マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 40CD聴き比べ! [#2 / CD:11-30]

前回のMahler Symphony No.9 の聴き較べはバーンスタインのイスラエル響盤が出た時に10CDの聴き較べをしてみました。
今回は10月27日(日)のラザレフ指揮日本フィルのコンサートを前に聴き比べです。
とりあえず今回は20CD。これで30CD。9番は5番と違い50CDくらしかありませんから、次くらいで全部インプレ出来ちゃうかもしれません。

【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ○:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#3 40CDまで)
 #3:10CD
 #2:20CD 本投稿
 #1:10CD




前回はバーンスタインをメインにしたので、もう一方の雄カラヤンから紹介します。実はここに凄い演奏が隠れています。

カラヤン BPO [DG] 1981年
 カラヤン得意のセッションからですね。
美しく壮大に入る第一楽章。第一主題の流麗さは素晴らしいが起伏は緩やか。第二楽章、第三楽章も激しい中にも柔らかく美しいタクトを振ります。第四楽章は最もスタンスがマッチしていて、基本スタンスは美しさ。ただ、第四楽章のラストはもっとpppでお願いしたかったかな。
これが好きなマラ9かと言われると疑問ですが、それは別にしてBPOの弦楽の美しさと素晴らしさを再認識する事となりました。
現在リリース中のCDはシェーンベルクの”浄夜”とのカップリング。これを聴けばシェーンベルクの初期の後期ロマン派作品がいかにマーラーに影響されているか明白。マーラーがシェーンベルクを擁護していたのは有名な話ですからね。


★ カラヤン BPO [DG] 1982-9/1
 セッション盤とは大きく異なるKarajanのライブです。指揮者と演奏者が集中して作り上げたセッションの素晴らしさはそれはそれですが、ライブにはそれを後押しするオーディエンスがいますよね。それがまざまざとわかるのがこの演奏。その緊迫感から情熱と高揚が生き生きと現れた9番。
一点の曇りも無く無機的美なカラヤンではなく、躍動美の華やかさとでも言うべきか。荒れる部分は無いのは、カラヤンらしさ。


《実はこの年1982年、カラヤンBPOはこの他に2回の同曲演奏があります。これがあまりにも違うので驚きな事は有名な話。以下が他の2演奏会のライブです》



(★)☆ カラヤン BPO [sardana] 1982-5/1
 これは本当にカラヤン? とにかく荒れるBPO。生々しく生き物の様なBPOの迫真の演奏。この曲には何かが潜んでいるのではないか、と思わせるほどに荒れます。第一楽章第一主題からいきなりのパワーが漲る演奏で始まり、そのペースは終始変わりません。特に第四楽章での演奏はハラハラものと言って良い感じ。しかし、荒っぽいだけかと言われれば そうではない。pppの部分などはカラヤンの美しさそのもの。
ffになるととにかく竜乱する。演奏終了時は一息あって拍手、そしてその後にブラボーの嵐となる。ゲネプロと本番だけ振ると言った様な緊張感をBPOに持たせたのでしょうか。これは凄い演奏です

興奮した演奏が良いかは別として、演奏会に通えばその手の演奏になかなか巡り会えないのは事実であり、巡り会えた時の感動は忘れられないですね。演奏者も演奏後に互いに握手を交わし、その演奏の充実ぶりは見てもわかる。個人的にはそんなコンサートが好き。音楽とともに感激も感じたいですよね。



カラヤン BPO [saradana] 1982-8/27
 同5/1に較べると、うって変わっておとなしい演奏に終始します。DG盤の数日前なのですが、その9/1演奏よりも尚おとなしい。これはこれで美しさが表に出て悪くないと思います。とは言え、ffパートでは息詰る様な激情をみせます。個人的にはDG盤よりも好きかも。演奏終了後は、拍手だけ ブラボーは無し。ヨーロッパのオーディエンスは厳しい。日本の公演は終了後に必ずと言っていいほどブラボーなのですが、それは疲れます。

結局カラヤンBPOのマーラー9番は1982-9/1の演奏がDGから正規にライヴとして発売されたわけですね。極端な三つのパターンを試したのはカラヤン本人でしょうから全てはカラヤンらしい計算?(勝手な想像で失礼)


テンシュテット London PO [EMI] 1979-5/11,12,14
 マーラー振りの一人Tennshtedtのマーラー9番。第一楽章のディナーミクとアゴーギクから醸し出される大きな波の様なスケール感は重量級の演奏です。第二楽章も重厚感あるレントラーから入ります。第一楽章に較べるとややメリハリに欠けるかな。第三楽章はやや速めに展開しながら、アゴーギクで調整しバランスの良い演奏になっていますね。懐の大きな第四楽章。前半の弦楽奏から緩やかな大きな流れを作りながら、途中の山場で思い切り盛上げて行きます。最後の静音パートは素晴らしい。
軽快というより重厚なるマラ9。ただ、全体としては四つの楽章のバランスが今ひとつはっきりしません。情熱を秘め過ぎたからかもしれませんね。
今テンシュテットのマーラー交響曲ならライブも含めたLSOとの全集を低価格で入手するのがベストでしょう。


《テンシュテットにも非正規の録音があるのが困ります。^^ゞ 特にNewYork Pとの演奏は際立つ出来で侮れませんね》



☆ テンシュテット NYP 1982-2/18
 テンシュテットがニューヨークフィルをエイブリーフィッシャーホールで振ったFM放送録音。
これが恐ろしい。狂気を感じます。一楽章は美しさと狂乱と興奮。終了時にほっとするくらい。第二楽章のレントラーの入りも乱れぎみながら各楽器の張りつめたものを感じさせます。そして続くのは呼吸の様なアゴーギク。一体感があります。三楽章の入りは速く、そのまま荒々しさを見せながら突き進みます。逆にお遊びのクラのパートは乱れが無い生真面目な演奏。その後はまた暴れます。コーダは凄いですね。第四楽章、のっけから凄い緊張感あふれる重厚な演奏で、そのペースを保ったまま進み 見事に整えながら消え入る様に集結します。
マーラー演奏の雄NYPと、得意とする指揮者Tennstedtの見せた一つの世界です。



☆ テンシュテット Philadelphia O [Navikiese] 1988
 非正規盤で劣悪な録音ですがTennstedtらしさ爆裂演奏なのです。auto録音のせい?かもしれないけど録音が極端にフラット。その為ディナーミクは不明で、想像するしか無ありません。
それにしても第一楽章は美しさと迫力を感じられますね。そして第二楽章が良いですよ、躍動感が伝わります。かなり情熱的で、テンポは速いです。第三楽章、序盤は荒れ、終盤にかけても暴れます。強烈な三楽章です。第四楽章、ここでディナーミクが不明なのは痛いですねぇ。この楽章の美しさがわかりません。しかし演奏は冷静。ラストのpppもしっかり聞こえてしまう不思議さ。(笑)
しかし興奮を禁じ得ない演奏です。録音バランスの悪さがかえってコンサートの臨場感を感じさせるからでしょうか。
とは言え、マーラーの9番が好きか、テンシュテットが好きか、でなければ不要な品である事に違いありません。


クレンペラー New Philharmonia O [EMI] 1967-2/15-24
 さてさてOtto Klempererの9番です。まさにクレンペラー節。しかし各楽章の注意書きを見れば、マーラーの意図に近く演奏しているのかもしれないですね。マーラーとの親交があったわけですし。とは言え、くせ者でならすクレンペラーですからわかりませんが。

スローにして各楽器パートを際立たせるお馴染みの解釈が際立つ第二楽章。一楽章と四楽章は抑えながら爆発的な山場を作ります。困ったのは最終楽章の弦楽パート。これが素晴らしいのですが、クレンペラーが第5番のアダージェットを最後まで”サロンミュージックの様だ”と嫌って演奏しなかったのはなぜでしょう。この四楽章は途中で管楽器が入るあたりで強烈な山場を作っているのでOKなんでしょうかね?
昔よりも音も格段に良くなったと思います。買うなら全集版が圧倒的にお得ですね。今聴くとちょっと古くさい解釈っぽいかな。それがマーラーが生きた時代の演奏なのでしょう。現代の演奏が重厚でアゴーギクの薄い方向に行っているのかもしれません。


クレンペラー VPO [TESTAMENT] 1968-6/9
 EMI盤の翌年、ウィーンでのライブ。ウィーンフィルとKlempererは、クレンペラー節が薄まりVPOらしい優雅さが加わったといったところ。ライブのせいかクレンペラーの計算よりも緩さと激情さが増幅されている様ですね。その落差がこの曲らしい展開になっているかもしれません。もちろん基本的な解釈はEMI盤と変わりません。
EMIの方がクレンペラー色が濃く出ていて好きですが、ライブの興奮も交えて聴きたいならばこれもありでしょう。ただ、今の時代で聴くと両者ともスローパートで少々だれ気味に感じるてしまうかもしれません。



クレンペラー Israel SO [Navikiese] 1970
 非正規盤で録音は少々キンキンしていますが悪くはありません。晩年の演奏でイスラエル響との共演は演奏時間が上記二枚よりさらに長くなっています。第一楽章は独特の違和感?はあまり感じません。あれっ?って言う感じ。でも得意の第二楽章ではレントラーからクレンペラーらしさがはっきり残されています。この楽章の展開がクレンペラーでしょうね。そして第三楽章も独特な展開です。最終楽章はゆっくりと流れ、山場もわりとあっさりとしています。全体としてマイルドなKlempererになっている感じでしょうか。ラストの拍手が唐突な感じですね。


ノイマン Leipzig Gewandhausorchester [BERLIN] 1967-11
 Neumannがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスターを務めた時代の演奏。この翌年からチェコフィルの首席指揮者となります。
壮年期47歳のノイマンは、それらしく生き生きとエネルギッシュな第一楽章を奏でます。第二楽章も元気なレントラーから快活迫力の流れ。第三楽章、やや揃いの悪さを感じさせるも元気のいい演奏。第四楽章は重厚感ある弦楽曲で入りますが、出来れば細く冷たい入りであって欲しかった。でも悪くないかな。この部分は5番のアダージェットより情感を込めて良いですよね。マーラーは"抑えて"と指示していますが....。ただエンディングはあっさりとしています。
ノイマンの9番としては後期チェコフィルよりも好きですね。オリジナルのedel盤よりデジタルリマスタリングで音も良くなりました。


ノイマン Czech PO [SUPRAPHON] 1982-1/12-16
 しまり無く退屈極ない第一楽章。流れもギクシャクとした感じ。不自然さに息が詰まる様です。二楽章も同じ様な展開。3/4拍子のレントラーなのですが、落ち着きません。三楽章、いきなりホルンの酷さ。四楽章もいまひとつの構成だですが、それでも四つの楽章の中では一番良く、美しさを感じます。
これ、本当にNeumann&CPOなの?! 久しぶりに聴き直しましたが、やっぱり合わないですねぇ。同じチェコ盤SUPRAPHONマーラー5番のノイマンCPOはこんなには酷くないんだけど。


ノイマン Czech PO [CANYON] 1995-8/21-24
 入りは柔らかく美しい一楽章。お手本の様な展開ですね。出来ればff部での迫りくる様な迫力が欲しいです。一楽章の後半はDENON盤と同じで開放されないもどかしさを感じてしまいます。二楽章はリズミカルなレントラー、切れ味のある演奏を聴かせる。のですが、この楽章も途中でもたつく感じ。テンポが好みに合わないのかもしれないです。終盤にかけて切れ味鋭く持ち直してくれます。スタートから少々ダルな第三楽章。それでも四楽章が一番美しく良いですね。死を前にしたNeumann最後の録音で有名なのですが.......
全体として面白みの欠ける標準的な9番といった印象が残ってしまいます。


ベルティーニ VPO [Weitblick] 1985-2-3
 構えの大きな第一楽章。多少だれる感じがなきにしもあらずですが、VPOにしては荒れ気味なffパートはこの曲としては好みで楽しいです。第二楽章も情熱が勝る演奏。やや速めの第三楽章は流れは軽やか。第四楽章は入りからやや暑苦しく、この弦楽パートは透明感が欲しい気がしますね。その分、山場は極度に盛上げます。ラスト4分の静音パートも夏の夕暮れの様な気配。冬であって欲しかった。(笑)
ライブだがブラボーは飛びません。情熱は厚いが重厚と言う訳でもなく全体的に明朗さが強い、その辺がこの曲としてはちょっと残念かな。


☆ ベルティーニ Kölner Rundfunk SO [EMI] 1991-7/1-3
 Gary Bertini, まさに手兵のケルン放送交響楽団を率いてのサントリーホールでのライブ録音です。重厚なる第一楽章は迫力十分、オケの音も明瞭で揃いも素晴らしい。レントラーもやや遅めで、まさにマーラーの言う「緩やかなレントラー風のテンポで、いくぶん歩くように」、終盤にかけては「そして、きわめて粗野に」ですね。第三楽章も適度な反抗的表現でとても良いリズムが刻まれ、コーダの展開も見事です。最終楽章は重厚ながら澄んだ響きと息づかいの様な緩急の出し入れ。クライマックスへの展開もとても自然、コーダは澄み切った静音で消え入る。
ベルティーニが磨き上げたケルンRSOとのマーラーの9番。いつ聴いても、グッとくるものがあります。


ベルティーニ Tokyo Met PO(都響) [fontec] 2004-5-30
 美しい入り、ため の利いた Bertini / 都響 の第一楽章です。アゴーギクの利かせ方も悪くないですし、スローですが 都響の演奏もしまりが良い感じ。二楽章もスローに入り、そろった音が美しいです。決して荒れる事はなく、それでいてダイナミックに演奏される三楽章。ややフラットですが美しい四楽章。欲を言えば、途中で迎えるクライマックスへ向けての盛り上げが欲しかったかも。そうすると、その後のpppのコーダまでが生きてくる気がしますね。
全体を通してバランスの良いアゴーギクとディナーミクです。pppは徹底して抑えてきます。悪くない9番と思いますね。録音の良さも寄与して、澄んだ音色を効かせているのかもしれません。


クーベリック Smphonieorchester des Bayerischen Rundfunks [DG] 1967
 入りは一般的なのだが、途中から意味不明のアゴーギクとディナーミクでこの曲の解釈としては疑問ですね。二楽章はレントラーさが歪められている感で、第三楽章も少々不安定感が強いです。でもこの楽章と続く第四楽章の弦楽器の入りは我慢出来るかな。四楽章の弦楽器パートは安心します。特別な事は全くないのですが、それまでが....。最終楽章としては良くもなければ悪くもない、ですね。
この曲は思い入れと狂気が必要(好み)だと思うのですが、これは方向性が違うかなぁ。ドン・ジャン・ポコポコ。
入手するなら安価盤で出た全集ですね。^^;


クーベリック Smphonieorchester des Bayerischen Rundfunks [audite] 1975
 当時、バイエルン放送交響楽団 (英:Bavarian Radio Symphony Orchestra)の首席指揮者だったRafael Kubelíkが手兵を率いて来日した際の東京文化会館でのライブです。
第一楽章はアゴーギクを揺らしディナーミクも振っているので、やっぱり!という感じ。歯切れも悪いかな。第二楽章も同じ様に落ち着きません。第三楽章も楽器のバランスが良くないし、まとまりもなく聴こえます。しかし、コーダに向けては狂気を伺わせてくれますね。続く第四楽章の弦楽の入りはバランスが良いです。でもアゴーギクがどうしても自分に合わないのと管楽器が入るとやっぱり歯車が狂いだす感じがします。エンディングも余韻無しでいきなり切れちゃいます。
もっさりスカスカした9番かも。


井上道義 新日フィル [EXTON] 2000-6/9
 マーラー各楽曲も好きだけど、現代音楽も取り上げるので個人的にお薦めの ミッキーこと井上道義。(ツンツルテンのMickeyもおかしいけど)
一楽章からInoue的解釈な9番が突っ走りますね。悪くないですねぇ。緩さの中のディナーミクを利かせた各楽器の音色も素晴らしいです。第二楽章もスローを基本にディナーミクを振った3/4拍子から展開すします。三楽章は標準的なペースですが、一二楽章より大胆な演奏です。ここでも音の一つ一つが大切に演奏されていますね。四楽章は美しさよりも思い入れを感じさせるダイナミックさ。
練習には時間を掛けたと思われる、狂気は無いが個性的なマラ9です。特に第三楽章は素晴らしい。いけます。


小林研一郎 日フィル [EXTON] 2007-1/25,26
 コバケンのマラ9 Liveです。第一楽章、特にかわったところもないですね。と言うか閉塞感を感じます。多少揺さぶり感のある演奏なのですが、発散した所がありません。長く感じてしまいます。第二楽章、レントラー的リズム感もはんぱな感じで、構成自体も少し眠い。第三楽章は出だしアンバランスですが、途中から多少切れ味が出てきます。コーダに向けてはgoodですね。最終第四楽章が一番良いと思います。
でも不明瞭な解釈に感じてしまい、個人的には好みじゃないマラ9になります。




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