FC2ブログ

マーラー 交響曲第5番 名盤珍盤 180CD聴き比べ #4:ハイティンクのクリスマス・マチネLIVEを追加しました


明日の 準・メルクル/PMF-Oチャリティーコンサートを前にマーラーの第5番を聴き較べました。

今回は3枚以上の録音を残しているハイティンクやブーレーズ、メータ、クーベリック、ショルティを中心に20CDになりますね。まだまだ。^^;


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン, プレートル[★], 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス[★☆], テンシュテット[x6 ★☆], ベルティーニ[x2], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4], シノーポリ, 井上道義[☆], ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ[㊟], スワロフスキー, レヴァイン, 戸山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD 本投稿
ハイティンク[x4 ☆], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ, レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル[㊟], フェルツ, 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン
 #10:10CD
ゲルギエフ[x3 ☆], ラトル[★☆], ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, ヒルシェ, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
 #12:20CD
佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), ナタリア(アンサンブル)




ベルナルト・ハイティンク, Bernard Haitink (4録音)

(#1)
Royal Concertgebouw O. Amsterdam
[PentaTone] 1970-12


Philipsからライセンス契約でPenataToneがDSDマスタリングしSACD化しています。

1961年から1988年まで長くロイヤル・コンセルトヘボウ管の主席指揮者を務めたBernard Haitinkのマーラー5番ですね。

第一楽章・第二楽章やや遅めで重厚さ控えめ、シャープな第一楽章です。Philips盤からのリマスタリングで管楽器の音が華やかになっていますね。第二楽章は第一主題の激しさよりも穏やかな印象が残ります。
第三楽章
途中からディナーミクを効かせてきますが、全体的にやや緩めな感じです。
第四楽章・第五楽章
やや遅めのアダージェットは適度な情感で好みなのですが、この流れなら濃厚甘美でも良かったかもしれませんね。最終楽章はセオリー通りに軽やかに登って行き山場を盛上げて、華やかにコーダを締めくくります。



ちょっと印象の薄い締まりに欠ける感のBernard Haitink/RCOのマラ5です。演奏時間約71分は長めですが、この後より長大化します。






(#2)
[後日追記]
Royal Concertgebouw O
[DECCA] 1986-12/25


マーラーファンでこのアルバムを待っていた人は多々いるでしょうね。オランダPhilipsで発売されていたクリスマス・マチネLIVEです。BPOとの録音2年前、RCOとの前録音から16年後になります。演奏時間は延びて約73分ですね。

第一楽章・第二楽章
第一主題はやや遅めですが葬送的な重い空気よりも美しさを感じます。第二主題(第一トリオ)でも大きなテンポ変化はせずに流れを重視するように進みます。第二トリオでも落ち着いた流れで清廉な第一楽章ですね。第二楽章でも第一主題は必要以上の激しさは見せず、第二主題の美しい旋律を生かします。展開部でのチェロが奏でる旋律、ラスト前の金管も表情の異なる美しさを見せます。この第一部はハイティンクの録音の中でスタンスが一番明瞭でいいですね。
第三楽章
スケルツォから移るレントラーが美しいですね。第三主題からはホルンの音色を生かしスローで柔らかな流れ、再現部を明るく示したのちコーダをハイテンポで駆け抜けます。
第四楽章・第五楽章
アダージェットは適度な感情移入で静的な美しさですが平均的な印象でしょうか。そしてアタッカで繋がる最終楽章は流れるように主題を絡めてリズミカルに上がっていきます。山場からコーダは華々しく盛上げ、見事なアッチェレランドです。



重厚迫力を排した美しさのマーラー5番で悪くありません。全体バランスもとても良く、2年後のBPOとの個性的な演奏との違いが明確です。☆を付けてもいいくらいです。






(#3)

BPO
[Philips] 1988-5


Haitink/ベルリンフィルのマーラー5番、78分と長くなっていますね。

第一楽章・第二楽章
葬送行進曲はスローですが重厚感より静粛さで、第二主題も大きくペースアップはせずに大きく緩やかな流れ。第二楽章も第一主題以外はかなりスロー化してより緩やかさが強調されますね。ラスト前の金管の山場は見事です。でも第一部全体としてはやや間伸び感が残りますね。
第三楽章
第二部である第三楽章もスケルツォ主題からとても緩やかに展開します。ボリュームを上げられる環境ならスローで包み込む様な優しさを感じられるでしょう。好みは明確に分かれるでしょうが、個人的には再現部以降は見事華やかさもあり 長さを感じませんね。
第四楽章・第五楽章
スローを最大限生かしたアダージェットは静かなる美しさを見せ、透明感が強くことさらの甘美はありません。深く静かな森の湖のごとくで、全体の流れにも良くマッチして素晴らしいです。そして第五楽章では入りはスローですが、第一第二主題を絡めながらスローと軽量感を意識して上げていき展開部の山場をコントラスト良く仕上げてコーダから丁寧に締め括ります。



各山場はBPOの実力も見せて華やかにして豪快です。でも全体としてスロー、弱音パートを生かし穏やかな構えが印象的なマラ5ですね。そのバランスをどう見るかで変わるでしょう。ハイティンクは全ての録音を通して穏やかさを崩しませんでしたね。
万人受けではないでしょうが、とても特徴的なマーラー5番。好きな一枚です。






(#4)
Orchestre National de France
[naive] 2004-6/30, 7/1


フランス国立管弦楽団を指揮するHaitinkのマラ5。

第一楽章・第二楽章
スローな第一楽章は葬送というよりも美しさで、第二主題では急激な変化は見せませんがやや締まりに欠けますね。その辺がBPOとの違いかもしれません。第二楽章はややペースを上げますが、柔らかな演奏は第一楽章と同じ流れで平板です。
第三楽章
スケルツォ主題もスカスカ緩やか、滑らかさにも欠けます。その後もスローで薄く、延々と長く 眠い.........です。コーダもギクシャク。
第四楽章・第五楽章
アダージェットも超スローで入りますが適度なアゴーギクで戻します。でもそれまでの録音と比べてドロ〜ンとして美しさ不足、不思議です。途切れ目無く第五楽章へ。この楽章が最もメリハリがあります。良い感じで山場へ向けて登って行きますが、なぜかスローな変化をつけてコーダへ。最後は大きなアッチェレランドで結びます。え〜っ、これでブラボーの嵐ですか?



全体的にもっさり柔らかく薄いマラ5。これで78分と言うのは長く、集中が途切れます。
(後日記:1986年RCOの美しい流れと1988年BPOの特異なスローの合体失敗の様な感じで…)





ピエール・ブーレーズ, Pierre Boulez (3録音)

マーラーの良い録音をDGメインに残しているブーレーズですが、傾向的には若い頃が個性的で後年は王道的となりますね。この傾向はマーラーに限った事ではなく全般的な傾向なのですが、Sony(CBS)にマーラーを残していないのが残念です。



(#1)

The BBC Symphony Orchestra
[ENTERPRISE] 1968-8/28


ブーレーズはBBC交響楽団の首席指揮者(1971-1975)になっているのですが、それ以前の録音です。本CDはマーラーの第9番(1972年)とのカップリングで2CD、ライナーノートは紙一枚を二つ折にした曲目リストのみの簡易ですが正規盤です。(Kaplan Foundation 5.0100)

第一部
スローのアゴーギクを振る葬送行進曲は特徴的で、ファンファーレの導入句を派手に鳴らします。第一トリオはクセもので、派手なのですが見事なほどスローで入り、徐々にテンポアップはします。この流れはDG盤に近いですが、こちらは更にスローの個性派です。主部がスローで回帰後の第二トリオは哀愁を薄めにテンポは標準的にあっさりとしていますね。第二楽章第一主題は乱暴で速くディナーミクは薄め、第二主題は第一楽章第二トリオの回帰風になっています。展開部も速くて荒い流れからvc動機を鎮めて来る極端な対比、再現部は爆速アゴーギク揺さぶりで大荒れですね。
極端なスローとファストのクセもの第一部になっています。
第二部
スケルツォ主題は,速くて,そっけなく,変なアゴーギクで乱れて管楽器は怪しげ、メタメタです。レントラーは少しテンポダウンしますが、そっけないのは同じ。突っ走って第三主題は鎮めますがあっさり風、ピチカートはボロボロです。展開部も印象は荒れ気味でそっけなし、変な揺さぶりです。とにかく全く落ち着かない変な第三楽章です
第三部
アダージェットは揺さぶりもなく譜面通り風ですが、速いです。7'台なのでメンゲルベルク(やマーラー本人)に近いテンポでしょう。第五楽章二つの主題の絡みは速め基本でどんどん進み、コデッタ主題も速いですね。展開部もそのまま進んでhrがズッコケたりします。再現部の山場からコーダはパワー剥き出し、フィニッシュのアッチェレランドは爆裂です。
突進メタメタの最終楽章ですが強烈、終わった途端に大ブラボー拍手喝采です!!



猛烈ダッシュとウルトラスローで荒れるクセものマーラー5です。ブーレーズのマーラーにある前期特有の個性的作品ですw

もちろん気持ち悪い揺さぶりも挟まれ、オケもメタメタです。やっぱり来ましたネェ。笑うのか唸るのか怒るのか、貴方はどちら派?!


この後演奏時間は1996年VPO(DG盤)に向けて変化して行きます。
    BBC  BBC  VPO
   (1968) (1970) (1996)
 #1 14:10 12:15 12:52
 #2 13:59 13:45 15:02
 #3 15:32 15:33 18:12
 #4 07:44 08:19 10:59
 #5 13:31 14:23 15:12





(#2)
The BBC Symphony Orchestra
[HUNT] 1970

HUNTCD 718
(amazonでは見つかりませんね)

上記2年後の同じBBC響、イタリアのHUNTレーベル(HUNTCD 718)盤です。モノラルで音質は悪いですし、これまたペラペラな表紙だけでライナーノートらしきものも皆無。でも上記同様に正規盤です。(Kaplan Foundation 5.0130)

第一部
葬送行進曲は緩いアゴーギクはありますが、速めのテンポになっています。導入句は派手ですね。第一トリオはここでも派手でスローなのですが、(#1)ほどのスローではありません。第二トリオは速めで程々の哀愁で山場へ向かいますね。第二楽章第一主題は速めで強め荒っぽく、第二主題は標準的な流れになりました。展開部の強弱出し入れは程々に、再現部のアゴーギクは健在ですね。
スローパートをやめて速い流れに統一した第一部です。2'近くも早くなりましたね。
第二部
スケルツォ主題はここでも速く荒っぽくそっけないですが、揺さぶりは抑えられています。レントラーも流れは同じですが、少しエモーショナルになっていますね。第一主題回帰から荒くなるのも同じですが、第三主題は標準的にっていますね。展開部も再現部も荒れ気味, 揺さぶりでどんどん進みます。この長い楽章をまったく飽きさせません。
第三部
第四楽章主部は速めですが、陰影付けがあってエモーショナルさが見える流れに。第五楽章第一・第二主題の絡みはやや速めくらい、コデッタ主題も速めですが優しさが見える様になりましたね。展開部・再現部のテンポ設定も気持ちの良い速めテンポ設定に統一されて、コーダからフィニッシュは怒涛です。大ブラボー!



テンションの高い速め主体の切れ味のマーラ5です。2年前(#1)のスローや極端なアゴーギクを拭った感じでしょうね。

これが正規音質で出る事は無いでしょう。速め基本の荒っぽさが魅力なのでとても残念。を付けたくなります。






(#3)

Wiener Philharmoniker
[DG] 1996-3/25,26


ブーレーズ、グラモフォンのマーラー・チクルスから第5番ですね。オケはウィーン・フィル(Vienna Philharmonic Orchestra, VPO)ですね。

第一部
葬送行進曲はゆったり優美、ファンファーレ導入句も控えめになりましたね。第一トリオのスローはここでも健在です。これはブーレーズが譲れなかったのでしょうね。もちろん、ゆっくりとテンポを上げます。第二トリオは重さを避けた哀愁で、それまでと変わりませんね。第二楽章第一主題も速めの流れは同じですが、コントロールの効いた音色です。第二主題はこの曲らしい哀愁感を美しく奏でる様になり、VPOの本領発揮でしょうね。展開部も見晴らし良い流れで入る様になりました。もちろんvc動機の透明感ある哀愁の素晴らしさは言うまでもありません。再現部のアゴーギクはここでも健在ですね。大きな違いはVPOの地力が出た第一部と言う事でしょう。
第二部
スケルツォ主題は優美さを表現できるテンポに落としましたね。レントラー主題もスローになって優雅です。決して軽いレントラーではありませんが。第三主題はオブリガートhrが朗々と鳴らしますね。展開部は標準的になって、再現部もそれまでの速くて特徴的な流れは影を潜め、堂々王道化の第三楽章です。少し寂しさを感じますね。
第三部
第四楽章主部は薄く冷たい冬の夕暮れの様に、中間部と主部回帰は少し濃厚さを残したアダージェットになりました。第五楽章冒頭二つの主題は王道的な流れになって軽快に上げて、コデッタ主題も優美になりましたね。再現部も王道化ですがアゴーギクが残されてスローを見せます。今更感もありますがw コーダは余裕を見せる様に締めます。



細かな個性を残しながらも、堂々として美しいマーラー5です。ブーレーズの意図がオケと合致していますね。(演奏時間は'70年BBC響の64分からは72分とスローになっています)

標準的でマイルド方向には変化していますが、基本的なテンポ変化や揺さぶりは変わっていない事も分かりますね。今ひとつを躊躇させるのはどうしてでしょう。

.




ズービン・メータ, Zubin Mehta (3録音)

イスラエル・フィルやウィーン・フィルとのイメージが強いのですが、北米でもモントリオール響、ロサンゼルス・フィル、ニューヨーク・フィルの音楽監督を歴任していますね。コンサート受けしそうな第5番です。

【後日記】2020年、ロス・フィル創立100周年にドゥダメル、サロネンと共に84歳の元気な指揮姿を見せてくれましたね。




(#1)
Los Angeles Philharmonic
[DECCA] 1976-4/26,27


メータが音楽監督(1962-1977)を務めた時代のロサンゼルス・フィルとのマーラー5です。

第一部
葬送行進曲は少し揺さぶり暗さ控え目、第一トリオは約束通りのテンポアップと刺激の流れになっています。第二トリオは重さを控えた哀愁で良い流れを感じますね。第二楽章第一主題は速いです、それもかなり。一楽章延長線に無い、と主張しているかの様です。ところが一転、第二主題は一楽章第二トリオの回帰と言う流れで、少し情感を強めていますね。展開部もvc動機を静美に鳴らしコントラストを付け、再現部は全体速め。明確なアゴーギクで飽きさせない流れの提示部です
第二部
スケルツォ主題は華やかで、オブリガートhrも元気です。レントラー主題はスロー静に落として緩やかにアゴーギクを振っています。聴き易さがありますね。第三主題はスローキープでhrを朗々と鳴らし、展開部もその緩やかな流れに沿って入り後半でテンポアップのメリハリ強調になっています。再現部第三主題最後の回帰からコーダは快感ですね。hrも素晴らしい!!
第三部
第四楽章主部は暖色系の緩やかさ、わりと淡泊に流れて一呼吸と言った感じのアダージェットでしょう。全体の流れにフィットしてイイですね。第五楽章二つの主題を速いテンポ設定で駆け上がり、コデッタ主題も速く爽快です。展開部も同テンポで一気に進み、再現部へ突入。山場・コーダは華々しさの一言です。



主題やトリオと言った大きな括りでのアゴーギクを明確に着けて、気持ち良いマーラー5です。速めパートも多く、それもスッキリ感を作っているでしょうね。

コンサートで出会ったら拍手喝采的な爽快マーラー5、嫌いじゃありません。






(#2)
New York Philharmonic
[TELDEC] 1989-9


13年後の録音です。ロサンゼルス・フィル辞任後に音楽監督(1978-1991)となったニューヨーク・フィルとのマーラー5です。

第一部
葬送行進曲の流れはロス・フィルとよく似ています。第一トリオもとても似て気持ち良いチェンジ・ペース、第二トリオも流れるような哀愁でトレースしています。第二楽章第一主題も速い流れに、第二主題も感情を込めた哀愁、展開部のコントラストも変わりません。唯一の変化は再現部が速めの流れではなくなった事でしょう。それにしてもロス・フィルから13年が経っているとは思えない第一部ですね。
第二部
スケルツォ主題はhrも元気で明るいですね。ちょっとhrが遠く聴こえますが。レントラー主題は緩やかな舞曲風にリズムを付けています。第三主題はここでもスローキープですがhrの鳴りは気持ちを抑える様な音色になりました。展開部は前半スローに抑えて、後半はテンポアップのコントラストはトレースされます。気になるのは再現部で、処々で極端なスローの揺さぶりを入れていますね。ロス・フィルから変化が感じられます。
第三部
第四楽章主部は静美で入り微妙なスロー・アゴーギクの感情を見せます。中間部も揺さぶりがあって、少し変則のアダージェットですね。第五楽章は速くて軽い流れで入って、コデッタもあっさりとしています。展開部と再現部では少しアゴーギクを振って揺さぶりを入れますが、コーダはしっかり大きく鳴らして来ます。



程よいテンポの揺らぎのマーラー5です。13年前のロス・フィルに、処々でエモーショナルさとスローの色付けがされています。それが中途半端感に感じてしまうかもしれません。

それなら、あっけらかんとした快感のロス・フィルに一票ですね。






(#3)
Bayerisches Staatsorchester
[FARAO] 2008-12/15


N.Y.P.(#2)の19年後、バイエルン国立管弦楽団と組んだメータのマーラー5ですね。音楽監督(1998-2006)を辞任した後の録音になります。大変身していますねw

第一部
ファンファーレに揺さぶりが入りましたね。葬送行進曲はスローでシンプル抑え気味、第一トリオで気持ちの良いテンポアップとテンションになりますがスローのアゴーギクを入れます。それまでの流れとは少し変わっているのがわかります。第二トリオでは抑えた哀愁感で従来路線ですが、第二楽章第一主題は標準的な速さとテンションになり、第二主題は哀愁を軽量化していますね。展開部はvc動機のいっそうの静強調方向にして、再現部もスロー方向の流れ主体となりました。スロー・マイルドに舵を切った第一部です。
第二部
スケルツォ主題はフンワリと柔らかスローに、レントラー主題もよりスローで緩やかなアゴーギクを見せて、第三主題も緩いスローになります。展開部も前半のスローがより強調され、後半とのコントラストが強くなりました。再現部も穏やかさを強く感じますね。コーダでは興奮を一切排除しています。
第三部
第四楽章主部はスロー静寂で強音パートも抑えを効かせ、中間部では静寂さの中にシャープさを見せます。静的個性が光るアダージェットです。第五楽章第一・第二主題は穏やかな流れで絡み、コデッタ主題はマイルドに。展開部は一度スローにしてから盛り上げて、再現部も穏やかな流れからコーダを華やかに鳴らします。決して走りませんし、興奮はありませんが、この流れならありかも!!



スロー基本でマイルドに徹底したマーラー5です。刺激物を取り去った様な個性的味わいです。

やや倦怠感とみるか、緩やかな優美さとみるか、一度聴いて欲しいマーラー5ですね。





ラファエル・クーベリック, Rafael Kubelik (3録音)

クーベリックと言うとやっぱりバイエルン放送響でしょうか。マーラー振りの一人だと思いますが、これと言った印象が薄い気がします。それこそがクーベリック?!



(#1)
Concertgebow Orchestra of Amsterdam
[TAHRA] 1951-6/21


37歳のクーベリックとアムステルダム・コンセルトヘボウ管(現:ロイヤル・コンセルトヘボウ管)の1951年という超古い録音です。

第一部
葬送行進曲は堂々とした流れで、ファンファーレ導入句は派手ですね。第一トリオは激しさを見せてテンポアップ、迫力ある流れを作っています。第二トリオは速めの哀愁から山場に登ります。第二楽章第一主題は速く切れ味の鋭い流れで、マーラーの指示に忠実ですね。第二主題も落差を大きく取って緩やかさを強調ですが、テンポは速めキープです。展開部でも澄んだ音色のvc動機を挟んで両主題のコントラストを明確にしています。切れ味良い行進曲から再現部も歯切れ良く、好演である事がわかりますね。
第二部
スケルツォ主題は速いですね、この時代のテンポ設定でしょう。レントラー主題もスローにしますが、スケルツォに比べてです。今の時代のスロー甘美的な優雅さはありませんね。第三主題はしっかりとスローでオブリガートhrを鳴らします。ここが一つのポイントなのは昔から変わらないと言う事でしょう。展開部もアゴーギクでコントラストを作る上手い流れです。再現部は速い流れ主体で、最後の第三主題回帰でテンポを整えるとコーダは飛ばして見事に締めます。
第三部
第四楽章主部は程よい静をキープし、山場は強調方向です。中間部はスローの静美から揺らぎを付けます。甘美さを感じる当時らしいアダージェットでしょう。第五楽章序奏hrは怪しいです。第一・第二主題は速めに切れ味良く絡み、コデッタ主題は優美さからスローに揺さぶっていますね。少し奇妙な感じです。展開部は縺れる様に荒れ気味に再現部へ、緊迫感がみなぎります。ラスト山場からコーダは気分を盛り上げてビシッと締めます。録音が悪くて管楽器が遠いのが本当に残念!!



基本速めのテンポですが、堂々としたマーラー5です。この時代のテンポ設定なのでしょうね。もちろん ただ速いだけでなくアゴーギクでスローも上手く使います。

実はレベルの高い演奏なのですが、何せ録音が録音です。クーベリックかマーラー5ファンの方には "時代" を聴いて欲しいですね。






(#2)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[DG] 1971-1/5-11


クーベリックが首席指揮者(1961-1979)時代、バイエルン放送響とのマーラー5です。コンセルトヘボウから20年が経っています。

第一部
葬送行進曲はここでも堂々としてファンファーレ導入句を派手に、第一トリオはクセのない迫力とテンポ設定で管楽器を鳴らす気持ち良さですね。第二トリオも速めの哀愁で20年前の流れと同じです。第二楽章第一主題は標準的なテンポに、第二主題も優美ですが殊更に落差は付けず、平均化されています。展開部もテンポの揺さぶりは減って標準的に、再現部も適度な揺さぶりになって、鳴りの良い王道の第一部です。
第二部
スケルツォ主題は"速め"くらいになり、感情移入は薄めですね。レントラー主題もほどほどスローですが、情感が乗って時代の変化に合っている感じです。第三主題hrスローも適度、良く鳴らしています。展開部もナチュラルなテンポで、感じるのは管楽器の鳴りの良さですね。再現部も速い流れは無くなり、コーダはここでも飛ばして切れ味抜群の締めです。
第三部
第四楽章主部は夏の夕暮れ的な暖色系、ピークはほどほどになりましたが中間部はしっかりと鳴らして来ます。濃いめのアダージェットではありますね。第五楽章第一・第二主題は標準的なテンポとなって軽快に絡んで上げて行きます。今の時代の流れですね。コデッタ主題の揺さぶりもほぼ無くなりました。展開部もまとまり良く余裕を見せ、再現部の山場からコーダは管楽器が華やかです。



クセの無い, 管楽器の鳴りが華やかなマーラー5です。+αがないのが残念ですが、マイナスはありません。20年を経ても基本は変わらず、クセと速めのテンポが時代と共に標準化されただけですね。

セッション録音でミスもありませんから、安心して聴ける一枚ですね。初めて聴くにもgood!です。






(#3)
Symphonieorchester des Bayerischen Rundfunks
[audite] 1981-6/12


クーベリックとバイエルン放送響との二度目のマーラー5です。首席指揮者退任後で、前回録音から10年が経っています。

第一部
葬送行進曲は抑えの効いた流れに僅かにリズムを付けて、第一トリオは標準的で違和感のないテンポアップと激しさです。第二トリオが若干速めなのは変わりませんね。第二楽章第一主題は少し速めで第一楽章の延長線上を印象付けている感じです。第二主題は静的な哀愁感で情感を漂わせます。展開部の強=弱=明の流れはvc動機の弱を強調。再現部はラストのコラールでスロー化、特徴的で個性を見せ始めましたね。
第二部
スケルツォ主題はまずhrが躓きます。そしてテンポは速くそっけないコンセルトヘボウ時代の復活です。アゴーギクでテンポを落としながら、レントラー主題は速めですが緩やか優美で今風ですね。その後はアゴーギクでスローへ揺さぶりをかけて、第三主題オブリガートhrは長く引っ張るクセもの的、弦も妙なリズムを付けますね。ピチカートでも揺さぶってから、展開部も緩い流れで揺さぶります。再現部は速めの流れが戻って走るかと思いきや、スローに落としてクセモノの第三楽章になりました!!
第三部
第四楽章主部はスロー静の控え目な流れになりましたね。中間部も繊細さで、安心して聴けるアダージェットです。第五楽章冒頭二主題は速めに淡々と上げて行き、反復で弦楽器の厚みを得ると表情を着けてコデッタ主題ではスローに振ってきます。展開部・再現部でもスロー側への緩やかなアゴーギクを使いますね。



個性のスパイスを微妙に振ったマーラー5です。強烈な個性ではないので心配はありませんね。処々のスロー・アゴーギクです。

71年[DG]よりも個性が出ているのですが、51年コンセルトヘボウ回帰のパターンが散見できて興味深いですね。





ゲオルク・ショルティ, Georg Solti (3録音)

ショルティと言えばシカゴ交響楽団(CSO)。その朗々と鳴り渡るイメージはCSOを印象付ける高みにまで行きましたね。もちろん3CDの内の2枚はCSOです。


(#1)
★☆
Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1970-3/26, 27, 31


ショルティがシカゴ響の音楽監督(1969-1991)に就任した翌年、名盤の誉高い1970年のマーラー5です。昔から聴いているので管楽器の鳴りが聴く前から浮かびますね。

第一部
まずtpの鳴りが見事ですね。葬送行進曲はすっきりした流れで明朗です。第一トリオは途中スローのアゴーギクを入れますが、ビシッと管楽器を鳴らして来ますね。第二トリオは上品な哀愁から山場で向かいます。第二楽章第一主題は速くて派手、まさにCSOらしさが味わえますね。第二主題は約束通りに緩やかに流れ良く、少しアゴーギクを入れて表情を作ります。展開部もvcをスロー陰鬱にして、その後もアゴーギクのコントラストを付けています。見晴らしの良さ抜群の第一部です!!
第二部
スケルツォ主題は優美というよりも力感ですね。レントラー主題も殊更にスロー化や耽美さは見せずにチェンジペースの設定です。CSOらしい美意識を感じます。第三主題もhrを朗々と鳴らして来ますね。オブリガートhrはその後も余裕で鳴らします。ピチカートは揺さぶって面白いですね。展開部へは自然に入って第二主題を回帰させ、再現部へ。ディナーミクを効かせ、主題群を速め基本の流れで押し進めます。スカッとした第三楽章ですね。
第三部
第四楽章主部はやや速めで淡々と山場はアゴーギクで大きく、中間部は薄い音色に甘美さを付けます。あまり聴かない濃いコントラストのアダージェットです。第五楽章第一・第二主題はかなり速い流れで絡みます。暴れないのが不思議なくらい忙しく、コデッタ主題からは若干落としますがあっさり気味。展開部は第一主題が回帰するとテンポアップして突撃、コデッタも力感です。再現部は山場からコーダを爆走、フィニッシュのアッチェレランドは猛烈です。
強烈怒涛の最終楽章です!!



明朗にして爽快なマーラー5です。明確な流れに鳴りの良い管楽器群、アゴーギクでしっかりスパイスも利かせています。スカッと聴きたいなら最右翼でしょうね。

ディナーミクの基本はもちろんパワープレイ。やっぱり好きな一枚です!!






(#2)
Chicago Symphony Orchestra
[DECCA] 1990-11/30


上記録音から20年を経たショルティとシカゴ響です。音楽監督退任一年前、大変化ですね。

第一部
葬送行進曲はスロー静音になって落ち着き、エモーショナルさを強くしています。第一トリオも同様に王道化、途中のスロー・アゴーギクもなくなりましたね。第二トリオは変わらず上品さを感じる流れになっています。第二楽章第一主題は適度なテンポと程よい音圧に。第二主題は変わらずに緩やかで上品ですが、ここでもアゴーギクは無くなりましたね。展開部・再現部も王道化しましたが、アゴーギク・ディナーミクとも平凡です。
第二部
スケルツォ主題は速めでリズミカル、途中でスローに揺さぶっていますが、20年前の力感はありません。レントラー主題もスロー気味の耽美さが出て一般化しましたね。第三主題のオブリガートhrはCSOらしく流石です。ピチカートも美しくなりました。展開部から再現部の三主題も殊更に急ぐ事なく、最後の第三主題回帰からコーダはキッチリと心地良く締めます。王道ですね。
第三部
第四楽章主部はスローで繊細な音色、ディナーミクで静的情感になりましたね。中間部は繊細ですが少し揺さぶります。第五楽章冒頭の二主題絡みもハイテンポですが落ち着いています。やや感情を抑えた流れに乗ってアッサリと進み、展開部はテンションを上げてフーガの流れを作りますが以前ほどではありませんね。再現部も手慣れたコントロール感で進み、山場からコーダは見事ですが、アッチェレランドは無しでアッサリ。魅力的な興奮も消えました。



角が取れ円熟を増して、おとなしくなったマーラー5です。ワクワクする様なショルティ/シカゴ響の個性が消え去った感じです。(録音の切れ味も微妙??)

完成度と王道化は躍進ですが、寂しさが残ります。






(#3)
Tonhalle-Orchester Zurich
[DECCA] 1997-7/12, 13


没後10年目に発売されたショルティのラストコンサート、 チューリヒ・トーンハレ管弦楽団とのマーラー第5番でしたね。

第一部
葬送行進曲は少し揺さぶりを入れてクセを感じます。第一トリオは明るい流れにチェンジしますが、楽器間のバランスが不自然なのはミキシングの問題でしょうか。第二トリオは哀愁感の濃い流れになりますね。第二楽章第一主題はマーラーの指示したハードな流れに、第二主題(第一主題第二トリオ変奏)は悠々とした哀愁表現になります。展開部は濃い第一主題回帰からvc動機を鎮めて落ち着きの第二主題に持って行きます。再現部もディナーミクをキッチリ使って表情の濃さを感じますね。
第二部
スケルツォ主題は速くてそっけない感じで、CSO(#2)と同様に途中でスローに揺さぶります。レントラー主題は優美さを見せようと緩い揺さぶりを入れますが今ひとつ。第三主題にかけては速めの流れを作りますが、心配なのはオブリガートhr、安心感に欠けますね。展開部以降もアゴーギクを使った緩急の揺さぶりで表情作りをしていますが、不安定さが付き纏う第三楽章です。
第三部
第四楽章主部は揺さぶりを入れて濃い流れ、中間部は妙にギクシャク、主部回帰はスローに。しっくり来ないアダージェットです。第五楽章第一・第二主題は揺さぶりながらクセを見せますが、テンポは一貫して速めですね。コデッタもアッサリ気味に、展開部でテンションを上げるのも同じですが、ヌケの良くないhrと 一体感に欠けるきらいがある流れが残念です。再現部山場からコーダは楽曲通りと言った風ですね。



主流派ですが、ショルティらしい濃い味付けを施したマーラー5です。激しさではなく、アゴーギクとディナーミクを使った強めの表情付けですね。

ただその濃厚さが今ひとつフィットしません。安心感に欠ける気がするのは、演奏の問題もあるかもしれませんね。





ジョン・バルビローリ, John Barbirolli (2録音)

バルビローリは3録音残していますが、所有は2CDです。他の一枚は1939年の古い録音ですね。(二つの録音を聴くと、興味津々なのですが…)


(#1)
Houston Symphony
[Merodies] 1966-3/24


(後日記:入手難でしたがMemoriesレーベルからリリースされましたね)

バルビローリが音楽監督(1961–1967)時代のヒューストン交響楽団を振ったマーラー5です。

第一部
クセのあるファンファーレ、葬送行進曲は微妙に揺さぶっていますね。第一トリオは速いですが特異性はそのくらい、第二トリオは標準的になっています。第二楽章第一主題は速く第一楽章の延長線にある事を主張していますね。第二主題も一楽章第二トリオの回帰的になっています。展開部・再現部には特異性は感じられませんが、力感が伝わりますね。録音が悪過ぎて、それ以上の事は不明です
第二部
スケルツォ主題はいきなりhrが崩壊、流れは速く揃いも悪く落ち着きません。レントラー主題は程よくスロー化させています。速めの流れはまとまりが悪く進み、第三主題はスローですが、その後のピチカートが揃わないのが凄いです。展開部も速め主体、再現部も入りのhrは怪しげ、速い流れで落ち着かない第三楽章です。コーダは爆速!!
第三部
第四楽章主部はアゴーギクで途中からやたらと速く揺さぶります。奇妙なアダージェットの代表になるかも。第五楽章第一・第二主題は適度なテンポで絡んで悪くありませんが、コデッタ主題は速くてそっけないですね。展開部も速め、再現部もその流れに乗って山場とコーダは怒涛、音が歪みます。フィニッシュのアッチェレランドもドッカ〜ン!!



一時代前の速め基本に妙な揺さぶり、変則マーラー5の一角です。そして怪しげな演奏レベル、その上に大きな問題は録音状態です。

音は極端に劣悪で、演奏も流れも全てグチャグチャw そう言うのが好きなマニア専用です!! 安易に手を出す一枚ではありませんw





(#2)
New Philharmonia Orchestra
[EMI] 1969-6/16-19


ヒューストン響の3年後、バルビローリが亡くなる前年に二ユー・フィルハーモニア管弦楽団を振ったマーラー5です。

第一部
葬送行進曲は揺さぶりは無くなり一気にスロー化しています。とは言え標準的テンポ範疇かもしれませんね。第一トリオもやや抑え気味ながら主流派的で違和感ありません。ぐっとスロー化した後の第二トリオはややスローの哀愁ですね。3年前とは一転スローベースの違和感です。第二楽章第一主題はスローで凄く変わっています。第二主題は緩やかで哀愁も薄く、一楽章との連携を完全拒否していますね。展開部・再現部も流れはスロー一辺倒。第一部に必要なコントラストが見当たりません
第二部
スケルツォ主題ほ適度なテンポ設定で、レントラー主題も軽やか優美、ここでは標準的です。第三主題も適度なスローですが、通して集中力に欠ける流れです。展開部もテンポは標準的ですが、処々に振られたスローで集中が切れる感じです。2発目のホルツクラッパーが送れますね。コーダだけは締めますが。
第三部
第四楽章主部は僅かに速めで少し素っ気ない感じもしますが、中間部では感情を込め 主部回帰は間延びのスロー化です。第五楽章は序奏からスローに、第一・第二主題ももっそりスロー、緩い流れからコデッタ主題もユルッと、高速道路を40km/hで走る様な提示部です。展開部も再現部もユルユルと緊張感のないスローで進みます。コーダもスロー、フィニッシュは締りのないアッチェレランドが待っていました。



全域スローの落ち着かないマーラー5です。特に最終楽章のスローは最悪で、集中力が持ちません。

3年前から一転急転大変化の驚きです。唯一共通しているのは "変わっていて落ち着かない" と言う事でしょう。どうせ変わった演奏ならヒューストン響の方が笑える分楽しめる?!





ジェームズ・デプリースト, James DePreist

London Symphony Orchestra
[NAXOS] 2005-4/29,30


本年(2013年)2月8日に亡くなられた、日本でもお馴染みの米人指揮者デプリーストとロンドン交響楽団のマーラー5です。

第一部
葬送行進曲はとても自然な流れに、第一トリオは程よいテンポアップと切れ味ですが、微妙なアゴーギクをふっていますね。途中でスロー強調の変わり種です。主題回帰でも揺さぶって、第二トリオ抑えた哀愁です。ラストの管楽器が変です。第二楽章第一主題はナチュラルな緊迫感、第二主題も殊更の哀愁は避けて落ち着いていますね。展開部vcのソロもあっさりと、再現部の第一主題も厳しさはあるのですがあっさりイメージが勝ちますね。
第二部
スケルツォ主題はスローでモワッとした流れ、レントラー主題も同じ流れになっていますね。チェンジペースが欲しい第三主題も明確さが不足してわかりづらいです。そこから最後までスロー化して見晴らしが悪くなるのはいただけません。長い19'半です。
第三部
第四楽章主部は終始淡泊ですが、中間部と主部回帰はユルユルのスローです。第五楽章第一・第二主題は軽妙に絡んで上げて行きます。コデッタ主題も展開部も再現部も標準的に進んで、一番まともな流れを作りますが淡泊。コーダはしっかり締めますが、時すでに遅し…です。



スロー側に振られたアゴーギクが締まりに欠ける印象を残すマーラー5です。また、全体的にディナーミク不足の流れもそう言った印象を与えているでしょうね。

この曲に欲しいシャキッとした流れがないのが辛い処です。





ルドルフ・バルシャイ, Rudolf Barshai


Junge Deutsche Philharmonic
[BRILLIANT] 1997-9/9


(第10番とのカップリングで2CDです)

バルシャイとドイツのユース・オケ "ユンゲ・ドイチェ・フィル" のマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲は明るさを感じさせて導入句ファンファーレは爽快に、第一トリオでは派手に荒々しく強烈にコントラストを付けますね。tpも見事です。第二トリオは優美な哀愁で重さは避けています。第二楽章第一主題はシャープに切れ上がる流れ、第二主題の哀愁は柔らかく穏やか、良いコントラストですね。展開部vcの鬱な動機も鳴りが印象的です。再現部は出し入れ良くディナーミクで流れをコントロールします。切れ味鋭いコントラストが聴き処の第一部になっています。
第二部
スケルツォ主題は緩やかですが華やかさがありますね。レントラー主題では速めに変化付けするも流麗です。第三主題でもオブリガートhrが立派に仕事をしています。展開部は緩いアゴーギクを見せ、再現部の主題群もディナーミクのメリハリの良さが明確です。コーダは見事に炸裂ですね。
第三部
第四楽章主部はあまり聴かない速めでキッチリとした感じです。ディナーミク濃淡の巾が厚い変則的アダージェットです。第五楽章第一・第二主題は少し緩めの流れで絡めて穏やか、コデッタ主題は明るい響きです。展開部はその流れに乗って上げて行き、再現部の山場からコーダは派手にバシッと決めます。当然の大拍手です。



クセのない流れに、シャープさのスパイスを効かせたマーラー5です。これがユース・オケというのが驚きですね。破綻を来す事は皆無、それどころがビシッと聴かせてくれます。その若さを尊重してです。

アゴーギクで道に迷わせなかったのが一番かもしれませんが、ディナーミクで作る出し入れが効果的です。高音側の響きが強めの録音は少々気になりますかね。





ダニエル・バレンボイム, Daniel Barenboim

Chicago Symphony Orchestra
[WDR TELDEC] 1997-6


ピアニストで指揮者のバレンボイムが音楽監督(1991–2006)の時代のパワーのシカゴ響のマーラー5です。

第一部
ファンファーレから重量級、葬送行進曲も低重心でゆったりと、第一トリオは重厚さはそのままに切れ味を増して進みます。第二トリオは線を細くして哀愁を奏で、一瞬の軽量の流れですぐに山場を鳴らします。第二楽章第一主題は緊迫感を見せマーラーの指示をトレースします。第二主題ではゆったりとした哀愁でコントラストを作り落ち着かせますね。展開部はシャープな第一主題からスローな第二主題回帰で堂々とした流れになっています。王道の流れとパワー、CSOらしさの第一部でしょうか。
第二部
スケルツォ主題は華やか、レントラー主題は優美さで一息入れる感じです。第三主題も程よいテンポダウンでhrを鳴らしますね。やや速めになって進みますが、この演奏ですとスロー基準にしら重すぎになるでしょう。
第三部
第四楽章主部は緩いアゴーギクでやや速め、中間部vnが尖り気味ですが全体濃厚甘美です。第五楽章二つの冒頭主題は力強い流れを作ります。コデッタ主題も美しいですが優しくありませんねw 展開部は力感ある流れで上げて行き、再現部の山場からコーダを高らかに鳴らし、フィニッシュのアッチェレランドは急がずビシッと締めます。



堂々パワープレイのマーラー5です。流れに個性も特筆も特にありませんが、代わりに頭からつま先まで統一された流れがありますね。

繊細なスロー静など存在しません。鳴りとパワーのCSOらしさ全開の一枚です。







今でも毎年2,3枚は新たに発売されるマーラーの5番ですが、サイクル・全集ものも合わせると150CD以上はあると思います。気が付けば枚数だけはそれなりに……
ブログを始めてコンサートを基準に聴きなおしています。


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コメントの投稿

非公開コメント

ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます