クルシェネクの「Jonny spielt auf (ジョニーは演奏する)」を聴く

オーストリア出身で、独・米で活躍した現代音楽家 エルンスト・クルシェネク(Ernst Krenek, 1900/8/23 - 1991/12/22) の代表作オペラ「Jonny spielt auf」ですね。先日サッリネンのオペラ「クレルヴォ」を聴いたので、ふとこれを思い出しました。

クルシェネク(クレーネク、クレネク、クシェネク、等々 日本語では様々です)は退廃作曲家として紹介されていますが、その作風は無調からジャズ、新古典主義・他、とにかく色々ですね。
Jonny...はジャズに影響を受けて、と言われますが具体的にジャズ的な和声はありません。

ストーリーは、荒っぽく言うとこうなります。ジャズバンドの黒人フィドル奏者 ジョニーがバイオリニスト・ダニエロのヴァイオリンを盗もうと画策します。それに絡むのが恋の鞘当てです。ジョニーの恋人イヴォンヌ(ホテルのメイド)、作曲家マックスと歌手のアニータ。そしてダニエロ。それぞれの恋愛観と嫉妬が絡む中、ジョニーが盗んだヴァイオリンの行方と全員の人間模様が展開されます。

歌詞は、見開き左右ページにフランス語、ドイツ語、英語、イタリア語が併記されています。歌はもちろん独語になりますね。情景や表情のト書きが入っているので、読みながら聴けばわかり易いです。

アニータは出だしからパワー全開的、はなからマックスとの重唱です。曲調は特に抽象的な現代音楽ではありません。かといって所謂オペラらしい主題や旋律があるわけでもないですね。
パート1シーン2でのピアノが現代音楽らしい調べを流すくらいです。
恋人同士、アニータとマックス、イヴォンヌとジョニー、歌詞は英訳ではベタベタの恋愛ものです。
シーン3の入りではデキシーっぽい演奏が入りますね。ジャズっぽいのは、そこだけです。後はパート1終了で、ガーシュインぽいフレーズがありますが。(ガーシュインは2歳年長ですが、どうでしょう)
イヴォンヌのソプラノは可愛い声ですね。
イヴォンヌはダニエロに、そのダニエロはアニータに惹かれるのがいい男、いい女という基準なのも笑えます。



とまぁ、三文オペラ風な話と掛合いです。
処がパート2になると、ややシリアスになります。入りのパート2シーン1,2のマックスなど、演奏も歌唱も"それらしい"ので良いでしょうね。ソプラノはソプラノらしく、アルトはアルトらしく歌い上げています。シーン5、ダニエロが線路に落ちるまでの展開では熱唱に緊張感と迫力があり、思わず引き込まれてしまいます。パート2の方が遥かに良いですね。パート2だけなら?かなり良い作品の気がします。

しかしながら全体としては、調性を超えるでもなく、ジャジーな風でもなく、息も継げない名アリアがあるでもなく......クルシェネクの代表作にして人気を決定付けた作品の面白さがどこにあるのか、舞台が無いとどうも伝わりません。見方を変えれば、それだからヒットしたのかも。

一般的には新時代と旧時代(マックスやダニエロの死)との対比を背景にこの楽曲を捉えるのが普通でしょう。でも、殊更にそんな事を頭に入れ流れ聴いても自分で感じた音楽にはなりませんよね。適度に頭に入れておけば十分でしょう。
現実には舞台での演出が伴うと大きく変わるでしょう、確かに小沢征爾さんのウィーン歌劇場デビューでもそんな事を表現する様に出来ていたのも事実ですが、それは見せる方としてのスタンスですね。

久しぶりに聴いても結果は同じでした。以前聴いたイメージが残って、先入観になっているかもしれません。やっっぱり機会を見つけて舞台で見たいですね。

CDのジャケットが新しくなりました。


サッリネンの「KULLERVO (クレルヴォ)」、クルシェネクの「Jonny spielt auf (ジョニーは演奏する)」、とくると個人的には コッコネンの「The Last temptations (最後の誘惑)」が当然の様に浮かびますね。どこにあったっけ…


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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