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バーンスタイン生誕100周年『バーンスタイン・オン・ブロードウェイ』を聴く


レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein, 1918/8/25 - 1990/10/14 )
指揮者の顔が大きいので現代音楽家としての紹介が少ないのですが、今年は生誕100周年という事で色々CDが出ますね。バーンスタインの楽風は代表的なミュージカル系と交響曲に代表される多様性とになりますが、いずれにしても聴きやすい訳でアメリカの今の時代の流れの本流の一つでしょう。


Bernstein On Broadway
今回はタイトル通りミュージカルの代表作三作(抜粋)が並んだアルバムですね。何回目かの再発だと思います。
演奏はロンドン交響楽団*(LSO)で "West Side Story"と"Candide*"がバーンスタイン本人指揮, "On the Town*"が師弟関係となるマイケル・ティルソン・トーマスになります。歌手陣もホセ・カレーラス、キリ・テ・カナワ、他当時の豪華メンバーが揃います。



ウエスト・サイド物語 West Side Story (1957年初演)
The Dance At The Gym - Something's Coming - Maria - Tonight - America - I Feel Pretty - Somewhere
誰もが知る曲が並びますが、意外とバーンスタインの曲と知らない人が多いのでは。改めて聴き直してみるとマンボを始めジャズの要素を取り入れて明瞭な米人好みのサウンドとして作られているのがわかりますね。その中にカレーラスのトニーとテ・カナワのマリアの名曲Maria-Tonightが入って来ますね。やっぱりTonightはいいですね。^^
Americaを聴くとThe Niceのロックver.を思い出します、古い!!

オン・ザ・タウン On the Town (1944年初演)
New York, New York - Taxi Number: Come Up To My Place - Carried Away - Lucky To Be Me - Ya Got Me
みんな知っている"New York, New York"の華やかさとメリハリのサウンドに代表される訳ですが、当時のMGMのミュージカル映画を思い出しますね。

キャンディード Candide (1956年初演/1989年改訂)
Overture - Life Is Happiness Indeed - Oh, Happy We - Glitter And Be Gay - I Am Easily Assimilated - Make Our Garden Grow
三曲の中では前奏曲が入って一番管弦楽パートが練られている感じです。ドンシャン的な明瞭な楽風は米国オケが委嘱しそうな気配を感じます。その他曲調も表情が豊かです。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる? (DGのアルバムTrailer(予告編)版です)


これを聴くとバーンスタインがメロディーメーカーとしても実力があった事がわかりますね。凝ったオーケストレーションが施されている訳でもなく、あくまでもミュージカル曲なのでそうそう聴く機会があるとは思いませんが100周年という事でチャンスが来たのは嬉しい事です。
指揮者としての記念アルバムはDG超大物セットを購入しようかどうか思案中ですw




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トーマス・エンコ(Thomas Enhco) と ヴァシレナ・セラフィモワ(Vassilena Serafimova)のピアノ/マリンバDuo「Funambules」を聴く


Funambules
今回は肩の力を抜いてリラックスできるピアノ/マリンバの音をw

フランス人ジャズピアニストのトーマス・エンコ(Thomas Enhco)とブルガリアのマリンバ奏者ヴァシレナ・セラフィモワ(Vassilena Serafimova)のDuo作品です。エンコは指揮者ジャン=クロード・カサドシュ(Jean-Claude Casadesus)の孫だそうですが、ここではエンコを現代音楽家として調べる必要はまだ感じませんね。
ジャズなのかクラシックなのかと問えば、モーツァルトが居座っているのでクラシックでしょう。エンコの曲や二人による編曲も含めてデュオ曲(一部ピアノ曲)になります。



1.Éclipse(Enhco) - 2.Signs Of Life - Blood Pressure(Zimmerli) - 3.Sonata for two pianos in D Major K.448(Mozart) - 4.Palimpseste(Enhco) - 5.Pavane, Op. 50(Fauré) - 6. Dilmano Dilbero, variations on a Bulgarian folk song(Enhco) - 7.Mare A Mare(Serafimova) -8.Sonata for solo violin in G minor BWV 1001 – Fuga(J.S. Bach) - 9.Aquarium (Improvisation after "Le Carnaval des animaux, 動物の謝肉祭 by Saint-Saëns") - 10.Bitter Sweet Symphony(同上)

上記曲構成ですが個別にインプレする内容ではありません。また最後の一曲はストーンズとザ・ヴァーヴの著作権問題になった同名曲をベースにしていますね。

まずは#1(YouTubeです)を聴いていただくとすぐにわかると思います。ピアノとマリンバの相性が思いの外ぴったりとマッチして上質クールな曲選択に合っていますね。エンコ本人の曲は叙情的でジャジーな気配も感じますね。(キース・ジャレットのソロを彷彿させるので危険性はありますが) その流れでインプロヴィゼーション風な曲もあり、例えば2.Signs Of Life - Blood Pressureなどはミニマルでありジャズっぽいかもしれません。またフォーレなどはピアノ曲でエンコの曲の印象に近い演奏ですね。
白眉は6.Dilmano Dilberoで調性感の薄さと民族音楽を生かしてキレの良い演奏を聴かせてくれます。BGMとはいかない素晴らしい演奏です。
普段は聴かない古典やバロック(MozartとJ.S. Bach)も曲調はそのままにピアノ/マリンバでリフレッシュ、でもモーツァルトは三楽章全部で20'超えで個人的にはキツイですがw

ジャズ風から古典まで、なんともピアノとマリンバの音色が洒脱に感じられます。BGMとして部屋でかけているのですが、こう言った幅広い構成が生きますね。
古典は長いモーツァルトを抜いてバッハだけなら尚可、でした。ヾ^^;






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オッリ・ヴィルタペルコ(Olli Virtaperko) の「Romer's Gap – Three Concertos」を聴く


オッリ・ヴィルタペルコ (Olli Virtaperko, 1973/12/29 - )
注目のフィンランド現代音楽の一端、前衛系のジャズやロックとの融合、を展開するO. ヴィルタペルコですね。更に一味違うのはバロックも視野に入れている事でしょう。
エジンバラ大でピーター・ネルソンに、シベリウスアカデミーでタピオ・ネヴァンリンナやマルック・ルオラヤン= ミッコラに師事しています。チェロに明るいのはミッコラの影響ですね。名前が知られる様になったのは彼のバロック・アンサンブル「Ensemble Ambrosius」がフランク・ザッパを取上げたアルバム「The Zappa Album」で、その後ロックの「Ultra Bra」でも活躍しています。ちなみにEnsemble Ambrosiusはバロック音楽そのものではなく、バロック楽器で現代音楽を演奏するユニットでチェロを担当していました。


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Romer's Gap – Three Concertos
タイトル曲を含む三つの協奏曲と言うことになります。アンプを使ったチェロ、バリトンサックス、モノラル・シンセサイザー、といった興味深いソロ楽器構成ですね。オケはヴィッレ・マトヴェイェフ(Ville Matvejeff)指揮、ユヴァスキュラ・シンフォニア(Jyväskylä Sinfonia)です。



Romer's Gap (2016年), for amplified cello and sinfonietta
I. Cadenza, II., III.
チェロはフィンランドのチェロ・ロックバンド「アポカリプティカ, Apocalyptica」のリーダーであり現代音楽家のペルットゥ・キヴィラークソ(Perttu Kivilaakso)です。
初めは少しアンビエント系の様な気配も見せながら調性感の強い新古典主義的チェロ協奏曲ですが、I. Cadenzaの終盤でチェロにアンプを使ってディストーションをかけています。II.では音数の少ないアンビエント、III.は電子処理したチェロは面白いですが、オケは物分かりの良いフィルム・ミュージック風になります。
特異性や冒険はないです。アンプを使ったディストーションのチェロ以外はマニエリスムで、イマイチです。

Multikolor (2014年), for baritone saxophone and small chamber orchestra
サックスは現代音楽を得意とするヨナタン・ラウティオラ(Joonatan Rautiola)ですね。
ここでもアンビエントの顔つきでサックスは特殊奏法も見られます。無調前衛風の表情を見せていますが多調で括れそうな機能和声の楽曲でしょう。ロングトーンが主体ですが音響系でもありませんね。長い16'です。

Ambrosian Delights (2016/2015年), for Knifonium and chamber orchestra
I. Fat & Filth - Cadenza (attacca), II. Ambrosian Delights (attacca), III. Passacaglia, IV. More is More
元Ensemble Ambrosiusのメンバーで真空管式モノトーンのシンセサイザー「クニフォニウム(Knifonium)」を製作者の一人であるヨンテ・クニフ(Jonte Knif)が弾きます。
楽器構成を変更しただけで音楽は同じ流れになります。処々でポップ感や今更シンセの懐かしい音色を奏でられても…(キース・エマーソンが草葉の陰で笑ってます ^^;)

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  2013年バロック・オーケストラ版になります。


もっとハチャメチャで はじけていて欲しかった気がします。ベースになる管弦楽はアンビエント風か、米オケが好んで委嘱しそうなフィルム・ミュージックや新古典主義的な音楽です。そこに個性的なソロが絡むと言う構成ですね。
真面目さが強く、経歴から期待するほどの新しさや楽しさが見られないのが残念です。




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アルベルト・ポサダス(Alberto Posadas)の「Liturgia fractal」を聴く


アルベルト・ポサダス (Alberto Posadas, 1967 - )
マドリッドの音楽院で習ったスペインの現代音楽家です。二つの方向性があり、一つは数学をベースとしてフラクタル理論やトポロジー変換の様な変移性の技法を用いている事。もう一つはエレクトロアコースティックや空間音響系音楽で、IRCAMでも電子音楽を学んでいます。


Liturgia fractal
「フラクタル典礼」というタイトル通り、五つの異なるフラクタル・モデルに基づいて作られた弦楽四重奏曲集だそうです。フラクタルは"全体と部分の相似性"で、大きな複雑形状は詳細部分も類似する事、になります。良く出てくるのリアス式海岸の図形ですね。という事は… と勝手に想像は膨らみます。
演奏はディオティマ弦楽四重奏団(Quatuor Diotima)です。



Liturgia fractal (2003-2007年), Cycle of five string quartets

■ Ondulado tiempo sonoro...
「うねった時の音響...」はブラウン運動を元にしているそうで、弦のトリル・トレモロが羽虫が飛び交う様に横行します、ブラウン運動?w そしてその中に神経質で切れる様な音が切り込まれます。全体的に音密度は低めで空間を感じさせてくれます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

■ Modulaciones
「転換」も様々なブラウン運動からになっているそうで、テンポはややスローになります。もちろん明瞭な旋律の存在はなく四弦楽器がポリフォニー的に存在する混沌ですが、どちらかと言えば静的なノイズ系でしょうか。ベースになる流れはありますが、空間が意識されます。

■ Órbitas
「軌道」はフラクタル理論を直接的に引用しているとの事ですが、グリッサンドを強めて一曲目に回帰した様な展開です。キロキロキロ・キュルキュル〜、みたいなw 即興的高密度なパートがあります。

■ Aborescencias
Arborescencias?, ジャケットとライナーノートで異なりますが、この構成の中で例外的なパートでソロ・ヴァイオリンと弦楽三重奏の組合せだそうです。どこがソロでしょうか?!、良くわかりませんね。ただそれまでの三曲とは異なり旋律を奏でる流れが増えてホモフォニー的な感が強くなっています。

■ Bifurcaciones
「分岐点」は再び強固な塊に戻るそうです。どこが??って言う感じですが。面白いのは曲が後半になるほど強音パートが増えてホモフォニー的に連携する事でしょう。個人的には、そうではない方が楽しめますが…


トリル・トレモロ・グリッサンドの静的ポリフォ二ー基本の構成で、後半は強音でホモフォニー的な連携付も見せています。ただ極端な無調混沌ではなく、特に静音パートでは空間を感じさせてくれますね。

さてどこがフラクタルか? ライナーノートのサンプル・スコアからは大小の相似性は不明ですし、ストレッチされたロングトーンとトリル? その辺が簡単にわからないのも前衛現代音楽でしょうw 楽しめますね




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グロリア・コーツ(Gloria Coates)の「ピアノ五重奏曲 / 交響曲 第10番」を聴く


グロリア・コーツ (Gloria Coates, 1938/10/10 - )
先日もインプレした米女性現代音楽家のG.コーツです。四分音や倍音を使った幽玄な音使いが特徴的で、クラスター的な様相も見えますね。
画家としての活動もありジャケットは自身の「Parallel Univers」になります。


Piano Quintet Symphony No.10
先日は室内楽をインプレしましたが、今回は交響曲を含んだ先日リリースのアルバムになります。
ピアノ五重奏曲はエミリー・ディキンソンの詩を元に作られ、演奏はクロイツェル四重奏団です。交響曲第10番はサブタイトルにある様にバイエルン州エルディングの「ケルト古代遺跡」を元にしています。演奏はスーザン・アレン指揮カリフォルニア芸術大学(カルアーツ)管弦楽団ですが、アレンは本曲で指揮者デビューしましたがその一年後に他界しています。



ピアノ五重奏曲 (2013年)
近年作で四楽章構成です。もちろん無調ですが旋律らしきものが存在してpfとクァルテットの関係はホモフォニーでもあり、カノンの様な構成感があります。微妙な音程の四部音(第三楽章でpfにも感じられますが調律して出しているのでしょうか)と倍音の音色を全編通して反復で響かせるのがメインで、ドローン的なグリッサンドもあります。その辺りがコーツらしさで印象は"深淵"でしょうか。面白いですね。

交響曲 第10番「Drones of Druids on Celtic Ruin」(1989年)
彼女が得意とする交響曲で三楽章形式です。第一楽章は倍音と思しき単音の共鳴音の反復を表に出しています。パォ〜ン・パォパォォ〜ン、みたいなw 第二楽章では打楽器楽章、小太鼓の連打を中心、で単音の響きではなくドラミングの音色が交錯します。第三楽章は、その組合せになっています。とてもシンプルで、やや単調に感じてしまうかもしれません。(第三楽章は無い方がいいかも…)


幽玄さを四部音と倍音の響きで構成するポスト・ミニマルですね。欧州前衛の電子音楽的な空間音響系とは異なりますが、響きを主体にする点では空間音響的な現代音楽です。(G.コーツの活躍の場は欧州ですが…)

"Special thanks"の中にDavid Rosenboomの名前がありますが、ニューロフィードバックを引用しているのでしょうか? (ライナーノートには特に記載はありません)




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ヘルムート・ラッヘンマン(Helmut Lachenmann)の「Schwankungen Am Rand」を聴く


ヘルムート・ラッヘンマン (Helmut Lachenmann, 1935/11/27/ - )
欧州前衛のビッグネーム中のビッグネーム。言わずと知れたラッヘンマンで、今までにも多々紹介済みですのでここでは割愛です。(過去記事を参照くださいね)

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Schwankungen Am Rand
'70年代、'80年代、'90年代の20'強の室内楽を並べたアルバムでラッヘンマンの音楽の変遷がわかりやすそうですね。演奏もペーテル・エトヴェシュ(Peter Eötvös)指揮、アンサンブル・モデルン(Ensemble Modern)の演奏と充実感があります。
リリースがECMからというのが気にかかるところでですがw



Schwankungen am Rand (1974/75年), Music for Brass and Strings
アンサンブルでの管楽器と弦楽器の対比ですがピアノも入っていて、特に"for Brass and Strings"とことわる必要も感じません。
前衛衰退期真っ只中に書かれたポスト・セリエルなのでしょう、殆どが特殊奏法で構成されたパルス的な音のモザイクです。後期よりもおしゃべりですね。もちろんラッヘンマンですから旋律の様な構成はなくノイズや即興的ポリフォニーも包括する混沌です。煌めきがあり、今聴いても刺激がありますね。

Mouvement (-vor der Erstarrung) (1983/84年), Music for Ensemble
全体構成は変わりませんが、ベースに流れる静的混沌が強くなっています。時に速く、時にスローに、現れるパルス的な刺激や煌めきはそのままです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  仏前衛アンサンブルの雄、アンテルコンタンポラン(ピンチャー指揮)の演奏です。個人的にはこちらの落ち着いた演奏の方がラッヘンマンらしく感じます。特殊奏法も良くわかりますね。


"...zwei Gefühle...", Musik mit Leonardo (1992年), Music for Speaker and Ensemble
  Voice [Speaker] – Franck Ollu, Ueli Wiget
前二作より静音パート表現が増えているのがわかります。それまでは静音に刺激音が被りましたが、ここでは静音自体での緊張感が作られていますね。ちなみにTextは代表作"マッチ売りの少女"からになります。
実は前回インプレのアルバムにも入っていてラッヘンマン本人のvoiceで、Brad Lubman指揮Ensemble Signalの演奏でした。
出来から行くとvoiceはラッヘンマンの方がクセが強く、演奏は本アルバムの方がより先鋭でしょうか。全体としては前回紹介盤の"間"を感じる演奏が好みです。(ラッヘンマンの意図もくまれているでしょう)


先ずはこれがECMから出たとは驚きですね、完全な無調混沌前衛現代音楽ですから。
ラッヘンマンらしい刺激や煌めきは'70-'80年代のポスト・セリエルから'90年代でも基本構成は変わっていないのがわかりますね。静音パートの生かし方が多くなっているのが変化でしょうか。"いかにも" 的な特殊奏法も初期の方が強烈に感じます。

エトヴェシュは好きな音楽家ですが、今回の指揮はコントラストを付け過ぎの様に思えますね。本人の音楽がその傾向ではありますがw






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フェルッチョ・ブゾーニの歌劇「トゥーランドット」を聴く


Ferruccio Busoni (Ferruccio Busoni, 1866/4/1 - 1924/7/27)
ヴィルトゥオーゾ・ピアニストにして現代音楽の黎明期まで生きた近代音楽家ですね。どうしてもピアノ曲が浮かびますが、その弟子に米現代音楽のエドガー・ヴァレーズやオットー・レーニング、欧州前衛のクルト・ヴァイルがいる事で先進性がわかります。楽曲変化は常に楽しさが感じられて好きですね。(以前もインプレで書いていますので詳細割愛です)

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Turandot
ブゾーニはオペラも四作書いていて代表作は「ファウスト博士」です。「トゥーランドット」といえばプッチーニですが、原作はイタリアの劇作家カルロ・ゴッツィによる戯曲でブゾーニの他にも多くの作品が20世紀初頭までに書かれています。ブゾーニのトゥーランドットの方がプッチーニ(1926年)より早く、1917年にチューリッヒで本人指揮で初演されています。
という事で基本ストーリーは知られたプッチーニと同じなので楽に聴けますね。ただ以下の主な違いがあります。
1. リューではなくトゥーランドットの奴隷アデルマ、かつては王女でカラフを愛していた。従ってカラフの父王ティムールは登場しない。
2. トゥーランドットの三つの質問も違い、答えは「希望」「血潮」「トゥーランドット」ではなく「理性」「習慣」「芸術」。
3. リューはカラフの身の上を教えず自害するが、アデルマは自分の自由の身を条件にカラフの身分を明かす。(二人他の地で生きようとする)



(所有はfoyer旧盤で日本語対訳付きです)

Turandot (1917年)
二幕四場構成、約1時間15分になります。(プッチーニは三幕、約2時間)
ベースは新古典主義的で現代音楽的な聴き辛さはありませんw O, o, o, o! などは喜劇的な要素を含めながらバックグラウンドでは僅かですが不協和音を見せるパートもあります。また中華風(アラビア風?)の旋律も採用されて、美しい緩徐や華やかさを交えてとバリエーションも備えていますね。第二幕冒頭の英音楽「グリーン・スリーブス」引用が何を意味しているのかは不明ですが。(トゥーランドットが負けた後にシーンです)
歌唱パートでは少しコメディー風の様子が強調されて楽しさがあり、トゥーランドットの登場シーンは表情が豊かです。ピン・パン・ポンが出てこないのは残念w?!

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  前置きが5'と長いですが、全編観られます。



現代音楽的な不安定要素は全くなく、表情豊かな演奏と歌唱パートは流石のブゾーニです。派手なプッチーニ版よりもコンパクト、ストレートに楽しめる気がしますね。

1959年録音でmonoですが音はよく、十分に楽しめます。






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クラウス・シュテファン・マーンコプフ(Claus-Steffen Mahnkopf) の「void」を聴く


クラウス・シュテファン・マーンコプフ (Claus-Steffen Mahnkopf, 1962/10/22 - )
過去インプレで紹介済みですが「ポスト・ファーニホウ」や「新しい複雑性」として紹介される現代音楽家マーンコップ、最近では音楽理論やその分野のエッセイでの活躍も増えている様ですね。
以前の音列配置や即興といった楽風から、静音の中に発生する強音といったコントラストを表現する方向性になっています。今の時代の一つの方向性の気がしますね。

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void
『空間・虚無』21世紀に入っての作品で大編成オケとテープの為の音楽で代表作の一つになるでしょう。マーンコプフの「新しい複雑性」は演奏表現上の超絶技巧性というより読譜難解スコアなのですが、ここではスコアも極端な難解性が減っている様ですね。



humanized void, for large orchestra (2003-2007年)
ローランド・クルティヒ(Roland Kluttig)指揮, バイエルン放送交響楽団
静音と強音の渦巻く流れでビッグ・オケですが耳をつん裂く様な大音響はありません。もちろん旋律の存在は薄く無調の音の世界で、基本の流れはスローで緊張感が漂います。音数は少なくないですがノイズや即興的ではなくカオス風空間音響系?!の気配ですね。
楽風変化の一つは時折現れる旋律に調性感がある事でしょう。これも今の時代の"多様性"の流れですね。

void - kol ischa asirit, for large orchestra (2010-2012年)
ルパート・フーバー(Rupert Huber)指揮, SWRシュトゥットガト放送交響楽団
静音と強音ですが、ここでは長い静の中に衝撃音の強音がガツンと入ります。静音は音の流れだけで旋律感はなく、強音は単発的パルスですね。その間を縫って短い旋律が時折顔を出します。極端な方向性になって来ていますね。コーダは強音の即興的カオスを入れて、ラストは静音で納めます。

void - mal d'archive, for eight-track tape (2002-2003年)
ExperimentalStudio des SWR制作
2001から2005年までマーンコプフが在籍した名前の通りの南西ドイツ放送(SWR)電子音楽の実験スタジオでの作品で、8トラック・テープの電子音楽です。
ノイズ系ですね。ホワイトノイズはわかりますが、その他になんらかのサンプリングも入っているのですがわかりません。旋律はサンプリングから作っているとは思おうのですが。まぁいかにも前衛といった感じで、嫌いじゃありませんね。^^
ちなみにこの曲のスコアはライナーノートにありませんでした。

静と強の組合せですが、共存カオスからより極端な対比になって来ていますね。題名からも空間音響に近づいていっているのでしょうか。
欧州前衛現代音楽を楽しめる一枚ですね。




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マグヌス・リンドベルイ(Magnus Lindberg) の「Al Largo・Cello Concerto No.2・Era」を聴く


マグヌス・リンドベルイ (Magnus Lindberg, 1958/6/27 - )
フィンランドの現代音楽家で、シベリウス音楽院でE.ラウタヴァーラやP.ハイニネンに習っています。北欧系の現代音楽家はそのまま作曲活動に入る事で独特な音楽感を作る事が多いですね。しかしM.リンドベルイはその間も夏期講習会のシエーナでF.ドナトーニ、ダルムシュタットではB.ファーニホウに師事しています。卒業後は渡欧して仏でG.グリゼーに習い、独では和太鼓やパンクロックにも興味を示していますね。今や昔の話になっていますがw
近年は前衛離反、機能和声への転換方向で商業的な臭いが強くなっているのが残念です。

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Al Largo・Cello Concerto No.2・Era
2010年代に入っての新しい管弦楽作品集で「Al Largo」はニューヨーク・フィル"Composer-in-residence"時代の作品、「Cello Concerto No.2」はロサンゼルス・フィル、「Era」はロイヤル・コンセルトヘボウ管の委嘱作品になり、人気の証拠ですね。それが良いかは別にして…ですが…
演奏はハンヌ・リントゥ(Hannu Lintu)指揮、フィンランド放送響(Finnish Radio SO)です。



Al largo (2009-10年)
抑揚の強い調性の管弦楽で、派手な新古典主義的?です。以前の様な調性の薄さは全く無くなりました。まさに米オケが委嘱したり好んで取り上げそうな退屈な楽曲です。

Cello Concerto No.2 (2013年)
チェリストはアンッシ・カルットゥネン(Anssi Karttunen)です。その音色に若干の不協和音的なニュアンスは残し、北欧風の澄んだオケが広がります。欧前衛ではなくて所謂(いわゆる)北欧の現代音楽の印象になりますね。良いのですがなぜ今更といった感も残ります。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  CDと同メンバーによるライヴですね。


Era (2012年)
再びメリハリのある機能和声のフィルム・ミュージック的サウンドです。いかにも的な明瞭な旋律、演奏時間も20分程度と委嘱に応えるところが人気の元でしょうか。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  好きな指揮者John Storgåds、BBC Symphony Orchestraの演奏です。
  こちらの方がより彫りが深い感じですね。


前回紹介した1990年代の管弦楽集から、更に機能和声方向になっている感じです。「Cello Concerto No.2」には北欧らしい調性の薄さを生かした広がりのある方向も感じられ、派手さを打出したフィルム・ミュージックやマニエリスムなクラシカル音楽の姿になってしまった方向性よりは好みですが。
作曲技法のいかんを問わず中途半端感はぬぐえません。

SACDで音の定位や広がりは素晴らしいのでオーディオ好きの方には向いている感じです。




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オルガ・ノイヴィルト(Olga Neuwirth) の「Akroate Hadal・他 Chamber Music」をアルディッティ・クァルテットとN.ハッジスのピアノで聴く


オルガ・ノイヴィルト (Olga Neuwirth, 1968/8/4 - )
オーストリアの女性現代音楽家でウィーンやサンフランシスコで学んでいますが、何と言ってもIRCAMで電子音楽や音響系を学んでいる事でしょう。その際にトリスタン・ミュライユに師事している事を考慮すれば音楽のスタイルは想定できますね。ノーノとの政治的スタンスについてはコメントできませんが。
室内楽を得意としていますが、近年はより大編成化した音楽やオペラ等のステージ音楽にも傾倒してインスタレーション系のアプローチもある様です。


Chamber Music
1990年代後半の室内楽集になります。
このCDの素晴らしさの一つは演奏メンバーでしょう。Arditti Quartet, ピアノは現代音楽を得意とするお馴染みニコラス・ハッジス(Nicolas Hodges), ヴィオラ・ダモーレは元A.Q.のガース・ノックス(Garth Knox), ヴァイオリンのソロはA.Q.リーダーのアーヴィン・アルディッティ(Irvine Arditti)と豪華です。



Akroate Hadal (1995年), for string quartet
弦楽の前衛ノイズ系ですねバリバリの。特殊奏法も含めてギィギィギギギ、ですw もちろん"間"を生かしたり、パルス的炸裂音であったり、切れる様であったりと表情変化させています。キレキレでアルディッティが好きそう。

Quasare/Pulsare (1995-96年), for violin & piano
ホワイト・ノイズの様な弦、打音、切れ上がるvnに走るpf、それぞれがカオスに塊り、そして離れます。緊張感がありますねぇ。無調混沌の欧前衛らしさ炸裂ですね。サンプリングやテープ等の電子処理に関しては不明です。

 ★ 試しにYouTubeで聴いてみる?

... ?risonanze!... (1996-97年), for viola d'amore
バロック時代の古楽器ヴィオラ・ダモーレ(viola d'amore)のソロ曲です。古楽器ですが特殊奏法を駆使するので面白い響きがあります。ノイズだけでなく、この楽器が持つ共鳴弦をうまく生かした響きを多く取り入れていますね。面白いです。

...ad auras...in memoriam H. (1999年), for 2 violins & wooden drum ad libitum
木製打楽器のアドリブが入るヴァイオリンDuo曲です。小さな羽虫が飛んでいる様な音や耳鳴りの様な音をベースに、パルス的にシャープで奇妙な2vnの短旋律がロンドの様に絡んで入ります。そこに打楽器がリズムを合わせて来る面白さです。パートの再現もあって、ただのカオスから様式・構成の面白さになっています。

incidendo/fluido (2000年), for piano & CD player
技巧系のピアノ曲です。終始技巧的なpfの背後にハムノイズ的な音が控えています。それがピアノの中に配置されたCDプレイヤーからのオンド・マルトノの音です。ただプリペイド・ピアノの様な音色はないので具体的な置場所は不明です。ニコラス・ホッジスの技巧が楽しめるのもポイントでしょう。

settori (1999年), for string quartet
一曲目に近いですが、楽器間でのホモフォニー的な要素が感じられます。様式回帰もノイヴィルトの推移の一つの方向性と思いますが、前衛全体としても多様性化の流れがあるので時代の潮流なのでしょうね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  Ivana Jasava (vn), Aija Reke (vn), Samuel Kelder (va), Stephen Marotto (vc), の演奏です。Arditti Quartetに比べるとおとなしい静方向の演奏です。


前衛ノイズ系ベースに緊張感と技巧、静と烈、といった対比を見せるカオスです。空間的な"間"も感じられ、これぞ欧エクスペリメンタリズム現代音楽の楽しみでしょう。"わけのわかんない"現代音楽を王道で聴いてみたい人にもオススメ!?

最近の楽風はさらに変化しているので、そのうちインプレしないといけませんね。




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プロフィール

kokotonPAPA

Author:kokotonPAPA
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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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