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マーラー 交響曲第5番 名盤珍盤 175CD聴き比べ #4:ハイティンクのクリスマス・マチネLIVEを追加しました

明日の 準・メルクル/PMF-Oチャリティーコンサートを前にマーラーの第5番を聴き較べました。
今回は3枚以上の録音を残しているハイティンクやブーレーズ、メータ、クーベリック、ショルティを中心に20CDになりますね。まだまだ。^^;


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)

[リスト] 現在 #12回 175CDまで
 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン, プレートル[★], 小澤征爾, ジンマン[★], モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2]
 #2:20CD
M.T.トーマス[★☆], テンシュテット[x6 ★☆], ベルティーニ[x2], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4], ザンダー, シノーポリ, 飯森範親, 井上道義[☆]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ[㊟], スワロフスキー, レヴァイン, 戸山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 佐渡裕, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD 本投稿
ハイティンク[x4CD ☆], ブーレーズ[x3 ★☆], メータ[x3], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★], デプリースト, バルビローリ, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, ホーレンシュタイン, スウィトナー[☆], 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ[☆], アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ, レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル[㊟], フェルツ, 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン
 #10:10CD
ゲルギエフ[x3 ☆], ラトル[★☆], ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, ヒルシェ, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
 #12:15CD
ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, 資料的音源(アダージェット)他



ベルナルト・ハイティンク, Bernard Haitink (4録音)

(#1)
Royal Concertgebouw O. Amsterdam
[PentaTone] 1970-12


Philipsからライセンス契約でPenataToneがDSDマスタリングしSACD化しています。

1961年から1988年まで長くロイヤル・コンセルトヘボウ管の主席指揮者を務めたBernard Haitinkのマーラー5番ですね。

第一楽章・第二楽章やや遅めで重厚さ控えめ、シャープな第一楽章です。Philips盤からのリマスタリングで管楽器の音が華やかになっていますね。第二楽章は第一主題の激しさよりも穏やかな印象が残ります。
第三楽章
スケルツォは途中からディナーミクを効かせてきますが、全体的にやや緩めな感じです。
第四楽章・第五楽章
やや遅めのアダージェットは適度な情感で好みなのですが、この流れなら濃厚甘美でも良かったかもしれませんね。最終楽章はセオリー通りに軽やかに登って行き山場を盛上げて、華やかにコーダを締めくくります。


ちょっと印象の薄い締まりに欠ける感のBernard Haitink/RCOのマラ5です。演奏時間約71分は長めですが、この後より長大化します。





(#2)
[後日追記]
Royal Concertgebouw O
[DECCA] 1986-12/25


マーラーファンでこのアルバムを待っていた人は多々いるでしょうね。オランダPhilipsで発売されていたクリスマス・マチネLIVEです。BPOとの録音2年前、RCOとの前録音から16年後になります。演奏時間は延びて約73分ですね。

第一楽章・第二楽章
第一主題はやや遅めですが葬送的な重い空気よりも美しさを感じます。第二主題(第一トリオ)でも大きなテンポ変化はせずに流れを重視するように進みます。第二トリオでも落ち着いた流れで清廉な第一楽章ですね。第二楽章でも第一主題は必要以上の激しさは見せず、第二主題の美しい旋律を生かします。展開部でのチェロが奏でる旋律、ラスト前の金管も表情の異なる美しさを見せます。この第一部はハイティンクの録音の中でスタンスが一番明瞭でいいです。
第三楽章
スケルツォから移るレントラーが美しいですね。第三主題からはホルンの音色を生かしスローで柔らかな流れ、再現部を明るく示したのちコーダをハイテンポで駆け抜けます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは適度な感情移入で静的な美しさですが平均的な印象でしょうか。そしてアタッカで繋がる最終楽章は流れるように主題を絡めてリズミカルに上がっていきます。山場からコーダは華々しく盛上げ、見事なアッチェレランドです。


重厚迫力を排した美しさのマーラー5番で悪くありません。全体バランスもとても良く、2年後のBPOとの個性的な演奏との違いが明確です。☆を付けてもいいくらいです。





(#3)

BPO
[Philips] 1988-5


Haitink/ベルリンフィルのマーラー5番、78分と長くなっていますね。

第一楽章・第二楽章
葬送行進曲はスローですが重厚感より静粛さで、第二主題も大きくペースアップはせずに大きく緩やかな流れ。第二楽章も第一主題以外はかなりスロー化してより緩やかさが強調されますね。ラスト前の金管の山場は見事です。でも第一部全体としてはやや間伸び感が残りますね。
第三楽章
第二部である第三楽章もスケルツォからとても緩やかに展開します。ボリュームを上げられる環境ならスローで包み込む様な優しさを感じられるでしょう。好みは明確に分かれるでしょうが、個人的には再現部以降は見事華やかさもあり 長さを感じませんね。
第四楽章・第五楽章
スローを最大限生かしたアダージェットは静かなる美しさを見せ、透明感が強くことさらの甘美はありません。深く静かな森の湖のごとくで、全体の流れにも良くマッチして素晴らしいです。そして第五楽章では入りはスローですが、第一第二主題を絡めながらスローと軽量感を意識して上げていき展開部の山場をコントラスト良く仕上げてコーダから丁寧に締め括ります。


各山場はBPOの実力も見せて華やかにして豪快です。でも全体としてスロー、弱音パートを生かし穏やかな構えが印象的なマラ5ですね。そのバランスをどう見るかで変わるでしょう。ハイティンクは全ての録音を通して穏やかさを崩しませんでしたね。
万人受けではないでしょうが、とても特徴的なマーラー5番。好きな一枚です。





(#4)
Orchestre National de France
[naive] 2004-6/30, 7/1


フランス国立管弦楽団を指揮するHaitinkのマラ5。

第一楽章・第二楽章
スローな第一楽章は葬送というよりも美しさを感じで、第二主題でも急激な変化は見せませんがやや締まりに欠けますね。その辺がBPOとの違いかもしれないです。第二楽章はややペースを上げますが、柔らかな演奏は第一楽章と同じ流れで平板です。
第三楽章
スケルツォもスカスカ緩やか、滑らかさにも欠けます。その後もスローで薄く、延々と長く 眠い.........です。コーダもギクシャク。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも超スローで入りますが適度なアゴーギクで戻します。でもそれまでの録音と比べてドロ〜ンとして美しさ不足、不思議です。途切れ目無く第五楽章へ。この楽章が最もメリハリがあります。良い感じで山場へ向けて登って行きますが、なぜかスローな変化をつけてコーダへ。最後は大きなアッチェレランドで結びます。え〜っ、これでブラボーの嵐ですか?


全体的にもっさり柔らかく薄いマラ5。これで78分と言うのは長く、集中が途切れます。
(後日記:1986年RCOの美しい流れと1988年BPOの特異なスローの合体失敗の様な感じで…)




ピエール・ブーレーズ, Pierre Boulez (3録音)

(#1)
BBC SO
[ENTERPRISE] 1968


ブーレーズは1971年からBBC交響楽団首席指揮者になっているのですが、それ以前の録音です。本CDはマーラーの第9番(1972年)とのカップリングで2CD、表裏の表紙のみの簡易ですが正規です。(Kaplan Foundation記載あり)

第一楽章・第二楽章
バランスの取れた葬送行進曲です。スローの第一主題は殊更の重さは避けています。第二主題が遅いのは特徴的です。この展開はDG盤に近いですが、こちらは更にスロー。ディナーミクも押さえた この楽章としてはフラットな演奏です。コーダのtpがコケますがw 第二楽章は一転スピード感溢れる入りで、その後もアゴーギクとディナーミクを振って出し入れの強い演奏です。消化不良の感は否めないですし、一楽章との落差が他に無いほど大きいです。
第三楽章
スケルツォもやや速めで微妙なアゴーギク、前二つの楽章との解釈の落差が大きいですが、それでも聴かせてくれますね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは冷たい清廉さを感じさせてくれますが、速めです。ここはアゴーギクを使ってスローを交えて欲しかった感じです。
最終楽章は始めから速め、それ以外は特別な事はなく自然に流れる様に進んで行きます。ここは第四楽章との整合がありますね。ラストもアッチェレランドを緩やかにかけています。


揺さぶりの強いマラ5ですが、最後の二つの楽章は楽しめました。

ちなみに、この後演奏時間は1996年VPO(DG盤)に向けて変化して行きます。
    BBC  BBC  VPO
   (1968) (1970) (1996)
 #1 14:10 12:15 12:52
 #2 13:59 13:45 15:02
 #3 15:32 15:33 18:12
 #4 07:44 08:19 10:59
 #5 13:31 14:23 15:12 





(#2)
BBC SO
[HUNT] 1970

イタリアのHUNTレーベルから出ているPierre Boulez盤(HUNTCD 718)です。モノラルで音質は悪いですし、これまたペラペラな表紙だけでライナーノートらしきものも皆無。上記同様これまた正規盤。(Kaplan Foundation記載あり)
しかし演奏は素晴らしいです。

第一楽章・第二楽章
第一楽章は荘厳流麗で第一第二主題をこなして、緩いアゴーギクと処々に興奮も見せながら良い演奏を聴かせます。第二楽章も刺激的です。緊張感と正統派なる解釈で圧倒するオケ。
第三楽章
スケルツォも美しい流れを聴かせます。やや速いテンポながら全体を通して抑揚をうまく使った演奏は、この長い楽章をまったく飽きさせません。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも速め、その分だけ粘り着く様な郷愁感は避けています。流れの中でこの解釈は浮いた感じはありません。もちろん美しさは素晴らしいです。アタッカで第五楽章に入ります。ここはスローで。しかし途中からは速めて、それに合わせる様にコーダへ向かいます。うまい流れですね。コーダもアッチェレランドを効かせてビシッと決めます。大ブラボー!


これが正規音質で出る事は無いでしょう。速め基本のシャープな素晴らしさなのでとても残念。でも、これって本当にブーレーズ?って感じです。
26年後のDG盤であまりにこの曲の解釈が変化しています。でも、考えたらブーレーズはCBS(Sony)時代とDG時代で同曲録音を多く残していますが、変化が大きくマイルドに変化しています。それこそがブーレーズかもしれませんね。





(#3)
★☆
VPO
[DG] 1996-3



第一楽章・第二楽章
ゆったりとした第一楽章の葬送行進曲。ディナーミクのバランスも良く落ち着いている。第二主題もスローで切り替わる。もう少し速くても良い感じがするが、重厚さを排した第一楽章かもしれません。第二楽章はキレを感じる良い演奏で入るが、すぐに第一楽章と似たスローな解釈を持ってきます。入りの様な鋭い切れ味で演奏してくれたら良かった気がする。間延びした様な解釈な気もするが、実は通して聴くと流麗な流れを主体とした解釈なんですね。
第三楽章
スケルツォは優美の一言で、他に比類無し。
第四楽章・第五楽章
第四楽章は、細くて薄く冷たいアダージェット。最も好みなパターンです。適度なスローはまさにピッタリ。第五楽章の前半も美しく聴かせながらコーダへ向かいます。コーダも美しい締めです。


興奮と虚飾を排し、VPOの美しい演奏を最大限生かしたマラ5です。Boulezのこの解釈も素晴らしい。ちなみに演奏時間は'70年BBC響の64分から72分とかなりスローになっています。

.



ズービン・メータ, Zubin Mehta (3録音)

(#1)
LAPO
[DECCA] 1976-4


Zubin Mehta と ロスアンジェルス響。

第一楽章・第二楽章
少々荒い第一楽章の葬送行進曲は陰鬱さは薄くアメリカチック? 第二主題も第一主題の延長線上に演奏され、ここでのチェンジペースは無く進みます。第二楽章は速めに入り、アゴーギク強めの演奏でメリハリが効いています。
第三楽章
スケルツォも前楽章と同傾向。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは静音でも清音でもなく、わりとあっさりと通り過ぎます。途切れ目無く第五楽章に入り、やや速いペースで展開部の盛上げに。そしてコーダは思い切り広がりを見せながら締めくくります。


派手で速め、そしてやや荒いマラ5。落ち着きが足りない気もしますが、こういうのはコンサートでは受けそうですね。





(#2)
NYPO
[TELDEC] 1989


Zubin Mehta とニューヨーク・フィル

第一楽章・第二楽章
第一楽章の入りは荒れ気味。管楽器の華やかさが強く葬送行進曲的なイメージは弱いです。第二楽章は殊更なし。
第三楽章
スケルツォも前楽章と似た展開。
第四楽章・第五楽章
アダージェットを全体的に抑えた解釈で演奏しているのは良いですね。静寂的美しさで、好きな演奏です。五楽章との間を殆どとらずにCDにしているのはマーラーコンセプト。五楽章もコーダの盛り上げが見事。ちょっとやり過ぎなきらいもありますが。


全体的にはフラットな演奏です。でも要所をディナーミクで締めた演奏で、これまたコンサート受け?的なマラ5。





(#3)
Bayerisches Staatsorchester
[FARAO] 2008-12/15


バイエルン国立管弦楽団と組んだメータのマーラー5ですね。

第一楽章・第二楽章
第一楽章は柔らかく丁寧な葬送でスタートします。第二主題でもスタンスは変わらないです。若干のアゴーギクはあるものの基本はインテンポ、ディナーミクも強くない。でも、ちょっとクセを感じますね。第二楽章は、基本的で第一楽章と同じ傾向。少々 かったるいかも。
第三楽章
スケルツォは軽い足取りで進み、ここでも緩いアゴーギクがかかっています。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは静寂。途中、切れ味のある演奏をしています。第五楽章は徐々に上り詰めるのですが、ここもやや締りがない。それなのにコーダの盛り上げが実にうまい。


全体的にはダルいのですが、ラスト2分のまとめが決まり大ブラボー。




ラファエル・クーベリック, Rafael Kubelik (3録音)

(#1)
Concertgebow Orchestra of Amsterdam
[TAHRA] 1951-6/21


37歳Rafael Kubelik とアムステルダム・コンセルトヘボウ管(現:ロイヤル・コンセルトヘボウ管)のSP時代の古い録音ですね。

第一楽章・第二楽章
落ち着いた第一楽章。特異性はなく安定した演奏だが適度なディナーミクがコンセルトヘボウの演奏の良さを感じます。第二楽章はアップテンポで入りアゴーギクを効かせて演奏され、かなりの好演。
第三楽章
スケルツォはやや速めでシャープな展開。コーダはかなり速く演奏されています。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは標準的。第五楽章は明るく明瞭な入りはこの楽章の構成を知っているとコーダを期待出来る展開。しかしコーダは思いのほかシンプルで少々拍子抜け。


悪くないのですが何せ録音が時代もの。鑑賞するには厳しいですねぇ。





(#2)
SO des Bayerischen Rundfunks
[DG] 1971-1


クーベリックとバイエルン放送響です。

第一楽章・第二楽章
第一楽章は安心感のある展開。必要以上の重厚さを避けた第一主題、そして適度なテンポアップで展開する第二主題。少々Tpが怪しげではありますが。第二楽章も解釈は標準的で第一楽章の延長線上にあります。華々しい演奏。
第三楽章
スケルツォも特異的な解釈はないですが構成的にうまく、飽きさせません。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも中庸かな。暑過ぎず、冷た過ぎず。もう少しp〜ppでも良いかもしれません。第五楽章も約束通りに穏やかな入りから上げて行きます。コーダはアッチェレランドをさほどかけずに締めくくっています。


個性は薄いですがバランスの良いマラ5です。所々で楽器とくに管楽器が破綻をきたすのですが、それもまた楽し。





(#3)
SO des Bayerischen Rundfunks
[audite] 1981-12/6


Rafael Kubelik とバイエルン放送響との二度目のマラ5録音。

第一楽章・第二楽章
ごく標準的な第一楽章、第一主題はスローに、第二主題はアップテンポ。第二楽章も標準的と言える解釈。ラスト3分はアゴーギクを効かせて特徴的。この辺りから独特な解釈になってきます。
第三楽章
スケルツォは速いテンポで入り、緩いアゴーギクとディナーミクをかけています。ここでもコーダでアゴーギクを効かせてうまく締めてきます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは静で冷たい好きなパターン。第五楽章は軽いリズミックな流れで入るのが面白い。明らかにコーダに向けて期待感を持たせる展開で進みます。アゴーギクで流れをうまくコントロールして、(アッチェレランドは薄めながら)見事にコーダを結びます。


1971年録音よりも個性が出ているのですが音は淡白に聴こえます。しかし要所を締めてコンサート受けの5番です。




ゲオルク・ショルティ, Georg Solti (3録音)

(#1)

Chicago SO
[DECCA] 1970/-3


管楽器の迫力が伝わってくる Georg Solti とシカゴ響。

第一楽章・第二楽章
第一楽章はうねりの様なディナーミクがシカゴ響のダイナミズムとマッチしていますね。第二主題では微妙なアゴーギクも加えてきます。しかし第二楽章はやや平凡気味で緊張が途切れるかも。
第三楽章
一転スケルツォはスケールが大きく、アゴーギクとディナーミクの揺さぶりで聴かせます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットでは、緩い解釈のない硬質な演奏でこの流れの中では自然。第五楽章では速めの展開でコーダに向かいます。コーダは強烈なアッチェレランドで終演。


揃っているのだか暴れているのだか微妙な爆音スケールのマラ5です。それこそシカゴ響の本領発揮?!





(#2)
Chicago SO
[DECCA] 1990-11/30


穏やかな立上りを見せる上記録音の20年を経た後のGeorg Solti とシカゴ響。

第一楽章・第二楽章
余裕を見せつける様な第一楽章は特異性はなく安心して聴けます。続く第二楽章も同じ展開なのですが、少々ダルいかも。
第三楽章
スケルツォも同様で、やや緊張感に欠けるかな?
第四楽章・第五楽章
優しい音色を聴かせるアダージェット。これも緩い。第五楽章が一番厚みがある演奏。管楽器も少々縺れたりするのですが、生き生きとしています。


角が取れて円熟を増したショルティ/シカゴ響ですが、丸くなりすぎて平凡かも。





(#3)
Tonhalle-Orchester Zurich
[DECCA] 1997-7


没後10年目に発売された Georg Solti のラストコンサートは、 チューリヒ・トーンハレ管弦楽団とのマーラー第5番でしたね。

第一楽章・第二楽章
スローですがズッシリとした重々しさではない葬送行進曲の第一楽章。爆音演奏派のシカゴ響に較べると柔らかな音を出すトーンハレらしい音ですね。第二楽章も同系の音作り。やや音の張りが弱い気もします。
第三楽章
スケルツォは明るいですね。ちょっと演奏が緩いけど。でも不思議な事に飽きさせません。
第四楽章・第五楽章
思い入れをあまり強く残さないアダージェット。途切れ目無く、穏やかな演奏で繋がる第五楽章。ここは約束通りにコーダに向けて盛上げて行き、コーダも穏やかな流れです。


細かな破綻はありますが全体に穏やかで、まろやかなマラ5です。オケの弱さを少し感じます。




ジェームズ・デプリースト, James DePreist

LSO
[NAXOS] 2005-4/29,30


本年(2013年)2月8日に亡くなったJames DePreist とロンドン響のマラ5。

第一楽章・第二楽章
第一楽章は、ごく自然な流れ。特別にアゴーギクもディナーミクも振っていません。第二楽章は緩やかなディナーミクを使いながら仕上げて行きます。ここでも流れは華やかで、とても自然です。
第三楽章
スケルツォはゆったりとペースで立ち上がりますが、少々混乱気味、困惑気味の演奏。基本はスロー。コーダはうまく締めます。
第四楽章・第五楽章
あっさりとしたアダージェットからロンド-フィナーレへ。ごく標準的に、静から動へコーダに向けて上げて行く展開。コーダは例によって見事に盛り上げて終えます。それにしても、このコーダは本当にうまく出来すぎています。


まぁ、特徴的に薄い感じのマラ5でしょうか。




ジョン・バルビローリ, John Barbirolli

New Philharmonia O
[EMI] 1969


第一楽章・第二楽章
時折みせるアゴーギクが少々あるものの抑揚も興奮も抑えた第一主題と第二主題。続く第二楽章の入りは、もたつくような解釈で好きではありません。この楽章は普通は第一楽章と同じ様な繋がりなのですが(第一部としてくくられているくらい)どうも緩く緊張感が切れます。スローなら良いと言うものでは無い感じがします。
第三楽章
スケルツォも全体的に締りがないですね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも平均的な解釈で、重さも軽さもありません。第五楽章はスロー。しかし勿体ぶり過ぎというか、モタモタし過ぎに感じてしまいます。


バルビローリ節かもしれませんが、残念ながら個人的には飽きがくるマラ5、という印象でした。




ルドルフ・バルシャイ, Rudolf Barshai


Junge Deutsche P
[BRILLIANT] 1999


(第10番とのカップリングで2CDです)

バルシャイとドイツ ユース オケのマーラー5ですね。

第一楽章・第二楽章
多少暴れ気味ながら、シャープな第一楽章。パワーあふれる第二主題も悪くないです。ディナーミクの使い方もうまいですね。第二楽章も第一楽章の延長線上にあって、切れ味鋭いです。
第三楽章
スケルツォは細く鋭い演奏から緊張感のある演奏が良いですね。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも切れ味があり、第三楽章からのつながりも、第五楽章への移行も滑らかなな良い演奏になります。そして第五楽章は例によって、ゆっくりと上げて行きます。少々もたつくのですがコーダは見事に締め、当然の大拍手です。


透明感のある録音も寄与していますが、シャープで切れ味のマラ5。好きな一枚です。




ダニエル・バレンボイム, Daniel Barenboim

Chicago SO
[WDR TELDEC] 1997-6


ピアニストで指揮者のDaniel Barenboimとパワーのシカゴ響のマラ5。パワー全開です。かと言って重々しい訳ではありません。

第一楽章・第二楽章
第一楽章は第一主題と第二主題で大きなアゴーギクをかける訳でもないのにズッシリときます。続く第二楽章も悠然たる演奏です。
第三楽章
スケルツォは厚みのある演奏で解釈に違和感もありません。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは冷たさも暑苦しさも無い流れ。第五楽章も緩やかに入りながら華やかな管楽器が盛上げて行きます。この辺りはシカゴSOの得意とする処でしょうか。少々中だるみ気味でもありますが、コーダは必然的に締まります。この楽章が少し弱い気がします。


一体感と力感溢れるマラ5。録音も良く演奏自体も悪くありませんが、内容的にはごく平凡です。でも、初めて聴くのにはバランスが良いでしょう。







今でも毎年2,3枚は新たに発売されるマーラーの5番ですが、サイクル・全集ものも合わせると150CD以上はあると思います。気が付けば枚数だけはそれなりに……
ブログを始めてコンサートを基準に聴きなおしています。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。


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