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マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べです [#3 : 36-60]


マーラー5番の聴き較べも3回目。今回はインバル都響とセーゲルスタム読響の公演を前に、インバル盤とセーゲルスタム盤を初めに計25CDです。

スペシャルは問題盤のシェルヘン4録音で、最後にインプレしています。


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD 本投稿
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
 #12:20CD
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), ナタリア(アンサンブル)




エリアフ・インバル, Eliahu Inbal (4録音)

どれも微妙に個性を見せるインバルのマーラー5ですね。27年間の4録音、回を追った違いを聴いてみたいと思います。



(#1)
Frankfurt Radio Symphony Orchestra
[DENON] 1986-1/23-25


定番化したインバルとフランクフルト放送交響楽団(音楽監督: 1974-1990)のマーラー5番ですね。ジャケットを見た時点で頭にイメージが浮かびます。

第一部
主要主題は鬱な葬送で僅かに揺さぶりを入れています。第一トリオは激しさより流れの良さを感じますね。もちろんコントラストは付けています。第二トリオは揺さぶってテンポを上げながら進んで行きます。心地良さの第一楽章です。第二楽章第一主題は速く切れ味が鋭く、第二主題は淡々としながら哀愁を奏で、第一楽章との差別化を図っている感じです。展開部vc動機も美しさを感じ、再現部コラールの金管の鳴りは広がりを感じます。
第二部
スケルツォ主題はスローのオブリガート・ホルンから入ってテンポを戻しますね。レントラー主題はピチカートの刻むリズムに合わせる流れで、両主題とも美しい舞踏曲と言う訳ではありません。第三主題はわざと弱さを伝える感じがします。展開部・再現部は各主題にスローとファストを明確に付けていますが、好みが別れそうです。
第三部
第四楽章主部は冷たい美しさで山場も抑えめ、中間部は繊細な美しさです。スローで静美なアダージェットになっています。第五楽章第一・二主題は速いテンポで絡み反復も速いまま、コデッタ主題も速めですね。展開部も基本は速めで進んでコデッタ回帰で少し戻し、再びテンポアップで山場へ。再現部はいっそうテンポを上げ、山場からコーダはきっちりと締め来ます。



端正で穏やか心地良いマーラー5です。明確なアゴーギクがありますが、通して興奮や強引さはありません。

美しささえ感じる様な丁寧さが特徴的で、良いですよね。






(#2)
Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
[fontec] 1995-4/15


フランクフルト放送響から9年後、インバルが東京都交響楽団の特別客演指揮者になった年のマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲の微妙な揺さぶりは相変わらずですが、そこに力感を加えた感じです。第一トリオも激しさは程々流れの良さは変わりません。第二トリオも揺さぶりながらの速い流れですね。第二楽章第一主題はここでも速く鋭く、第二主題も抑えた哀愁です。基本9年前と同じ流れですが音に締まりが付いて王道方向の第一部になりましたね。
第二部
スケルツォ主題のスロースタートは無くなり、標準的なテンポから速めにやや硬い感じです。レントラー主題も少ししゃくる様な揺らぎは残り、両方とも優美な舞踏曲にならないのは相変わらずw 第三主題はここでも弱い流れを作ります。展開部以降もアゴーギクによるコントラスト付けは同じなのですが、スローの間延び感が気になる感じがします。コーダは見事です。
第三部
第四楽章はテンポがやや速くなって、情感も感じる様になりました。以前のクールさが懐かしいですね。第五楽章第一・二主題は速いテンポで進むのは変わらず、なんだかモソモソっとした感じですが反復では僅かにテンポを落とします。コデッタ主題も速め。展開部も速め基本にアゴーギクを使うのですが違和感を感じます。再現部の爆速は面白く、ラスト山場からコーダは派手派手しいですね。



アゴーギクを使ったコントラストのマーラー5です。基本的スタンスは9年前とほぼ同方向ですが、美しい丁寧さから締まりを付けた感じです。

第三楽章展開部から再現部、第五楽章の展開部、二つのアゴーギクの違和感が強くなった気がします。






(#3)
Czech Philharmonic Orchestra
[EXTON] 2011-1/20, 21


都響客演から16年後、インバルが首席指揮者時代(2009-2012)のチェコフィルとのマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲は変わらず揺さぶっていますがシャキッとした感じ、第一トリオでは何やらアゴーギクを振ります。変ですw 第二トリオは弦の揺さぶりが強まっていますね。第二楽章第一主題は変わらず速く鋭く、第二主題はより淡泊になった感じですね。展開部vc動機は静に落ち着きを見せます。再現部はクセのないコントラストの良い流れです。アゴーギクの強まった第一楽章に不自然さを感じる第一部です。インバルの第二楽章は良いですね。
第二部
スケルツォ主題はスローのスタートが復活、オブリガート・ホルンの優美さが弱いです。レントラー主題は緩やかな優美さが見える様になりましたね。第三主題もhrがしっかり鳴らす様になっています。展開部のスロー・パートに静を強めて合わせたので違和感は減ったかもしれません。代わりにインバルの歌いが強調されますがw 再現部もアゴーギクに不自然さが無くなりました。
第三部
第四楽章は変わらず、やや速めで表情を見せるアダージェットですね。中間部の揺さぶりが強くなっています。第五楽章第一・二主題は速い流れですが落ち着きましたね。フーガが成立して聴こえます。展開部もアゴーギクが改善されてスロー違和感がなくなりました。再現部は速さとスローを上手く対比させて、コーダは落ち着いていますね。



アゴーギクの個性を見せるマーラー5です。16年前と同じ流れですがアゴーギクの違和感は、一楽章が悪化、三・五楽章は改善されています。

全体では王道方向と個性派方向がミックスされた感じで、完成度は上がっています。




【後日追記】コンサート後に発売されたので追記です。そちらのインプレもご参考に。

(#4)
Tokyo Metropolitan SO
[EXTON] 2013-1/19,20,22


上記チェコ・フィルの2年後、都響のプリンシパル・コンダクターとして登場したマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲は揺さぶりが弱まって本流的流れになりました。第一トリオの奇妙なアゴーギクも無くなってシャープさが光り、主要主題とのコントラストが大きく改選されていますね。第二トリオは少し弦が揺さぶって哀愁感に違和感を残します。第二楽章第一主題は一貫していて速く鋭くですね。第二主題は少し感情が強くなった哀愁になりました。展開部vc動機はここでも静の落ち着いた音色で、その後も速めベースで行進曲も締まった流れです。再現部も速めを基本になっていますね。速めの本流方向性が強くなった第一部です。
第二部
スケルツォ主題は都響との演奏ではスロースタートを入れません。主流的になりましたが、なぜか肩に力の入った感じですね。レントラー主題は優しい弦の音色になって、第三主題も優しい弦楽の上にオブリガート・ホルンが感情を込めた落ち着いた穏やかさです。その後のピチカートは強いですね。展開部はスローを静強調で安定です。再現部も第二主題には揺さぶりを入れていますが、クセは感じらません
第三部
第四楽章はチェコ・フィルから少しテンポと情感を削った感じです。強音パートで強い揺さぶりを入れるのは気になりますね。第五楽章第一・二主題も速めでシャープさが見える様になりました。展開部は速さで安定させて進み、再現部はまさに本流になりました。ラスト2分は素晴らしいです。コンサートを思い出しました。



処々に個性のアゴーギクは残されていますが、四つの録音の中で最も王道的なマーラー5です。

インバルを聴くなら本盤かフランクフルトと言う事になりそうです。音が良く、インバルの声がすごく良く聴こえたりします。コンサートホールとは違いますが。
(笑)





レイフ・セーゲルスタム, Leif Segerstam


Danish National Radio Symphony Orchestra
[CHANDOS] 1994-4/20-22,25


現代音楽の作曲家としても活躍するので個人的にはお馴染みの北欧の怪人L.セーゲルスタムとデンマーク国立放送交響楽団によるマーラー5です。首席指揮者時代(1988–1995)のマーラー・チクルスからです。

第一部
重さを避けた葬送行進曲はアゴーギクの揺さぶりが入り、導入句ファンファーレも大きく鳴らします。第一トリオは派手に鳴らし、テンポアップで明確な変化を与えます。後半に一呼吸揺さぶるのもセーゲルスタムらしさでしょう。第二トリオは程よい哀愁感からコーダへ向かいます。第二楽章第一主題は速くてがっしりした流れからスローで揺さぶって、第二主題は穏やかな流れ。展開部は透明感のvc動機が美しく、再現部は出し入れの明確な流れを作ります。ラストも一回スローを入れて、変化で聴き手の聴覚を飽きさせない第一部ですね。
第二部
スケルツォ主題のオブリガート・ホルンはいきなり大きく揺さぶって入りますが、すぐに広く優美な流れになります。そして途中でスローに、個性的ですが嫌味はありません。レントラー主題はスローの流麗さですね。第三主題は手前でゆっくりとブレーキを踏んでからオブリガート・ホルンが朗々と鳴らします。音を引っ張りますねぇ。後半のピチカートは超スローです。展開部も再現部も時折スローを挟みながらの刺激付けを入れて良い流れです。コーダはビシッ!!
第三部
アダージェット主部はクールな美しさです。透明感ある冷たい流れで若干スロー、もちろん中間部の繊細さは言うに及ばず、最も好きなパターンです。第五楽章は序奏の1発目のhrを長々引っ張ります。第一・二主題は落ち着いた対位的関係で上げて行き、反復で音を膨らませるとコデッタ主題は優しさを見せます。展開部は穏やかな流れからテンポと音厚を上げて緊張感を高めます。再現部はその延長上に進めてコデッタをスロー化、テンポアップから山場を快速に入って大きく鳴らします。コーダは唐突とも思えるアッチェレランドです!



スローのスパイスが心地良いマーラー5です。アゴーギクが上手く曲を惹き立てて、一味加えた美味しさになりました。

CHANDOSレーベルの録音の良さ、個性ある好演を御所望の貴方に"オススメの一枚"。個人的ベスト5の一角です。


(後日追記:2013年来日公演では読響を振りましたが、個性は消えていました。客演では無理でしょうね)




ジョナサン・ノット, Jonathan Nott

Bamberger Symphoniker
[TUDOR] 2003-9/15-19


J.ノットとバンベルク交響楽団のマーラー5ですね。このセットのマーラーは評判が高いですね。もちろん首席指揮者時代(2000-2016)のマーラー・チクルスからです。

第一部
葬送行進曲は鬱な気配を漂わせ、微妙なアゴーギクを付けています。ファンファーレ導入句を激しく、第一トリオは一気に派手で鋭い音に切り替えてテンポアップです。主題回帰ではスロー強調して少々間延び感、第二トリオは優しさですがラストはスローに流れてピントが甘い感じです。第二楽章第一主題はシャープ、第二主題も緩やかで、一楽章の連携を見せます。再現部vc動機は透明感のある静的流れ、再現部はアゴーギクでの緩急付けが強いですね。全体では、スローに振られたパートで見晴らしに欠ける第一部です。
第二部
陽気で明るいスケルツォ主題は僅かに揺さぶって、レントラー主題は弦楽の美しさにチェンジします。第三主題は緩やかに、弦楽奏が強めですね。再現部前半の流れが緩くモサッとして気になります。再現部は何処か締まりに欠ける感じが拭えません。コーダで目が覚めますねw
第三部
第四楽章主部も僅かに揺らぎがあって強音パートは大きく鳴らします。ハープが止まると揺さぶり強く入り、濃淡の強調で存在感を主張するアダージェットです。近年では珍しい?!  第五楽章の一・二主題は軽量軽快で進み、コデッタ主題はより軽さを強調しますね。展開部は山場の前で一度揺テンポを変化させ、再現部は緊迫感を与えた流れですが、途中でスローへ振っています。コーダは約束通りに決めてくれますね。



微妙な揺さぶりとスローが気になるマーラー5です。細かな揺さぶりなので気にすると不自然な気がしますし、スローでややモッサリするのも気になります。

基本的な流れはスッキリしているので、聴く側によって好みが分かれる演奏でしょう。





ジョナサン・ダーリントン, Jonathan Darlington


Duisburger Philharmoniker
[ACOUSENCE] 2010-9/22,23


J.ダーリントンが音楽監督(2002〜2011)を努めた時のデュイスブルクフィルハーモニー管弦楽団を率いたマーラー5です。本ブログお薦めの指揮者とオケのセットです。

第一部
葬送行進曲は重厚にファンファーレ導入句も激しさを見せます。第一トリオではテンポアップして明確にチェンジ、鳴りの良い激しさです。第二トリオもしっとりとした哀愁で、主題の差別化は見事ですね。第二楽章第一主題も速いテンポで切れ味鋭さを見せ、第二主題では緩やかな哀愁、第一楽章とのバランスを上手くとっています。展開部vc動機も音色を濃く朗々と、短い行進曲も鳴りは大きいです。再現部もメリハリが見事ですね。
第二部
スケルツォ主題は大きな広がり、レントラー主題では緩やかな優美さ、基本は堂々とした流れです。第三主題は美しい弦楽の上にオブリガート・ホルンが自信にあふれる音色を響かせます。展開部もhrがリーダーとなって引っ張る良い流れ、再現部は管楽器の鳴りの良さが主題の変奏を際立たせています。コーダはそれが見事に生きて華々しさ全開です。
第三部
第四楽章は程よい甘美、山場はしっかり鳴らして、中間部も殊更に細くは弾きません。流れは通して速めです。これは元祖(マーラーやメンゲルベルクのアダージェット)を意識していると思わせますね。そこまで速くはありませんが。
第五楽章の一・二主題は歯切れよく、明確な対位的な絡みで気持ちが良いですね。好録音の効果もあるでしょう。コデッタ主題は優美です。少々厄介な展開部も主題変奏の楽器の鳴りが良く、安心して楽しめますね。再現部の山場は見事な心地よさで、アッチェレランドもビシッと決めます。



正攻法で堂々たるマーラー5です。大きなディナーミクで、この曲らしさを磨き上げた本道演奏で本blogオススメの一枚です。この曲をキッチリ聴きたい方は是非!!

録音が良く音の定位と広がりが素晴らしいACOUSENCE盤、それも評価をあげているのは事実でしょう。





ルドルフ・シュワルツ, Rudolf Schwartz

London Symphony Orchestra
[EVEREST] 1958-11/10,11


オーストリアから英国に移り、英オケの主席指揮者を多く務めたシュワルツがロンドン交響楽団を客演した古いマーラー5ですね。何せ作曲はR.シュトラウスに師事していたそうですから。

第一部
葬送行進曲はごく標準的、第一トリオはテンポは抑え気味ですが、適度な激しさのコントラスト付けですね。第二トリオも標準的に哀愁を奏でます。第二楽章第一主題も適度な激しさで、第二主題は一楽章第二トリオ回帰的、流れは第一楽章の延長線上になっていますね。展開部vc動機も程よい荒れからの静です。再現部も多少のアゴーギクはありますがクセのない流れですね。
第二部
スケルツォ主題は緩やか、というよりも少しhrが緩いかもしれません。レントラー主題は小刻み風の流れで速めの優美さです。第三主題はhrが緩やかに鳴らし、穏やかに展開部に入ってスローからファストは標準的ですね。再現部も安定した流れです。オブリガート・ホルンは少し怪しい感じですけどね。
第三部
第四楽章は速く、時代を感じさせますね。7'半ですからメンゲルベルクの録音に近いので1958年なら標準でしょうね。くどい甘美ではなく、今の時代の流れを速くしただけの印象です。第五楽章の第一・二主題もスロー気味のテンポで絡んで、コデッタ主題は優美。展開部から再現部も多少のアゴーギクがあるもののクセなく進んで、コーダは約束通りに締めます。



年代を感じない標準的なマーラー5です。多少の不安定さがある今の時代の流れです。若干のスローのアゴーギクも、時代的な速めのアダージェットもクセ物とまでは行かきませんね。

裏ジャケットに"The Giant"とサブタイトルがあるのが笑えます。録音は1958年とは思えないRemasteringです。






クロイツェル / Königlich Dänisches SO
[CANTUS CLASSICS] 1972

MahlerNo5-Joseph_Kreutzer.jpg

どうもわからない Joseph Kreutzer という指揮者。同名で18-19世紀!の音楽家は存在しています。デンマーク王立交響楽団?、あまり使われない表記?
Kaplan Foundationで確認したところ、上記R.シュヴァルツ指揮ロンドン交響楽団の1958年録音と同一音源でした。
・・・・・
こういう意味不明のCDもあると言う事でw




ハンス・スワロフスキー, Hans Swarowsky


Wiener Symphoniker
[BERLIN Classics] 1971-2


スワロフスキーが首席指揮者(1946-1948)を務めた事もあるウィーン交響楽団(VSO)のマーラー5ですね。
スワロフスキーはマーラーの交響曲第8番初演(1910年, 本人指揮)に児童合唱団員として参加していたそうです。おまけに指揮はR.シュトラウスにも習ったそうですから年代を感じますね。指揮法についても一家言を持っていましたね。

第一部
冒頭ファンファーレのtpが詰まってます。葬送行進曲はスローで音を引っ張る感じです。明るい音色ではありますが。第一トリオも走りませんが、音は華々しく鳴らしますね。第二トリオはスローを回避、でも標準的です。第二楽章第一主題もテンポは抑え気味ながら音はしっかり鳴らし、第二主題も第二トリオ回帰的、一楽章の延長線上の流れですね。展開部vc動機は濃い音色が印象的です。再現部も一歩一歩ゆっくりと進む様な流れになりますね。コラールの超スローは珍しいです。
第二部
スケルツォ主題も当然のスローで広がり良く、オブリガート・ホルンも朗々と。レントラー主題は普通はスローに落とすのですが、ここでは第一主題より速めていますね。第三主題ではhrがガッツリと鳴らします。展開部から再現部も揺さぶりのないスローで、華やかで太い音が印象的ですね。
第三部
第四楽章主部は暖色系ですが、スローではありません。淡々と進めて中間部も程々の繊細さです。"色の濃いフラットさ"、ちょっと変わったアダージェットです。第五楽章は序奏から第一・二主題までスローで厚い音、強烈ですね。展開部から再現部もベターっとスローで鳴らしっぱなしの不思議さです。コーダも急がず一歩一歩しっかり、唯一無二のアッチェレランド完全無視!!



スローで鳴りの太い個性派マーラー5です。演奏時間も78分近くかかります。でも大きな鳴りが印象的で、ユルユルの間延び感はありませんね。

全編揺さぶりのないスローと厚い音、一度味わっていただきたいです。





ジェームズ・レヴァイン, James Levine

Philadelphia Orchestra
[RCA] 1977-1/17,18


今やすっかりメトの顔、そのレヴァイン若き日のマーラー5です。オケはフィラデルフィア管弦楽団です。
【後日記】2018年、セクハラ問題でメトの席を追われました。

第一部
葬送行進曲は特に個性は出しません。第一トリオもテンポを上げてスッキリと鳴らします。第二トリオでも落ち着いた哀愁でくどさはありませんね。第二楽章第一主題は第一トリオをトレースする流れで第一楽章延長線上を印象付けています。第二主題も第二トリオ回帰方向で合っていますね。展開部も序奏の力感からvc動機でのスローのコントラストは明瞭、通して管楽器の鳴りに屈託がありません
第二部
スケルツォ主題は楽器の音のバランスが良いですね。レントラー主題では美しい弦楽奏になっています。第一主題回帰後も軽快な流れを主体として第三主題vc動機との落差は小さめですね。展開部もスローからファストへと明確に、再現部も三つの主題が晴れやかに奏され、後半のオブリガート・ホルンは朗々と鳴らします。軽快そのものの第三楽章です。
第三部
第四楽章主部は緩やかな細波の様な美しさ、中間部は澄んだ音色から気持ちを伝えます。クールで好きなアダージェットです。第五楽章第一・第二主題は軽妙な対位で絡み、コデッタ主題は優美です。展開部も軽快なフーガの流れで見晴らし良く、再現部は音厚を豊かに主題を対比させます。コーダはスケール大きく、アッチェレランドで見事に疾駆します。



王道の流れに明朗な音使いのマーラー5です。無用な揺さぶりや落差を排除して、とにかくスッキリとしていますね。

雲ひとつない見晴らしの良さ、と言った感じです。これもありかもしれませんねェ。





外山雄三, Yuzo Toyama

Nagoya Philharmonic Orchestra
[Nagoya Philharmonic Orchestra] 1983-11/18


外山さんが音楽総監督時代(1981-1987)の名古屋フィルハーモニー交響楽団を振ったマーラー5です。

第一部
いきなりtpが怪しげ、葬送行進曲は緩くアゴーギクを付けて、第一トリオは適度な緊張感ですがここでも微妙な揺さぶりを入れますね。第二トリオは速め設定になっています。第二楽章第一主題は速め、第二主題は一楽章第二トリオの回帰です。展開部は激しさの序奏とvc動機の静を明確にコントラスト付けします。再現部も第二主題の速い流れがしっくり来ませんね。怪しげな金管と速いパートが気になる第一部です。
第二部
スケルツォ主題はオブリガート・ホルンがいけません。ボロボロです。レントラー主題ではあまりテンポダウンしませんね。弦楽奏ですが、揃いが今ひとつに感じます。第三主題のhrはハラハラ物です。展開部・再現部は安定感に欠け、安心して聴けません。オブリガートhrは全所有CDの中でワースト争い筆頭でしょう。
第三部
第四楽章は弦楽楽章ですから少し落ち着きを取り戻しますが、スローでドローンとした流れ、中間部の高音パートは不安な音色です。第五楽章序奏は予想通りの管楽器メタメタ、第一・第二主題は然程の崩壊なく流れます。反復など結構いい感じでコデッタ主題も安定しています。展開部・再現部は不安感を振り撒きながら進んで、コーダは勢いを付けてフィニッシュです。



"ヤバイ"マーラー5です。演奏(特に金管)は怪しく、脆弱な一体感、成立ギリギリの印象です。オブリガートhrは成立していませんね。

残念ながら個人的にはワースト争いの一枚です。(国内対戦相手は井上喜惟さんのJGMO?! 強敵ですw)





ロジャー・ノリントン, Roger Norrington

Radio-Sinfonieorchester Stuttgart des SWR
[hanssler] 2006-1/19,20


ノリントンが首席指揮者時代(1998-2011)のシュトゥットガルト放送交響楽団のマーラー5ですね。ノリントンらしいピリオド・セッティングでノン・ビブラート、オケの配置も独特です。(独盤ですが、ライナーノートは"独・英・日"でWEITBLICKレーベル以外では珍しいですね)

第一部
葬送行進曲は微妙な揺さぶりを入れて、第一トリオは教科書的な刺激となっていますね。第二トリオも適度な哀愁感になっています。第二楽章第一主題も標準的な印象、第二主題は程よく哀愁です。ノリントンなので譜読みはキッチリ守りますから、少し退屈に流れるのは仕方ないかもしれませんね。
第二部
スケルツォ主題は几帳面で、レントラー主題もスルッと優美です。第三主題も程よいスローとオブリガートhrです。問題はここからです!!
再現部の緩急はかなり強めです。スコア読み通りでしょうか??、今の時代の標準イメージと比べるとやり過ぎにも聴こえます。コーダなど走ってビシッと決めます。速め方向は時代考証かもしれませんが。
第三部
第四楽章主部は速めで淡々と、中間部は速くて強い揺さぶりです。9'近くありメンゲルベルク(マーラーも)の7'に比べればスローパートがあるのは明白で、ポルタメントもありません。なぜ?! って感じです。第五楽章序奏の第一声hrを思い切り引っ張ります。第一・第二主題は途中でいきなりスロー化、コデッタ主題でもスローに落とします。展開部も途中でスローのブレーキを踏みます。奇妙な流れで再現部も緩急混乱気味、コーダは派手にアッチェレランドは唐突です。



ノリントン・スタンス?の奇妙なマーラー5です。前半淡々と教科書的かと思えば後半は強烈な揺さぶりの変則、でもノリントンですからマーラーの注意書きに忠実のはず…?!

全ての混乱の原因はノリントンだという先入観で、ただの変則マーラー5なのかもw





ゲンナジー・ロジェストヴェンスキー, Gennady Rozhdestvensky


Moscow Radio Symphony Orchestra
[Memories] 1973-12/23


ロジェヴェンが音楽監督時代(1961-1974)のモスクワ放送響による強烈なマーラー5です。

第一部
葬送行進曲は低弦を響かせ重厚に、第一トリオは音のバランスもメチャメチャ、そこに狂った様な激しさで強烈です。第二トリオは速いですが哀愁がありますね。一楽章の最後は音切りが早すぎです!! まだ音が鳴ってますよねぇ。第二楽章第一主題は、勿論ギスギスと荒っぽい流れですが、第二主題は一転して優美な哀愁になっています。落差が凄いです。展開部は暴れる序奏回帰からvc動機でスロー静に、後半も行進曲は激しいです。再現部は管楽器が暴れて、弦楽器がなだめる様な凄い流れです。とにかく強烈な第一部!
第二部
スケルツォ主題のオブリガートhrは音を外してガッタガタ、管と弦のバランスも奇妙です。ロジェヴェンの足音も聞こえますね。レントラー主題は弦楽なのでなんとかOKレベルです。第一主題が回帰するとメタメタになりますが、第三主題はスローにまとめます。展開部はズルズルっと行きますが、再現部は第一主題からバラバラです。その後も流れは速く、第三主題は妙なリズムを刻んで、コーダは大荒れです。
第三部
第四楽章は若干アゴーギクがある程度でgoodなアダージェットなのですが、録音の悪さは如何ともし難いです。第五楽章序奏はバラバラ、第一・第二主題も絡みがゴツゴツ不自然、特に弦楽器の力技が異様です。コデッタ主題はすっきりですね。展開部も管弦共に力が入り過ぎでギタギタとしています。再現部は同様に進んで、コーダは大々的に鳴らしてフィニッシュ、と共にバッサリとカット! 余韻ゼロの凄さです。



豪快に振りまくりドライブする暴力的なマーラー5です。嫌いじゃありません。こういうのがあるから、ついつい増えて行っちゃいます。

録音も最悪レベルですから、メタメタで尖った演奏が好きなマニア専用です。普通の人には絶対お勧めしません。この先の恐ろしい世界を覗きたい貴方にはシェルヘン先生が控えています!!





ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン, Jaap Van Zweden

London Philharmonic Orchestra
[LPO] 2008-1/16


R.コンセルトヘボウのコンマスから指揮者になったズヴェーデンとロンドン・フィルハーモニー管弦楽団のマーラー5です。

第一部
スローな葬送行進曲ですが重さよりも美しい流れを、第一トリオも激しさ前面ではなくシャープな流れです。第二トリオの哀愁は強く漂わせますね。第二楽章第一主題は速く切れ味鋭く、第二主題(第一楽章第二トリオ)は哀愁を控えめにします。展開部も派手な序奏からvc動機を静に鎮める王道、再現部も教科書的です。演奏のまとまりが良い第一部です。
第二部
スケルツォ主題はまろやか優美、レントラー主題も弦楽奏の美しさ、教科書の様な二つの主題です。第三主題も落ち着いた流れにオブリガートhrが情感を鳴らします。展開部はスローからファストへ、再現部も緩急良く、コーダはテンポを上げてキッチリ締めます。
第三部
第四楽章主部もトリオも適度な甘美と静、約10'とクセの無い今の時代のアダージェットでしょう。第五楽章第一・第二主題は速めの流れで軽快に絡み、コデッタ主題も速めの優美です。展開部も歯切れの良い流れで突き進み、再現部も緩急コントラストが付いています。コーダはアッチェレランドを効かせて、大喝采!!



スキ無くクセ無くきれいにまとまったマーラー5です。全てをコントロール下に入れた感じですね。演奏時間も70:38とほぼ標準でしょう。

実際見事なのですが標準スペック的。教科書や標準仕様から脱したところに感動が現れる気がします。





飯森範親, Norichika Iimori

Württembergische Philharmonie Reutlingen
[ebs] 2003-4


飯森範親さんが音楽総監督(2001-2007)を務めたロイトリンゲン(ドイツ)のヴュルテンベルク・フィルハーモニー管弦楽団との5番です。飯森さんは"のだめオーケストラ"とアダージェットの録音も残していますね。

第一部
迫力のファンファーレから葬送行進曲は適度な重さで、ファンファーレ導入句は激しく、第一トリオも激しさを見せてコントラストが明確です。第二トリオは洒脱さを感じる様な特徴的なリズムがありますね。第二楽章第一主題は少し押え気味に鳴らしていますが切れ味は鋭く、第二主題は落ち着いた哀愁になっています。展開部は激しい序奏からvc動機で鎮めるコントラストが見事です。テンポは速めでズルズルした感は全くありませんね。再現部第二主題の山場は迫力ですね。パワーとコントラストの第一部です。
第二部
スケルツォ主題はhrが朗々と心地良く鳴らし、ディナーミクを利かしています。レントラー主題は少し揺さぶりますが、軽妙ですね。第三主題も静ではなく明瞭な流れを作ります。展開部第二主題はややもったりとしますが、ピチカートはスローから急テンポアップ、激しい流れにしますね。再現部でも主題間でアゴーギク/ディナーミクでメリハリを強く付けて、ハイコントラストの第三楽章です。コーダは炸裂!!
第三部
第四楽章は気持ち速めにアゴーギクの微妙な味付けです。甘美と言うよりも表情のあるアダージェットになっていますね。(それこそが"甘美"?!) 第五楽章序奏を揺さぶり、二つの主題は漲る力を抑える様に絡み、反復で音圧を上げます。コデッタ主題は優美に落ち着いて、展開部は静かな流れに落としてから力感を加えて突き進みます。再現部は落ち着いた流れから山場・コーダは怒涛、フィニッシュはアッチェレランドでドッカ〜ン!!



ハイコントラストで濃い流れのマーラー5です。ボリュームを上げられる環境が必須条件なのですが、快感が伝わりますね。

細かい事より怒涛系、そんな貴方の為の一枚です。やっぱりかなぁ…





尾高忠明, Tadaaki Otaka

Tokyo Philharmonic Orchestra
[CAMERATA] 1984-10-20


現桂冠指揮者である尾高さんが常任指揮者(1974-1991)の時代の東京フィルハーモニー交響楽団を振ったマーラー5ですね。尾高さんはもう一枚、BBCウェールズ交響楽団(1991)との5番がありますが未所有です。

第一部
あっさりとした印象の葬送行進曲、第一トリオも約束通り的なコントラスト付けですね。テンポは速めですが。第二トリオも適度な哀愁で標準的です。第二楽章第一主題は少し尖ってはいますが速めの教科書的、第二主題も一楽章二トリオ回帰です。展開部から再現部で少し揺さぶりがあるものの、基本は安定中庸路線の第一部です。
第二部
スケルツォ主題はオブリガートhrも含めて可もなく不可もなく、レントラー主題も上手くスロー優美にチェンジしますが標準仕様を超えるものがありません。悪くは無いのですが、良くも無い…的です。第三主題も予想通りに、展開部の第二主題もスルスルっと流れて行きます。ちょっとだけ揺さぶりますが、スパイスになっていない様な。再現部第一・第二・第三主題ちゃんと演奏できています、って言う感じです。
第三部
第四楽章主部はやや速めの静でクール、中間部は細く、澄んだ水の流れの様なアダージェットで良いですね。表情の薄さが生きた感じ?! 第五楽章第一・第二主題は標準的な流れ、コデッタ主題は優美さを残します。展開部は一・二主題のまとまりに不安を残しながら山場へ。再現部は主題を立て直す様に強めに鳴らし、山場からコーダはこの曲の持つ素晴らしさでまとめます。



非感情移入型、表情の薄いマーラー5です。処々で暴れたり、揺さぶったりはするのですが、伝わってくるものに欠ける感じです。

個人的には迫って来る様な気持ちが欲しかったですね。





若杉弘, Hiroshi Wakasugi

Tokyo Metropolitan Symphony Orchestra
[fontec] 1988-10-22


日本を代表する指揮者の一人、若杉さんが音楽監督時代(1986-1995)の東京都交響楽団を振ったマーラー・チクルスから5番ですね。

第一部
緩やかなアゴーギクを入れた情感ある葬送行進曲ですが重さは控えめですね。第一トリオではテンポはあまり上げず、情熱もほどほどで刺激は押え目になり、その後スローへのアゴーギクを振ったファンファーレと主題回帰に。第二トリオの哀愁の流れも重厚さを避けていますね。第二楽章第一主題は程々の激しさで一楽章の延長のイメージを繋ぎ、第二主題も重さを避けた哀愁でそれを証明する感じです。再現部で多少の揺さぶりはあるものの、シンプルな統一感を感じる第一部です。
第二部
スケルツォ主題は少しトゲトゲした感じ、レントラー主題は印象が薄めです。優美さが欲しい重要主題なのですが… 第三主題も特徴的なものは感じられません。展開部も標準的な印象ですが、再現部は流れを速めてコーダはきっちりと締めます。全体としてはスルッと通過の様な第三楽章です。
第三部
静に徹した主部から、中間部も繊細な美しさが心に沁みる透明感の第四楽章。好きなアダージェットです。第五楽章提示部はややテンポがしっくりせずにもっそり感、展開部ではフーガの流れを掴んで心地良さを感じます。後半hrの音色が遠く霞むは残念。再現部は力感があり、コーダは見事に鳴らして快感。終わった瞬間に大ブラボー!!



シンプルで清廉なマーラー5です。興奮や虚飾を排して整然としています。

処々のアゴーギクや山場の派手さはあるのですが、ちょっと物足りない感じが残るかもしれません。





ファビオ・ルイージ, Fabio Luisi

MDR - Sinfonicorchester Leipzig
[G.I.B.] 1997-4/4


音楽監督(1996-2007)時代のMDR交響楽団(ライプツィヒ放送交響楽団)を振ったF.ルイージのマーラー5ですね。

第一部
美しい流れを感じる葬送行進曲、第一トリオはコントラストを付ける様にきっちりとテンポを上げて切れ味を見せます。第二トリオも柔らかく美しい哀愁になっていますね。第二楽章第一主題は前楽章の延長にある事を意識する激しさ、なのですが途中でスローダウンして変な揺さぶりをかけて来ます。第二主題の哀愁はソフトで安心できますが、展開部のvc動機をしっかりスロー静に落とした後は揺さぶりを入れてから第二主題に繋げますね。再現部第二主題でも微妙なアゴーギクを感じます。
第二部
スケルツォ主題は極平凡、レントラー主題はスローでしゃくる様な揺さぶりが独特、第三主題のオブリガートhrは気持ち良く鳴らしています。本来短い展開部はスローで長く感じますが、再現部ではメリハリある流れに戻して来ます。ラストでスローに落としから、コーダは派手に進んでhrがビシッと鳴らします。
第三部
第四楽章主部は静で緩やかな流れからスロー化、中間部は繊細さからディナーミクを効かせて、主部回帰はスローを強めます。不要な?w表情付けを感じるアダージェットです。第五楽章は第一主題の管楽器が怪しげですが、絡みは標準的、怪しげな管の後コデッタ主題は緩めです。展開部は程よい緊張感で進み、再現部は途中スロー化を入れて来ます。コーダは華々しく、フィニッシュのアッチェレランドをバッチリ決めます。帳尻合わせ大成功!!



素直な顔を見せながら、ちょっと揺さぶりを挟んだマーラー5です。標準的方向なのですが、スロー化やしゃくる様な流れが微妙ですね。

家で聴いているから感じた通りに書けますけど、コンサートだと "ちょっと変わった流れで面白いかな" なんて事になるのかもしれません。所有は変わったジャケットのGIB盤です。





アンドレ・プレヴィン, Andre Previn

Royal PO
[RPO Records]


[訂正とお詫び]
コメントにご指摘をいただきKaplan Foundationにて確認したところ、プレヴィン指揮のマーラー第5番は存在せず、井上道義指揮 Royal PO [RPOレーベル] 録音:1990-5/9 である事が判明いたしました。なお、プレヴィンはマーラーの交響曲は第4番だけ録音が残されているようです。
また井上道義指揮の当該CDは#2聴き比べに記載してあります。(インプレ内容がほぼ同じで良かったです ^^;)




マンフレッド・ホーネック, Manfred Honeck

Pittsburgh Symphony Orchestra
[EXTON] 2011-5/20-22


マンフレート・ホーネックが2008年から音楽監督を務めるピッツバーグ交響楽団のマーラー5です。ちなみにウィーンフィルのコンマス、ライナー・ホーネックは弟ですね。

第一部
スカッとしたファンファーレから静かで少し揺さぶったスローな葬送行進曲に入ります。第一トリオは切れ味良いカラッとした流れで、第二トリオも静かな流れで哀愁を控えめに入りますね。ここはコントラストの明瞭さを感じます。第二楽章第一主題は標準的な印象、第二主題は一楽章第二トリオの回帰的です。展開部vc動機はとても静かですが、再現部にかけて微妙な揺さぶりを感じますね。なんとなく落ち着かない第一部です。
第二部
スケルツォ主題は奇妙なギクシャク感の流れを作りますが、レントラー主題は弦の美しさを生かしますね。第三主題は緩やかですが、オブリガートhrが極端な強弱で鳴らします。展開部はゆるゆると流れ、再現部の主題群はフラットで、途中でアゴーギクを振ったりしますが効果は薄く、抑揚に欠ける感じです。もわもわっとして、スッキリしない第三楽章です。
第三部
第四楽章主部は静の抑えを効かせて良い流れを作り、中間部は細く繊細に、主部回帰はスローです。方向性としては好きなアダージェットなのですがスローが締まりません。第五楽章は序奏から揺さぶりが入り、主題の絡みは途中のアゴーギクが気になりますが、コデッタ主題は標準的です。今ひとつシャキッとしないのですが。展開部から再現部も特徴薄く、ズルズルっと進んで、コーダはテンポアップしアッチェレランドは奇妙なバランスです。



全体モワッとした流れに落ち着かない揺さぶりのマーラー5です。残念ながら個人的にはフィットしている様に感じられません。

初めてマーラー5番を聴くなら避けた方がいいかもしれませんね。どこかスッキリした処が欲しい感じです。





アントニ・ヴィト, Antoni Wit

Polish National Radio Symphony Orchestra
[NAXOS] 1990-8/16-18


現代音楽をよく振るので個人的には御馴染み、コンサートでは人柄の良さを感じられるヴィトが音楽監督を務めていた時代(1983-2000)のポーランド国立放送交響楽団とのマーラー5です。ヴィトは評価がなぜか低いですね

第一部
葬送行進曲はスローで揺さぶりのある個性を見せ、第一トリオではやや勿体ぶった激しさですね。独特のアゴーギクを使っています。第二トリオも微妙な揺さぶりの哀愁を奏でますね。オケの鳴りはよく、心地よさがありますね。
第二楽章第一主題は速さと激しさの流れを明確に作り、スローダウンの第二主題も緩やかな哀愁、合わせて第一楽章の延長線上とは異なる事を主張しますね。展開部冒頭は激しく、vc動機は哀愁の色合い濃く奏でますね。再現部も程よい重厚感が漂って、心地良い第一部になっています
第二部
スケルツォ主題は太い鳴りのhrが印象的で緩やかです。レントラー主題も優美ですが腰の座った流れで、第三主題もオブリガートhrが大きく鳴ります。展開部から再現部も大きな構えと鳴りでコーダは懐の広さ、堂々とした第三楽章ですね
第三部
第四楽章主部は暖色系で、繊細さはありますが冷たく細い流れではありませんね。
第五楽章第一・第二主題の絡みは少しフィット感が薄い気もしますが、コデッタ主題はスッキリとした明るい音色です。展開部は密度の濃い音で進み、再現部山場はスローに落としてからテンポアップで鳴らします。コーダはアッチェレランドでビシッと決めます。



大きく堂々とした気持ちの良いマーラー5です。スロー基本の流れと、アゴーギクが堂々とした音とフィットしています。(録音の方向性も…w)

多少のクセがスパイスにもなっていますね。もう少し評価があっても良いレベルに思います。





ヘルマン・シェルヘン, Hermann Scherchen (4録音)

1960年以前の録音はあまり出さないのが基本なのですが、Hermann Scherchenのマーラー5です。
よく知られた事ですが、シェルヘンは楽曲の途中をカットして演奏すると言う暴挙にでて、演奏解釈も狂気化します。ちなみに初めの録音では通常の解釈で演奏しています。これがどう変化するのか、それこそがシェルヘンの不思議さの味わいですねw シェルヘンのマーラー5を4枚紹介します。



(#1)
ViennaStateOpera O
[Westminster] 1953


シェルヘンがウィーン国立歌劇場を振った録音第一弾ですね。

第1楽章はごく標準的な葬送行進曲から入り、第二主題でやや速めなテンポに乗ります。かなり速いです。でもすぐに第一主題の戻りと共に落ち着きます。第二楽章の入りはやや速めで落ち着きが足りない感じで、その後も全体をアゴーギクで振っています。第三楽章は特に大きな特徴的なものはありません。でも悪くないですね。
第四楽章は冷たさを感じます。途中からやや速めになり暖色系の演奏になる感情を込めたアダージェットです。最終楽章は定石通りに緩やかにコーダに向けて上げて行きますが、途中が少々長く感じるます。最後はグチャグチャ気味で終了。


特異性はなく悪くありませんが、この曲を古いモノラルで聴くのでは素直に楽しむ事が難しいですね。






(#2)

Orchestra Sinfonica Di Milano Della Rai
[Living Stage] 1962-4/8


シェルヘンのマラ5、問題盤その1です。ミラノ・イタリア放送交響楽団とのこの演奏から怪しくなりますね。

第一楽章、これがシェルヘンの基本的な解釈なのでしょう、第一主題は葬送で第二主題はアップテンポ。速くなってます。それでも'53年に近い範疇です。第二楽章も速くなってます! 第三楽章と第五楽章のカット短縮だけではないです。この解釈の変化の現れは。第二楽章も主題が変わるとスピードダウンしますが、スローパートはごく普通の解釈で不安はありません。
そして問題の第三楽章スケルツォ。なんと5分ちょっとで即終了〜! 本来なら飛ばしても15分にはなるはずです。入りから速い。そしてスローに変化、その後もその繰り返し。速すぎて弦が付いて来れない! 第一主題の後はすぐコーダ?!
続く第四楽章アダージェットは長め。基本スローにしながら、感情を入れたエモーショナルなアダージェットです。'53年に近い解釈が残り美しいです。最終楽章は速めに入ります。しかし出ました!!、第五楽章も1/3ほどカッ〜ト! だいたいは15分程度のところ、9分しかありません。普通はゆっくりとコーダに向けて登って行くのですが、速くてハイテンション。演奏が追いつかない感じを残しながらアッと言う間に途中の山場を迎え、そのままラスト2分のコーダへ突入。ここでも速い! スローダウン! 最後は暴れるように締めます。拍手はパラパラ〜フェードダウン。


かの有名な途中大カット演奏盤の始まりだと思われます。演奏も極端です。いよいよシェルヘン大先生の本性が見えて来ました。






(#3)

Philadelphia O
[TAHRA] 1964-10/30


シェルヘンのマラ5、問題盤その2。フィラデルフィア管とのこの演奏も、途中大カット演奏盤です。

第一楽章の葬送行進曲は普通ですが、第二主題になるやいきなりのスピードアップ。そして急ブレーキでスローの第一主題に戻ります。そしてまたスピードアップ。第二楽章も聴いた事のない猛烈なスピードで入り、またもやスピードダウン。とにかく速いか遅いか! この二つの楽章はカットなしです。
そしてカット短縮の第三楽章、それにしても....いきなり速いです。そして緩っとスローに。いよいよ本領を発揮し始めて来ました。
そして驚きは続くアダージェット。なんとも長いです。普通10〜12分、早ければ8分なんて事もありますが、益々増長怒濤の15分! とにかくウルトラスロー・オンリー、静音で聴かせに入ります。ここでは変なアゴーギクは振ってきませんね。これはありかな?! それにしても、前後の楽章との違和感が凄いです。
続く第五楽章へはマーラーの意思通り、そのまま続けて入ります。ここでもカット短縮! 前半をカッ飛ばして、中盤の山場以降へ突撃です。ゆっくりと上げて行くなんぞ かったるい事しません。演奏もかなりメタメタです。コーダも何か変だけど見事にまとめ上げちゃいます。驚きの大ブラボー、大喝采。


とにかくとんでもない演奏です。大カットと猛スピード大ブレーキの狂気解釈が極端化しています。
FM放送のアナウンスが冒頭と最後に入ります。シェルヘン先生の米国デビューとか。






(#4)
🌋🔥
Orchestre national de France
[harmonia mundi] 1965-11


(右はStereo音質が改善されているそうです)

問題頂点盤。フランス国立放送管弦楽団とのこの演奏ももちろん途中大カット演奏盤で、極端解釈の症状は悪化の一途です!!

第一楽章のスピード変化はフィラデルフィア響より一層の急加速に急ブレーキ! 更に3分も短くなっています。とにかくアゴーギクなんてもんじゃありません。
第二楽章の入りの速さはさらに異常なる急速度に。そんなに急いでどこへ行く〜w そしてまたもやスピードダウン。スピードアップでは奇妙な揺さぶりも掛けて、スピード変化は一層極端になっています。
第三楽章。これまた5分ちょっとで終わりです。でも入りは益々スピードアップ。入りのホルンはまるで咳き込んでいるみたい。コントラバスとバイオリンが合ってな〜ぃ。
アダージェットは少し短くなった、と言ってもたっぷり13分! しかしネットリとまとわりつく様な演奏に大変化。咳が凄くうるさい。(爆) ベタッとしてとても美しい演奏とは言えなくなってます。でもこの方が不気味で合ってるかも。
ここでもマーラーの意思通りアタッカで第五楽章へ.......。これまた同様に1/3ほどカット。症状は悪化し、音が渦を巻く様に登って行きます。恐ろしく歯切れは悪く呂律が回ってない感じです。管楽器の音飛びなんかお構いなし、大アッチェレランド的にスピードは増すばかり。そして途中で意味不明のスローに。でもコーダはしっかりまとめ上げます。大ブラボーとブーイング。オケもオーディエンスも大混乱!!

狂気のシェルヘン大王降臨、ほとんど変態盤であります。でも一聴の価値あり、どうせ狂った世界をかいま見るなら是非こちらを!(笑)







まだまだ100CD以上はあるマーラー交響曲第5番なので、ゆっくりと聴き比べしていこうと思います。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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プレヴィン指揮ではありません

プレヴィン盤は、実は井上道義指揮の演奏ですよ。
ちなみに、プレヴィンさんは「私は一度もこの曲を指揮したことはありません」と明言されています。

ありがとうございました

ともさん、こんばんは。kokotonPAPAです。
確認の上、修正させていただきました。
ご指摘いただき助かりました。ありがとうございました。
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kokoton

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