マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 40CD聴き比べ! [#3 / CD:31-40]

週末の Eliahu Inbal / TMSO の新マーラー・チクルス-9 を前に聴き比べです。もちろん今回はインバルの3枚のCDを中心に、10CDですね。好きなマデルナとシェルヘンも入っています。

インバルの2枚はいずれも古い録音なのですが、かなり落差があります。どちらかと言われれば、日フィルとの方向性であって欲しいですし、それ以上を楽しみにしています。
《後日追記》コンサートのCD発売を機に追記しました (2015/3)

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#3 40CDまで)
 #3:10CD 本投稿
 #2:20CD
 #1:10CD




インバル Japan Philharmonic SO [DENON] 1979-11/19
 34年前の日本フィルとインバルのマラ9ですね。第一楽章だけでなく全体的に管楽器に少し弱さを感じます。第一楽章は、それでも処々に狂気を感じさせ、また緩急出し入れで緊張感のある なかなか演奏です。第二楽章も緩く軟らかいレントラーで弦楽器が要所を締めて聴かせますね。第三楽章は解釈自体は平均的な短い楽章なのですが、楽器の纏まりが良くなり、コーダでは「極めて反抗的に」というマーラーの注意書きに近い荒れ方を見せてかなり楽しめます。マーラーの得意とする緩徐楽章が最終楽章にあるのが9番の特徴。それを感じさせてくれる第四楽章ですね。前半にまとまりをやや欠ける感じもしますが、緩いアゴーギクを巧く使って広がりを感じさせて、ラスト5分の消え入る透明感の世界へ導いてくれます。
特別な解釈は無く、狂気・興奮よりも切れ味でしょうか。悪くありません。


インバル Frankfurter Radio SO [DENON] 1986-9/24~27
 28年前のインバルとフランクフルト放送響のマーラー9番。第一楽章がぎこちなく感じてしまいます。静かな流れが占めるディナーミク中でffパートは荒れます。でもそれは興奮とか狂気とは違い、落着きません。第二楽章も独特のリズム感で、個人的にはややスローのギクシャク系に感じてしまいます。これでレントラー?
第三楽章も同様の流れです。コーダはアッチェレランドを効かせます。第四楽章は第三楽章までの流れに比べると、速めです。1979年録音よりも1分30秒以上も短いです。ギクシャク感は少ないのですが、この楽章の持つ美しさをどう表現したかったのでしょう。ラスト5分で落ち着きを取り戻すのが救いですが、落ち着かないマラ9です。
この6年間の変化はなんだったのでしょうか。


《後日追記》
インバル 都響 [EXTON] 2014-3/15-17
 一年前のこのコンサートは東京芸術劇場で観て来ました。
第一楽章は特徴的な揺らぐ様な流れに身を任せたいのですが、どうもシックリきません。また、管楽器が突き抜ける音をだしたり、今ひとつまとまりに欠ける感じです。第二楽章も安定したレントラーを期待するのですが その感に欠ける気がします。入りで "らしさ" に欠ける様な間をとったりと 気にかかりましたし、ここでもオケのバランスに締りが感じられません。第三楽章は特に悪くはないのですが、インパクトや特徴に欠けるでしょうか。それでもこの楽章が一番まとまりがあり、特にコーダはアッチェラレンドに気合か感じられて悪くありません。全体的にはもう少しスローでディナーミクをつけた方が好みなのですが。第四楽章は入りから情熱が感じられます。この曲の最終楽章らしさが感じられる演奏ですが、好みはやっぱりもう少し"間"があると嬉しいですね。途中の静音パートはやや弱いですかね。
第三楽章の終わり辺りからは悪くないのですが、この曲に必要な強烈な情熱や狂気が見当たりません。それを望むのはハードルが高過ぎかもしれませんが…


ドゥダメル L.A.SO [DG] 2012-2/2-5
 現在最も注目される若手No.1ドゥダメルとロス響のマラ9、第一楽章は明瞭な表現です。一回目の頂点にかけてはただの明瞭だけでなく閉じ込めた情熱を振り解く様な展開。第二楽章は多少のアゴーギクを振ったレントラー。第三楽章は太い演奏で重厚ささえ感じますね。最終楽章も美しさではない何かがあります。何かが腑に落ちない様な....。それでもこの楽章の中盤以降が一番良いですね。
重量級のマラ9です。もっと暗く渦巻く様な"気"が欲しいかな。なにかボタンを掛け違っている様な感じです。でもコンサートで観たらこの音量感を良いと思うかもしれないなぁ。(笑)


☆ サラステ WDR SO Köln 2009年Live [Profil]
 マーラー第5番では素晴らしい演奏を残したユッカ=ペッカ・サラステ(Jukka-Pekka Saraste)と、首席指揮者を務めるケルンWDR交響楽団(WDR Sinfonieorchester Köln)です。
第一楽章の第一第二主題は切れ味ある中に優美さ、そして展開部の第三主題後の山場を締める切れ味ある流れです。この後は再現部も含めて各主題の変奏が組み合わせれますが、コントラストの効いたシャープさです。
第二楽章のレントラーには微妙にアゴーギクが振られています。ディナーミクもあり、独特な揺らぎを感じる懐の広い演奏ですね。
第三楽章は軽快さが前面に押し出されています。中間部(トリオ)では優美さも見せてくれ、後半の表情変化から最後はストレッタの絡みを強めてアッチェレランドを利かせてフィニッシュします。
第四楽章の弦楽主題はうまいディナーミクとアゴーギクで大きさを感じさせてくれます。第一エピソード後の美しい弦楽はこの曲の印象を強く伝えています。そして第二エピソード後の山場へは情感強く登りつめ、ラストのアダージッシモはマーラーの指示する「ersterbend, 死に絶えるように」の通りに薄く細く冷たい音色で消え入ります。
・・・・・
完成度が高く、全楽章を通して切れ味と美しさのマーラー9番です。緩やかに振られたアゴーギクとディナーミクがマッチしていますね。オススメです。


☆ バルビローリ BPO [EMI] 1964-1
 重厚に構えるBarbirolliとBPO。この曲の第一楽章らしくアゴーギクとディナーミクを振ってきます。悪くありません。バルビローリとベルリンフィルの重量級の組合せが見事にマッチしているのでしょう。第二楽章のレントラーも広がりを見せ、若干中だるみを感じますが気持ちの良い展開です。第三楽章ロンドも少々単調になりますがロンドらしいシャープな演奏ですね。第四楽章は、本当は繊細な美しさを見せて欲しいのですが、太い演奏。個人的なイメージとはちょっと違うなって感じです。
LIVEでの良さからBPO団員が希望して、正規録音された納得の演奏。デジタルリマスタリングにより古さは全く感じません。セッション録音ならお薦めの一枚。


☆ マデルナ BBC SO [BBC Legends] 1971-3/31
 奇才Bruno Maderna のマラ9。現代音楽家として著名ですが、指揮はあのシェルヘンに師事しています。感情の出し入れの激しさ、回帰する主題の独特な解釈の第一楽章。ハイピッチのレントラーで始まる第二楽章はアゴーギクやディナーミクも極端に振らずに軽快そのもの。ロンドはやや速めで入りながら後半はスローに展開、メリハリのある演奏で広がりを感じます。コーダはピッチを上げて一体感をもって締めています。最終第四楽章も入りは速いピッチですが不思議と違和感は感じません。本来ここは三楽章のコーダを受けて緩やかに入るのが普通だと思いますが、この構成ならではでしょう。前半の弦楽パートで情感豊に唄うのを避けている感じがします。管楽器が入ってからも同じですが、アゴーギクを細かく振って緩急を付けていますね。ラスト5分は一転、細く冷たい消え入る終焉を見事に演奏しています。
Scherchenの影響を感じる独特な解釈、それに追従するBBC-SOの演奏も良いですね。この解釈もありで、好きな一枚。


○ シェルヘン VPO [ORFEO] 1950-6/19
 ならば Hermann Scherchen 先生の盤を。第一楽章はとにかく速めのスタート。そしていつの間にかペースは戻ってきます。この独特のアゴーギク、シェルヘン教祖ならではでしょう。第二楽章のレントラーは全体的にもっそりですが、ここでも変化は激しいです。第三楽章はリズムよく流れ一般的な解釈で走り抜けますが、コーダは驚異のアッチェレランドを見せます。第四楽章は予想に反して標準的スローに入ります。微妙なアゴーギクを振ってはいますが王道的解釈でしょう。ラストも美しいです。
よくもVPOをここまで手なずけたと言った感じでしょうか。BPOならこうは行かなかったでしょうねぇ。いかんせん古いので音も最悪ですから、シェルヘン先生に興味が無ければ無用の品です。私には大切なCDですw


○ ドラティ Deutsches SO Berlin [Weitblick] 1984-5/30
 Antal Dorati と ベルリン・ドイツ交響楽団のライブ。ドラティというとkokotonPAPA的にはストラヴィンスキーが浮かびます。さてマーラーはどうなかと言う感じになりますね。オケはベルリン・ドイツ響となじみが薄いです。
第一楽章は特徴らしき物を感じなくスタートします。しかし中盤に入る頃から暴れ始め、曲のイメージを変える様な奇妙な解釈さえ感じます。ギクシャク感が強く素直に付いて行きづらいかも。第二楽章もアゴーギクと言うよりもリズムの取り方が??的な...。
第三楽章、ホルンがもたついているのか そう演奏しているのか。ここでもリズムの取り方が変わってます。クラのお遊びも弱めです。第四楽章は割と普通に美しく出て、他の楽章に較べるとおとなしいですね。
特徴的な解釈もあり、"美しさと狂気"と言うよりも全体的に狂気っぽい、際物好きな貴方にオススメです。面白いと思いますねぇ。
ちなみに海賊盤から正規盤になって登場した一枚です。


ジュリーニ Chicago SO [DG] 1976
 第一楽章アンダンテ・コモド。冷静沈着な演奏に終始します。ffパートもそれなりで、何か起る様な不安定さはありません。第二楽章のレントラー風も柔らかい演奏で、第二主題が少し遅く感じます。メリハリが薄い感じです。きわめて反抗的に.....とは行かない 第三楽章ですが、コーダにかけてそれなり反抗的?  "反抗的"には狂気が必要ですねぇ。第四楽章、繊細さが不足でしょうか。やや音の厚みがじゃまをしています。
特徴の薄いマラ9。スマートな薄味のジュリーニかな。




もちろん日頃聴いておくわけですが、もう一回くらいの聴き比べ でマーラー第9番の所有CDは全部になりそうです。^^;

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