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アルベルト・ポサダス(Alberto Posadas)の「Glossopoeia・他」を聴く


アルベルト・ポサダス
(Alberto Posadas, 1967 - )
マドリッドの音楽院で習ったスペインの現代音楽家です。二つの方向性があり、一つは数学をベースとしてフラクタル理論やトポロジー変換の様な変移性の技法を用いている事。もう一つはエレクトロアコースティックや空間音響系音楽で、IRCAMでも電子音楽を学んでいます。
この経歴だけで欧州エクスペリメンタリズムと見事にわかりますね。


Oscuro abismo de llanto y de ternura, Nebmaat, Cripsis, Glossopoeia
室内楽集になります。いずれもIRCAM絡みで、演奏もアンサンブル・アンテルコンタンポラン(Ensemble intercontemporain)とういうのが特徴的でしょうね。一番の問題は実は4曲目です。構成から見て"インスタレーション系"である事に違いありません。さてCDでどこまで味わえるのか…
それ以外は指揮者が存在して、フランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth)ですね。興味深いでしょ!!






Oscuro abismo de llanto y de ternura (2005) for ensemble
29人という大編成の室内楽曲で、ポサダスとアンテルコンタンポランの初共演作だそうです。空の中に現れるノイズ、時に静的であり時にクラスター的、で無調の混沌です。明らかな特殊奏法は感じられませんが、ストレッチされたロングトーンにトリル・トレモロ、グリッサンドが絡み、打楽器がポリリズムを刻みます。楽器編成が多彩なので表情も多彩なカオスですね。無調混沌の緊張感が空間に蠢く空間音響系のサウンドです。


Nebmaat (2008) for quintet
バスクラ、チェロ、ヴァイオリン、ソプラノサックス、ヴィオラという五重奏曲です。少しテンポ設定が速めで楽器編成が少なくなったのでコンパクトな感じになっています。ロングトーンの共鳴を感じさせる静的パートが印象的で、そこにトリル等の速い流れが時折挟まれています。
エジプトにインスパイアされたそうですが、さて??


Cripsis (2007) for ensemble
15人編成の室内楽で、緊張感が漲ります。それは明確なポリフォニー感が設定されているからでしょう。もちろんロングトーンの静音パートではいつもの空間系ですが、特徴的なのは音の展開を持った楽器同士の無調ポリフォニーですね。これが一番面白いかもしれません。


Glossopoeia (2009) for 3 dancers, 4 musicians, video and electronics
バスクラ、パーカッション、ヴィオラ、チェロの四重奏曲+エレクトロニクスですが、大事な"ダンサー"と"ビデオ"がCDでは味わえません。例によってロングトーンとトリル・トレモロの組合せですが、刺激性が強く感じられます。パルス的な音使いがされているからでしょうか。トリル・トレモロは"ダンス"をイマジネートさせるものもありますが、なにぶん視覚反映はありませんから…
この曲が表情変化は一番大きい事ですが、確実に言えるのは 本来ダンサーとビデオ映像が使われるインスタレーション現代音楽ですからCDでは本当の姿がわからない事でしょう。

 ★試しに動画で観てみますか?
  エレクトロニクスの印象がやや異なり、一部カットがあります。
  振付はRichard Siegalになりますね。




ロングトーンとトリル・トレモロを基調とした無調混沌の空間音響系音楽ですね。今の時代の欧前衛の一つの主流でしょう。

なおかつ約10年前にインスタレーションとしてCD化されていた事実も素晴らしいですね。



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米現代音楽 Bang On A Can の『The Carbon Copy Building』を聴く


Michael Gordon, David Lang, Julia Wolfe
(マイケル・ゴードン、デイヴィッド・ラング、ジュリア・ウルフ)
CDのクレジットは"Bang On A Can"(以下BOAC)ではなく創設メンバー三人になっています。でも、BOACのHPにも載っていますし、レーベルも"Cantaloupe"ですから事実上BOACのアルバムでしょう。
ただ演奏がBOAC All-Starsではないからなのでしょう。演奏はクァルテットで、John Benthal(E-Guitar), David Cossin(perc.), Martin Goldray(Keyboards), Bohdan Hilash(cl)になります。(D.Cossinは唯一BOAC All-Starsメンバーですが)

このブログ一押しの米現代音楽[組織]BOACについては数々インプレしているので、過去記事を参照下さいね ▶️ 例えば 'こちら'

♬ 現代音楽CD(作曲家別)一覧 にも入っています



The Carbon Copy Building (2006年)
米N.Y.のcomic-strip(新聞等掲載の漫画)作家ベン・カッチャー(Ben Katchor)脚本と絵による"コミック・ブック・オペラ (Comic Book Opera)"です。

『1929年に表通りに出来たビル"The Palatine"、それを元に20ブロック離れた路地に建てられたカーボン・コピーのビル"The Palaver"、そこに関わる人達(経営者、ビル管理人、従事する人々、他)の不満や葛藤の話です。69年後、両方のビルは依然として存在していましたが、華やかな"The Palatine"と寂れた"The Palaver"の差は歴然。後者では建物や管理者、テナントの軋轢が増しています。
そんな中、リニュアルを企てるEmetine(The Ichor Foundation社長)は思わぬ訪問客を迎え高級レストランで誕生日の満ち足りた時を過ごしました。デザートのチェリー・チーズケーキは配慮で届けられる事に。その届け先と添えられた言葉は…』

構成は全16シーン15曲になりますね。







①Opening Slide Lecture ②*The Palatine Building ③Early Birds ④Chewing Gum ⑤At Dusk ⑥Where Is That Boy ⑦City Walk ⑧Panel Review ⑨I Blame The Tenants ⑩Emetine And The Palaver Manager ⑪Delivery Boy Biography ⑫August 13th ⑬Cherry Cheesecake ⑭Funeral March Of The Unfinished Desserts ⑮Closing Slide Lecture

音楽
elec-ギター, パーカッション、キーボード、クラリネット、という楽器構成を生かした"いかにもBOAC"らしい米現代音楽ですね。というわけで、基本はミニマルになります。不安定な不協和音を交えたり、ジャズの風合いにしたり、バラード風と曲ごとの表情変化は豊かです。でも個々の曲は良い意味でフラット、全体としての完成度を高めていますね。
個性を見せるのは②*のポップベース曲のロック、そして特徴的無調のポリフォニーで歌も一連となった⑤、無調歌曲⑩でしょうね。
* ②だけがM. Gordon作との情報もありますが…



まず個性的に聴こえるのは、歌詞の一つ一つの英単語を明瞭に発音している事でしょう。それによって感情表現は完全に抑えられて演奏同様にvoice楽器の様です。一般的なオペラの様に歌手が際立つ主役という感じではありません。
楽曲としては⑤の無調ポリフォニーの歌は斬新さと難しさを感じさせますね。


ステージ
 ★まずはYouTubeで観てみる?
  "シーン9 楽曲⑧"になります ("Scene8"は記述ミスですね)


ステージにはカッチャーの画像がプロジェクション・マッピングされて、動きは最小限、歌い方も抑揚を抑えている事がわかりますね。



抑えた演技に曲も特にオペラらしさはなくBOACサウンド、舞台にはPMでカッチャーの漫画が写さ出されます。オペラですがインスタレーション現代音楽という見方も出来るでしょう。

TheCarbonCopyBuilding.jpg

ジャケットは変則サイズ書籍風で画像にText入り、CD面は漫画だけで何の表記もないとう面白さです。思い出してはページをめくりながら絵と会話を楽しめる おすすめの一枚です。


ストーリーと歌詞がわからないと楽しさは半減以下になってしまいます。中には歌詞などわからなくても音楽だけで十分楽しめるという方もいらっしゃる様ですが、不器用な自分には難しいです。^^;





テーマ : クラシック
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アンナ・ソルヴァルドスドッティル(Anna Thorvaldsdottir) の室内楽「AEQUA」を聴く


アンナ・ソルヴァルドスドッティル
(Anna Thorvaldsdottir, 1977/7/11 - )
このブログではおなじみでおすすめのアイスランド人女性現代音楽家のA.ソルヴァルドスドッティル(Anna Sigríður Þorvaldsdóttir)です。若手と思っていましたが、今や中堅になりましたねぇ。
UCLAサンディエゴ(UCSD)で習い博士号(Ph.D)を取得し、米国(Lincoln Center's Mostly Mozart Festival 等)・欧州(ISCM World Music Days 他)を活躍の場としています。2015年にはNew York Philharmonic's Kravis Emerging Composerにも選ばれていますね。

作風は暗く陰湿なドローンも含む空間音響系で、特殊奏法もその方向で使われています。


AEQUA
室内楽集になりますね。本人曰く、楽曲は自然からのインスパイアであり、構築物全体とその構成パートの対比があるそうです。というわけで?ソロ曲から編成の大きなチャンバー・ミュージックのコントラストが付けられていますね。

演奏は米現代音楽アンサンブルの"インターナショナル・コンテンポラリー・アンサンブル(International Contemporary Ensemble)"+α になります。






Scape (2011), for piano
ピアノ・ソロ曲です。特殊奏法も含めて静的空間に音が分散します。低音の単音は残響音を生かしているのも特徴的ですね。暗い海に彷徨う深海魚の様です。ラストは電子ノイズが残ります。


Spectra (2017), for violin, viola & cello
弦楽三重奏曲です。民族和声を微かに感じる調性感の薄い陰湿スローの緩徐曲です。旋律があるので余計に鬱な雰囲気が伝わりますね。中盤ではテンポを上げて特殊奏法も交え無調の音世界に入ります。全体構成はソナタ的で美しさも感じますね。ここでも最後にノイズを残します。


Aequilibria (2014), for large chamber ensemble
上記"Spectra"の気配を残しながら、年代は逆ですが、アンサンブル曲にした様な気配です。スローに渦巻く暗がりの様な空間音響系になり、時折その中に光が差し込みます。宇宙空間の様な曲調で、ドローンになるでしょうか。


Sequences (2016), for bass flute, bass clarinet, baritone saxophone & contrabassoon
管楽アンサンブル作品ですね。特殊奏法を用いた幽玄な楽曲です。基本は暗さですが、低音反復が入って陶酔的な流れを感じますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


Illumine (2016), for 3 violins, 2 violas, 2 cellos & 1 double bass
弦楽アンサンブルです。前の"Sequences"に比べると出し入れの表情変化があります。とは言え刺激的な流れではなく、あくまでスローの中に色を添える感じですね。


Reflections (2016), for violin, viola & cello
いかにも的なグリッサンドが使われ、静的空間にチョロチョロと小生物が出現するかの様です。少々古臭さを感じるでしょうか。


Fields (2016), for bass clarinet, percussion, piano, electric guitar, cello & double bass
楽器構成が興味深いアンサンブル曲で、旋律が存在して暗く美しい感情が現れています。それまでの曲にも美しさは顔を覗かせていましたが、ここでは大きくフィーチャーされていますね。調性との多様性は今の現代音楽の主流をなしていますから、一番今の時代らしいと言って良いかもしれませんね。楽器構成も生きています。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



もちろん無調前衛で、全体を通して暗くスロー、刺激を回避した流れです。以前よりも曲調の固定化が強まっている感じがしますね。ラストに特徴付けを残すのも目立ちます。

聴きやすい傾向にあると思いますが、この先A. ソルヴァルドスドッティルがどの様な方向へ向かうのか興味は尽きませんね。



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ジョエル・グラール(Joël Grare) のパーカッションアルバム『雪に隠れた足跡』を聴く


ジョエル・グラール
(Joël Grare, 1961 - )
フランス人のパーカッショニストで現代音楽家のグラール、期待値の高いアルファ・レーベルからソロ第三弾になりますね。
1900年代初頭のフランス音楽や、シルクロード、ロシア民族音楽、そしてハープシコードの古楽といった方向性を持っています。その後世界を眺望する様になり、各民族打楽器を基調とするパーカッション曲を展開する様になりましたね。


Des Pas Sous La Neige
雪に隠れた足跡
今回はその打楽器群を生かすアルバムにになっていて、タイトル曲を含めた本人の15楽曲以外にバルトークの「ルーマニア民俗舞曲」より第1.2.3番も使われた小曲集になります。

使われている打楽器は以下ですね。
クラヴィクロシュ(鍵盤状の鐘), サンツァ(アフリカの音階を持つ打楽器), カウベル, トゥパン(ブルガリアの太鼓), トロンピキ, チェンバロ, 和太鼓, ポジティヴ・オルガン(小型パイプオルガン)






まずは一曲目のタイトル曲、美しい鐘の音色とその響き・共鳴の音楽です。曲調は静的で反復のミニマル系ですね。そう言われると皆さん頭に浮かぶ音楽があるのではないでしょうか。そうA.ペルトに似ているというのが第一印象です。
とは言え すぐに違いを感じられて、パーカッショニスト作品らしい陶酔的なリズムも太鼓系打楽器で現れたり、フュージョン風サウンドやドローン系も展開されます。
ベースはアンビエント系ミニマルで括れるのではないでしょうか。その中で色々な表情を見せてくれますが、和声は調性から逃れる事が無いのが残念ですね。唯一調性感の薄さを見せたのは11曲目「Cloches Vespérales (À Emmanuel Guibert)」ですね。
 バルトークの三曲もクラヴィクロシュ(第1番), ポジティヴ・オルガン(第2番), チェンバロ(第3番)を使っていますが、バルトークらしい神秘的民族和声がアンビエント色に薄まっている感じです。第3番に良さが残されているでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  アルファ・レーベルのオフィシャルPVです




基本はポスト・ミニマルのアンビエント色合いでしょう。表情(曲調)は豊かですが、心地よい打楽器BGMと言った風合いですね。

斬新さは感じられませんが…



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アルノルト・シェーンベルク(Arnold Schönberg)『ヴァイオリン協奏曲 Op.36』4CD聴き比べ:名盤がありますね


アルノルト・シェーンベルク
(Arnold Schoenberg, 1874-1951)
言わずと知れたシェーンベルク、初期前衛時代と合わせてちょっとだけおさらいです。
後期ロマン派の最終期とも言える時期の傑作から始まり、1910年くらいに前衛の原点"無調"作品を世に送りました。そして"無調"に新しい音楽理論を当てはめた"十二音技法"を確立したのが1920年くらいなわけですね。
ただシェーンベルクは無調ですが調性に近い楽風を保持する様になり、1934年の渡米で更に調性回帰的になっています。
音楽理論的な前衛を推し進めたのは弟子で新ウィーン楽派の一人アントン・ヴェーベルンのトータル・セリエリズムであり、その流れを主流とした「ダルムシュタット夏季現代音楽講習会」をベースにシュトックハウゼン/ノーノ/ブーレーズが時代を支配して1970年代の"前衛の衰退"へまっしぐらに突進した訳ですね。


ヴァイオリン協奏曲 Op.36 (1934-1936年)
ヴェーベルンに献呈された渡米後の作品で、十二音技法で書かれていそうですが聴いただけではわかりませんねw
好きなヴァイオリン協奏曲の一つで、バリバリの超絶技巧曲。かつ30分以上殆ど弾きっぱなしの様なヴァイオリニストにはタフな楽曲です。曲調は年代からいっても新古典主義的な印象になり、聴きごたえがあって素晴らしいですね。
同じ新ウィーン楽派ベルクのヴァイオリン協奏曲「ある天使の思い出に (1935年)」とほぼ同年代の作品で、初演もルイス・クラスナーですがシェーンベルクの方が超絶技巧曲のため初演が遅れています。

今回は期待度の高い2019年1月10日のコパチンスカヤ(vn)/大野和士/都響のコンサートを前に予習の聴き比べで、楽章内の構成は少し端折って印象重視のインプレです。




ヒラリー・ハーン (Hilary Hahn : vn)
エサ=ペッカ・サロネン(Esa-Pekka Salonen, スウェーデン放送響)




H.ハーンのvnは朗々と鳴って歯切れも良くバランスの良さを感じます。バリバリの技巧感には少々欠けるきらいはあるかもしれませんが、安定性重視の様な流れです。第三楽章は素晴らしく、リズムに乗った流れは聴かせてくれます。
サロネンのオケも同様に響の良さがあって出し入れもあり、重量感や幽玄さではなく交響曲的な印象をうけました。全体の印象は明瞭さ、陰のない明るさのサウンドを響かせてくれましたね。この曲としては何か一つ尖ったものが欲しかった気もします。




ピエール・アモイヤル (Pierre Amoyal : vn)
ピエール・ブーレーズ(Pierre Boulez, ロンドン交響楽団)




アモイヤルのvnは繊細で細い切れ味を感じ、鋭利な刃物の様ですね。細く冷たい音色は好きなvnの音色で、引いた感じの時も鋭いキレを感じます。グリグリとヴィルトゥオーゾを魅せるのではなく、やや引き気味で神経質・繊細・切れ味のvnです。第二楽章の神秘さは光りますね。最後のカデンツァはキレキレです。
全体的には"静"の緊迫感のオケは流石はブーレーズといった感じです。その中にディナーミクの振りで陰影付けがされて幽玄さを感じますね。手を触れたら切れそうな鋭いコンチェルトで好きな一枚です。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




ズヴィ・ザイトリン (Zvi Zeitlin : vn)
ラファエル・クーベリック(Rafael Kubelík, バイエルン放送響)




ザイトリンのvnは細からず太からず、キレ過ぎず伸び過ぎず、な印象です。常に落ち着いてクールですね。この演奏だけを聴けばすごくキレキレに感じるでしょうが、それはこの曲の本質ですね。印象的なのは第一・第三楽章終盤のカデンツァと多少緩徐的な第二楽章の落ち着きでしょうか。それがザイトリンらしい美しさを奏でている感じですね。
クーベリックとオケの方が引いては押しといった多少表情のある演奏を繰り広げて、揺さぶりもかけている様な感じです。ただこの曲としては行儀が良く、vnが少しスマート過ぎに感じますね。




クリスティアーネ・エディンガー(Christiane Edinger:vn)
ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, Saarländischen放送響)



BrunoMaderna-Schoenberg-arkadia.jpg
(ジャケット写真です)

上記3CDとは一線を画す強烈な演奏です。エディンガーのvnは表情濃く、彫りの深い演奏です。オケとの録音レベルでもvn主導的になっているのもあるかもしれませんが、第一楽章の導入部からキレキレです。いかにもヴィルトゥオーゾ的で、これ見よがしなスタンスが心地よいですね。カデンツァは揺さぶりが強くキレキレ。このパターンに遠慮は無用でしょう!!
マデルナのオケもまさに協奏的にvnに絡みます。振りの大きなディナーミクとアゴーギクのマッチはまるでDialogue、両者のせめぎ合いの様なやりとりが強烈。素晴らしいですね。

「ペレアスとメリザンド」や「浄夜」を含むマデルナの尖がったシェーンベルク集(2CD)で、所有している全CD中でも個人的名盤。指折りのお気に入り盤で超おすすめ盤になります。現代音楽家としても素晴らしいですが、シェルヘンに師事した指揮者のマデルナは最高です。唯一の問題は入手困難な事ですが…




クールな演奏が好きな方はザイトリン(vn)/クーベリック、バランスの良さならハーン(vn)/サロネンですね。

おすすめは、研ぎ澄まされた先鋭さのアモイヤル(vn)/ブーレーズ と 豪快キレキレのエディンガー(vn)/マデルナ。でも、何をおいても圧倒的に素晴らしいのがエディンガー(vn)/マデルナ盤です。

年明けのコパチンスカヤはこれ以上の出来も期待できそうで、楽しみですね。
[後日記] その結果は? ▶️ こちら




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コリン・カリーとホーカン・ハーデンベルガー の『The Scene of the Crime』を聴く


Colin Currie (perc.)
Håkan Hardenberger (tp)
コリン・カリーと言えば浮かぶのはスティーヴ・ライヒとのパーカッション・マッチアップでしょう。2017年3月の「Steve Reich 80歳記念公演」での好演が浮かびますね。
このアルバムは本人のパーカッションを主体としたレーベル"Colin Currie Records"第二弾です。

ホーカン・ハーデンベルガーはマルメ出身のスウェーデン人トランペット・ヴィルトゥオーゾですね。バロック・古典から現代音楽初演まで数々のバリエーションを残しています。行っていませんがソリスト来日もありますね。

二人のヴィルトゥオーゾによる現代音楽ですが、中堅・ベテラン勢による作品を並べた感じです。







アンドレ・ジョリヴェ (André Jolivet, 1905-1974)
本CDで唯一20世紀に生きたフランス人現代音楽家で、個人的な印象は「赤道コンチェルト」に代表される劇的な展開ですね。

Heptade
 ジョリヴェらしい曲調の、実際には曲調の幅は広いのですが個人的に、明瞭なサウンドです。調性の音楽ですが、インパクトがあってtp/perc.のコントラストが良く、独特の和声と鳴りの良い響が特徴的ですね。とても聴きやすいと思います。




ジョー・ダデル (Joe Duddell, 1972- )
マンチェスター生まれの英人音楽家で指揮者、ロックにも精通していますね。歳は上ですが、コリン・カリーの生徒だった様です。

Catch
 マリンバとフリューゲルホーンのミニマルで、アンビエントな楽風になっていますね。反復・変奏の基本となる動機自体がアンビエントになっているので、強音・弱音共に流れを損なう事はありません。美しい楽曲です。




トビアス・ブロシュトレム (Tobias Broström, 1978- )
ヘルシンボリ生まれのスウェーデン現代音楽家で、マルメ音楽院でパーカッションを、作曲をR.マッティンソンとL.フランチェスコーニに師事しています。この曲は二人の奏者に献呈されていますね。

Dream variations
 The Dream - Mirror - Déjà vu の3パート曲です。パーカッションはカウベルやヴィブラフォン等を使っていますが、曲の流れはタイトル通りに幻想的・瞑想的でスロー基本になりますね。




ダニエル・ベルツ (Daniel Börtz, 1943- )
スウェーデンを代表する現代音楽家の一人で、作曲はH.ルーゼンベリ、K-B.ブロムダール、I.リドホルムといった大物に師事しています。

Dialogo 4 - Ricordo
 30"に渡るほぼ無音から細い超静音の音色がクレシェンドしてきます。ミュートtpとヴィブラフォンの音色が絡みながらパーカッションが打音を挟み、曲調は激しさを増してtpとパーカッションDuoになります。無調で先鋭な楽風が楽しめます。強烈なヴィルトゥオーゾ性があればもっと良かった様な。




ブレット・ディーン (Brett Dean, 1961- )
オーストラリア人現代音楽家で、ヴィオラ奏者としてBPOにも在籍していましたね。活動の拠点はオーストラリアです。2017年のマルメ室内音楽祭の委嘱作品で二人に献呈、初演されていますね。

… the scene of the crime …
 無調でスローですが陰湿な暗い流れから入るのがここまでの楽曲との大きな違いです。そこからリズム変化を加えてテンポアップで表情を変化させてきます。静かな中に暗い緊張感が漂う面白い流れで、一番面白いですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?




二人のヴィルトゥオーゾ披露というよりも、作曲家の曲調を生かしたアルバムという感じですね。概ね穏やかで洗練されたBGMとしてもいいかもしれません。

個人的には二人のヴィルトゥオーゾの丁々発止的な競演を味わいたかったのですが、そこが残念な気がしてしまいます。




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B.A.ツィンマーマン「"Monologues" for two pianos」聴き比べ | コンタルスキー兄弟 vs エンリサ/シュフDuo


Monologues, for 2 pianos (1960-64年)
ベルント・アロイス・ツィンマーマン (Bernd Alois Zimmermann, 1918-1970)
B.A.ツィンマーマンは今までに数多くインプレ**しているので紹介は割愛です。ピアノ・デュオとオーケストラのための『Dialogues』(1960年) のピアノ・デュオ曲版として本人によりトランスクリプションされた曲ですね。
中期から後期に入るこの作品の後に、傑作「兵士たち (1965年)」と「ある若き詩人のためのレクイエム (1969年)」が世に送り出される事になるわけで、興味深いですね。

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今回はトルコ人ピアニスト:ギュルル・エンサリとルーマニア生まれでドイツのピアニスト:ヘルベルト・シュフのピアノ・デュオが同曲をリリースしたので、鉄板のコンタルスキー兄弟と聴き比べしてみようと思います。



ギュルル・エンサリ/ ヘルベルト・シュフ
Gülru Ensari / Herbert Schuch

ケルン在住のお二人はご夫婦だそうで、B.A.ツィンマーマンの生誕100周年としての選曲とか。(その年に亡くなったドビュッシー没後100年でもあります)
このピアノ・デュオ アルバム『DIALOGUES』にはドビュッシーとモーツァルトのDuo曲も入っていますが、直接B.A.ツィンマーマンの引用に使われている曲ではありません。




 "Hommage à Claude Debussy" とある通り、ドビュッシーへの5パートのオマージュ曲です。実際に"花火 (Feux d'artifice)"の引用が#4と#5のMonologuesに使われています。

点描音列配置をツィンマーマン風にしたMonologues I、それを炸裂的にコントラストを付けた II、強コントラストで暗い印象の III、ドビュッシー色の混沌 IV、ドビュッシー色に強烈さのコントラストが増す V、といった流れです。中期のセリエル時代作品の楽風で 圧倒的に最後の"Monologues V"がいいですね。
#2, #3, にモーツァルト、#4, #5にドビュッシーの引用が挟まれています。と言うかオマージュという通り、後半は新しいドビュッシー像?!の様です。
演奏は全体的に柔らかさを感じ、もっとバリバリに強音を弾いた方がB.A.ツィンマーマンらしい気がしますね。




コンタルスキー兄弟
Alfons & Aloys Kontarsky

ドイツ人兄弟ピアニスト・デュオ、兄のアロイスと弟アルフォンスですね。現代音楽で言えば、ダルムシュタット夏季現代音楽講習会での講師で長年活躍し、数々の初演をこなしてきました。20世紀を代表するピアノ・デュオでしたね。
本アルバムはコンタルスキー兄弟によるB.A.ツィンマーマンのピアノ曲集(二重奏曲・三重奏曲あり)になります。




I. ではより表情を深くタッチに彩りがあります。II. でも切れ味と激しさをディナーミクとアゴーギクで表現、引用パートの美しさも聴かせます。III. も響きの良さと間の取り方が素晴らしく引用は混沌化、IV. ではドビュッシー色というよりも前衛表現的です。V. も静と烈のコントラストを明瞭に打ち出してドビュッシーの引用ながら、より現代的な透明感と切れ味の流れです。
テクニック的にも表現的にも激しさと美しい透明感の見事なコントラストが際立ちますね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?




セリエルを基にしながら、引用やトリルといった約束無視の強烈さ、まさにB.A.ツィンマーマンの魅力が詰まっていますね。
圧倒するコンタルスキー兄弟の演奏は、楽曲に磨きをかけて素晴らしい充実密度です。エンサリ/シュフは同CDのモーツァルトの様な軽快な流れを心地よく弾くパートに良さを感じました。

柔らかい表現のギュルル・エンサリ/ヘルベルト・シュフ、激しさと静美のコンタルスキー兄弟と言った感じでしょう。




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Lindquist - Hosokawa - Sørensen - Norderval | Trondheim Sinfonietta の「MANTRA」を聴く


MANTRA
Trondheim Sinfonietta
1998年にノルウェーで設立された現代音楽アンサンブル"トロンハイム・シンフォニエッタ"の創設20周年記念アルバムで、興味深い四人の現代音楽家の作品を集めていますね。
指揮は、作曲家としても活躍するノルウェーのカイ・グリンデ・ミューラン(Kai Grinde Myrann)です。






細川 俊夫
(Toshio Hosokawa, 1955- )
今更紹介不要の細川さんですが、個人的には近年のオペラ作品にとても魅力を感じています。今回は少し古い室内楽ですね。

Drawing for eight players (2004年)
 fl, ob, cl, pf, perc, vn, va, vc, の室内楽です。静的ドローン風の流れが基本構成ですから、ロングトーンの響きですね。そこに煌めきを加える様に各楽器が絡み、響きは増して空間を占める様になります。なんとも言えないこの美しさこそ細川さんのサウンドで、やっぱり素晴らしい!

 ★試しにYouTubeで観てみる?



ベント・セアンセン
(Bent Sørensen, 1958- )
デンマークの現代音楽家で、イブ・ ネアホルムやペア・ノアゴーに師事しています。オペラを始め管弦楽や室内楽と広く作曲活動をしていますが、残念なことに電子音楽には手をつけていません。欧前衛とは一線を画す北欧系現代音楽の姿勢ですね。

Minnelieder – Zweites Minnewater for chamber ensemble (1994年)
 『愛の歌 - 第二の愛の湖』もちろん無調ですが、トリル・トレモロのミニマルがベースにありそうで、その全体の流れが波を打つ様にうねった変化をし、とても面白い曲になっています。各楽器も協調性はありますが、基本ポリフォニーで北欧ポスト・ミニマルでしょう。



エレン・リンドクヴィスト
(Ellen Lindquist, 1970- )
北米と欧州で活躍する米人女性現代音楽家ですね。ソロから室内楽、管弦楽や歌曲と幅広い活動ですが、特徴的なのはダンスや詩を交えるパフォーマンスにあります。インスタレーションへの移行もありそうですね。

Mantra Concerto for gamelan and sinfonietta (2016年)
 CDタイトルナンバーで副題の通り「ガムランとシンフォニエッタのための協奏曲」です。静的な空間を使い「ガムラン=バリ民族音楽」の印象をうまくコントロールした空間音響系の現代音楽です。ガムランも空間の中に響きを作る一つのperc.楽器として使われていて、その旋律にバリ民族音楽和声が使われていても気になりませんね。



クリスティン・ノーダーヴァル
(Kristin Norderval, 1957- )
米女性現代音楽家にして前衛即興パフォーマンス活動家で、ニューヨークの"Ensemble Pi"のメンバーとしても活躍しています。声楽を得意として、前衛電子音楽との組み合わせに特徴があります。

Chapel Meditation for voice and plucked piano (2001年)
 即興で作られた曲で、スロー&シンプルなヴォーカリーズとピアノのDuo曲です。ピアノは弦を直接弾きます(plucked)が単音残響です。「礼拝堂の瞑想」とある通りでインド的な民族和声を使い、まさにインドの寺院で瞑想しているしているかの様です。




現代音楽アンサンブルと言ってもノイズやクラスターの前衛混沌ではなく、ドローンや空間音響といったアンビエント系の現代音楽ですね。民族音楽和声も取り入れていますが、うまく消化できている感じで違和感がありません。
騒々しさは無く、静的陶酔感もあるのでBGMとして流しておくのも'あり'のおすすめの一枚です。




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ベルトルト・ゴルトシュミット(Berthold Goldschmidt) の「The Goldschmidt Album」を聴く


ベルトルト・ゴルトシュミット
(Berthold Goldschmidt, 1903/1/18 - 1996/10/17)
先日もデッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズの「The Concertos」を紹介しましたが、もう一枚同シリーズでの所有がありました。

今回はゴルトシュミットの三つの作曲年代、①在ドイツ時代、②イギリス亡命後、③1982年作曲再開後(1958年からの活動休止)、から①と③です。前回は②の1950年代作品集だったので、これでゴルトシュミットの全貌ですね。


The Goldschmidt Album
1930年代までの初期作品と、1990年代終盤期作品です。前衛時代背景は前回アルバムの1950年代の前衛セリエル真っ盛りから、今回はその前後。前衛黎明期と多様性時代で興味深いです。

ライナーノートには「Berthold Goldschmidt talks about his life and music」の質問形式の語りがあり、ブゾーニやシェーンベルクに習った事、前衛や十二音技法の影響、ショスタコーヴィチとの対面、等々語られています。


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Passacaglia, Op.4 (1925年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle (cond.)
多少の調性の怪しさを感じるものの、後期ロマン派の流れを感じますね。無調に入る前のシェーンベルク的と言ったらわかってもらえるでしょうか。この時代らしいのかもしれませんね。
本人はバッハのパッサカリアの影響であり、ヴェーベルンのパッサカリアは知らなかったとの事です。


Comedy of Errors - Overture (1936年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Berthold Goldschmidt本人 (cond.)
シェークスピアのコメディにインスパイアされた、より機能和声的な前奏曲です。もちろん怪しげな、大した事はありませんが、旋律感とショスタコーヴィチ色を感じますね。


Ciaconna sinfonica (1936年)
City of Birmingham Symphony Orchestra, Simon Rattle (cond.)
三楽章形式です。上記二曲を合わせた様な印象で、前回紹介も含めて この辺りがゴルトシュミットの作風と感じますね。


Chronica (1932-1985年)
Sinfonieorchester Komische Oper, Yakov Kreizberg (cond.), Timothy Hutchins (flute), Janet Creaser Hutchins (piano)
アンチファシストのバレエ曲としてドイツで1932年に書かれて、1985年に委嘱作品として完成させたそうです。
楽風はショスタコ風のままで、本人もアンチ・ロマン派的なスタンスに影響を受けたと言っていますね。展開感がやや平板で長く感じます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  part1 Passacaglia のみです(3'弱)



Les Petits Adieux (1994年)
Montreal Symphony Orchestra, Charles Dutoit (cond.), François Le Roux (baritone)
四人の詩人のTextを使ったバリトンの歌曲ですね。1990年代に入り、強烈なショスタコ色は無くなっています。代わりに調性回帰が強く、時代が逆戻って後期ロマン派の歌曲の様です。どこかで聴いた様な…っていう感じでしょうか。


Rondeau (1995年)
Berlin Radio Symphony Orchestra, Berthold Goldschmidt本人 (cond.), Chantal Juillet (violin)
室内楽風の単一楽章ヴァイオリン協奏曲ですね。ここでも後期ロマン派的な流れに終始します。旋律感も強い流れで調性を超える様な和声は殆ど感じません。21世紀を目の前にどうしたのでしょう、マニエリスムと言うにしても?!って感じです。



主たる楽風がショスタコーヴィチの影響下にあった事が明瞭にわかるアルバムですね。
極初期と最後は類似的で特徴が薄い事もわかり、この一枚で全体像が見えるかもしれません。本人の言葉通りで前衛には組みさなかったと言う事でしょう。




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ジャンル : 音楽

カロル・ラートハウス(Karol Rathaus) の「交響曲 第1番, 最後のピエロ」を聴く | デッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズ


カロル・ラートハウス
(Karol Rathaus, 1895/9/16 - 1954/11/21)
ウィーンでF.シュレーカーに学んだユダヤ系オーストリア人近現代音楽家ですね。旧オーストリア=ハンガリー帝国生まれで、ナチスに退廃音楽の烙印を押されてドイツ(ワイマール)から逃れパリ、ロンドン 最後はニューヨークで活動していました。
楽風は前衛ではなく、映画音楽も手がけて20世紀初頭の最後の後期ロマン派末裔でしょうか。


Sinfonie Nr. 1, Der letzte Pierrot
前回に続きデッカ退廃音楽(DECCA Entartete Musik)シリーズから、ラートハウス初期の修行時代の作品です。得意とする交響曲とバレエ音楽ですね。
演奏はイスラエル・イーノン(Israel Yinon)指揮、ベルリン・ドイツ交響楽団(Deutsches Symphonie-Orchester Berlin)です。






交響曲 第1番, Sinfonie Nr. 1 Op.5 (1922年)
二楽章形式です。幽玄な美しい旋律には若干の不協和音がありますが、所謂(いわゆる)現代音楽感はありませんね。少しクラスター的な管楽器の響きを重視している第一楽章、やや不安定な流れで緩徐的な第二楽章。現代音楽的イメージがあるとすれば、印象的な主題・動機といった明確さがない事でしょう。


最後のピエロ, Der letzte Pierrot Op.19 (1927年)
全三幕のバレエ音楽です。5年間での楽風変化は少なく、バレエ曲という事で単一楽器のソロ・パート表現が増えているのが特徴的でしょう。そしてそれが調性を強く感じさせて聴き易さを感じさせますね。当然表情変化も大きく取られているので展開感があり、こちらの方が楽しめると思います。ストラヴィンスキーの影響を取りざたされますが、従来音楽の延長線に感じられますね。

 ★ 試しにYouTubeで観てみる?
  第二楽章ピアノver.です。ピアノ・アレンジはラートハウス本人ですね。




時代背景(1920年代)は、無調から十二音技法が生まれてセリエルに向かう前衛黎明期でしょう。この時代のクラシック音楽らしく、多少の不協和音(調性拡張のための無調?)と象徴的な旋律を作らない流れです。もちろん前衛現代音楽とは無縁ですが、怪しげに聴こえるかもしれませんね。

前衛現代音楽の対抗がマニエリスム(調性回帰)だとすれば、そこにも入らず時代の折衷的象徴の感じですね。でもバレエ曲は悪くないので、中後期作品も聴いてみたくなりました。



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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。




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