マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 聴き比べ #7 100CD-Over!

来週水曜日10月29日のズービン・メータ(Zubin Mehta)指揮IPOのコンサートを前にマーラー5番(Mahler's Symphony No.5)の聴き比べです。

メータのマーラー第5番 CD3枚は以前紹介済みですね。そこでも書きましたが、コンサートでは大ブラボーの予感。(笑)

今回#7は10CDsの紹介。まだまだありますが、3回以上録音を残している大物指揮者・有名盤 等はなくなりましたので地味になって来ると思います。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.5 の聴き較べです (現在 #10回 150CDまで)
 #10:10CD
 #9:15CD
 #8:15CD
 #7:10CD 今回の紹介分です
 #6:14CD
 #5:5CD アバド追悼
 #4:20CD
 #3:25 26CD
 #2:20CD
 #1:15CD




ガッティ / Royal PO
[RCA] 1997
 歌曲を得意とするイタリア人指揮者Daniele Gattiとロイヤルフィル。第一楽章から派手な展開を見せます。アゴーギク、ディナーミク、ともに揺さぶりを強くかけています。第二楽章もアップテンポで入りペースを戻します。劇情的な演奏ですが少々途中が息切れ感あり。嵐、そして時折の凪の様なマラ5ですね。
スケルツォも入りこそ柔らかですが、すぐにテンポに揺さぶりをかけます。しかし一二楽章の様な独特な展開にやや欠けるのでしょうか、曲の長さを感じてしまいます。 アダージェットはppの弱音からスローに入り、ハープとのバランスも良いです。多少のアゴーギクは入るものの、やはりアダージェットは解釈の自由度が低いのかもしれないですね。悪い訳ではないのですが不釣り合いっぽい?ロンド-フィナーレもアダージェットからの繋がり感良くスタート、緩やかな流れからコーダはいいですね。
・・・・・
それにしても興味津々、鮮烈なテンションを最後まで引っ張れるかに掛かるシビアさを感じます。ライブで鑑賞してみたいです。


レヴィ / Atlanta SO
[TELARC] 1995-2/13, 14
 イスラエル人指揮者Yoel Levi(יואל לוי‎)が名誉音楽監督を勤めるアトランタ響です。第一楽章は葬送行進曲から第二主題にかけてナチュラルですが、後半は静的に展開されます。第二楽章もその流れで静的、緩やかな特徴的な第一部になります。
第三楽章スケルツォも全編 穏やか緩やかですが、唯一コーダだけは締めてかかりますね。アダージェットは当然の流れで、蕩ける様な甘美さではありませんが とにかく静的にしてスロー。やや飽きますが...
最終楽章はスタートから緩やかに上げて行くのが一つのパターンですが、ここでも緩やかなまま進んで終盤の山場、そしてコーダを迎えます。スケルツォ同様、ここでもコーダだけは見事に締めて来ます。どうした事かアッチェレランドも、不自然に感じるくらい決まっています。
・・・・・
アゴーギクを殺し、静的スロー主体のマラ5。よく冷えて入るけど炭酸の抜けたビールの様で、違う飲み物?みたいな。


コンロン / Gürzenich-Orchester Kölner P
[EMI] 1994-8/31 - 9/2
 ヨーロッパで活躍する米人指揮者James Conlonと、彼が音楽監督を勤めたケルン・ギュルツェニヒ管の演奏です。第一楽章葬送行進曲は重すぎず軽すぎず、第二主題への繋がりも劇的変化はありませんが適度にディナーミクを効かせています。第二楽章は当然の様に流れは同じですね。適度なメリハリで安心感のある第一部です。
スケルツォでは優雅な展開に切替りながらも切れ味のある演奏のなですが、やや遅めなのが中だるみを感じてしまいますね。アダージェットは特別に表情を出す事なく穏やかなのはイイですね。
ロンド-フィナーレでは、お約束通りに徐々にテンションを上げて行きます。最後の山場からコーダにかけてはワクワクします。コンサートでもそうですが、ここがこの楽曲の一つのポイントでしょうね。
・・・・・
特徴はないかもしれませんが、その分 安心して聴けます。初めてマーラーの第5番を聴く人にもお薦めです。


リットン / Dallas SO
[DORIAN] 1993-9
 米人指揮者Andrew Littonと米国オケのダラス交響楽団によるライヴです。陰鬱感の少ない明瞭な葬送行進曲、そして第二主題への展開で始まるマーラー第5番です。第二楽章はスピード感溢れる第一主題から情緒的な第二主題へと、基本は陰鬱感の少ない演奏になります。
スケルツォは、この流れで予想される通りに優雅にして軽妙で、アダージェットも表情を見せないクールさで繋がりに不自然さは感じさせませんね。最終楽章へはアタッカで繋がり、その延長上から上げて行きます。そこでは広がりがあり お約束通りの良い展開です。コーダへの期待を持たせながら、途中 多少のもたつきはありますが、ラストの山場を迎えて圧倒的なアッチェレランドで締めくくります。
・・・・・
CDの様にライヴで聴いたら良いでしょうね。独特のアゴーギクと明瞭感のマーラー5番です。


ファーバーマン / LSO
[VOX] 1980
 あのコープランドに師事した米指揮者Harold Farbermanと、ロンドン響のマーラー5番です。スローで抑揚の強い第一楽章第一主題、悪くありません。第二主題は押さえ気味で対照的です。第二楽章は一転してスピードある第一主題と緩やかな第二主題の対比を作ります。この第一部は、コントラストの強い明瞭な主張が感じられますね。
それに比べるとスケルツォは平凡でダレますが、途中のアゴーギクはやはり特徴的ですね。そしてアダージェットはスローで静、ややフラット気味に押さえた悪くない演奏です。最終楽章のスタートは押さえて入るのは良いのですが、これではフラット過ぎでしょう。スローなだけに、もう少し揺さぶりをかけながら上げて欲しい所ですね。コーダまでもちません。
・・・・・
第二部(第三楽章)・第三部(第四・第五楽章)が間延び的なマーラー第5番です。


クライツベルク / OP Monte-Carlo
[OPMC] 2010-9
 ユダヤ系ロシア人指揮者Yakov Kreizbergとモンテカルロ管による演奏です。取り立てた特徴的なパートはないものの安定した第一楽章ですね。音も悪くありません。第二楽章はやや変化があり、第二主題が あっさり、中盤以降ではアゴーギクを使った展開になります。
第三楽章スケルツォも平凡、かと言って問題のこの楽章の増長感で飽きさせるわけでもありませんね。アダージェットは速めの演奏で冷静、ディナーミクも薄めでクールな演奏で好みです。最終楽章は一転スローで入りながらテンポを上げて進みます。コーダもそれなりに締めて来ます。
・・・・・
全体は平凡ですが、諸処に一工夫のマラ5。オケの演奏も悪くなく、今ひとつ掴みどころが無いのですが、聴けます。一皮剥けたら面白そうなマラ5です。


○ アブラヴァネル / Utah SO
[Everyman] before 1991
 米国ユタ州縁のユダヤ系スイス人指揮者 Maurice Abravanel が、ユタ響を振ったマーラー第5番です。
奇妙でせっかちな第一楽章、楽器のバランスも不可思議なパートがあったり、オケのボリューム不足感が強かったり、そんな顔が処々に散見できます。第二楽章は、途中異常・異様に速いです。スケルツォも同様にカッ飛びですが、異常性は低いかも。第四楽章アダージェット、これが一番まともですね。やや速いのはともかく 安心して聴ける弦楽楽章になっています。最終楽章は速くてバラバラです。
・・・・・
演奏時間が61'50"と とにかく速く、おまけに第一部はとにかく変! ヘンテコ第5番の一角を占めますね。ジャケットに"Death in Venice"と入っているのもいただけません。変わり物マニアの貴方にぴったり!


フェルツ / Stuttgart PO
[dreyer gaido] 2009-1/13
 ドイツ人指揮者 Gabriel Feltz とシュツットガルト管によるライヴです。スローながら奇を衒った処のない第一楽章は演奏も良く好感が持てますね。リズムの転換を計る様に速いテンポで入る第二楽章ですが、第二主題からは落ち着いた演奏に戻します。流れは第一楽章と同じですね。第三楽章はスケルツォらしい華やかさが伝わります。スローがベースで適度なアゴーギクは広がりがあり、コーダは見事に締めます。この楽章の持つ欠点?飽きを感じる事はありません。
アダージェットはやや暖色系の演奏ですが、ここでもディナーミクを押さえながらの緩く静かな流れがマッチしています。最終楽章は一転して速いテンポで入り上げて行きます。意外な展開ですが、コーダへ向けての期待を抱かせてくれる演奏です。個人的にはスローで組み立ててくれた方が嬉しかったですが...
ちなみにフェルツが問題にしたヴァイオリンのアウフタクトの件は、CDからは感じられませんね。
・・・・・
最終楽章以外は誇張を排したスローでシットリと落ち着いたマーラー5番、こういうのも悪くありません。特にスケルツォは出色の出来です。


大植 英次 / Orchester de Hochschule für Musik und Theater Hannover
[gutingi] 2003-6

  ハノーヴァー音楽大学の自主制作盤で、終身教授を任ぜられている大植英次指揮による演奏です。
第一楽章は重厚な葬送行進曲、第二主題もテンポを大きく変える事の無く通して重厚さの演奏です。途中やや締まりに欠けるパートが気になりますが。第二楽章もよしも悪しくも同様の展開、微妙に振られたアゴーギクにハッとさせる様な良さと凡庸さが交互しています。
癖の無いスケルツォですが、かえってそれが退屈さに繋がってしまうかもしれません。技量を要求される静音での演奏が今ひとつなのは仕方ないでしょうね。アダージェットも同じで、静音で淡々と流れて特別な意図は感じられません。それが良いか悪いかは別として。
最終楽章も標準的に緩やかに上げて行きます。途中は淡々としていますが、コーダは少々荒々しく勢いで締めくくります。
・・・・・
一時期輸入元があり販売されていましたが、入手は難しいかもしれません。強音パートは溢れるパワーで勢いを感じられて楽しめるマラ5です。


マッケラス / Royal Liverpool PO
[Classics for Pleasur (EMI)] 1990-1/11-13
 英国で活躍したオーストラリア人指揮者 Sir Charles Mackerras と、ロイヤル・リヴァプール・フィルハーモニー管による演奏です。スローで行進曲らしくない第一楽章第一主題、というよりも この方が葬送らしいのかも。ディナーミクの出し入れが程よい緊張感を作っていますね。RLPOの管楽器の響きが良く、かのPhilharmonic Hallの音響の良さも手伝っているかもしれません。第二楽章も殊更の重厚性はなく基本サッパリ系で、バランスの良い出し入れの妙です。アゴーギクはやや強めですね。
スケルツォは軽快さ、ここでもバランスの良い演奏で飽きさせませんね。アダージェットではディナーミク抑えめで静的で流れの良さを感じられます。最終楽章は地味にスタートしてゆるやかに登って行きます。コーダに期待を抱かせるというワクワク感は不足ですが。
・・・・・
バランスの良いマーラー5番なのですが、何か一味足りないような...



一つの曲でも、本当にいろいろな演奏があって楽しいですね。^^

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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