=シュペルハッケ [Wolfgang Ablinger-Sperrhacke]

<合 唱>  ウィーン国立歌劇場合唱団
<管弦楽>  ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団
<指 揮>  フランツ・ウェルザー・メスト [Franz Welser-Möst]

<演出/美術> アルヴィス・ヘルマニス [Alvis Hermanis]


収録:2016年8月5、8、12日 ザルツブルク祝祭大劇場(オーストリア)



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

バイロイト音楽祭2016 舞台神聖祭典劇「パルジファル」を NHKプレミアムシアターで観る

今年も楽しみにしていたBayreuther Festspielen 2016です。前回NHKプレミアムシアターでバイロイトのパルジファル(Parsifal)が放送されたのは、多分2012年でしょう。
言わずとしれたバイロイト・スペシャルとでもいうワグナー作品ですが、今回新演出でますますの前衛的演出がどう病的化(笑)しているか。そして現代を代表するヘルデンテノール、今年の新国立「ローエングリン」でも良かったフォークトがどうか、興味は尽きません。

聖杯物語の一つで、ローエングリンはパルジファルの息子になりますね。あらすじはWikipedia等でどうぞ。
バイロイト音楽祭2016 舞台神聖祭典劇 パルジファル

は現代風にキリスト教の教会と兵士の設定ですが、ベテランのウヴェ・エリック・ラウフェンベルクですから前衛性は低いですね。
特異性があるとすれば、聖杯の儀式でアンフォルタス王の体に刃が刺され流血が聖杯に受けられてキリストそのものに表現されるくらいですね。それを飲み回す、これはグロです。アンフォルタスはたまったものではありません。ラストは無人の舞台となり、締まりがない気がしましたが、どうでしょう。

台・も特異性は少なく、中世スペインの設定を現代美術風に置き換えただけですね。聖杯の騎士達がよくわからず ピンときません。また、バイロイト祝祭合唱団に東洋系の人が増えて違和感がありますね。

は何と言ってもタイトルロールのフォークト、やっぱりテノールのハイトーンが素晴らしいです。見栄えも良くまさに適役でしょう。
重要な二人、グルネマンツのツェッペンフェルトはバスというよりもバリトン系の声で老練な落ち着いた感が今ひとつ、クンドリのパンクラートヴァは声を含めて良かったですが、ちょい体が太すぎw
無垢で愚かな時(第一幕)のフォークトのセットされた金髪が可笑しいです。

はヘンヒェンの指揮ですが、マーラーで聴く限り印象は薄いです。聴いていても強めのディナーミクがちょっと気になるかな、という感じでした。

・・・・・

全体としてはやや中途半端なパルジファルでしょうか。前衛でもなければ王道でもありません。流血の第一幕はあまり気持ちの良いものではありませんし、イスラムを敵に設定したかのような第二幕、第三幕の車椅子のグルネマンツとクンドリの老夫婦のような設定も違和感があります。
クンドリがラストの救済を受けられたかは不明でしたが、洗礼を受けるシーン等 良い場面は楽しめましたね。
^^

気になったのは、指揮者と演出の交代劇ですね。指揮はアンドリス・ネルソンス[Andris Nelsons]、演出(舞台監督)はヨナタン・メーゼ[Jonathan Meese, 1970/1/23, b. in Tokyo!]でした。ネルソンスの指揮なら自由度を広くしたかもしれませんし、現代芸術家のメーゼは前衛性が期待されましたからね。例によってバイロイトを仕切る側との有象無象が想像されるのは難くないですねw
メーゼの演出は予算オーバーとなっていますが、ナチス的なインスタレーションを展開していましたから、それも一因かと言われているようです。

第一幕後のカーテンコールはお約束通りありませんでしたが、今や禁止されていたはずの幕間の拍手は当たり前ですね。(随分前からですがw)

<出 演>
 パルジファル:クラウス・フロリアン・フォークト[Klaus Florian Vogt]
 グルネマンツ(老騎士): ゲオルク・ツェッペンフェルト[Georg Zeppenfeld]
 アンフォルタス(王):ライアン・マッキニー[Ryan McKinny]
 クリングゾル(魔法使い):ゲルト・グロホウスキ[Gerd Grochowski]
 クンドリ(呪われし女):エレーナ・パンクラートヴァ[Elena Pankratova]

<合 唱>  バイロイト祝祭合唱団
<管弦楽> バイロイト祝祭管弦楽団
<指 揮>  ハルトムート・ヘンヒェン[Hartmut Haenchen]

<演 出> ウヴェ・エリック・ラウフェンベルク[Uwe Eric Laufenberg ]


収録:2016年7月25日 バイロイト祝祭劇場(ドイツ)


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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