クルト・ヴァイル(Kurt Weill) の Symphonies Nos.1 & 2 を聴く


クルト・ヴァイル (Kurt Weill, 1900/3/2 - 1950/4/3 )
ユダヤ人音楽家ヴァイルは20歳でフェルッチョ・ブゾーニに師事している事やマーラーやストラヴィンスキーに影響を受けている事からもわかる通り、近代音楽からの流れであり(前衛)現代音楽ではありません。
1920年代後半からは「三文オペラ」の成功と共に劇音楽で人気を博します。しかしナチス迫害から逃れるためパリ、そしてニューヨークへ移り米ミュージカル作品を作っていますね。
ジャズのスタンダード「マック・ザ・ナイフ」は三文オペラからの曲ですし、トム・ウェイツやデヴィッド・ボウイもヴァイルの影響を受けていると言われています。


Symphonies Nos.1 & 2
交響曲第1番はブゾーニ師事時代の初期作品、交響曲第2番はパリ亡命中の作品になります。ヴァイルが作った交響曲はこの二曲ですね。
演奏は個人的には好みの指揮者エド・デ・ワールト(Edo de Waart)、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管の注目盤です。

■ 交響曲第1番 (1921年)
一楽章形式で25'ほどの曲です。調性感は薄く 音の飛躍が認められるので所謂(いわゆる)現代音楽風に感じます。奏法等に特異性はなく前衛ではありませんが、その辺りがヴァイルの初期作品らしさでしょう。中間部もしくは展開部では美しさが感じられますね。
マーラーっぽい旋律とストラヴィンスキー的和声、それを調性を薄めて時代を一歩踏み込んだ流れにしています。その不安定さが好みですね。コンサートでも楽しめそうな感じです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?

■ 交響曲第2番 (1933年)
三楽章形式になります。第一楽章(Sostenuto - Allegro molto)、アレグロ的な流れは第1番でも感じましたが違いは調性感が強まってきる事でしょう。でも独特な不安定感は生きていますね。
第二楽章(Largo)は緩徐楽章です。方向性は同じで第1番でも感じた美しい流れが明確に機能和声への回帰を見せます。
第三楽章(allegro vivace)は文字通り小気味好い軽快さとヴァイルの切れ味が同居しています。この楽章にその後の劇音楽的な流れを一番感じますね。

初期の第1番は1921年らしい時代の流れ『調性からの脱却』を感じられてイイですね。おすすめです!
第2番はより調性への回帰を感じさせていて、ヴァイルらしい管弦楽曲として最後の作品になったのが残念です。
コントラストの良さはデ・ワールトの手腕も一役買っているかもしれませんね。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

アレクサンドル・クナイフェル (Alexander Knaifel) の Chapter Eight / Make Me Drunk With Your Kisses を聴く


アレクサンドル・クナイフェル (Alexander Knaifel, 1943/11/28 - )
旧ソ連の前衛音楽家としてグバイドゥーリナ、シルヴェストロフ、シュニトケらとキャリアをスタートさせましたが、1990年代以降大きく方向変換して宗教を背景にした作品を作っていますね。また多くのフィルム・ミュージックも手がけています。
チェロをムスティスラフ・ロストロポーヴィチ(Mstislav Rostropovich)に師事していて、本作品でもフィーチャーしています。


Chapter Eight / Make Me Drunk With Your Kisses (1993年)
Chapter Eight はチェロとコーラスの曲です。
歌詞は旧約聖書の最終章、The song of songs (The song of Solomon) の引用で、ヘブライ・ユダヤ共に愛の歌ですが、キリスト教では教会とキリストの関係を歌ったそうです。興味のある方はググってくださいね。本質の理解が難しい宗教系には深入りしません。
歌詞はライナーノートに乗っています。(英文あり)



■ "Who is this coming up from the wilderness" ■ "O that you were like a brother to me" ■ "Make haste, my beloved" ■ "You who dwell in the gardens" ■ "Set me as a seal upon your heart" ■ "His left hand is under my head"

賛美歌ですね。チェロはオブリガートで暗いトーン、しゃしゃり出る事は無く口数少なくです。通して曲調は変化に乏しくアタッカ?で繋がっていて、静かにこうべを垂れて聴くといったらわかってもられるでしょうか。"愛の歌"からイメージする様な情感は存在しませんね。
録音もワシントン大聖堂(Washington National Cathedral)で行われて、神聖な響きそのものです。

唯一"Set me as a seal upon your heart"だけはチェロの現代曲パートが存在します。3'ほどの短いパートですが、細い音色でA.ペルトを調性を薄くした様な感じです。

完全な教会音楽、賛美歌です。従ってヴォーカルは基本同一声部のモノフォニー、伴奏的にチェロが入ります。静的で美しい流れ以外の本質は宗教心がないので把握できません、残念ながら。




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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

カレヴィ・アホ (Kalevi Aho) の Concerto for soprano saxophone, Quintet for winds and piano を聴く


カレヴィ・アホ (Kalevi Aho, 1949/3/9 - )
現在のフィンランドを代表する現代音楽家ですね。毎年新譜がリリースされていますね。シベリウス音楽院で習い、北欧独特の多様性で交響曲も含めて協奏曲的に主役楽器を入れた音楽が得意ですね。もちろん前衛でもマニエリスムでもありません。


Concerto for soprano saxophone
Quintet for winds and piano
今回はソプラノサックス協奏曲と室内楽、そして少し古いヴァイオリンソロ曲になりますね。
指揮者は個人的に興味の尽きないヨン・ストルゴールズです。



Concerto for Soprano Saxophone and Chamber Orchestra (2014-15年)
 Chamber Orchestra of Lapland / Anders Paulsson (soprano sax.) / John Storgårds (cond.)
三楽章形式の協奏曲です。一楽章の長い序奏は和楽器の雅楽の様な音色で、その後不協和音と調性感のあるアホの流れになります。曲のイメージはもちろん透明で陰鬱的な荒涼感、スマートなストラヴィンスキーといった風合いです。
ソプラノサックスの音色は違和感なく、第二楽章の緩徐パートでも良い流れです。

Quintet for Oboe, Clarinet, Bassoon, Horn and Piano (2013年)
 Väinö Jalkanen (pf) / Markku Moilanen (oboe) / Pekka Niskanen (clarinet) / Antal Mojzer (bassoon) / Ilkka Puputti (horn)
四楽章形式の室内楽ですね。民族和声を感じるパートもありますが、やはりアホ独特の澄んだ荒涼感が生きた透明感の強い曲ですね。各楽器は主と従の関係が明確にあるホモフォニーで、ポリフォニックな展開は存在しません。それが安心感のある聴き心地を作っているのでしょう。最終楽章には元気がありますね。

Solo I for Violin (1975年)
 Jaakko Kuusisto (vn)
アホ本人の言う通りヴィルトゥオーゾなソロ曲です。スローで入りテンポと技巧を上げて行きます。処々でvn2挺の様にさえ感じる事がありますね。10'ほどなのでコンサート向きでもあります。

アホらしい、(文に違和感が…w)、北欧印象派とも言える様な澄んだ広がりが感じられますね。
・ホモフォニーで、主と従の関係を崩すことがない
・旋律が存在して、調性感から逸脱しない
・強音パートでの山場を作らない
馴染みの良い主題や動機がないだけでまさに今の時代のクラシック音楽です。
一時期北欧の現代音楽をよく聴いたので、アホはこれで10CD目のインプレになりますね。




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2016年ドナウエッシンゲン音楽祭 (Donaueschinger Musiktage 2016) で味わう現在形現代音楽

毎年同じみ、ドイツのシュヴァルツヴァルトで開催される前衛現代音楽祭のCDが国内でもリリースされました。
今年(CD化は毎年一年遅れ)はCD2枚組ですね。毎年同じ事を書きますが、3枚になったり4枚になったりDVDが入ってたり出るまでわからないのも前衛でしょうか?!!

今回のアルバムはお馴染みの若手・中堅の現代音楽家が並びましたね。作品別にインプレしましょう。CD1はアンサンブル、CD2は管弦楽になります。



【CD:1】

レベッカ・サンダース (Rebecca Saunders, 1967/12/19 - )
Skin for soprano and 13 instruments (2015 /16)
Juliet Fraser (soprano), Klangforum Wien, Titus Engel (cond.)

ノイズ系炸裂音の印象があるサンダースは、何と言ってもダルムシュタット直系の現代音楽家ですね。"スキン"の詩はジェイムズ・ジョイスの「ユリシーズ」から主人公の妻モリー・ブルームの最後の一節を引用しているそうです。
 特殊奏法を使ったアンサンブルは例によってパルス・ノイズ・クラスター的で、無音の"間"を生かしています。唄いはシュプレッヒゲザングで旋律はありません。唄は音の跳躍が激しく「月に憑かれたピエロ」的でもあり、全体混沌です。歌詞も聞き取れません。炸裂衝撃波もサンダースらしいと言えばそうなのですが、やっぱり目新しさはありませんね。



ベルンハルト・ガンダー (Bernhard Gander, 1969 - )
Cold Cadaver with Thirteen Scary Scars for 21 instruments (2016)
Steamboat Switzerland, Klangforum Wien, Titus Engel (cond.)

kokotonPAPA一押しの現代音楽家の一人、ベルンハルト・ガンダーですね。KAIROSレーベルから2枚ほどのリリースはありますが、もっと注目されて然るべきと思います。"13の恐ろしい傷跡持つ冷たい遺体"は傷や恐怖を形にした13の恐れだそうで、13種のリズムを使っているそうです。
 アンサンブル(スチームボート・スイスランドというロックバンド?が入ります)は打楽器リズムで躍動します。ロックのドラムサウンドで、それに楽器群が特殊奏法を含めて打楽器リズム風に反復で流れていきます。重厚な激しさに動機の様な旋律が存在しているのはガンダーらしさでしょう。ベートーベン「運命」の主題ジャジャジャジャ〜ンが引用されているのも笑えます。そこからリズムは大きく変わって、猛獣の唸りの様になり下降音階が流れます。複合三部形式の中間部ですね。最後は主部が回帰し、コーダはミュートのtpですw
ポップな欧州前衛ポストミニマル?! やっぱり面白いですね。



マルティン・スモルカ (Martin Smolka, 1959 - )
a yell with misprints two movements for ensemble (2016)
ensemble recherche

チェコの現代音楽家でヴェーベルンから米実験音楽までベースがありますが、調性が感じられる音楽も作りますね。この"誤植の叫び"は二楽章で9つのルール「悪意のプロモーションでない事」「チェス・プレイヤーの様な計算」「とにかく美しい」等々で作られているそうですw
 第一楽章は無調ポリフォニーですね。簡単に言うとアンサンブルの各楽器が勝手に演奏している感じです。時折調性感の強い短い静音スローパートが入ります。第二楽章はその静音パートから入り、神秘的な空間を作ります。今度はそこへ木管楽器が斬り裂く様な強音を挟みます。両楽章ともに、そのコントラストが面白いですね。



【CD:2】

ジェイムズ・ディロン (James Dillon, 1950 - )
The Gates for string quartet and orchestra (2016)
Arditti Quartet, SWR Symphonieorchester, Pierre-André Valade (cond.)

スコットランド出身の現代音楽家で、ダルムシュタットで『新しい複雑性』を身に纏いながらロックから民族音楽までをバックボーンにしています。最近ではスペクトル楽派の影響とコンピューターアシストの作品も作られていますね。"門"は聖域に入る事で、日本の鳥居⛩で説明されています。入場はentrance → en-trance → trance(陶酔)だそうです。
 無調ですが混沌や即興的ではなく、パターンを組み合わせて構成感があります。トリル・グリッサンド・ロングトーンといった基本技法で大きな流れを組み立て、基本は静的な美しい音色で空間音響系的でもあります。とても心地良さを感じますね。
アルディッティ4をフィーチャーした今の時代の弦楽四重奏協奏曲、コンサートで聴いてみたいです。



フランク・ペドロシアン (Franck Bedrossian, 1971 - )
Twist for orchestra and electronics (2016)
SWR Symphonieorchester, Alejo Pérez (cond.), IRCAM, Robin Meier (computer music designer)

フランスの現代音楽家で、IRCAMでファーニホウやミュライユに習い、ラッヘンマンにも師事しています。ここでもIRCAMのエレクトロニクスを使っていますね。"ツイスト=ねじ曲がる"はアコースティックな音をエレクトロニクス音化して大音響にする事だそうです。
 強音パートはトーンクラスターと電子ノイズの凶暴な音楽です。それとポリフォニカルな混沌さとのバランスが面白いですね。好きな音楽ですね。IRCAMのロビン・マイアーの力量が発揮されている様です。

試しにYouTubeで観てみる?
 実際の音楽祭でのライヴ映像です。素晴らしい!!



マルティン・ヤギー (Martin Jaggi, 1978 - )
Caral for orchestra (2016)
SWR Symphonieorchester, Pierre-André Valade (cond.)

スイス生まれの若手現代音楽家でチェリスト、世界各国から委嘱を受けて現在はシンガポールで教鞭もとっています。世界各国の文化を取り上げていて、"カラル"は古代遺跡シリーズの一環で、旧南米の都市(カラル遺跡)をモチーフにしているそうです。
 木管主役の無調ポリフォニーの強弱出し入れです。民族音楽をベースにしているかもしれませんが特徴は薄く退屈です。
楽譜や理論に特別なものがあるのかは不明ですが、28歳にしては表現的突出感が足りない気がします。若手には新しい世界を期待してしまいますね。



ゲオルク・フリードリヒ・ハース (Georg Friedrich Haas, 1953 - )
Konzert für Posaune und Orchester (2015 /16)
Mike Svoboda (trombone), SWR Symphonieorchester, Alejo Pérez (cond.)

オーストリアの現代音楽家で、フリードリヒ・チェルハらに学び、米現代音楽かからも習っています。ミクロポリフォニー(リゲティが使い命名した技法)、ミクロインターバルを使うスペクトル楽派の一人。"トロンボーン協奏曲"ですが、演奏者マイク・スヴォボダの為に作ったそうです。この前年の音楽祭でもトロンボーンを使った曲を披露していますね。
 チューニングを弄った弦楽器のアルペジオ、オケの厚いサウンド、それに乗るtbの派手な音色、そんな音楽です。即興性等の聴きづらさはなく、旋律らしき流れが存在します。tbも技巧パートはありますが超絶的ではなく、代わりに後半では微分音の旋律を聴かせてくれます。ハースらしい今の時代のクラシック音楽ではないでしょうか。


試しにYouTubeで音楽祭のダイジェストを観てみる?
 上記のサンダース"Skin"、ディロン"The Gates"、ハース"Konzert für Posaune und Orchester"が入っています。



今回は映像がないのでインスタレーションは味わえませんでしたね。ガンダー、ディロン、ペドロシアンは楽しめました。一方、今回一番期待した若手M.ヤギーは平凡で残念でした。
やっぱり映像付きでインスタレーション・エクスペリメンタリズム前衛音楽を味わいたいですね。

注目のインスタレーションだった Yutaka Makino "The program" をチョイ観する?




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マーラー交響曲第6番 [悲劇的] 名盤珍盤 30CD聴き比べ [#2 / CD:21-30]

マーラーの6番、パワープレイが嵌れば言うことなしですね。一方で冷めたクールさもありで楽しめます。
今回は変化球と魔球の二人、N.ヤルヴィとH.シェルヘンを含めた10CDをインプレします。ストックはそれほどありませんが、これで30CDになりますね。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.6 の聴き較べです (現在 #2回 30CDまで)
 #2: 10CD 本投稿
 #1: 16CD
 #0: 4CD バルビローリ聴き比べ




パーヴォ・ヤルヴィ, Paavo Järvi

Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[major BD] 2013-6/29,30
現N響首席指揮者パーヴォ・ヤルヴィが、当時首席指揮者だったフランクフルト放送交響楽団(現:hr交響楽団, hr-Sinfonieorchester)を振ったBD盤(第5番とカップリング)です。
第一楽章
やや速めで、行進曲は落ち着いて、アルマの主題は広がりを大きく進みます。展開部の穏やかさと再現部の切れ味も良いですね。
第二楽章
主部主題はテンポを抑えて適度重厚さ、トリオは一転スローで抑えめのシンプル。パーヴォも踊るスケルツォです。
第三楽章
アンダンテは主部の二つの主題はスローで澄んだ美しさ、同じ流れで中間部を超えると叙情高く山場を盛り上げて静かに締めくくります。美しい緩徐楽章ですね。
第四楽章
序奏は鬱でスローの揺さぶりからアレグロ・エネルジコで走ると、提示部行進曲は切れ味良く経過句を含めて進み、第二主題もシャープです。キーとなる展開部はスローの美しさと切れ味の表情変化を見事に付けて、行進騎行ではアゴーギクを振って来ます。再現部も同様に出し入れの良い流れを作り、コーダを鎮めてラスト一撃です。
・・・・・
切れ味の鋭さと美しい穏やかさのコントラスト、見晴らしの良いマーラー6ですね。広がりがあるBDの録音の良さも大きく寄与しているでしょう。
(ダイナミックレンジの広い録音の良さでハンマーの音がこんなに良く聴こえたのは初めてですね。逆にラスト一撃が弱く感じて弱点に思えるくらいですw)

同じ放送局系であるN響をベルリンで振った(2017年2月28日)演奏より一枚上手ですね。




ネーメ・ヤルヴィ, Neeme Järvi (2録音)
息子パーヴォとは違う、速さとメリハリの父ヤルヴィの本領発揮のマーラー6ですね。
ネーメの二つの録音、第一楽章提示部(再現有り)は20'程度でとても速い演奏です。参考にその演奏時間を並べておきますね。
      RSNO 日フィル
 第一楽章 20:01 20:52
 第二楽章 11:32 11:41
 第三楽章 13:37 13:05
 第四楽章 27:07 27:29


(#1)

Royal Scottish National Orchestra
[CHANDOS] 1992-11/8,9
ネーメ・ヤルヴィが1988年にロイヤル・スコティッシュ・ナショナル管弦楽団の首席指揮者を退いた後の演奏ですね。現在は桂冠指揮者を務めます。
第一楽章
第一主題の入りから驚きのハイスピードです。アルマの主題も速くて優しさよりもそっけなさです。(笑) 展開部の挿入部ではスローにテンポを落とし、再現部で再びハイスピードに激しさを加えます。
第二楽章
スケルツォ主部主題も速くてキレキレ、トリオでは美しさを見せ揺さぶりをかけながら小ロンドCパートへ入ります。激しい出し入れが切れ味を感じさせてくれます。
第三楽章
やや速めから標準的になり、緩徐楽章の色合いを残すように哀愁の音色を奏でます。山場の盛り上げも美しく見事ですね。
第四楽章
王道系です。序奏は程々の揺さぶり、提示部行進曲は華やかさと切れ味、経過句から軽妙な第二主題につなげます。展開部は出し入れと陰影強くメリハリの効いた、このパートらしい切れ味が光ります。再現部でもその良い流れをつなげてコーダからラスト一撃です。
・・・・・
第一楽章、こういう変化球は大好きですね。速さのN.ヤルヴィの面目躍如。そして全体を貫く切れ味と怒涛のマーラー6番です。
演奏の切れ味も素晴らしいですし、音質もCHANDOSですから☆の方が良かったかな!!
(☆と㊟は紙一重ですw 個性派・クセ者でも楽しめるものが㊟ですね)




(#2)
日本フィルハーモニー交響楽団
[JPS] 2000-6/23
RSNOとの8年後、ネーメ・ヤルヴィが現在 客員首席指揮者を務める日フィルを振った演奏です。RSNOとの比較で聴いてみました。
第一楽章
第一主題はRSNOよりはテンポは遅いですがそれでも速め、アルマの主題はやや速め程度の提示部、展開部も標準的な演奏で基本速め、再現部は迫力で暴れ気味になりラストは突っ走ります。再現部はこちらの勝ち!!
第二楽章
スケルツォ主部主題もやや速め程度になり、トリオ以降も特徴的な揺さぶりは減っています。
第三楽章
アンダンテは速めで感情移入を避けた淡白さです。もちろん後半山場は迫力ですが全体的に美しさや哀愁は弱いです。
第四楽章
序奏は所々で暴れます、そこから提示部行進曲から経過句へは疾走、第二主題は軽快ですが弱い感じ。展開部は揺さぶりを生かして、厄介なこのパートをコントラスト良く見晴らしを付けます。続く再現部が素晴らしく、適度に暴れながら盛り上げが見事です。コーダのスローは影を感じさせる流れからラストの一撃です。
・・・・・
RSNOに比べると前半楽章のテンポも"速め"くらいで、後半の王道さも不足気味です。それでも充分に一癖モノを楽しめるマーラー6。
日フィルも好演で、RSNO盤を知らなければ㊟印です。




マルティン・ジークハルト, Martin Sieghart
The Arnhem Philharmonic Orchestra
[EXTON] 1994-3/19
交響曲第5番では残念な演奏だったオーストリア人指揮者ジークハルトと常任揮者を務めていた時のアーネム・フィルです。
第一楽章
第一主題は重厚勇壮で、アルマの主題は情感深い良い流れの提示部です。展開部も締まりのある第一主題からスローの挿入部へ重厚さの余韻を残す様に入り平安な流れにつなぎます。再現部は提示部の回帰で、コーダからフィニッシュも素晴らしい見晴らしの良さです。
第二楽章
スケルツォ主部の主題は第一楽章第一主題の流れを汲んで締まりが良いですね。重厚さをベースにトリオで一息つく感じです。マーラーの指示通り「重々しく」です。
第三楽章
緩やかで穏やかな第一主題、哀しさ覚える第二主題、その緩徐の流れから後半の山場を盛り上げます。スローさで時折気がぬける様な気配は気になりますが。
第四楽章
あまり変化を付けない序奏で入ります。提示部第一主題は勇壮、第二主題では穏やかに流れます。展開部コントラストの強い演奏で、アゴーギク・ディナーミクを振って濃い演奏です。スローの流れが素直に受け入れられないパートもありますが。再現部もスローから迫力で山場へ進み、輝かしい管楽器パートからコーダへ入り、ラストの一撃を迎えます。
・・・・・
90'を超えるスローな重厚さを全面に押し出したマーラ−6番です。もう少しスローさを抑えれば全体が締まったかも。また、録音・ミキシングでの作品作りも強く感じ、それもオケを助けている気がしますね。




レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam
Danish National Radio Symphony Orchestra
[CHANDOS] 1990-9/24-26
フィンランドの怪人セーゲルスタムは個人的には現代音楽家の印象の方が勝ちますね。首席指揮者(1988–1995)を務めたデンマーク放送交響楽団(DR放送交響楽団)を振っています。第5番では素晴らしい演奏を見せてくれましたね。
第一楽章
行進曲主題はシャープに、アルマの主題はディナーミクで優しさを見せますが両者クセはありません。特徴的なのは展開部・再現部のスローパートを強調している事でしょう。
第二楽章
スケルツォ主部主題は第一楽章の印象を継続する様に進み、ここでもトリオをスローに明確に落として優美さを強調します。
第三楽章
第一主題は柔らかな音色で、第二主題では色合いを哀しみに変えます。優しさの中から山場を作るマーラーの緩徐楽章らしさに溢れたアンダンテになっています。セーゲルスタムは山場を押さえ気味でいいですね。
第四楽章
序奏は揺さぶりは少ないながら、不安感を掻き立てて提示部に流れ込みます。行進曲から経過句を経て第二主題まで冷静に奏で展開部へ。ここでもスローをうまく使い、過度の興奮や重厚さはありません。再現部もコーダも冷静です。気になったのはコーダでハンマーの様な音を感じた事、そうであればハンマー三発演奏ですが。
・・・・・
シャープさとスローの出し入れ(Agogik)がセーゲルスタムらしいですね。興奮と重厚さを排して、クールでスマートなマーラー6です。好きな盤ですね。
突撃型演奏が好きな方には向かないかも。




アントニオ・パッパーノ, Antonio Pappano
Orchestra dell'Accademia Nazionale di Santa Cecilia
[EMI] 2011-1/8,10,11
パッパーノが音楽監督を務める聖チェチーリア音楽院管弦楽団を振ったマーラー6です。
第一楽章
第一主題はスローにして重厚、モットーで抑えると第二主題アルマの主題を華やかに奏でます。展開部・再現部は強弱コントラストを生かして派手で壮大ですね。管楽器の華やかさが光ります。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は重厚、変拍子のトリオは優美でまさにスケルツォ。この二つの旋律が小気味好く、メリハリのある流れを作っていますね。
第三楽章
抑えの効いた主要主題はスローに美しく、イングリッシュホルンの副主題も同様に美しい流れを作ります。中間部以降も情感強い山場を含めて、美しい緩徐楽章になっていますね。
第四楽章
長い序奏は力強さと暗さのコントラストを付けて明瞭に、アレグロ・エネルジコからの提示部第一主題は抑え気味の行進曲から経過句で盛り上げると、軽快な第二主題へと見晴らしの良い流れを見せてくれます。展開部・再現部は行進曲や騎行を切れ味よく派手で劇的に、コーダは暗く沈みラストの一撃へ繋げます。
・・・・・
見事なライヴ、派手で華々しい明瞭なマーラー6。気持ち良さが欲しい人にはこれでしょう。☆を付けたくなります。




ゲオルク・ショルティ, Sir Georg Solti

Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1970-3,4
言わずと知れたショルティが育て上げた手兵 シカゴ交響楽団とのマーラー6ですね。
第一楽章
速さで突き進む第一主題、派手に奏でるアルマの主題、乗っけからまさにショルティ/シカゴ響炸裂です。展開部も勇壮さメインに柔らかな響のコントラスト、激しさを増しながら再現部へ突入するとコーダを派手派手しく納めます。
第二楽章
第一楽章の流れをそのままに主要主題は速め迫力、怒涛の進撃です。トリオは優美なスケルツォに変化させコントラスト付けが上手いですね。
第三楽章
アンダンテらしい優美な流れの主部二つの主題、中間部では明るさと美しさから大きく山場を作ります。厚いアンダンテ。
第四楽章
序奏は陰鬱さは薄く重厚中心に変化を与えています。提示部第一主題と経過句は迫力の行進です。第二主題もその流れのまま続きます。展開部・再現部も緩急はありますが突撃性大重視です。3発目のハンマー?の様な音がしますが。
・・・・・
いかにもショルティ/シカゴ響、怒涛の迫力のマーラー6ですね。とにかく勇壮な戦闘シーンです。




アントニ・ヴィト, Antoni Wit
Polish National Radio Symphony Orchestra
[NAXOS] 1992-12/15-19
カラヤンの助手を務めていたポーランド人指揮者ヴィトですが、何と言ってもNAXOSで数多くの録音を残している事で知られていますね。そのヴィトが1983-2000年の間音楽監督を務めたポーランド国立放送交響楽団との録音です。
第一楽章
第一主題は勇壮、モットーで静まりアルマの主題は華やかです。展開部ではスローパートを強調しているのが特徴的ですね。
第二楽章
スケルツォです。主要主題は抑えめで、トリオはスローに落とします。最後の主要主題では迫力を見せますが、楽章としては控えめの感じがしますね。
第三楽章
主部の二主題は穏やかそのもの、中間部もやや抑え気味に山場を作ります。
第四楽章
序奏は静的、第一主題は行進曲を明確にしていますがやや弱め。展開部・再現部共にコントラストは弱めです。
・・・・・
穏やかさが印象に残るマーラー6ですね。迫力もあるのですが強烈さは弱いですね。炭酸の弱いコーラみたい?!




ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

Rundfunk-Sinfonieorchester Leipzig
[MEMORIES] 1960-10/4 =mono=
さてシェルヘン先生です。ライプツィヒ放送交響楽団(現:MDR交響楽団)を振ったマーラー6ですが、大カット短縮演奏です。よく言われるのは第5番ですが、こちらも負けず劣らずの狂気を味わえます。(MEMORIESから再発されましたね)
第一楽章
第一主題・第二主題共に猛烈なハイスピードで管楽器はもつれ気味。提示部の繰り返しはもちろんカット!! 展開部・再現部も早回しで聴いているみたいですw
第二楽章
アンダンテを持ってきました。ここでは特別大きな異常性を見せませんね、中間部入りと山場でいきなりテンポアップは凄いですがそのくらい。シェルヘンは緩徐楽章は猛スピード化させない傾向ですね。(第5番では逆に超スロー化しています)
第三楽章
爆速スケルツォです。小ロンド形式で主要主題とトリオを繰り返すわけですが、そんなかったるい事しません。当然カット!! あっという間に終了、演奏時間は約半分w
第四楽章
序奏はコントラスト良く、アゴーギクが強いくらいです。まぁ一般的には充分"変"ですが。提示部第一主題からスピードアップ、でも第二主題も含めてそれほど過激ではありません。展開部はテンポは揺さぶりの強い程度の感じですが、後半はカ〜ット!! なのでハンマーは一発になっちゃいますw。再現部も似た流れで中盤をカット!! でもコーダはごく普通ですね。
・・・・・
爆速、奇怪、カット短縮のマーラー6です!!
詳細は楽章インプレの通り。音は劣悪ですが、一度聴いてみてほしいですねw




ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン, Jaap van Zweden
Dallas Symphony Orchestra
[dsolive] 2013-3
オランダのズヴェーデンはコンセルトヘボウ管のコンマスから指揮者になっています。来年2018年からニューヨークフィルの音楽監督に就任が決まっていて、早くも3月には新たな手兵を率いて来日しマーラー5番を演奏しますね。(もちろんチケット購入済みですw)
これは音楽監督を務めたダラス交響楽団を振ったマーラー6になります。
第一楽章
第一主題は少々まとまりの悪さと管楽器も危なげですがクセはありません。モットーからアルマの主題は優美です。展開部も再現部もバランスの良い音出しを感じます。
第二楽章
スケルツォです。主部主題からトリオもクセはなく安心の流れで切れ味もありますね。見事ですが何か一つ個性が欲しい感じです。
第三楽章
静的で美しいアレグロ。主部の主題も透明感があり、中間部でも牧場の広がりの様なのびやかさを見せます。本流の演奏ですね。
第四楽章
序奏の揺さぶりや陰鬱感は弱めですが良い流れで、第一主題から経過句も行進曲らしい切れ味で進みます。その流れからの第二主題も爽やかですね。展開部・再現部でも処々で間延び感はありますが山場を大きく奏でて、行進曲や騎行を勇壮に進みます。特徴に欠けるのは残念ですが素晴らしい演奏です。
・・・・・
音も良く クセも無く きれいにまとまったマーラー6です。その分、指揮者の意図や個性を楽しみづらくワクワク感がありません。初めて聴くならおすすめでしょう。





次は数枚ストックしているテンシュテットをメインにインプレしようと思っています。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 60CD聴き比べ! [#4 / CD:41-50]

第4回のマーラー9番インプレは、ヤンソンスやシャイー, ジンマンといった実力派、それにシェルヘンとマデルナの変化球師弟コンビで計10CDです。これで聴き比べも50CDまで来ましたね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#5回 60CDまで)
 #5:10CD
 #4:10CD 本投稿
 #3:10CD
 #2:20CD
 #1:10CD



マリス・ヤンソンス, Mariss Jansons (2録音)

(#1)
Oslo Philharmonic
[SIMAX] 2000-12/13,14
ラトビア人指揮者ヤンソンスがオスロフィルの首席指揮者最後の年にマーラー9を振った録音ですね。
第一楽章
第一第二主題と反復、第三主題は王道の流れで心地よく展開部に入ります。展開部は緩急のコントラストを強調してメリハリが効いていますね。再現部でも締まりのある流れですね。
第二楽章
主部主題、第一トリオ、第二トリオ、共にクセのない流れで構成されて安心感がありますね。レントラー的リズム感は弱いです。
第三楽章
主部の二つの主題はリズムよく、第二トリオから中間部は哀愁を漂わせて最後は激しく結びます。流れは本流的で安心感はありますね。
第四楽章
序奏・主要主題、第一エピソードは本流的、第二エピソードは速めです。速い流れから山場を作り、『亡き子をしのぶ歌』引用からコーダは静的美しさです。
・・・・・
安定傾向が強く引き換えにワクワク度が低いマーラー9です。演奏はやや速め主体、切れ味はありますね。




(#2)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[BR-KLASSIK] 2016-10/20,21
オスロフィルの16年後、現在ヤンソンスが首席指揮者を務めるバイエルン放送交響楽団とのマーラー9、昨年の録音ですね。
第一楽章
第一主題は緩やかに変わっていますね。そして第二主題への変化が滑らかながら強調されます。第三主題も大きく奏でて、展開部は陰影の大きさを出し入れよく進みます。演奏時間も2'以上長くなって、緩急の"緩"を生かしたスケール感が感じられます。
第二楽章
ここでも細かなアゴーギクとディナーミクでコントラストを付けて奥行きのある演奏へと変化しています。リズムも良い感じです。
第三楽章
主部から第一トリオはリズムと切れ味がドイツ風に感じますw 第二トリオからも広がりのある流れですね。
第四楽章
主要主題も程よい揺らぎが広がりを感じます。第一エピソードでの哀愁度は低めで第二エピソードは大きく奏でます。ラストは思いの外 暖かめです。オスロフィルより1'半くらい短くなっているのですが、ラストに感じる速めの流れと消え入り感不足は残念かも…
・・・・・
緩急のコントラストをうまく生かした演奏です。感じるのは ほっこり暖かな流れのマーラー9。そこが好みを分けるでしょうか。




リッカルド・シャイー, Riccardo Chailly
★☆
Royal Concertgebouw Orchestra
[DECCA] 2004-6/14-18
シャイーがロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 首席指揮者最後の年の録音ですね。
第一楽章
序奏・第一主題はスロー、第二主題で暗く落として反復では雄大になります。第三主題を大きく奏でると展開部で暗転・重厚に、そして変化の激しい展開を見せます。再現部は大きく優美に入り後半からコーダは静的に美しく消え入ります。
第二楽章
レントラー主部主題はスローで硬い動き、第一トリオはスケルツォの様にゆったりとリズミカル、第二トリオは優美です。全体を通す3/4のリズムが生かされて心地よい楽章ですね。
第三楽章
主部主題はリズミカルに、第二トリオからの中間部を懐広く穏やかに、ラストは迫力です。
第四楽章
「愛の死」引用の序奏からvn主要主題は弦楽の美しさです。第一エピソードも暗く淀んだ哀しみと美しさでラストを予感させるかの様です。第二エピソードから山場を大きく描き、『亡き子をしのぶ歌』引用からアダージッシモのコーダへのppp静的美しさは素晴らしいですね。
・・・・・
完成度の高いマーラー9です。緩急バランスが良く、全パートに心地よさを感じます。




デイヴィッド・ジンマン, David Zinman
Tonhalle Orchester Zürich
[RCA] 2009-9/28〜10/1
1995–2014年にジンマンが音楽監督を務めたトーンハレ管とのマーラー9ですね。
第一楽章
スローで緩やかな第一主題、第二主題の翳りも薄めにして第三主題を高らかに山場を作ります。長い展開部は陰鬱に入りスロー基準に揺さぶりながら再現部の静かなコーダを結びます。
第二楽章
主部主題レントラーは華やかに、第一トリオも切れ味よく優美、第二トリオは穏やかに流れます。全体優美ですね。
第三楽章
主部主題はハイテンポで軽快に、中間部からは穏やかさですが後半山場とラストは力があります。
第四楽章
第一楽章を思わせるスローで緩やかな主要主題。第一エピソードは広がりのある流れですが情感は弱め、第二エピソードも同様ですね。緩い揺さぶりを経て『亡き子をしのぶ歌』引用からはpppの指示通りに静かに結びます。このラスト静音はスローが生きましたね。
・・・・・
感情移入を抑えゆったりとした、スローのマーラー9。薄味で緩さを感じてしまうかもしれません。




ルドルフ・バルシャイ, Rudolf Barshai
Moscow Radio SO
[BIS] 1993-4/13
イスラエル亡命後のバルシャイが初めてロシアに帰った時にモスクワ放送交響楽団を振ったマーラー9番です。
第一楽章
第一二主題は大きく、その後も緩急をうまく使い締まりの良い流れです。
第二楽章
マーラーの指示の様に粗野的なレントラー主題は重厚に進み、複合三部形式のBパートは力強い流れです。Cも穏やかですが強さを感じますね。山場は抑え気味ですね。
第三楽章
ここでも堂々たる前半を作り、中間部はやや速めに流します。ラストは重厚さを生かして迫力いっぱいです。
第四楽章
「愛の死」引用は重厚な美しさ、主要主題も重々しいです。第一エピソードも弦が重さを保ち、第二エピソードへは美しく繋ぎます。そこから大きく山場を作り、厚みのある流れからアダージッシモのコーダは静的で美しいです。アプローズは熱烈です。
・・・・・
威風堂々、コンサート受けしそうなマーラー9ですね。個人的には線の細さが欲しいきがしますが、この流れもありかもしれません。




クルト・マズア, Kurt Masur
New York Philharmonic
[TELDEC] 1994-4
2年前に亡くなった日本でもおなじみのマズアがニューヨークフィルの音楽監督時代のマーラー9です。
第一楽章
第一主題から第二主題への流れは一般的、その後半からは抑揚を強め反復は切れ味が良いです。第三主題で一転して展開部は暗いのですが速めで、小気味好い出し入れが良い流れを作ります。再現部は穏やかです。
第二楽章
主部主題レントラーは軽量、第一トリオは速いです。第二トリオで穏やかになり、後半は速め主体の出し入れから穏やかにまとめます。
第三楽章
主部主題は切れ味よく軽快に、第二トリオの静的動機が繰り返され中間部に入ると細かなやりとりからラストは激しい締めくくりです。
第四楽章
第一主題は情感強く入ります。第一エピソードでは静的暗転から叙情をたたえる流れになります。第二エピソードは哀愁、そこから山場を作るとコーダへ向かう準備になり、主要主題の変奏と『亡き子をしのぶ歌』引用からは美しさを見せてpppに終息します。
・・・・・
速めの流れに切れ味でコンパクトな印象が残ります。ライトウェイトのマーラー9です。
決して悪くはないのですが…




ウィン・モリス, Wyn Morris
Symphonica of London
[IMP] 1978-5
マーラー解釈では名が知れた?くせ者の一人、好きなウィン・モリスです。オケは詳細が良く分からない「シンフォニカ・ロンドン」とのマーラー9ですね。
第一楽章
序奏・第一主題は違和感なく、第二主題も落差をあまり付けずに入ります。反復は穏やかから劇的に、重厚な展開部に入ります。再現部もバランスが良いです。クセのない代わりに特徴も薄い演奏ですね。
第二楽章
主部主題レントラーは正統に、切れ味良い第一トリオから穏やかな第二トリオにトーンを落とします。流れに少し緩さを感じます。
第三楽章
主部主題、第二トリオから中間部はここでも正統、ですが後半で少しスローになって暴れてくれます。間延び感は拭えませんがモリスの個性が垣間見れました。
第四楽章
主要主題、もちろん正統。第一エピソードは澄んだ音色を聴かせ、第二エピソードもその流れから大きな波に繋ぎます。『亡き子をしのぶ歌』引用からの美しさもキッチリ静音でコーダに繋げます。
・・・・・
正統ですが各楽章のパート構成にメリハリが薄く、何かスッキリしないマーラー9です。とてもW.モリスとは思えませんw
唯一の救いは第三楽章のラストですね。




ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen

Wiener Philharmoniker
[ORFEO] 1950-6/19
5番6番では本領を発揮したシェルヘン先生がウィーンフィルを振った盤です。9番はもう一枚BBC-SOとの録音(非正規盤)もありますね。
■ 第一楽章
とにかく速めのスタート。そしていつの間にかペースは戻ってきます。この独特のアゴーギク、シェルヘン教祖ならではでしょう。
■ 第二・三楽章
レントラーは全体的にもっそりですが、ここでも変化は激しいです。第三楽章はリズムよく流れ一般的な解釈で走り抜けますが、コーダは驚異のアッチェレランドを見せます。
■ 第四楽章
予想に反して標準的スローに入ります。微妙なアゴーギクを振ってはいますが王道的解釈でしょう。ラストも美しいです。
・・・・・
もちろん変則、よくもVPOをここまで手なずけたと言った感じでしょうか。とは言え5番6番に比べれば大した事はなく?、古いので音も最悪ですからシェルヘン先生に興味がなければ無用でしょう。私には大切なCDですw
ちなみにマーラー9番としては世界最速演奏(第一楽章単独も)になります。




ブルーノ・マデルナ, Bruno Maderna (2録音)
現代音楽家にして奇才指揮者マデルナのマラ9は3録音残されていますね。(所有は2CD)
指揮は上記H.シェルヘンに師事しています。師に倣ってARKADIA盤の第二楽章(13'21")は世界最速演奏になりますね。


(#1)

BBC SO
[BBC Legends] 1971-3/31
マデルナがBBC管を振ったマーラー9番です。
■ 第一楽章
提示部から感情の出し入れの激しさを見せます。長い楽章ですが出し入れの強さで聴かせますね。ラストは美しいです。
■ 第二楽章
テンポの速いレントラーで始まり、複合三部形式の各パートもアゴーギクやディナーミクも極端に振らずに軽快そのもの。山場はハイスピードです。
■ 第三楽章
ロンドも速めで入りメリハリのある演奏ですがやや落ち着きが足りない感じですね。中間部以降は緩やかな美しさも見せながら、ラストはハイスピード一体感をもって締めています。
■ 第四楽章
最終第四楽章も入りはやや速いですが不思議と違和感は感じません。第一エピソードも速く、第二エピソードは穏やかです。アゴーギクを細かく振って緩急を付けながら山場を盛り上げて、「太陽の輝くあの高みでの美しい日」引用を美しく奏でて消え入ります。(拍手の入りが早すぎ!)
・・・・・
Scherchenの影響を感じる緩急独特アゴーギク、それに追従するBBC-SOの演奏も良いですね。この流れもありで、好きな一枚。




(#2)
Orchestra Sinfonica di Torino della RAI
[ARKADIA] 1972-12/22
1年9ヶ月後、トリノ・イタリア放送交響楽団(現:RAI国立交響楽団, Orchestra Sinfonica Nazionale della RAI)を振ったマーラー9盤です。
■ 第一楽章
スローな入りですが、全体的には速くなりディナーミクも強めになっています。怪しげな雲行きといった気配でしょうか。
■ 第二楽章
テンポの速いレントラー、複合三部形式の各パートとも速くアゴーギクはその分薄くなっていますね。山場は強烈なハイスピードで、オケも着いて行くのがいっぱいです。
■ 第三楽章
ここでも速めでメリハリのある演奏ですが、忙しないのは同じですね。中間部はもったいぶった情感さを強く、その後スローにしてラストは強烈ハイスピード!!
■ 第四楽章
最終第四楽章も入りは穏やかに変わっていますね。実は演奏時間が1'半近く伸びています。「愛の死」引用テーマは速めに素っ気なくなっています。第一エピソードはやや遅くなり優美さから揺さぶり強い劇的山場へ向かいます。「太陽の輝くあの高みでの美しい日」引用を同じ様に美しく、そして静寂に消え入ります。
・・・・・
アゴーギクの振り幅が大きく揺さぶりの強い変化球マーラー9番です。でも抑え処はしっかり、ラストなどは王道そのもの。それが"どっちつかず"な印象を残しているかも。せっかくなら魔球にして欲しかったw
シェルヘン先生が上にいなければ、㊟印!!






所有は50枚くらいかと思っていたのですが、全集物など見直すとまだ20枚くらいはあるかもしれません。整理が悪い?!




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

フランソワ=グザヴィエ・ロト(François-Xavier Roth) の マーラー交響曲第5番 は最終楽章ですね


本来なら「マーラー交響曲第五番・名盤珍盤 聴き比べ 170CD 」の方でインプレするのですが、先に単独インプレです。


フランソワ=グザヴィエ・ロト (François-Xavier Roth)
フランス人指揮者で、現在46歳。ケルン・ギュルツェニヒ管のKapellmeister (音楽監督でいいですよね) を務めています。またロンドン交響楽団(LSO)の首席客演指揮者も務めていますね。
個人的には現代音楽の指揮を得意としてドナウエッシンゲン音楽祭などに登場しているイメージがあります。昨年4月には東京文化会館で都響と素晴らしい「火の鳥」を演じてくれたのは記憶に新しいです。➡︎ インプレです


ケルン・ギュルツェニヒ管弦楽団(Gürzenich-Orchester Köln)
ケルン・ギュルツェニヒ管はマーラー5番の初演(1904年10月19日 マーラー本人指揮)オーケストラですね。CDケースの裏にもそれが謳われていて売り文句の様です。
(本CDは本年2017年2月20-22日録音)


第一楽章・第二楽章
 葬送行進曲は適度にアゴーギクとディナーミクを振り重厚さは控えめ、ファンファーレとのバランスも上手く取れていますね。第1トリオも過度の激しさよりも主題とのコントラストを押さえています。第二楽章もその流れを明確に繋ぎます。第1トリオを継ぐ様な第一主題、第2トリオからの第二主題です。激しさを押さえた見晴らしの良い第一部。
第三楽章
 ディナーミクを使った締まりあるスケルツォに、微妙なリズム感のレントラー主題、第三主題は間を生かしたスローで穏やかさです。全体的にマイルド、独特のディナーミクとアゴーギクを感じる第二部です。
第四楽章・第五楽章
 微妙なアゴーギクの中間部主題の前後を、スローで甘美な美しさで挟んだ個性的アダージェットです。第五楽章はスローな序奏からテンポの良い第一第二主題が絡みながら山場を目指します。展開部・再現部の山場を気持ちよく盛り上げてコーダからフィニッシュは迫力と大アッチェレランド。最終楽章では見事な王道に回帰!!

個性を見せながらも心地よいと思っていたら、最後に保守本流の展開が待っていました。どっちがロト!? のマーラー9です。
どちらも悪くないのですが、どっちかにしてねw





テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

攻撃的ポリフォニー現代音楽 ルネ・グレロプ(Rune Glerup) の Dust Encapsulated を聴く


ルネ・グレロプ (Rune Glerup, 1981- )
デンマークの現代音楽家で、コペンハーゲンの音楽院で電子音楽と作曲を学んだ後、仏IRCAMに参加しています。その時のメンバーには、このブログでもおなじみのP.マヌーリやA.ヘルツキーらがいます。
楽風はノイズ・即興系ポリフォニーで、デンマークより独・仏音楽の影響が大きい様です。

Dust Encapsulated
ピアノ・ソロをはじめ、室内楽曲になります。中にはライヴエレクトロニクスを入れた曲もあり、今の時代の現代音楽ですね。
演奏はAthelas Sinfonietta Copenhagen, Gáman 他になります。エレクトロニクスはグレロプ本人ですね。


Objects/Décalages (2008年) for recorder,violin and accordion
 Gáman
vnはノイジー、リコーダーは和笛、アコーデオンは等拍和音、それをベースに互いにポリフォニカルに変化対峙します。時に鋭く、時に静的に。無調即興的ポリフォニーですね。

Dust Encapsulated #1(Counting is OK) (2008-09年), for percussion & live electronics
 Mathias Friis-Hansen, Rune Glerup(live electronics)
ライヴエレクトロニクスは電子ノイズで、パーカッションをライヴ変換しているわけではありません。従って明確なDuoですね。perc.音は鍵盤打楽器はなく、奏法も聴く限りでは特殊性はありません。それよりもシンプルな電子ノイズがうまくperc.とマッチして楽しめますね。

Dust Encapsulated #2 (2009年), for flute, clarinet, violin cello & piano
 Athelas Sinfonietta Copenhagen, Pierre-Andre Valade(cond.)
流れは激しさがメインの完全に即興系の無調ポリフォニーです。いわゆる前衛現代音楽のイメージでしょうw
弦楽器はノイズで攻めて、flもpfも攻撃的にコラボしています。ポリフォニーですがリズム感覚が存在して、ホモフォニー的な音色も出しますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Crash Ensembleによる演奏です。少し迫力不足、リズムの揃えが強くおとなしくなってますかね。


Sonata in Seven Movements (2011年), for piano solo
 Neel Bramsnæs Teilmann(pf)
7パートのピアノ・ソナタ小曲集で、対峙する楽器がいません。そこをポリフォニー的に展開するのがグレロプですね。左右の手はもちろんですが、旋律?の切り替えの短い"間"を生かして攻撃的なやりとりに見せます。と言う事で基本スタンスは変わりませんね。個性を生かしたソロ曲です。

Divertimento (2010-11年), for sinfonietta
 Athelas Sinfonietta Copenhagen, Pierre-Andre Valade(cond.)
本来はDust Encapsulated #3 のはずだったそうです。#2と方向性は同じでしょう。少ない静音パートに攻撃的パートの組合せです。静音パートが生かされている気がしますね。

今の時代の前衛現代音楽の一つで特別個性的ではありませんが、エレクトロニクスを入れた2曲目とソナタが面白いですね。グレロプのポリフォニーが感じられます。全体に拍子感覚を残しているので聴き易さはあります。
できれば電子音楽メインの楽曲を聴いて観たいですね。




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新しい複雑性 リチャード・バーレット(Richard Barrett) の Music for cello and electronics を聴く


リチャード・バーレット (Richard Barrett, 1959/11/7 - )
英国の現代音楽家ですが、ダルムシュタット夏季講習会でブライアン・ファーニホウの『新しい複雑性*』の影響を受けた一人です。スタンスは即興性かつ電子音楽と生楽器とのコラボを得意としていますね。オランダでソノロジー(Sonology, 電子音楽)の教授も務めていました。
2016年には13年をかけて作られた8部作(6時間!)最後の"CONSTRUCTION"も完成させています。

*このブログでいう現代音楽」でも紹介していますが、演奏の複雑さ(超絶技巧)だけでなく読譜の難解さも含めての複雑性ですから、音楽を聴いただけでは演奏の難易度はわかりませんね。"ツェルニー"の初歩の練習曲でも10本の指を個別に楽譜10段(10声部)に譜面化されたら弾くのは難解ですよね。


Music for cello and electronics
2CDのチェロ(アルン・デフォルス, Arne Deforce)とエレクトロニクス(作曲家本人とパトリック・デルゲス, Patrick Delges)曲集で、2曲目にはピアノ(Yutaka Oya, 大宅裕)が入ります。



Life-Form (2011-12年) For Cello And Electronics
 チェロはグリッサンド、サルタート等々の技法を繰り出します。エレクトロニクスはホワイトノイズ系で、いずれにも調性に関わらず旋律は存在しません。互いの関係性は薄い即興的ノイズ系のカオス前衛音楽になりますね。
もう一つのパターンは、チェロの特殊奏法も含めたソロパートです。過激な音も出しますがノイズ系ではなく、現代チェリストのソロ・コンサートで取り上げられたら面白そうです。
最も興味深いのは作者本人がB.A.ZimmermannのIntercomunicazione(インプレ有り)と結び付けを語っている事でしょう。(kokotonPAPAはB.A.ツィンマーマン好きですw)

Nacht Und Träume (2004-2008年) For Cello, Piano And Electronics
 紹介文の8部作、第7パートでもあります。
上記"Life-Form"とは違いロングトーンのノイズと残響が使われています。そこにpfの単音が入る事で異なる表情を見せます。一番の違いは旋律らしき音階が存在するポリフォニカルな即興系音楽が同居する事でしょう。ラストのテープ(事前録音)もツィンマーマンを思わせますね。

Blattwerk (1998-2002年) For Cello And Electronics
 作曲年代順が逆なので一番古い曲になりますね。長いチェロ・ソロの技巧パートが特徴的で、多重録音の様なエレクトロニクス(テープなのかディレイなのかループなのか…)も使われています。

チェロは旧来の尖った技巧演奏からノイズまで広くパターンを網羅しています。エレクトロニクスの主体は電子ノイズ、ただどう言った技法・形態なのかが不明です。(ラップトップMIDIの使用やQuadraphonic出力の記述がありますが、実際のサンプリング等々は不明ですね)

何れにしても表情の多いノイズ系前衛音楽・ポリフォニカル即興系音楽で興味深いカオスです
残念なのはライナーノートに譜面のかけらもないので『新しい複雑性』の様相は演奏からしかわかりませんね。




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ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna) と ルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio) 『NOW, AND THEN』の構成には驚かされました

好きな現代音楽家の一人ブルーノ・マデルナ(Bruno Maderna, 1920/4/21 - 1973/11/13)のトランスクリプション(編曲)作品集が出ましたね。ジャケットにルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio, 1925/10/24 - 2003/5/27)がクレジットされていますが*一曲のみ。ところが…

本アルバムはデニス・ラッセル・デイヴィス(Dennis Russell Davies)指揮、スイス・イタリア語放送管弦楽団(Orchestra della Svizzera italiana)の演奏。ベリオの曲にはギターでパブロ・マルケス(Pablo Márquez)が入ります。

NOW, AND THEN / Bruno Maderna, Luciano Berio


1-4. Tre Pezzi (1952年) / 原曲Girolamo Frescobaldi (1583-1643)
 1) Recercar super LA-FA-SOL-LA-RE, 2) Christe, 3) Kyrie, 4)Bergamasca

5. La Basadonna (1951年) / 原曲Giovanni Legrenzi (1626-1690)
スネッサンス宗教曲とバロックですねぇ、室内楽化でそのまま。

6. *Chemins V (1992年) for guitar and chamber orchestra / Luciano Berio
「Chemins (シュマン)」は、14曲からなるベリオ本人のソロ曲集「Sequenza(セクエンツァ)」各曲を管弦楽との協奏曲風にアレンジしたものです。ちなみに、この "Chemins V" の元は "Sequenza XI" ですね。
ルネッサンス/バロックが流れる中にいきなりの前衛現代音楽!! 古典的奏法のギターにトレモロ・トリルで重なる弦楽器群、静音と強音のコントラストも刺激的です。即興性を強く感じるポリフォニックな曲に仕上がっています。

実はこの曲だけ20'あります。前後のマデルナ編曲のルネッサンス/バロックは5'〜1'以下。要は個々の楽曲ではなく、全体の構成で一つです。なるほどね。

7. Canzone a tre cori (1969/1972年) / 原曲Giovanni Gabrieli (1557-1621)
8-12. Le Sinfonie (1952年) / 原曲Tommaso Lodovico da Viadana (1560-1627)
 1) La Napolitana, 2) La Venetiana, 3) La Veronese, 4) La Romana, 5) La Mantovana

13-15. "Palestrina-Konzert" (1952年) / 原曲Unico Wilhelm van Wassenaer (1692-1744) formerly attributed to Pergolesi
 1) Grave assai sostenuto, 2) Andante, 3) Vivace

ただのルネッサンス/バロックの現代楽器室内楽ですw


マデルナのトランスクリプションはルネッサンスやバロック色そのままに今の時代の楽器編成にしただけ。ところが一曲だけ入るベリオは前衛現代音楽です。
要はルネッサンス/バロックにサンドイッチされた現代音楽との対比で『NOW, AND THEN』という訳です。
せめて最後にもう一曲現代曲を入れて欲しかったw


これはECMマンフレート・アイヒャーの構成作品ですね。




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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。

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