スクリャービンの The Complete Piano Sonatas をHamelin, Szidon, Voskresensky で聴く

現代音楽創世期を代表するロシア人作曲家スクリャービン(Alexander Scriabin、1872/1/6 - 1915/4/27)のピアノソナタ集。スクリャービンはピアノ超絶曲で右手首を怪我して左手のコサックと呼ばれるほど作風を持つピアニストでもあり、作品は6番以降が無調のピアノソナタとなります。


まずは Marc-André Hamelin のピアノで。ピアノソナタNo.1〜10と Sonate-Fantaisie, Fantaisie Op 28 を全て楽しめる一枚(2CD)です。
1番は重厚な中に超絶性を含んだ曲で、短調の暗い中に緩急の出し入れがうまく生かされています。2番「幻想ソナタ」は二楽章構成で一楽章はnocturne風に始まり強鍵に移るあたりはショパン的といわれる由縁でしょうか。3番は四楽章構成に戻り、4番は明るさが引き立つ長調です。ここまでは古典的なピアノソナタを味わえますね。3番と4番の間に、作品番号順で割って入るFantaisie, Op 28がありますが、好きですね。この辺りから面白くなる感じです。

5番以降は単一楽章形式になって、ここからがスクリャービンのピアノソナタの神髄。いきなり作風が変わります。5番は不協和音と言った風合いですが、6番以降は無調になります。一曲が8分〜13分弱。5番の和音を多用した音は美しいフレーズの中に不協和音が混ざりゾクッとするものがあります。6番はやや調性らしき感じが残るのですが、7番になるとより調性感がなくなります。9番「黒ミサ」の不気味な静けさの導入部(序奏や提示部は不明)からの緩いクレシェンド展開は官能的で、続く10番では音数を減らして一音一音の明確さを展開します。kokotonPAPA的にはこの二曲と人気の5番が好みですね。
アムランのピアノは例によって淡々と進むのですが、個人的にはもう少しエモーショナルな表情か思入れがあってもいいかな..って思います。でも超絶テク優等生のアムラン、スクリャービンのピアノソナタを聴くならまずはお勧め。




Roberto Szidon によるソナタ集(3CD)です。
ダイナミックかつ冷めた演奏でスクリャービンらしさを出しています。感情の出し入れが際立ちます。好みも出るでしょう。
まずは1番から全開演奏を繰り広げます。この曲は初期のロマン派的志向が残るので、それらしく聴けます。ffパートは激情的です。2番はベートーベンの月光をベースにしていると言われていますが、この演奏だとそれを感じられますね。3番も古典的なピアノソナタ感があり、Fantaisie, Op 28も感情的に弾くので調性の崩れを表現する事を避けています。シドンのピアノでは4番から調性の不安感がやや表現される様になります。
そして5番。情感豊かな演奏です。アゴーギクも効かせて表現力でこの曲を展開します。やっぱり素晴らしい曲です。6番はから7番への曲想も同様なイメージで演奏され、静音パートをうまく美しい流れにしています。実際には調性表記も無くなり無調ですが、極端に7番で調性が崩れている様には感じさせませんし、9番10番も同様の解釈で静音パートの美しさが幻想的に展開されます。
シドンの盤は最近復刻されたそうです。そうなると安く手に入るかもしれませんね。




Mikhail Voskresensky のソナタ集1〜10番(2CD)です。1番の前に作品番号の無いソナタ変ホ短調が入ります。
まずはソナタ変ホ短調。1番より年代は前で10代半ばの一楽章作品。機械的な印象を受けます。それが楽曲の持つものなのかヴォスクレセンスキィのタッチなのかは、後も続けて聴くとわかります。
1番は突き抜ける様なパワーです。感情移入は薄い感じですが打鍵の強さを強烈に感じます。2番もクールな演奏を見せながらスケールは大きな演奏で幻想ソナタにふさわしいですね。3番4番も同じ流れです。
5盤はクールな中に冷たい音を感じて強鍵パートとのコントラストが良い感じ。調性を感じる演奏です。6番では調性感がなくなります。しかし、ピアノのタッチがあまりマッチしていません。7番8番では無調の良さが感じられません。好きな9番では印象的な第一主題が機械的な打鍵の強弱に打ち消されています。10番も同じです。
ヴォスクレセンスキィのピアノだと調性のある4番までの楽曲の方が合っていますね。とは言ってもスクリャービン国際協会の常任幹部だそうですが。
現在は所有盤とは異なりますが、おなじものと思われるCDが入手出来そうです。(amazonではmp3, Towerでは取り寄せ)

 Scriabin_Sonatas-Voskresensky.jpg




5番以降で言えば、情感的なシドンは全体的に統一解釈、冷静なるアムランはハッとする様な展開。シドンがワンパターン的と言うなら、アムランは情感不足。異なった解釈であり、個人的には甲乙つけがたいです。ヴォスクレセンスキィは無調には不向きだと思います。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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