ヴェーベルンの全作品を Complete Webern・Boulez で聴く

シェーンベルクを何枚か聴き直したので、新ウィーン学派仲間(弟子)のヴェーベルン(Anton Webern, 1883/12/3 - 1945/9/15 ウェーベルンとも) も取り出して見ました。久しぶりに聴きましたが、今更細かい事は不要ですね。
これはブーレーズがDGに移籍して再録音したもので、これだけでヴェーベルンの全曲(6CDset)を楽しめます。
CBS時代の録音よりソフトタッチなのは、ブーレーズらしいパターンでしょうか。このセットで聴き直すとヴェーベルンの良さが再認識できます。

CD1 はBPOによる管弦楽曲セットで無超時代の楽曲になりますね。Arrangements の三曲は窮屈でかないません。でも無調のOp.5 Op.6には音数は少ないですが、自然の流れがあってヴェーベルンらしさを感じます。パッサカリア Op.1は初期の調性の薄い美しい人気の楽曲ですが、その前の作品番号のない1904年 Im Sommerwind も面白くWebernとしては長めの調性時代の美しい作品です。
それにしても作品番号1番が、古典的なパッサカリア(シャコンヌと殆ど区別がつかない)とは今思えば面白いですね。

CD2 も管弦楽ですが声楽曲もはいります。一ニ曲目の作品番号のないOrchesterstucke (1913), Orchesterlieder (1913-1914)は無調で繊細さと複雑さ、静と衝撃の楽曲。その後はヴェーベルンの代名詞とも言う十二音技法の展開です。それも過渡期ではなくOp.21からなのでシンプルになって研ぎすまされた世界が楽しめます。

CD3 は十二音技法への転換期がメインになります。作品番号の無いピアノ五重奏曲(1907)も調性感は薄く素晴らしい展開です。声楽曲はシェーンベルクが使ったシュプレッヒゲザングではなく歌わせていますね。Op.15, 16, 17, 18, 19 と十二音技法確立前後の楽曲(歌曲)が並びますが、個人的にはジグザグの音符の配列、音の上下動をいつもながら感じてしまいます。技法展開が進むこの時期は音の流れが薄くなりますし、一曲の時間が極端に短いですね。実験的な色合いが濃い気がします。十二音技法といわれても、聴いて簡単にわかるわけではありませんが。

CD4 は歌曲。作品番号の無い初期作品は特徴が薄いですね。1908年の"Richar Dehmelによる5つの歌"は流れもあり調性感という束縛から逃れ始める感じが好きですね。Op3, 4 は調性感がかなり薄くなります。四つの歌曲Op.12は美しい無調の作品。Op.23, 25 は十二音技法と言う事になりますが、この流れで聴くと中間期(CD3)が無いので自然に感じられて良い並びだと思いますね。流れを感じられて、ヴェーベルンの良さが出ている気がします。

CD5 は弦楽奏曲です。緩徐楽章(Langsamer Satz)1905年はバリバリの後期ロマン派で笑えます。作品番号の無い初期作品が多く入っていますが、これ以外は陰性で調性回避を模索する好みの展開です。"弦楽四重奏曲"(1905)や"弦楽四重奏のためのロンド"(1906)は調性感は薄く素晴らしい楽曲です。前者は15分あるのでコンサートで聴きたい感じです。後期の作品はヴェーベルンらしい展開です。

CD6 はチェロやピアノ曲です。ここでもCD5と同じ様に作品番号の無い後期ロマン派作品から、十二音技法の楽曲が通して楽しめます。個人的に特筆すべきはやっぱり"ピアノのための変奏曲"Op.27(1936年)でしょうか。ピアノの単音で構成された楽曲です。あまり好きではなかったのですが、これを最後に聴くとシンプルにして必要十分な感じがしました。

ヴェーベルンらしい短い曲の繋がりと、シンプルな音とその流れ(旋律というかは微妙)の素晴らしさを楽しめますね。特に最後の2曲、管弦楽のための変奏曲Op.30でのシンプルの極みと、カンタータ第2番Op.31での華やかささえ感じさせる流れがヴェーベルンの世界でしょうか。個人的には初期の無調作品や、作品番号の無いものも含めて当初の調性感の薄い楽曲も好きですね。
十二音技法確立の転換期作品は今ひとつな感じですが、それを含めて後期ロマン派から無調、そして十二音技法への展開が楽しめます。
今や十二音技法は現代音楽の古典で、その先のトータル・セリエリズムがベースになってポスト・セリエリズムとなっているわけですが、その経緯を音で知るのは楽しいものです。合わせてブーレーズの全曲を聴くと、現代音楽のポスト・セリエリズムまでの音の変化がわかると思います。



【後日追記】このBlogでいう現代音楽とは


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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