FC2ブログ

バーバラ・ハンニガン(Barbara Hannigan) の『VIENNA FIN DE SIÈCLE, ウィーン世紀末』を聴く


VIENNA FIN DE SIÈCLE
バーバラ・ハンニガン (Barbara Hannigan)
前作「CRAZY GIRL CRAZY」ではベリオ/ベルク/ガーシュインを取り上げて、かつ指揮もこなしたハンニガン。前衛を得意とするソプラノ歌手であり指揮者であり、注目の一人ですね。

今回は19世紀末の音楽を『ウィーン世紀末』と題したタイトルで、シェーンベルク/ヴェーベルン/ベルク/ツェムリンスキー/アルマ・マーラー/ヴォルフ の歌曲(抜粋含む)をピアノ伴奏でまとめています。始めの三人は言わずと知れた新ウィーン楽派、ツェムリンスキーとアルマ・シントラーは元恋人?で師弟関係、ヴォルフは後期ロマン派の歌曲家です。どの様な流れになるのか楽しみですね。
ピアノは現代音楽を得意とするラインベルト・デ・レーウ(Reinbert de Leeuw)になります。

国内発売元は『ウィーン世紀末、6人の作曲家~アルマ・マーラーのまわりで』とアルマ・マーラーで売ろうとしていますがw







アルノルト・シェーンベルク
(Arnold Schönberg, 1874/9/13 - 1951/7/13)
今更のシェーンベルクですから紹介は割愛ですが、ツェムリンスキーに師事していて共にマーラー家で音楽論を戦わせていたそうです。このアルバムの人間模様絡みかもしれませんね。今回は無調になる前、後期ロマン派時代の「四つの歌曲」になります。

Vier Lieder Op. 2 (1899年)
 作品番号は#2ですが早くも調性の薄さを覗かせた後期ロマン派作品で独特の美しさが感じられますね。ハンニガンの声も伸びよく響き、特に情感が響きますね。一曲目「Erwartung」の和声が素晴らしいです。




アントン・ヴェーベルン
(Anton Webern, 1883/12/3 - 1945/9/15)
もちろん紹介は割愛ですねw ブーレーズによる「Complete Webern」で全曲インプレ済みです。

Fünf Lieder nach Gedichten von Richard Dehmel Op.5 (1908年)
 ヴェーベルン初期作品ですが、この曲から無調を使い始めていますね。無調なのですが、前出のシェーンベルクの調性感を一歩進めた美しさです。無調なのにこの美しい旋律は今更ながらにヴェーベルンの音楽の先進性に驚いてしまいますね。例によって点描的なpfと音の跳躍、それに寄り添って流れるソプラノ、ヴェーベルンらしさ全開ですね。
pfのレーウが光ります。




アルバン・ベルク
(Alban Berg, 1885/2/9 - 1935/12/24)
これまた紹介は割愛です。超代表曲「ヴァイオリン協奏曲」には副題?として『ある天使の思い出に, Dem Andenken eines Engels』とあり、ご存知の通りアルマの(マーラーの死後)2番目の夫ヴァルター・グロピウスとの娘で、亡くなったマノン・グロピウスの為に書かれています。(ハンニガンは前作でもベルクの未完成のオペラ「ルル」を取り上げていますが、未完成に終わったのは途中でヴァイオリン協奏曲に取り掛かったからですね)

Sieben Frühe Lieder (1907年)
 「七つの初期歌曲」からですが、ここでも既にベルクらしい無調ながら旋律感のある流れが味わえます。新ウィーン楽派三人の初期の歌曲がいずれも美しい事が明確にわかりますね。調性感はシェーンベルクとベルクの中間くらいの印象ですが、朗々と歌い上げるのはこの後オペラを得意としたベルクならではでしょうか。




アレクサンダー・ツェムリンスキー
(Alexander Zemlinsky, 1871/10/14 - 1942/3/15)
晩年には調性感の薄い作品もある様ですが、基本的にはマーラーやR.シュトラウス達と同じ立ち位置の後期ロマン派ですね。今まで代表作の「フィレンツェの悲劇」「人魚姫」をインプレしていますが、現代音楽家一覧には入れていません。アルマ・シントラーがマーラーと結婚する前に師弟関係にありました。

Liederen Op.2, 5, 7 (1896, 1897, 1899年)
 多少の不協和音は一部感じらるもののパート構成もしっかりとしてバリバリ濃厚な後期ロマン派の歌曲ですね。処々で古典的な印象さえ感じます。面白みには欠けるかもしれません。




アルマ・マーラー
(Alma Mahler, 1879/8/31 – 1964/12/11)
アルマ・シンドラーとしてツェムリンスキーに師事して小曲16歌曲(インプレ済みです)を残しています。アルマは作曲技法にも明るく、読譜も見事だったそうですが残っているのが歌曲の小曲だけなのが残念ですね。

Die Stille Stadt, Laue Sommernacht, Ich Wandle Unter Blumen, Licht In Der Nacht* (1910, 1915年*)
 不協和音を交えた美しい楽曲で、師のツェムリンスキーより面白いですね。適度な興奮と抑揚のアゴーギクがあり、表現主義らしき印象も感じられますね。伴奏pfのコントラストも、ホモフォニーを超える事はありませんが良い流れです。
(作品年はいずれもスコアの出版年ですね、多分)




フーゴ・ヴォルフ
(Hugo Wolf, 1860/3/13 - 1903/2/22)
オーストリアの後期ロマン派、歌曲を得意としていて、43歳で狂気に襲われて死亡しています。著名詩人の作品を元に歌曲を作っていて「ゲーテの詩による歌曲集」は代表作の一つですね。

Mignon Lieder Nach Gedichte von Goethe (1888年)
 情感の高い機能和声の歌曲です。デクラマチオーン(劇的朗読法)と言われるヴォルフの歌曲はまさに劇場的で、感情移入の波が特徴的です。ただ和声は旧態然でキッチリしているので息苦しい感じがするかもしれません。




後期ロマン派終焉から現代音楽黎明期に入る時代の作品ですね。そんな時代変化を感じられる楽曲が並びました。殆どが3'台以下の小曲なのでキャラクターがわかりやすいです。前衛性が強い順に以下ですね。

ヴェーベルン - ベルク - シェーンベルク - アルマ - ツェムリンスキー = ヴォルフ

ハンニガンのソプラノは特筆するレベルではないとは思うのですが、硬派の声と感情表現の良さが好きです。全曲英訳付きですから歌詞を見ながら聴けるのが嬉しいですね。

この一枚で前衛に向かう時代変化が歌曲で楽しめます。なぜか新ウィーン楽派三人の楽曲が澄んだ美しさを感じます。個人的にはヴェーベルンがオススメですね。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

「 Suidobashi Chamber Ensemble 」で ヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派 を聴く / Jürg Frey, Michael Pisaro and Antoine Beuger


Suidobashi Chamber Ensemble
昨日に続き実験音楽Ftarriさん(東京-水道橋)のmeennaレーベルのインプレです。今回はヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派の音楽家三人を取り上げたアンサンブル作品集になりますね。
演奏はタイトル名のアンサンブル(SCE)で、Ftarriさんでのライブとセッションです。SCEは池田若菜さん(リーダー)が杉本さんの協力の元に編成された現代音楽/実験音楽の室内楽でメンバーは以下になりますね。

 ・池田若菜 (フルート)
 ・池田陽子 (ヴィオラ)
 ・内藤彩 (ファゴット)
 ・大蔵 雅彦 (クラリネット、バス・クラリネット)
 ・杉本拓 (ギター)


本アルバムは作曲者三人に連絡をとりアドヴァイスをもらって演奏しているとの事です。







ユルク・フレイ
(Jürg Frey, 1953/5/15 - )
ヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派のスイス人現代音楽家にしてクラリネット奏者、スイス在住でクラリネットの指導もしています。Wandelweiser Komponisten Ensemble(ヴァンデルヴァイザー楽派のトップメンバーで構成されています)のメンバーとしても活躍していました。

Exact Dimension without Insistence, for flute, clarinet
ほぼ無音の世界にほんの時折フルートとクラリネットの音が鳴ります。それも緩い単音一回、鳴るのは1回/1分程度です。耳を攲てると何かゴソゴソと音も聴こえますが、スコアがないので環境音かもわかりません。それも含めて"音(楽)"なのかもわからないのですがw
部屋の中にも色々な微音が存在しているのも意識されます。それがヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派の典型でしょうね。この曲が一番極端な静音です。




マイケル・ピサロ
(Michael Pisaro, 1961 - )
米現代音楽家でギタリスト、J.フレイと同じくWandelweiser Composers Ensembleのメンバーですね。詩をテーマにした音楽やフィールドレコーディングも精通して、楽曲は欧米やアジアの音楽祭でも取上げられています。ノースウェスタン大学で作曲と音楽理論の教職にもついていました。

Flux [Harmony Series No. 8A], for viola, guitar
ハムノイズの様な音、弦を擦る音、そんなノイズ"音"が静かに単音域で発生します。フレイに比べると無音空間は少なめですが、気配は同じです。

Pas [Harmony Series No. 8C], viola, bassoon
[8A]に比べると音は明瞭な音色になります。そこが大きく変わりますね。単音(多分一つの音でしょう)が楽器を入れ替えて出てくる感じです。もう一つ違うのは二つの楽器が同時に音を出すという事があります。

Festhalten / Loslassen, flute, bass clarinet, bassoon, guitar, viola
ノイズ系ですね。静音の特殊奏法の音色がひっそりと互いに強調しながら発音しています。明瞭な音階はありません。(後半に一部音階変化があります) また静音の中にディナーミクと合奏音の音色で表情が作られています。という意味で"音楽"になっているかもしれません。




アントワン・ボイガー
(Antoine Beuger, 1955/7/3 - )
オランダのヴァンデルヴァイザー楽派の現代音楽家でフルート奏者ですね。本格的に作曲活動に入ったのは1990年代からで遅咲きかもしれませんね。もう少し知りたいのですが情報が不足です。

Vegetable Rustling, flute, bassoon, guitar, viola
無音の中に各楽器が発する単音(同一音ではない)でハーモナイズされています。そこが一番の違いでしょう。一楽器単音の方が少ないくらいです。各楽器の音は機能和声で倍音的な色合いを感じます。この曲も表情があると言って良いと思いますね。




無音の中に静かな単音が発せられるだけで旋律はありません。時に単一楽器、時に複数、そして音はp,pp,ppp、そんな感じがヴァンデルヴァイザーです。

曲によってはCDでは無音でも耳を攲てていないと何か"音"が出ているかもしれません。FtarriさんのLiveでもそうですが、空調音に負けてしまう様な細い音も存在しているので、静かな部屋で張り詰めて"音"を探るのも楽しみです。(ステージがあると何らか音を出しているかも…なんてわかりますがw)

杉本拓さんの「いつも聴く音楽ではなくディズニーランドの様に楽しみたい時に聴く」(意訳)、というのがピッタリきますね。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

Live at Ftarri『 Duo and Trio 』S.Murayama, T.Koike, M.Taxt を聴く


Duo and Trio
実験音楽Ftarriさん(東京-水道橋)のmeennaレーベルから出た「Ftarri 6th Anniversary Vol. 1」即興音楽のアルバムですね。先日伺った際に入手したもので、限定200のシリアル001番でした。



S.Murayama, T.Koike, M.Taxt
村山政二朗】(perc. voice)
欧米での活躍もありフランス・パリに長く拠点を置いていたそうです。打楽器の特殊奏法やvoiceでの特殊唱法?をベースにしていて個性的です。
古池寿浩】(tb)
名古屋在住のトロンボーン奏者で特殊奏法も奏でます。村上氏との共演も多いですね。先日のライヴでも一緒でした。
マッティン・タクスト, Martin Taxt 】(tub)
ノルウェーのチューバ奏者で、Ftarriと同じ即興と実験音楽のレーベル「Sofa」主宰者。四分音や微分音を出す特別なマイクロトーナル・チューバ(微分音チューバ)を使っていますね。いかにも前衛です。今回は二曲目で参加しています。







DuoandTrio-ftarri-meenna878.jpg

Duo Improvisation
入りはヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)風の展開になります。従って始めは無音・静の世界で、そこに時折音が出現すると言った展開になりますね。風の音の様なTbの特殊奏法やperc.の音のDialogueです。そこからTbの音色が息の長いロングトーンやタンギングになり、perc.が様々な色付けをする様に絡んで行きます。終始緊張感が漂います。

Trio Improvisation
TbとTubの倍音構成の様なロングトーンにvoiceの"音"が絡み、perc.が入ってきます。共鳴する二つの管楽器は特殊奏法に、村山さんは独自の特殊voiceとなり、ノイズ・ユニットへと変化し、後半はperc.の色合いも濃くなります。8月のFtarri-Liveに近い演奏ですね。


強音クラスター混沌の即興とは対極にある即興音楽です。特殊奏法ベースにロングトーン、音数は少ないですが音密度の濃い演奏ですね。

本当はLiveで観るともっと面白いのですが、"音"を聴くというスタンスから行くと部屋でも十分に味わえますね。村山さんは演奏時間を20'を一つの区切りとしているのかもしれません。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : お気に入り&好きな音楽
ジャンル : 音楽

ルトスワフスキ(Witold Lutosławski) の 交響曲第3番、ルトスワフスキ本人とエサ=ペッカ・サロネンで曲構成も合せて聴きいてみましょう


ヴィトルト・ルトスワフスキ
(Witold Lutosławski, 1913/1/25 - 1994/2/7)
ポーランドの現代音楽家としてはシマノフスキと並んで好きな一人です。楽風等は前回の「交響曲全集」で書いていますので割愛です。
今回はヴィト指揮/都響コンサート(2018/9/6)の予習ですね。本当はヴィト/ポーランド国立放送交響楽団[NAXOS]を聴くべきでしょうが未所有なので次の2CD(本人とサロネン)で聴き比べしておきます。



交響曲 第三番, Symphony No.3
完成までに手間がかかったシカゴ交響楽団からの委嘱作品で、第二番と並ぶ代表作ですね。一楽章形式とある事が多いですがルトスワフスキによると二楽章で以下の様な構成だそうです。

 ① 導入部  (短い4連音:運命のリズム)
 ② 第一楽章 (三つのエピソードの後には短く緩やかな間奏が入る)
  - #1エピソード《祈り, Invocation》速く
  - #2エピソード《一連の練習曲, Cycle of Etudes》遅く
  - #3エピソード《トッカータ, Toccata》より遅く
 ③ 第二楽章 《讃歌, Hymn》(連続4連音の後にトゥッティからの流れ)
 ④ エピローグ  (ロマンティックな長調)
 ⑤ コーダ    (短く速いラスト)

とは言え、個人的には "第一楽章は自由なソナタ(提示/展開/再現, コデッタ/コーダを感じます)、第二楽章は長い一つのエピソード" といったイメージです。

技術的には木管中心にad lib.動律(アドリブ)、チェーン形式(ad lib.動律と通常の繰り返し)が盛り込まれて「管理された偶然性(アレアトリー, Limited Aleatorism)」が展開されています。



ルトスワフスキ指揮 / ベルリンフィル


第一楽章 #1エピソードはもやっとした弱音アレアトリーパートに4連音の刺激です。何かが蠢く様な印象ですね。#2エピソードでは各楽器がややスローなアレアトリーを作りますが音色は鮮明になります。人気のない夕暮れ時の様な気配です。#3エピソードは#1回帰の弱音ですが、流れはより緩やかになっています。(ルトスワフスキが言う"基本テンポは変わらずにリズムユニットが長くなる"のがわかりますね) 全体的にこもった弱音の印象です。
第二楽章 激しい4連音に続きトゥッティと弦楽主体に暗く澱んだスローの組合せで動と静のコントラストです。澱んだ静音パートがここでも今ひとつ、トゥッティはBPOらしさ?でしょうか。混沌刺激的なパートは良いですね。
エピローグ やや沈んだ気配の弦の旋律と蠢く木管の後、美しい弦楽の音色で現れます。大きく広がって弦のレチタティーヴォを経てテンポアップのコーダから4連音で閉じます。


スローなアレアトリーにもやった印象が残る演奏です。強音パートは悪くないのですが、全体的に表情が薄く感じますね。

BPOはちょっと… 本人指揮はいつかポーランド放送響で聴いてみたいと思っています。






エサ=ペッカ・サロネン / ロサンジェルス・フィル


(右は交響曲全集になります)

第一楽章 #1エピソードのアレアトリーパートでは小刻みですが明確に音を作ってきます。やや速めで明瞭さを感じますね。#2エピソードではややスロー化、魍魎の世界を歩く様な気配です。#3エピソードはスローな背景になり、そこに各楽器が刺激的に乗ってきます。音の表情を感じますね。
第二楽章 トゥッティの激しさは抑えめですがシャープですね。弦の沈んだスローのアレアトリーをうまく生かしています。スローとトゥッティの入れ替わりで表情があります。
エピローグ 終盤緩やか穏やかに現れます。スローで広がりを見せて美しさが光ります。コーダはカラフルですね。


音の鳴りが明瞭に使われてシャープな演奏です。華やかな色彩感がありますね。




陰鬱と刺激のルトスワフスキ、色彩と明瞭さのサロネン、といった感じでしょうか。個人的な好みはサロネンですね。

数回聴いて曲の構成がわかってくるとより面白くなりますね。ルトスワフスキの方がレチタティーヴォなど明確です。当然の事ですがw



♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ルトスワフスキ(Witold Lutosławski) の 交響曲全集(THE SYMPHONIES), サロネン/ロス・フィルで聴くと楽風の変化を感じられますね


ヴィトルト・ルトスワフスキ
(Witold Lutosławski, 1913/1/25 - 1994/2/7)
ポーランドを代表する現代音楽家ですね。ポーランドの現代音楽黎明期に活躍した顔ぶれをポーランド楽派と称する事もありますが、グレツキやペンデレツキに比べると前衛性が高く個人的には好みになります。

楽風は新古典派から、無調前衛の影響を受けて十二音技法やチャンス・オペレーションに手を染めています。とはいえルトスワフスキ流にaggregates(十二音和音)やad lib.動律*(アドリブ, アレアトリー)、チェーン形式(アドリブと通常の繰り返し)の様に自己消化した手法です。実験音楽様相も取り入れますが、後に旋律を生かす様なスタイルに回帰していますね。

*スコアの小節線による各声部間のテンポの調和を廃して自由なアゴーギクの反復に委ねる。復帰タイミングは指揮者指示。


THE SYMPHONIES
Esa-Pekka Salonen / Los Angeles Philharmonic
ルトスワフスキが作った交響曲は以下の四曲です。
第一番(1941-1947年):新古典派、第二番(1966-67年):十二音和音無調、第三番(1972-1983年):偶然性・アドリブ、第四番(1993年):一部の伝統回帰、と言った様相です。(作曲年代はCDライナーノートを参照しています)

このエサ=ペッカ・サロネン指揮 ロス・フィルのアルバムでルトスワフスキの作風の変化も感じられると思います。ちなみにサロネンとルトスワフスキの関係は深く、交響曲第3番4番の世界初録音を行なっています。(本録音:第3番はグラモフォン賞受賞)






■ 交響曲 第一番, 1941-1947年 (28-34歳)
民族音楽的な新古典派の四楽章形式ですね。ハイテンポで広がりのある第一楽章、暗く鬱で濃厚な緩徐の第二楽章、キョロキョロと表情豊かな第三楽章、派手さが際立つ第四楽章です。
いずれもドン・シャン的な派手なリズムと強音パートが印象的です。ストラヴィンスキーの色合いも感じられてコンサートで取り上げられたら盛上がると思いますね。

この後、J.ケージの「ピアノとオーケストラのためのコンサート」(1958年)を聴いて作風を一変させる事になります。


■ 交響曲 第二番, 1966-67年 (53-54歳)
十二音和音ベース無調の二楽章形式です。一楽章は打楽器+管楽器で音はパンクチャリズム的点描で無調、木管のアレアトリーではメシアンの様な音色も感じられる反復が存在しますね。混沌無調(無拍)ではなく各声部間のコントロールは感じられます。音密度は減り、曲調としては美しさを感じます。
二楽章は弦楽器が入りグリッサンドやトリル・トレモロで弦の唸りがウワァ〜ンと共鳴します。クラスターも現れてまさに今の時代の空間音響系の様相です。楽章の対比も含めてとても面白いですね



■ 交響曲 第三番, 1972-1983年 (59-70歳)
偶然性とチェーン形式の単一楽章(実際には二楽章**でアタッカ)です。第二番の二つの楽章を混濁させた進化系の様相です。時折強烈な四連符パルス音が流れを堰き止めるのが楽章構成のポイントだそうです。ポリフォニカルに音が混ざりますが、基本旋律が存在して変奏の様な感じもしますね。そこにad lib.動律ある様です。とはいえ声部間に極端なズレや混沌は見られません。その辺りがルトスワフスキなのでしょうね。全体印象は躍動です。

**ルトスワフスキ本人解説による曲構成は細かく、第4番も同じく、実際に沿ってインプレするのは大変です。次回の第3番聴き比べでは詳細内容に沿ってインプレします。



■ 交響曲 第四番, 1993年 (80歳)
晩年の姿を見られる単独楽章作品(実際には二楽章でアタッカ)です。一変して鬱な新古典派回帰的な印象から入ります。ここでもad lib.動律とチェーンは使われている様で混奏ポリフォニーと新古典派的な流れが交錯しますね。演奏時間の短縮もあり、多様性がより研ぎ澄まされた流れを感じます。




前衛隆盛当時としては中途半端な印象だった気がしますが、今の時代の多様性主義現代音楽ではもっと再評価されても良いと思われるくらい面白さがありますね。

嬉しいのは第二番を中心としたルトスワフスキの楽風変化が楽しめる事です。このアルバムで現代音楽に馴染んでみるのもオススメですね




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

クルタークの「Botschaften des verstorbenen Fräuleins R.V. Trussowa」| ヴィトマンの「… umdüstert …」を聴く


FESTSPIELDOKUMENTE
現代音楽レーベルNEOSのシリーズで、Salzburger Festspiele 2004のLive録音ですね。今回は室内楽二曲で、演奏はいずれもリューディガー・ボーン(Rüdiger Bohn)指揮、オーストリア新音楽アンサンブル(österreichisches ensemble für neue musik)です。







ジョルジュ・クルターク (Gyorgy Kurtag, 1926/2/19 - )
現代音楽の創生から隆盛・衰退、そして現在を見続けてきた、ルーマニア出身ハンガリーの大物現代音楽家ですね。楽風も時代の流れてに沿って、今は幽玄な和声に静と烈のコントラストが特徴的です。

Botschaften des verstorbenen Fräuleins R.V. Trussowa op. 17 (1976/1980年), 21 songs for soprano and chamber ensemble on Russian poems by Rimma Dalos
シェーンベルクの"月に憑かれたピエロ"を元に、3部21曲構成と同構成(厳密には7曲3部均一配分ではありません)のソプラノ+アンサンブル作品です。Textはルーマニア在住のロシア人のリンマ・ダロスによるもので「ちょっとエロティック」と言った様な愛の物語で、ソプラノはクラウディア・バラインスキー(Claudia Barainsky)です。
 前衛のシュプレッヒゲザングでまさに"ピエロ"の類型です。演奏も混沌で、voiceも語りであり叫びであり基本狂気、ですね。違いがあるとすれば、"ピエロ"よりもアンサンブルの旋律・動機が聴きやすいかもしれません。個人的にはやっぱり好きですね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  抜粋になります。




イェルク・ヴィトマン (Jörg Widmann, 1973/6/19 - )
今月末の『サントリーホール サマーフィスティバル2018』でもテーマ作曲家として来日、もちろんチケット手配済みです、するなど近年クラリネッティストだけでなく現代音楽家としても注目度が上がっていますね。フライブルクを活躍の場として、空間音響系と即興性、前衛と宗教性の両面性を持っている様ですね。

… umdüstert … (1999/2000年), for chamber ensemble
完全無調の室内楽です。耳馴染みの良い旋律は無く、背景には特殊奏法のノイズが配されます。協奏曲風にcl主体のリード・パートがあり、抑揚少ない陰鬱緩やかな流れの闇の中に、静が現れて空間を意識します。後半には叫びも含めた烈の出現が緊張感を高めますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



クルタークは、シェーンベルクに敬意を表したとの通り"月に憑かれたピエロ"そっくりさんです。ただ、これがクルタークかと言われれば困りますがw

ヴィトマンは無調混沌で、陰鬱な流れと静の空間を感じて面白いです。いかにも欧エクスペリメンタリズムの流れと言った感じですね。月末のコンサートが楽しみです。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

フィリップ・グラファン(Philippe Graffin) と イェルゲル・ブランケン(Jelger Blanken) の「Pijper & Escher / Violin Sonatas」を聴く


フィリップ・グラファン (vn. Philippe Graffin)
イェルゲル・ブランケン (pf. Jelger Blanken)
ビッグネームとの共演も多いフランス人ヴァイオリニストのグラファンが、オランダ人ピアニストのブランケンをパートナーにした近現代のヴァイオリン・ソナタ集ですね。
この二人は2010年9月のGergiev Festivalでオランダの初期現代音楽家のヴァイオリン・ソナタを演奏しています。これはその延長線上にあるアルバムになり、作曲家は全てオランダ人が選ばれていますね。




ウィレム・ペイペル (Willem Pijper, 1894/9/8 - 1947/3/18)
ユーレヒト音楽院で学びアムステルダム・ロッテルダム両音楽院で指導にも当たっていたオランダ国内で活動した現代音楽家です。初期はマーラーの影響があり、1920年頃より無調に踏み込みますが調性を放棄する事は無かった様です。この時代のオランダ現代音楽を代表する一人です。
■ Sonata No.1 for violin and piano (1919年)
僅かに不協和音を混じえますが、後期ロマン派と印象派、民族和声を合わせた様な折衷さです。強弱もあり美しい調べと言っていいでしょうね。

■ Sonata for violin solo (1931年)
四楽章のソロで和声の自由度は広がり、調性を大きく飛び越す事はありませんが表現は豊富になっていますね。ちょっと技巧性も感じて面白いです。ただ、四楽章とも似た感じなのは気になりますが。

■ Sonata No.2 for violin and piano (1922年)
NO.1の3年後ですが無調に一歩踏込んだ事がわかります。美しい音色を基調としているのは同じですが、俄然面白くなって来ていますね。三曲の中では一番興味深いです。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる?



ルドルフ・エッシャー (Rudolf Escher, 1912/1/8 - 1980/3/17)
ロッテルダム音楽院で上記ペイペルに師事しています。仏印象派や宗教曲の影響を受け、ポリフォニー構成が特徴ですね。画家のエッシャーは叔父にあたります。
■ Sonata for violin and piano (1950年)
即興的ポリフォニーではなく変奏的な旋律を絡めます。pfの二声部もポリフォニー的ですね。無調でしょうが混沌ではなく調性の延長線上にあるので聴きやすいですね。新古典派を無調化したらこんな感じ?!



アレクサンデル・フォールモーレン (Alexander Voormolen, 1895/3/3 - 1980/11/12)
ユーレヒト音楽院の同級生にペイペルがいますね。パリ留学でルーセルに師事し、ラヴェルやディーリアスに厚遇されていたそうで、仏印象派の傾向です。後年にはM.レーガーらの影響を受けている様です。
■ Pastorale for oboe and piano (1940年)
まさに印象派の音色ベース、機能和声の美しい楽曲です。悪く言うと時代錯誤的かもしれません。なぜここに?!



トン・デ・レーウ (Ton De Leeuw, 1926/11/16 - 1996/5/31)
メシアンに習い、若い頃はベルトークの影響もある様です。インドやジャワも訪れ民族音楽を志向していましたね。技法的には微分音を駆使する作曲でした。
■ Sonatina for violin and piano (1955年)
基本は機能和声の速度変化の揺さぶりをつけた曲です。明確な微分音はわかりませんが後半に不協和音を挟んでいます。もちろんpfは微分音を出せませんね。(調律や特殊奏法なら別ですが)

■ Improvisation on the Dutch Christmas carol 'Midden in de winternacht'
特殊奏法らしき音色の静音vnと点描pfでクリスマスキャロルをやっています。一番前衛的で面白いです!!



いずれも完全無調、セリエルの様な、ではなく調性ベースに無調化の様な和声ですから違和感は薄いですね。「ちょっと気持ち悪いけど楽しめる」的でしょうw
前衛隆盛へ向かう時代、当時の前衛先端メンバーからは攻撃の対象となった様な気がしますね。

グラファンのvnに特筆する様なものは感じられませんでした。音色も細くも太くもキレキレでもありませんね。ブランケンのpfは少し煌きがあって悪くない感じですね。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

ユルク・フレイ(Jürg Frey)のクラリネットで聴く『Beuger・Cage』ヴァンデルヴァイザーの"音"


ユルク・フレイ
(Jürg Frey, 1953/5/15 - )
ヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派のスイス人現代音楽家にしてクラリネット奏者、スイス在住でクラリネットの指導もしています。Wandelweiser Komponisten Ensemble(ヴァンデルヴァイザー楽派のトップメンバーで構成されています)のメンバーとしても活躍していました。今回はクラリネッティストとしてボイガーのヴァンデルヴァイザー楽曲とJ.ケージを演奏しているCDです。

ヴァンデルヴァイザー楽派については「このblogで言う現代音楽」でどうぞ。実はこの世界は日本も頑張っていますね。


アントワン・ボイガー
(Antoine Beuger, 1955/7/3 - )
今更ジョン・ケージ(John Cage, 1912/9/5 - 1992/8/12)の紹介は不要でしょう。ボイガーはオランダの現代音楽家でフルート奏者ですね。ジャンルはヴァンデルヴァイザー(Wandelweiser)楽派で、本格的に作曲活動に入ったのは1990年代からで遅咲きかもしれませんね。もう少し知りたいのですが情報が不足です。




dialogues (silences), (1993年) / Antoine Beuger
単音が時に高く時に低くポツ…ポツ…と鳴ります。殆どは無音の空(くう)です。これがヴァンデルヴァイザーで、無音の中に現れ消える音を聴くわけです。空調を入れていると、その音に負けてしまいます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

Music for One, (1984年) / John Cage
沈黙を聴くとなれば、この人でしょう。もちろんヴァンデルヴァイザーではありませんが、言わずもがな実験音楽総本山です。晩年の作品になり、ボイガーに比べると音数も増えて音色も強音が混ざりますね。ポツ・ポツとした音の出現ではなくて引っ張る様な音色や旋律も出てきますから"音"より"曲"でしょうか。


現代音楽の中でも実験音楽ですから音楽スレスレの世界ですね。無音の中に現れる"音"を感じて味わう?わけですから旋律も調性も全く関係ない世界です。個人的にはLiveだとより面白いのですが、CDじゃ????って感じもしますかね。

ただ、静音の中に強音の出現と言ったG.シェルシの様な前衛の楽風を思い切り削って行ったらこのアルバムのケージを経てヴァンデルヴァイザーに辿り着く気もします。そんな楽しみもあるのがこの世界かもしれません。

何枚か所有しているので懲りずに紹介しますね。ヾ^^;




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アンネ=ゾフィー・ムターのヴァイオリンで聴くペンデレツキ『Anne-Sophie Mutter Hommage à Penderecki』


クシシュトフ・ペンデレツキ
(Krzysztof Penderecki, 1933/11/23 - )
ポーランドの現代音楽家ですが、前衛的無調から始まってはいても重厚で暗い調性回帰か宗教色かといった印象が拭えませんね。以前、交響曲全集をインプレしていますが印象は変わりませんでした。今回も1990年代以降の作品なので、どうでしょうか。


アンネ=ゾフィー・ムター
(Anne-Sophie Mutter, 1963/6/29 - )
言わずと知れたドイツのビッグネームですね。10代でカラヤンの秘蔵っ子、近現代音楽もレパートリー、近年は随分と痩せました、と言った個人的印象です。演奏スタイルは弾き振りの影響もあってか"これ見よがし"から"切れ味"になってきましたね。(メンデルスゾーンで聴き比べています)

そのムターがペンデレツキと長年の交友があったとは知りませんでした。全曲ムターに献呈されていて、メタモルフォーゼン以外はムターからの委嘱曲でもあります。「ヴァイオリン・ソナタ第2番」は世界初録音*だそうで、今年85歳を迎えるペンデレツキへのオマージュという事で2CDsetでの登場ですね。
普段ならほぼ興味の湧かないセットですが、その様な話を知ったら聴いてみたくなりました。




ラ・フォリア (2013年), ヴァイオリン・ソロのための
近年の9パート、途切れ目なしの楽曲です。陰鬱な音色の調性旋律を使った極小曲の集まりで、反復(変奏含む)も強く新古典主義的にも感じますね。曲の特徴は薄いですがムターのvnは切れ味が、適度にですが、鋭いですね。ムターが好きそうでソロのコンサートには良さそうです。

協奏的二重奏曲 (2010年), ヴァイオリンとコントラバスのための
曲調は類似ですがダブルベースと互いの旋律がdialogue的に重なります。ポリフォニーではなくホモフォニーで古典的ですが表情豊かでペンデレツキ的刺激もあり面白いですね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?

ヴァイオリン・ソナタ第2番* (1999年), ヴァイオリンとピアノのための
実はこれだけが2017年新録音、五楽章形式での陰鬱で重い空気のペンデレツキらしい楽曲です。旋律は変奏を含めて反復されています。また時に民族音楽の色合いを見せるのは気配が変わり面白いですね。曲の気配が"あっけらかん"としている訳ではないので、それらしい気分で聴くwには楽しめますね。

メタモルフォーゼン, ヴァイオリン協奏曲第2番 (1992-1995年)
ペンデレツキ指揮、ロンドン交響楽団の演奏で六楽章構成、1997年録音の再発"Metamorphozen"ですね。上記CD1の楽風を管弦楽に置き換えただけ、と言っては失礼かもしれませんがそんな感じです。静的パートに表現を与えて悪くはないのですが代わり映えしない様な。ペンデレツキ本人が指揮をしているので曲は意図通りなのでしょう。
ただコンサートで聴いたら陰影もあり演奏時間も適度なので聴きごたえがありそうです。ムターは繊細・神経質でいい感じですが前に出てこないですね。(ミキシングの問題?!)

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  1st mov. Allegro ma non troppo になります。



ムターの程よい切れ味のvnは表現力を感じましたね。今回初録音*一曲のみが2017年で後は旧録音なのは残念ですが…

一方ペンデレツキの曲は、無調前衛の現代音楽に軸足を置いて聴かなければ、機能和声+αの幽玄深淵さと刺激もあり十分に楽しめそうですね。バルトークあたりがお好きならば良い感じかと。




♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧
🎶 北欧現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

現代音楽の『MUSICA VIVA』シリーズについて:MUSICA VIVA 03 / Ustwolskaja, Rihm, B.A.Zimmermann


MUSICA VIVA
まずはMUSICA VIVAシリーズについてですね。
『ムジカ・ヴィヴァ・ミュンヘン (Musica Viva München)』シリーズはCol Legnoレーベルのヴルフ・ヴァインマン(Wulf Weinmann, owner and label manager)が、バイエルン放送局主宰の同音楽祭(設立は1945年Karl Amadeus Hartmann)の音源をリリースしたものになりますね。

基本的には欧州エクスペリメンタリズムで、ダルムシュタットやドナウエッシンゲンと同列の音楽祭でお馴染みの顔ぶれとなります。現代音楽ファンには知られたシリーズですね。
その後ヴァインマンが新たに設立したNEOSレーベルに引き継がれる事になります。


MUSICA VIVA 03
三人の現代音楽家を取り上げていますね。いずれもビッグネームで、演奏はバイエルン放送響(Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks)になります。

Galina Ustvolskaya (ガリーナ・ウストヴォーリスカヤ, 1919/6/17 - 2006/12/22)
後期の反復とクラスターとモノフォニーの個性的な音が一時期人気を博しました。少し古い20世紀の現代音楽家としては好きな一人です。

Wolfgang Rihm (ヴォルフガング・リーム, 1952/3/13 - )
言わずと知れたドイツの現代音楽家で三人の中では唯一存命、まだ66歳、ですね。後期ロマン派との折衷的な作風で当時の前衛シュトックハウゼンやブーレーズとは相反するものでしたね。前衛の衰退後「新しい単純性」などを標榜しますが、ラッヘンマン達のエクスペリメンタリズムとは歩調を合わせませんでした。アコースティックに拘り、作品数が多い、個人的には聴く機会が少ないです。

Bernd Alois Zimmermann (ベルント・アロイス・ツィンマーマン, 1918/3/20 - 1970/8/10)
好きなちょっと古い20世紀の現代音楽家B.A.ツィンマーマンです。10CDほどですがインプレもしてあり、その中に全体印象を残してあります。→ こちら


♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧




Sinfonie Nr. 3 - Jesus Messias, Errette Uns! (1983年) / Galina Ustwolskaja
 [Conductor – Markus Stenz, Voice – Valeri Scherstjanoi]
旧ソ連時代、中後期の作品「交響曲第3番」ですね。副題に"救世主イエスよ、われらを救いたまえ"と付いています。この時代のソ連では日の目を見る機会は皆無に近い無調の現代音楽ですが、不協和音で斜に構えた様な機能和声的な旋律も顔を出しますね。基本はウストヴォーリスカヤらしい等拍的なリズムとホモフォニー(mono的)反復でしょう。ウストヴォーリスカヤらしさ全開ですね。演奏はややスローな気がします。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  ゲルギエフ指揮、ミュンヘン・フィル。2016年8月22日のBBC・Promsですね。

Musik Für Klarinette Und Orchester [Über Die Linie II] (1999年) / Wolfgang Rihm
 [Clarinet – Jörg Widmann, Conductor – Sylvain Cambreling]
「クラリネット協奏曲」で、clは来日も控える人気の現代音楽でもあるJ.ヴィトマンですね。序盤は静的スローで12音を使った様な不協和音をロングトーンで並べたクラリネット独奏が前面にいます。以降もテンポが早くなったり協奏的になったりもしますが、音数は決して多くなく印象は幽玄で美しさです。片足は調性にいて今の時代のクラシックでしょうね。

Photoptosis - Prelude Für Grosses Orchester (1968年) / Bernd Alois Zimmermann
 [Conductor – Markus Stenz]
「フォトプトーシス」はB.A.ツィンマーマンの後期を代表する知られた曲の一つですね。暗く淀んだ混沌、ロングトーンと各楽器の絡み、から始まります。そこに混沌とした管楽器の強音が出現して緊張感が増していきます。中程でベートーヴェンの引用が入るのも"らしい"ですね。そしてラストに向けてはポリフォニーで各楽器が渦を巻くような混沌とした流れを作り激しさを増して終わります。強烈でやっぱり素晴らしい!!

この曲は今までにハンス・ツェンダー(Hans Zender)の指揮で2回ほどインプレしています。本演奏を③として比べてみました。
フォトプトーシス3CD聴き比べ
 ① ザールブリュッケン放送交響楽団 (Rundfunk-Sinfonieorchester Saarbrücken)
 ② ベルリン・ドイツ交響楽団 (Radio-Symphonie-Orchester Berlin)
対比で言うと①が序盤の暗い淀みが強く②は弱いです、③は静かに潜んだ感じです。強音の割込みは①はパルス的刺激で②と③は流れを強調でしょう。後半の激しい混沌は①は脅迫的、②はキラメく混沌を感じますが③は弱さを感じました。
①は淀んだ混沌とパルスの対比、②は管楽器の鳴りとラストの混沌で聴かせてくれますね。本CD③は①②と比べると静的で落ち着いた流れを意識しますね。
単独で聴けばどれも素晴らしいですが、好みは両極の①と②で甲乙つけがたいでしょうか…



時代背景を考えて聴くとウストヴォーリスカヤとB.A.ツィンマーマンは本当に素晴らしいですね。リームも前衛ではありませんが、美しい響は拒絶反応が少ないと思います。







テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
.
    




・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





カレンダー
09 | 2018/10 | 11
- 1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29 30 31 - - -
ようこそ
カテゴリ
ありがとう