リストの At Grave of Wagner とベルク、ウェーベルンをクロノス・カルテットで聴く

一曲目のAt Grave of Wagner はリストがワーグナーの死を悼んで1883年に作曲した小曲。S 135, R 474(リストの作品はなぜかサールNo, ラーベNoで表される) で、リストが最後にたどり着いた現代音楽の源 1886年「無調のパガデル(S.216a/R.60c)」にいたる前夜とでも言うべき静音の世界。ここで言う無調とは"移調の限られた旋法"の事であり、完全なる調性の破壊である無調とは異なる。リストファンなら 1881年の Nuages Gris (S.199) でも同一方向性の音楽を既に進めていた事は周知の事実。神業的ピアニスト、調性の可能性の拡張、そして楽曲、全てがリストの凄さを表している。
また、リストとワーグナーの関係は以前書いた通り。本当にリストは一味も二味も違う!

二曲目のベルクの弦楽四重奏曲は無調の四重奏曲で、クロノスの世界が広がる。しかし、完全無調というよりも十二音技法的配列を感じる。静音系の楽曲。
三曲目 ウェーベルンの5つの断章。これも無調であり、ベルクと同じ様にその後に十二音技法からセリエルへの架け橋となる。呼吸を感じると言われる微妙な間はここでも素晴らしい。

このCDは一曲目を別扱いにするべきアルバム。二三曲目はクロノスの素晴らしい無調のカルテットが楽しめる。しかし、一曲目の3分足らずの At Grave of Wagner は存在感を含めて現代音楽の父であるリストを回顧すべき。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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