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マーラー 交響曲 第5番 名盤・珍盤 180CD聴き比べです [#2 : 16-35]


マーラー5番の聴き較べ。前回の15CD紹介に続いて今回は20CDをインプレです。

今回はM.T.トーマス & サンフランシスコ響の11月19日(サントリーホール)来日公演に合わせて再チェックです。そのM.T.トーマス盤をトップに、マーラー振りの一人テンシュテットをメインでインプレしています。


Mahler Symphony No.5 -- 180 CDs

 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています (普通の演奏じゃ満足出来ない貴方にw)


 #1:15CD
バーンスタイン[x5 ★☆], カラヤン[x3 ☆], プレートル, 小澤征爾, ジンマン, モリス[㊟], ブロムシュテット, ドゥダメル, ドホナーニ, マーツァル[x2], 参考音源/資料類
 #2:20CD 本投稿
M.T.トーマス, テンシュテット[x6], ベルティーニ[x2 ㊟], ノイマン[x3], 小林研一郎[x4 ☆], シノーポリ, 井上道義, ザンダー[x2]
 #3:25CD
インバル[x4], セーゲルスタム[☆], ノット, ダーリントン[☆], ルドルフ・シュワルツ, スワロフスキー[㊟], レヴァイン, 外山雄三, ノリントン, ロジェヴェン[㊟], ズヴェーデン, 飯森範親, 尾高忠明, 若杉弘, ルイージ, ホーネック, ヴィト, シェルヘン[x4 ㊟]
 #4:20CD
ハイティンク[x4], ブーレーズ[x3 ★㊟], メータ[x3 ☆], クーベリック[x3], ショルティ[x3 ★☆], バルビローリ[x2], デプリースト, バルシャイ[☆], バレンボイム
 #5:5CD アバド追悼
アバド[x5 ★☆]
 #6:15CD
マゼール[x3], ナヌート, テミルカーノフ, スウィトナー, 上岡敏之, 井上喜惟, 西本智実, ベシェック, N.ヤルヴィ, アルブレヒト, I.フィッシャー, 堤俊作, フェルスター
 #7:10CD
ガッティ[㊟], レヴィ, コンロン, リットン, ファーバーマン, クライツベルク, アブラヴァネル, フェルツ[㊟], 大植英次, マッケラス
 #8:15CD
サラステ[x2 ☆], ギーレン[x2 ㊟], M.シュテンツ[x2], ジェラード・シュワルツ[x2], ヘルビッヒ[x2 ㊟], フェドセイエフ, リンキャヴィチウス[㊟], フリーマン, タバコフ, ラート
 #9:15CD
カサドシュ, ヘンヒェン, ノイホルト, インキネン, コンドラシン[x2], オストロフスキー, ポポフ[㊟], ミュンフン, マック・カーロ, オラモ, ダニエル, アルミンク, アシュケナージ, ヴァイネケン, ヒルシェ
 #10:10CD
ゲルギエフ[x4 ☆], ラトル, ジークハルト, ロンバール, マデルナ[㊟], リーパー, 山田 一雄
 #11:10CD
シャイー[x2 ★], スラドコフスキー, シーヨン, ワールト[☆], エッシェンバッハ, シップウェイ, P.ヤルヴィ, ネルソンス[☆], スターン
 #12:20CD
バリエンテ, 佐渡裕[x2], 大野和士, ハーディング, A.フィッシャー[☆], ロト, スヴェトラーノフ[x2], ヴァンスカ, ヤンソンス[x2 ★], ワルター[☆], ミトロプーロス, ケンペ, ロスバウト, パレー, ホーレンシュタイン, ラインスドルフ, アンチェル, ブリッグス(オルガン), ナタリア(アンサンブル)




マイケル・ティルソン・トーマス, Michael Tilson Thomas

San Francisco Symphony
[SFS] 2005-9/28~10/2


1995年から音楽監督を務めるサンフランシスコ交響楽団とMTT、同オケ自主制作のマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲はpp指示ですがpppからファンファーレ導入句に向けてクレシェンドする感じです。第一トリオは興奮は避けながらも切れ味のある激しさですね。主題回帰では煽る様な揺さぶりを入れて、第二トリオでも弱音を強めて入り上げて行きますね。第二楽章第一主題も冒頭の低弦を引っ張る個性を見せ、揺さぶりも入れつつ流れは切れ味があります。第二主題はソフトな流れです。第一楽章との差別化を考えている感じですね。
第二部
スケルツォ主題は緩やか優美、レントラー主題は洒脱な流れですね。ここでは揺さぶりを入れていません。第三主題はオブリガート・ホルンが朗々と鳴らし、スローをキープして展開部まで進みます。展開部後半からテンポアップして再現部へ。緩やかな流れからコーダも興奮はありませんね。スローで中だるみを感じるのが残念な第三楽章です。
第三部
第四楽章は冬のダイヤモンドダストの様な冷たさが光ります。中間部後半で大きくスローに。それが無ければ冷静耽美なアダージェットで素晴らしかったのですが。第五楽章第一・二主題は歯切れ良くフーガ的絡みで、コデッタ主題は優美です。展開部では一瞬スローのアゴーギクで揺さぶりを入れています。再現部は淡々と進み山場からコーダは大きく鳴らし、アッチェレランドで駆け抜けます。



揺さぶっているのにクールなマーラー5です。各所にアゴーギクとディナーミクが振られていますが、スロー基調で興奮を避けているからでしょう。

気になる間延び感を上手く処理できたら素晴らしかったでしょうね。





クラウス・テンシュテット, Klaus Tennstedt (6録音)

マーラー振りの一人 テンシュテット。マーラー5番を得意としていましたね。演奏の表情はかなり変化があります。
所有は5 6CDで、3枚が手兵のロンドン・フィル(LPO)です。(他にLPOとの非正規盤が数枚存在しますね)



(#1)
London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1978-5/10-12, 6/8, 10/5-7

(右はEMIのセッションとライブを16CDにまとめたお買い得の全集ですね)

テンシュテットと言えばロンドン・フィルですね。病気で退任するまでの短い期間を超えて蜜月の関係でした。首席指揮者(1983-1987)になる前のマーラー5です。

第一部
葬送行進曲はスロー重厚、途中のファンファーレは激しく、第一トリオは激しさと鳴りの大きさがマッチしています。第二トリオは重厚さを感じますが哀愁感は控えめですね。第二楽章第一主題は低重心で激しい音を、第二主題では低弦のピチカートの上に弦が乗って程よい哀愁を見せます。展開部は序奏を激しさで、vc動機では太い音色で構えを低く鳴らします。再現部も各主題が重厚に、コラールはスローで華々しいですね。ガッツリ重厚な第一部です
第二部
スケルツォ主題はオブリガート・ホルンが太い音色を出して、優美と言うよりも迫力を感じます。レントラー主題は速めの弦楽奏ですが重心は低いですね。第三主題はhrをドッカリと鳴らします。展開部も厚い流れから後半はパワープレイ。再現部も怒涛のスケルツォになっています。コーダはド迫力ですね。
第三部
第四楽章は厚めの音色で色付け、全体の流れにフィットしたポタージュ・スープの様な濃いアダージェットになっていますね。第五楽章第一・二主題はスローからテンポを上げ気味に歯切れ良いフーガの流れを作り、コデッタ主題も低弦の響きが重心を下げますね。展開部はいっそう太いフーガの絡みに、再現部も同様に流れて山場からコーダは怒涛の鳴りが響き渡ります



全体に勿体ぶったマラ5です。計算されたセッションの完成度もあり、もちろん悪くありません。

揺さぶりなど不要な脚色を排除した75'のスロー重厚さはこの曲の一つのアプローチ完成形でしょうね。
(再生ボリュームを上げられる事が聴く必要条件にはなります。マーラー全体に言える事ですが)




《後日追記》

(#2)
NDR Sinfonieorchester
[Profil] 1980-5/19


問題の北ドイツ放送響の音楽監督(1979–1981)就任翌年の興味深いマーラー5が発売(2015年3月)されましたね。(折合いが悪く1981年演奏旅行中に決別しています)
上記LPOの二年後、下記ニューヨークフィル客演一ヶ月前になります。

第一部
葬送行進曲は重厚さから切れ味に、ファンファーレ回帰でも鋭い鳴りになっています。(重厚さとの差は、録音の関係もあると思いますが) 第一トリオもシャープで、力感もありますね。でも低重心と言うわけではありません。第二トリオも哀愁ですが鋭い流れです。第二楽章第一主題は激しさに力を感じます。第二主題の哀愁も速めの流れで纏わり付く様な感じは避けていますね。展開部vc主題は抑えた音色に静を感じる様になっています。再現部の各主題は緊張感が漲ります。コラールで管楽器が一瞬コケるのが残念。
第二部
スケルツォ主題は優美緩やかな流れです。オブリガート・ホルンが怪しいですねぇ。レントラー主題は厚めですが美しい弦楽奏になっています。第三主題は弦の哀愁感が強いですね。hrがやっぱり怪しげです。続くピチカートは速めで、展開部は緩いアゴーギクで表情を付けます。再現部は三つの主題を華々しく、コーダはアップテンポとなって強烈に駆け抜けます
スケルツォ楽章らしい優美さに欠けるのは残念ですが。
第三部
アダージェット主部はほどほどに細まりましたが、それでもまだ繊細とは行きませんね。山場は派手で大きく、中間部で何とか繊細さを見せてくれます。約11'なのですが、もっと速く感じます。第五楽章序奏でhrが大コケ、ダメですね。第一・二主題は速めの流れで絡み、コデッタ主題は優美っぽく聴こえますw 展開部から再現部は荒っぽさが目立ちます。コーダは約束通りに締めますね。



程よいアゴーギクとシャープさのマーラー5です。73'の切れ味鋭い流れ。スロー重厚・パワープレイだったLPO(#1)から大きな変化です。独オケの個性?!

ただ、流れはギスギスして、管楽器がコケます。これはいただけませんね。






(#3)
New York Philharmonic
[NYP] 1980-6/18


上記NDRの1ヶ月後の演奏です。ニューヨークフィルでMahlerを振った指揮者を集めた1〜10番のオムニバス盤「NEWYORK PHILHARMONIC The Mahler Broadcasts」自主制作アルバムに入っているマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲はここではしっとり落ち着いた流れになりました。それまでの2録音とはまた異なる流れです。第一トリオは速めでスピード感が強い流れですね。重厚でもシャープさでもなく、これも新しい印象です。主部は回帰する度にアゴーギクを使いますね。第二トリオは本流的な哀愁を聴かせますね。第二楽章第一主題もシャキッとしたシャープさが際立ちます。第二主題でも一呼吸入れる様なペースチェンジで、肩の力が抜けた良い流れです。展開部vc動機は澄んだ透明感ですが、鬱的な印象を受けます。再現部は緩やかなアゴーギクでナチュラルな流れ。スッキリと見晴らしの良い第一部になりました。
第二部
スケルツォ主題は穏やかに、ですがオブリガート・ホルンが弱いです。レントラー主題も多少のギクシャク感はあるものの優美さが感じられますね。第三主題でもhrの不安定さは問題でしょう。せっかく緩やかな良い流れなのですが。展開部も緩やかな流れで、それまでの力感優先の第三楽章からスケルツォらしい楽章になりましたね。コーダはここでも締まり良く、一瞬拍手が出てしまいます。
第三部
第四楽章主部はここへ来て繊細な流れを見せてくれました。山場の鳴らしもほどほどで、中間部は澄んだ流れです。クールなアダージェットになりましたね。最終楽章序奏でまたもやhrが怪しい…w 第一・二主題はますます速いです。反復では少し抑えて、コデッタ主題は優しさですがまだ速い。展開部は少し揺さぶりを入れてやっぱり荒っぽく。再現部でも少し荒れてテンポは速め、hrが怪しいコデッタのスローを挟んで山場からコーダはビシッと決めます。フィニッシュのアッチェレランドはここまでで一番ですから、大ブラボー大喝采です!!



スッキリと見晴らしの良いマーラー5です。前2録音の"重厚さ"や"切れ味"よりも、力感を控えた肩肘張らない心地良さです。

引き換えに少し軽さを感じてしまいますが、それまで足を引っ張っていた "優美さに欠ける第三楽章"、"暑苦しいアダージェット"、は大きく改善されています。






(#4)
London Philharmonic Orchestra
[FM東京, KING] 1984-4/13


(右はSACDシングルレイヤーです)

N.Y.P.の4年後、手兵LPOを率いての初来日(大阪フェスティバル・ホール)でのライブです。やたらとFM東京と入っていますが、音源はFM大阪ですねw

第一部
ファンファーレはtpスローから派手に、葬送行進曲もスロー重厚です。第一トリオではテンポアップと激しさを増しますが、キッチリとコントロールされている感じですね。主部回帰はアゴーギクを振り、第二トリオは繊細な哀愁になっていますね。スローが間延びですが。第二楽章第一主題は速くシャープ、第二主題は柔らかい哀愁です。展開部は締まりある序奏からvc動機を葬送の様な暗さに鎮め、アゴーギクの揺さぶりを入れて再現部へ。スローになったり変化が強いですね。
第二部
スケルツォ主題はキッチリと音を刻んでや優美さには欠ける感じです。レントラー主題は少しテンポアップ、揺さぶりが気になりますね。第三主題はスローで表情付けの揺らぎを与えています。展開部も再現部も微妙なアゴーギクが気になりますね。
第三部
第四楽章主部はスロー静美ですが緩いアゴーギクを感じます。中間部は繊細さから気持ちの昂りを入れます。第五楽章序奏はスローで緩く、第一・二主題は奇妙なリズム付けでテンポを上げて絡みます。展開部はvnに揺さぶりを感じますね。再現部は一番クセのない流れになっていてコデッタのスローから、コーダは派手に。



スローから揺さぶりまで、様々な表情を作るマーラー5です。それまでの流れからかなり様変わりになっていますね。

焦点が定まりづらく、どこか落ち着かない流れになってしまったのが残念です。






(#5)
London Philharmonic Orchestra
[EMI] 1988-12/13


上記来日公演の4年後、癌によりLPOの首席指揮者退任翌年のマーラー5です。この年には体調が危ぶまれる中での二度目の来日公演もありました。

第一部
ファンファーレから葬送は違和感の無いテンポに戻りましたね。第一トリオも気持ち良い激しさとテンポ設定で、第二トリオも哀愁感漂う美しい流れですね。第二楽章第一主題は速めで切れ味ある流れから、第二主題は一楽章第二トリオの回帰と、王道の流れです。展開部も力強い序奏・一主題からvc動機は透明感ある静にします。再現部も締まり良く、王道回帰の第一部になっています。
第二部
スケルツォ主題はテンシュテットらしく、緩やかな優美さではなく刻む様なリズムを感じます。レントラー主題はスローに落として、こちらは緩やか優美です。第三主題はオブリガート・ホルンと弦楽奏のバランスが良いですね。展開部も第二主題をソフトに、後半を激しく。再現部は力強さにリズム感があり、スケルツォ楽章らしさを感じますね。コーダは速く締まり良く一気に駆け抜けます。
第三部
第四楽章はややスローで静美で入り、緩やかな波を感じます。甘美ですが嫌味のないアダージェットですね。第五楽章は序奏からテンポ良く、第一・二主題は速め軽快、コデッタも速め優美です。展開部は緩やかに入って力を込めるように主題をフーガ的流れにします。hrが詰まり気味ですがw 再現部はコデッタ静から山場を派手に、コーダは炸裂、フィニッシュはバシッと決めます。



王道回帰のマーラー5です。(#4)のスローやアゴーギクのクセはなくなり、安定性はこれが一番でしょう。

標準的流れで多少荒っぽく、こういうのはライブで聴いたら楽しいです。やっぱりでしょうか?!






(#6)
Koninklijk Concertgebouworkest
[MEMORIES] 1990-12/9


(#5)の2年後、闘病中にコンセルトヘボウ管弦楽団を振った晩年ライブです。音が怪しげ伊Memories盤ですが、リリースしてくれるだけ嬉しいです。

第一部
ややスローで鳴りの良い葬送行進曲、第一トリオは約束通りのテンポアップと激しさですね。回帰する主部にスローの揺らぎを入れて、第二トリオも哀愁を漂わせ hrの鳴りが良いですね。第二楽章第一主題は速さ荒っぽさ共に教科書的な印象、第二主題はマイルドな哀愁感ですね。展開部vc動機は静スローでのコントラスト付けで美しいですね。再現部コラールは落ち着いて美しさを感じます。
第二部
スケルツォ主題はややスローで優美さを感じられますね。これはオケの性格?! レントラー主題もスロー優美です。一主題回帰でtpがコケますが、第三主題はhrが朗々と鳴らします。展開部は緩急を感じ、再現部スケルツォ主題は揺さぶりを入れて、その後もメリハリを強くします。コーダは激走ですね。
全体に緩いアゴーギクがかかって優美さの第三楽章になっています。
第三部
第四楽章は僅かに揺らぎを入れて終始色合い強めです。主部回帰は例によって濃厚さとスローで引っ張ります。結局テンシュテットは濃厚なアダージェットのスタンスでしたね。第五楽章第一二主題は速く鳴りの良い流れで(#5)と同じ流れですね。展開部も途中から力感を込めますがパワーと鳴りの良さが強く感じられます。再現部は大きな鳴りが素晴らしく、コーダは落ち着いて美しささえ感じます。見事な最終楽章です



落ち着いた音の美しさを感じるマーラー5です。標準的な流れに緩いアゴーギクが振られてはいますが、違和感はありませんね。

LPO(#5)の程よい荒れ具合に対して鳴りの美しさを感じるのは、コンセルトヘボウ管のキャラクターでしょうか。好演の可能性が高いので、録音が本当に残念です。





ガリー・ベルティーニ, Gary Bertini (2録音)

今回2CDのインプレですが、ベルティーニは他にもう一録音(South German Radio Orchestra, 1981)残しています。それ以上に都響とのマーラー5番を期待しているファンも多いのではないでしょうか。



(#1)
Wiener Symphoniker
[Weitblick] 1983-4/12


bertini-mahler5-VSO.jpg
(ジャケットです)

イスラエルの指揮者ベルティーニがウィーン交響楽団(VSO)客演で振ったマーラー5です。Weitblick盤らしく海外盤でもライナーノートに日本語が入りますね。

第一部
葬送行進曲は陰鬱さは薄め、ファンファーレ導入句も興奮は避けています。第一トリオもリズム良く生き生きとしていますね。激しさはほどほどです。第二トリオは哀愁を漂わせます。あっさりスルッとした楽章です。第二楽章第一主題は派手に激しく、ですが基本範疇でしょう。第二主題も一楽章第二トリオ回帰色が強いです。展開部vc動機は少し色合いが濃い感じですね。再現部は第二主題で少し激しさを見せてくれて気分の高揚を感じる事が出来ます。
第二部
スケルツォ主題は速く荒っぽくて変わっています。オブリガート・ホルンは着いて行くのが精一杯ですね。レントラー主題は濃いめの優美さです。主部回帰でtpがコケて荒っぽい流れに、第三主題はhrが怪しい音色を奏でます。展開部は激しく荒く、再現部も力感溢れる流れが支配します。コーダは大荒れ大暴れ!! 強引とも感じる第三楽章です。
第三部
第四楽章主部は緩やかなアゴーギク、山場は大きめで中間部は繊細さですが、主部回帰は大きなウネリです。濃厚なアダージェットで第三楽章の延長線を感じます。第五楽章第一・二主題は速く荒っぽいですね。明らかに第三楽章の流れです。展開部も大きく鳴らしながら激しい音を作ります。再現部のコデッタのスローも速く、山場からコーダは爆走です。



平凡な第一部から、突如として第二部で暴れてコケるマーラー5です。その後、第三部も濃く激しいのですが、第二部にインパクトありです。

第一部も荒っぽければ "怒涛のマーラー5" で面白かったと思います。残念ですが、次があります。







(#2)
Kölner Rundfunk Sinfonie Orchester
[WDR EMI] 1990-1/29, 2/3


bertini-mahler5-koelnerRSO.jpg
(ジャケットです)

VSOから7年後、ベルティーニ が首席指揮者(1983-1991)として鍛えた手兵ケルン放送交響楽団との5番ですね。(現在はサラステも素晴らしいマーラー5を残しています)

第一部
ファンファーレからテンンションの高い鳴り、葬送行進曲は速く力感が溢れます。陰鬱さなどありませんw 第一トリオもハイテンションのまま速く音高らかに鳴らしまくります。第二トリオも濃厚な哀愁感で速め、濃いです。第二楽章第一主題も暴れ気味でオケの気迫を感じます。第二主題では厚い音ですが柔らかな印象、まぁ濃厚と言い換えた方が的確?! 展開部も序奏を激しく、vc動機はVSOと似て色合いの濃さですね。再現部は怒涛の流れで第二主題も濃いです。強烈なテンションの第一部に変身しました
第二部
スケルツォ主題は速め、オブリガート・ホルンは余裕で鳴らします。優美どこ吹く風と言った力感です。レントラー主題も濃厚な弦楽奏ですね。主部回帰は太い音、第三主題もhrが自信満々に鳴らします。展開部は激しく盛り上げ、再現部も速く息をつかさずに一気に進んで、コーダは爆裂!!
太く濃い強烈な第三楽章です
第三部
第四楽章主部は速めで音を厚く、山場は大音響を鳴らします。殆ど聴かない濃厚・甘美さの強烈アダージェットです。第五楽章第一・二主題は速く力強く、そして揺さぶりながら爆進。展開部では一瞬落ち着きを取り戻してからコデッタはハイテンションです。再現部は最初から力感溢れ、山場からコーダはとにかく大きく鳴り渡ります。お見事!! お疲れまさでした!



遠慮なしの力感怒涛、脳溢血系マーラー5です。VSOの欠点だった第一部も力感に、演奏の破綻も皆無の一体感。アダージェットだろうが、とにかく鳴らしまくります。

徹頭徹尾のハイテンションとパワープレイ、一本取られました!! その方面が好きな貴方にオススメです。





ヴァーツラフ・ノイマン, Václav Neumann (3録音)

何と言っても20年を超えるチェコ・フィルハーモニー管弦楽団 首席指揮者(1968-1989)のイメージが強いヴァーツラフ・ノイマンですね。残している3録音(CD)中, 2録音はチェコフィルになります。



(#1)
Gewandhausorchester Leipzig
[BERLIN Classics] 1966-6/6-10


チェコフィルの前、ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団のカペルマイスター(楽長?: 1964-1968)時代のマーラー5ですね。

第一部
葬送行進曲は澄んだ音色で速め、美しさを感じますね。第一トリオもスッキリとした快感のある激しさにヌケの良いtp、第二トリオの哀愁も速めにアッサリと流します。第二楽章第一主題も切れ味はあっても重さはありません。第二主題は落ち着いた気配に変わって緩い哀愁ですね。展開部のvc動機も速めで透明感があり、再現部も各主題を粘らずに流します。
速さと軽量級の第一部です
第二部
スケルツォ主題は速い舞踏曲、優美さは弱くやや踊りづらいかもw レントラー主題も速めでピチカートのリズムが強くしっかりとした流れです。第三主題の弦楽奏にオブリガート・ホルンは標準的なテンポを設定しました。ところがピチカートはツンツンと速くなりますね。展開部はスロー気味第二主題から管楽器が鳴らしてパワーを見せます。再現部は速めベースで力感を聴かせながらラストを揺さぶってきます。
優美と言うよりも、速くて一癖の第三楽章です。
第三部
第四楽章主部は速めで音厚が感じられ、中間部は太めの繊細さw 濃厚甘美なアダージェットです。第五楽章第一・二主題はごく標準的テンポと流れ、コデッタ主題は少し揺さぶります。展開部はテンポアップしてテンションを上げますがコデッタでスローに。再現部はコデッタをアッサリと通過して山場を派手に鳴らし、コーダは気持ち良く走ります。



速めスッキリ爽快の第一部、その後はクセある揺さぶりが混じる変則マーラー5です。

クセモノ系で好みは分かれるでしょうが、個人的にはそこに興味が湧きますね。普通に聴きたい方にはオススメしませんw






(#2)
Czech Philharmonic Orchestra
[SUPRAPHON] 1977-1/31, 2/2


(右は日本コロンビアが発売した同盤)

ゲヴァントハウス管から11年後、ノイマンとチェコフィルの旧録音マーラー5ですね。

第一部
ファンファーレは管の鳴りよく、主要主題は速めで低弦ピチカートが弾む様な面白い葬送ですね。第一トリオは標準的な激しさで堂々と、第二トリオも少し速めですが王道的な哀愁です。第二楽章第一主題も主流的な迫力とテンポ設定、第二主題は一楽章第二トリオ回帰的で速め。展開部vc動機は静に鎮めて良い感じ、再現部は第二主題を厚く演奏します。コラールのラストでスロー化させるのが気になりますが、全体としてはやや速めの主流派的な第一部です
第二部
スケルツォ主題はスローでもっそり、11年前と正反対です!。どうしたの?! と言うほど奇妙ですw  一転レントラー主題は気持ちの良い優美な弦楽奏に、第三主題のオブリガート・ホルンは情感控えめの弦楽の上に抑え気味。続くピチカートは普通になりましたね。再現部もコーダ前からのクセあるスロー化、コーダのスローも落ち着きません。第一主題とコーダが奇妙な違和感の第三楽章です。
第三部
第四楽章主部はスロー濃厚、中間部も色濃い流れ、甘美を飛び越してとても暑苦しいアダージェットです。第五楽章の二つの主題の絡みは標準的に、コデッタ主題も優美さを感じますね。展開部はフーガ的な絡みをもう少しテンポアップして欲しい感じです。再現部はスローの流れで入り、コデッタのスローパートとの落差を消しますね。前回は速かった山場からコーダはスローの揺さぶりでスッキリしません



色の濃い流れに"三大スローの違和感"をトッピングした奇妙なマーラー5です。

三大スロー違和感は、①レントラー主題, ②第三楽章コーダ, ③ラストのコーダ, ですね。特に前回録音で速かった①と③の不自然極まりないウルトラスロー化は驚きです。






(#3)
Czech Philharmonic Orchestra
[CANYON] 1993-3/16-20


上記録音(#2)から16年後のマーラー5です。この録音はノイマンがチェコフィルの音楽監督(1968-1989)を去った後になりますね。

第一部
鳴りの良いファンファーレは同じです、葬送行進曲も速めで低弦リズムと陰湿さの少ない流れで、ノイマンは通して葬送らしさを強調しませんでしたね。第一トリオも王道的、そして第二トリオも速めながらSTDな哀愁に。16年前そっくりです。第二楽章第一主題も同様に標準的かやや遅め、第二主題も前楽章第二トリオ回帰風。再現部はやや速めから、コラールのラストではやはりスロー化させますね。
16年前をトレースする様な第一部になっています。
第二部
スケルツォ主題も同様にスローでもっそりですw レントラー主題も心地良い優美さで同じですねェ。展開部・再現部がやや遅めに感じますが、コーダの落ち着かないスローはキープされています。(少し改善傾向?!)
第三部
第四楽章主部はやはり濃いめ、妙にハープが強いですね。揺さぶりも強くなって、濃厚奇妙さが増したアダージェットになっています。第五楽章一・二主題はここでも標準的、コデッタは優美でややスロー。展開部も再現部もテンポ不足、コーダのスローは僅かに改善されて微妙なアッチェレランドを感じるかもしれません。(耳が慣れただけ?!)



違和感含めて16年前のコピーの様なマーラー5です。演奏時間配分も似て、当時のスコア(注意書きを書き込んだ)をそのまま使っていたのでは?!

流れの濃さと"三大スロー違和感"は同じなので、あの時(#2)ほどのショックはありませんw





小林研一郎, Ken-ichiro Kobayashi (4録音)

コバケンさんこと小林研一郎さんのマーラー5です。今回4枚(内1枚DVD)のインプレですが、内2枚は客演常任指揮者を努めたチェコ・フィルですね。他にもう一枚正規録音(1983年 日本フィル, Toshiiba)が存在しますね。一度も見た事がありません。



(#1)
Kyoto Symphony Orchestra
[Kyoto Symphony Orchestra] 1985-9/26


コバケンさんが京都市交響楽団の首席指揮者(1985-1987)に就任した年のマーラー5ですね。京響自費制作盤『京響音のあゆみ (PART-Ⅱ) 』になります。

第一部
ファンファーレで管楽器が怪しげですが葬送行進曲はあっさり、第一トリオもどこか締まりに欠ける感が強いです。第二トリオは弱音で哀愁を上手く鳴らしていますが、hrと弦のマッチが今ひとつ。第二楽章第一主題も切れ味がありません。第二主題は一楽章第二トリオ回帰ですがユルユルとした流れ、展開部vc動機は静スローを強調ですが行進曲では力がありません。演奏で手一杯、曲の表面をなぞっているだけの第一部に感じます。
第二部
スケルツォオ主題はhrが怪しくテンポは速め、やっぱり締まりに欠けるのが痛いです。レントラー主題も弦楽奏なのにモワモワです。スロー強調の第三主題はオブリガート・ホルンのヌケが良くありません。展開部・再現部もスロー基調の19'半で、長〜く感じます。コーダはハイテンポでビシッと決めます。全編これなら面白いのに!!
第三部
第四楽章主部は淡々と進み個人的には好きな流れですが、中間部のスローはやりすぎで間延び感のアダージェットです。第五楽章の序奏は管楽器メタメタですw 第一・二主題は上手く絡めてフーガ的に上げますが、コデッタ主題は緩いです。展開部も弦楽器はともかくとして管楽器は怪しく締まりがありません。再現部山場からコーダはパワープレイを見せてくれますね。



録音も含めて見晴らしのよくないマーラー5です。管楽器を主に演奏は怪しく、モワモワ・ホワッと掴み所がありません。最下位争いに参加?!

演奏に手一杯と言う感じで、オケの一体感が伝わって来ません。迫力パートだけはコバケンさんですねw






(#2)

Japan Philharmonic Symphony Orchestra
[CANYON] 1991-5/30,31


(右は現在入手し易いEXTONのSACDのハイブリッド盤ですね)

京響(#1)から6年後、コバケンさんが常任指揮者に復帰した時代の日本フィルハーモニー管弦楽団とのマーラー5です。

第一部
厚みのあるファンファーレからゆったりとした構えの葬送行進曲、ハイテンポで切れ味を見せる第一トリオ、第二トリオは然程哀愁を強めず流れを引き継ぐ感じです。気持ちの良い第一楽章ですね。第二楽章第一主題も切れ味鋭い流れ、第二主題は哀愁をほど良く込めていい感じです。展開部vc動機は暗い雰囲気を上手く出し、明るさと緊迫感を増して行進曲のシャープさに繋げていますね。再現部も各主題をメリハリつけてしっかり鳴らし、コラールは華々しさです。聴き応えある第一部です。
第二部
スケルツォ主題は穏やかなhrとシャープな弦のコントラスト、レントラー主題はスロー優美な弦楽奏、第三主題はオブリガート・ホルンが伸びよく鳴らして弦とのマッチの良さを見せますね。再現部は三つの主題を気持ちよく、後半第三主題回帰のfrが朗々と鳴らすと、コーダはハイテンポで一気に駆け抜けます
第三部
第四楽章主部はやや速めの澄んだ音色でスタート、アゴーギクを使い揺さぶりますがクール、中間部は落ち着かせて来ます。個性的ですが悪く無いアダージェットです。第五楽章第一・二主題は速めの流れで上手くフーガに絡めて進め、コデッタ主題を優美に奏でます。展開部は長いのですが、主題の鳴りが素晴らしくグイグイと持っていかれる感じです。再現部はコデッタの谷間を軽妙に、テンポを上げて加速しコラールからコーダは大きな間をとる様に広げて、強烈なアッチェレランドで締めくくります。お見事!!



コバケン・アゴーギクはありますが、堂々としたマーラー5です。真っ向勝負、コバケンさんファンなら必携でしょう。日本フィルも好演ですね。

録音も良好でコバケンさんの唸りと足音が聞こえます。日本人指揮者唯一のを付けました。






(#3)
Czech Philharmonic Orchestra
[Fuji Television] 1997-11/15 DVD


日本フィル(#2)から6年後、コバケンさんのチェコ・フィルハーモニー管弦楽団との映像付き録音(HarmonyHall福井でのLIVE)です。得意のレパートリーなので暗譜ですね。

第一部
第一楽章冒頭のtpファンファーレにタクトを振らないのにビックリ! 葬送行進曲は適度な重厚さ、第一トリオも程よいテンポ変化と鋭さになって、第二トリオは哀愁を奏でます。第二楽章第一主題は標準的な激しさでしょう。第二主題も落ち着いた哀愁ですね。展開部vc動機は静ですが標準仕様的、その後も教科書的な流れで安定感が強いですね。
第二部
スケルツォ主題は軽やか優美に、hrがやや不安定な気がします。レントラー主題はスローで優しさですね。第三主題は緩やかスローにオブリガート・ホルンを鳴らします。管楽器がやや不安定かもしれませんね。一瞬大きくスローに落として展開部第二主題はややスローの力感です。再現部も第二主題をパワー主体で鳴らして、後半ややスローの流れからコーダはテンポアップで締めます。
第三部
第四楽章主部は揺さぶりもなくなり、夏の夕陽を見る様な穏やかさ。中間部の表情変化は薄めでその後スロー化で間延びします。全体としてはフラットなアダージェットかもしれません。第五楽章第一・二主題は締まり良くやや速めのテンポで、コデッタ主題流れに乗ったテンポが心地良いですね。展開部は落ち着いた流れから徐々に上げて行く流れです。再現部は教科書的に進んで、コデッタをスロー優美に、山場からコーダでは少しコバケン・アゴーギクを見せてフィニッシュは気持ち良く駆け抜けます。



標準仕様に近いのですが一部スローが気になるマーラー5です。見事だった日本フィル(#2)から牙を抜いた感じですが、タクト姿が見られるのは嬉しいです

ややスロー方向への揺さぶりを強めていますね。






(#4)
Czech Philharmonic Orchestra
[CANYON] 1999-3/11-13


上記(#3)の2年後、同じくコバケンさんとチェコ・フィルのマーラー5の2枚目。チェコフィルのマーラーは各コンダクターで演奏を残していますね。ちなみに3年後2002年、プラハの春音楽祭オープニングコンサートでは初となる東洋人指揮としてチェコ・フィルを振っています。

第一部
鳴りの派手なファンファーレから いつもの重厚さを控えた心地良い葬送に、第一トリオ激しさを見せコントラストを明確にしていますがテンポは上げていませんね。第二トリオは哀愁感はありますが、テンポを速めにしているのでそのままコーダへ突入する感じです。第二楽章第一主題は激しさを強く荒れ気味に、第二主題は哀愁よりも優美ですね。展開部はvc動機で鎮めて美しい流れを見せ、激しさから行進曲で明るさを取り戻します。再現部第二主題は重厚、コラールを高々と鳴らします。快感のある第一部です。
第二部
スケルツォ主題は明るく華やかに、レントラー主題はスロー優美濃厚な弦楽奏です。第三主題は弦とオブリガート・ホルンのマッチがよく、程よいスローが生かされています。その後のピチカートはいつもの様にスローですね。展開部は第二主題を派手に作って来ます。パウゼを明確に再現部へ入ると ここでも第二主題を激しく奏でます。その後スロー展開になりますが、コーダは突然のテンポアップで爆走です。
第三部
第四楽章主部は暖色系で音厚を感じます。中間部は濃いめの繊細さで、濃厚なアダージェットになっています。全体の流れには合っているかもしれません。第五楽章二つの主題は気持ち良く絡んで進み、コデッタ主題も流れに乗った優美さです。展開部はグイグイと力感で突き進みます。再現部の始めから力がこもり、コデッタ谷間で一息付くとテンポアップして山場からコーダは漲るパワーが炸裂。フィニッシュは激しいアッチェレランドで見事に締めくくります。



力感と心地よさ、太い流れのマーラー5です。構成は(#3)のチェコ・フィルで、気持ちの乗った流れは(#2)の日本フィル、そんな感じです。

録音も良く炎のコバケンさんの面目躍如ですね。オケの一体感も感じられ、多少のスロー怪しさなど吹き飛ばします。





ジュゼッペ・シノーポリ, Giuseppe Sinopoli

Philharmonia Orchestra
[DG] 1985-1/25-27


続けてフィルハーモニア管ですが、シノーポリが首席指揮者(1984-1994)を務めた時代の5番です。学研肌で鳴らす指揮者シノーポリはシュトックハウゼンやマデルナの元で現代音楽も師事していますね。
シノーポリのマーラー5はもう一枚正規盤(RAI NSO, 1999)が存在します。

第一部
冷静な歩みの葬送行進曲ですが、揺さぶりを入れて来ます。第一トリオは激しさよりも明瞭な鳴りの管楽器の印象ですね。第二トリオは重厚を避けた哀愁から力感を込める流れです。全体的に明るさを感じますね。第二楽章第一主題は速く激しく、マーラーの指示通り。第二主題は緩やかな哀愁でコントラスト良好です。展開部序奏は激しく、vc動機で静スローに落差を付けます。出し入れの表情作りが明確ですね。途中で少し演奏が暴れますが。再現部第二主題からの山場の鳴りが良いですね。明瞭な鳴りの管楽器が特徴的で概ね標準的な第一部でしょう。
第二部
スケルツォ主題はオブリガート・ホルンが朗々と鳴らして主役を取ります。レントラー主題は弦楽の優美さを見せますが速いですね。第三主題に入る処で奇妙な揺さぶりを入れますが、弦とhrは優しさを奏でます。展開部も瞬間芸の様な揺さぶりを入れますが、ゆっくりと上げて行くのは約束通りでしょう。再現部も管楽器が妙な鳴らし方を挟みながら進み、コーダは突如突っ走りますw
第三部
第四楽章主部は標準的なテンポと静の流れに少し波を感じ、中間部では揺さぶりを強めます。甘美と言うよりも色の濃いアダージェットです。第五楽章第一・二主題は音を明確に刻みながら進みます。スムーズな流れとは言えない感じです。展開部は良く鳴らしながら微妙な揺さぶりで進み、再現部は派手な流れからコーダのアッチェレランドも一味違います。上手く表現できませんがw



前半スッキリした流れに、後半ギクシャクした流れ、その中に現れる変化球。一筋縄では行かないマーラー5です。

最も変わっているのは、瞬間的変則と管楽器が突っつく様な奇妙な音でしょう。あからさまに変な瞬間芸、やっぱり変わった演奏という事になるでしょうか。





井上道義, Michiyoshi Inoue

Royal Philharmonic Orchestra
[RPO] 1990-5/9


個人的に好きなマーラーの指揮者、ミッキーこと井上道義さんがロイヤル・フィルを振ったマーラー5ですね。ロンドンRoyal Festival Hallでのライブです。

第一部
葬送行進曲はもちろんアゴーギクの味付けをしたミッキーズ・スローですw 第一トリオでは激しさよりも落ち着きですね。もちろん鳴りを高めて効果的です。第二トリオは優しく包む様な哀愁です。第二楽章第一主題も激しい中に歯切れの良さを感じ、第二主題も若干のスローと静でコントラストを付けます。展開部vc動機は鬱な暗い音色、再現部はクセのない流れからコラールは華やかですね。
第二部
スケルツォ主題は速めで几帳面、レントラー主題少し緩やかに優美さを見せ、第三主題は穏やかな弦楽とコントロールされたオブリガート・ホルンです。やや平凡ではありますが。展開部は抑えた静の第二主題から、大きくスローに落として一気に盛り上げます。再現部からコーダは標準的ですね。もちろんコーダは激しいのですが。
第三部
第四楽章主部は静で今の時代らしいテンポに甘美さよりクール、中間部でややスロー化して主部回帰はスロー静美です。好きなアダージェットですね。第五楽章序奏はhrの余韻がよく響きますね。第一・二主題は落ち着いた絡みで登って行き、コデッタ主題はあっさり風味。展開部は極標準仕様、再現部はコデッタでスロー化、コーダはスローからのアッチェレランドが大炸裂!! ロンドンのオーディエンスの熱きブラボーは半端じゃないです。



キーになるパートをスローに振るINOUEスタイルのマーラー5です。が…w、スローとフィニッシュ以外は薄味標準的で今ひとつかもしれません。

ただ、このINOUEスローは進化形の "10年後のマーラー6番・9番" で見事開花しますので、新しいレコーディングを期待したいですね。





ベンジャミン・ザンダー, Benjamin Zander (2録音)

(#1)
New England Conservatory Youth PO
[CPI] 1997


英人指揮者ザンダーが45年間(1967-2012)活動を共にした米のニュー・イングランド音楽院ユース管弦楽団を振ったマーラー5ですね。

第一部
微妙な揺らぎの葬送行進曲です。第一トリオはチェンジペースですが、鳴りや揃いが少々怪しげです。やっぱりユースらしさが出て来ますね。奇妙な主題回帰からチューンの怪しいティンパニ、第二トリオでも揺らぎをつけています。第二楽章第一主題はギクシャクして見晴らしが良くありません。第二主題もスローダウンはいいのですが管楽器が怪しげ、展開部は管も弦も怪しげです。ユースオケらしい第一部です。
第二部
スケルツォ主題は優美にまとめます。オブリガート・ホルンも頑張りますね。レントラー主題は速めで緩いアゴーギクを振っています。第三主題はホルンからゆったりと入りますが、ここでもオブリガート・ホルンが活躍です。展開部・再現部は程々にまとめます。コーダは元気な良さが出ました!
第三部
アダージェットの主題は幽霊の様な美しいさ?で良いのですがHp音(録音)が弱すぎです。中間部動機は美しいですね。第五楽章第一・第二主題の絡みはややスローでいっぱいいっぱい、コデッタ主題はマイルドにまとめています。落ち着かない展開部を経ての、再現部の山場からコーダではユースらしい元気いっぱいの鳴りを聴かせてくれました。これがユースオケの楽しさですね。
大ブラボーが飛びました。



良くも悪しくもユースオケのマーラー5です。全体の完成度は取り上げても仕方ありませんが、ユースと聞いて期待するラストの盛り上がりは見事に応えてくれました。それがユースオケですね。

完璧には程遠いにしても破綻を来さぬオブリガート・ホルンもユースとしては見事だと思いました。






(#2)
Philharmonia Orchestra
[TELARC] 2000-8/7-10


フィルハーモニア管を振ったマーラー5です。例によって2CD目はザンダーによる解説になっています。
現在ザンダーは、自ら創設したボストン・フィル(セミプロ。小澤さんのいたBSO:ボストン・シンフォニーとは違います)を率いていますね。

第一部
押さえた葬送行進曲に情感あるファンファーレ動機、第一トリオは適度なテンポアップと激しさの好バランスのです。第二楽章では第一主題を重厚に切れ味よく、第二主題では第一楽章第二トリオの再現で哀愁を見晴らし良くつなぎます。展開部は主題を切れ味よく入れ替え、再現部も主題の変奏を色濃く奏でますね。見晴らしの良い第一部になっています。
第二部
スケルツォ主題は軽やかに、レントラー主題も優美に踊る様に流れます。その変奏から第三主題はコントラストが弱い感じになりますね。展開部から再現部にかけてもスローパートの流れがフラットに感じられます。そこが残念な第二部です。
第三部
第四楽章主要主題は静美なアゴーギク、トリオも美しさが沁みますね。アゴーギクが特徴的なアダージェットです。第五楽章は優美な第一主題、落ち着いた第二主題がスローな流れを作ります。これはシャープさに欠けますね。この流れではコデッタ主題も魅力が出ません。展開部も処々スローでフラットに流れて、再現部山場からコーダも落ち着き払ったフィニッシュとなりました。



見晴らし良い第一部を聴かせた後は、ややフラットに落ち着いてしまうマーラー5です。鳴りは良いので、第二部以降のスローパートが残念ですね。







次は2013年1月に「マーラー5番」のコンサートがあるインバルとセーゲルスタムを中心に聴き較べをしようと思います。

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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