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マーラー 交響曲 第9番 名盤・珍盤 70CD聴き比べ! [#1 / CD:1-10]

【2017年3月23日 見直し修正実施】
本投稿は2012年4月10日版なのですが、バーンスタイン, アバド, ラトルの計9枚を聴き直してインプレ部分を修正しました。その他は投稿当時の内容になります。


このブログで有名交響曲をあまり出していないのですが、今回はマーラーの交響曲第9番で話題のバーンスタイン/イスラエル・フィルのアルバムが出たので聴き比べを載せてみようと思います。
とりあえずはバーンスタイン既発4枚を含め10CDsほど聴き比べてみました。マーラーの9番は5番と違い所有数は少ないので、集中力があればすぐに聴き比べできちゃいそうですね。


【参考】
 ★:名盤 (一般的いわれている…と思う盤)
 ☆:個人的お勧め
 ㊟:とっても変わっています

[リスト] 現状のMahler Symphony No.9の聴き比べです (現在#5回 70CDまで)
 #5:20CD
 #4:10CD
 #3:10CD
 #2:20CD
 #1:10CD 本投稿





レナード・バーンスタイン (Leonard Bernstein) (5録音)
まずはバーンスタインを年代順に聴き比べです。

 (#1)
New York Philharmonic
1965年 [Sony]

リマスターの12CDsetで持ってますけど、発売時は¥2kを切っていて驚きました

若きレニーとニューヨークフィルの一枚。
 第一楽章の第一主題は美しさを、そして第二主題は大きく。第三主題以降でやや間延び感があり、山場は切れ味はありますが今ひとつ掴み処が弱いです。第二楽章は緩やかなレントラーですが切れ味という点ではまだまだ弱いですね。第三楽章も同様でスマートな演奏ですが特徴が薄いですね。第四楽章の主題は澄んだ美しさ第一第二主題の対比は弱いです。その後も緩やかな美しさを主体としてラストへ向かいます。
・・・・・
悪いところはない代わりに、その後のレニーの9番を聴くと平凡過ぎて物足りなさだけを感じてしまいますね。




(#2)
Boston SO
1979Live [sardana]

かのベルリンフィルLiveと同年の7月、タングルウッド(Tanglewood Music Festival)での録音(非正規)ですね。オケはタングルウッド音楽祭ですからボストン響。BPOとの3ヶ月前で同様の客演Liveです。これはもう その違いを聴く事以外にありません。
 第一楽章第一主題から第二主題への流れは似ていますが丁寧で、第三主題も同様です。その後の起伏も暴れないだけで迫力はそのままですね。第二楽章はシャープで優美なレントラーですが、やや緩さが強いかも。第三楽章は悪くはありませんが、マーラーの指示の「きわめて反抗的」より上品な感じでフラットに感じます。ラストのストレッタは大迫力です。第四楽章の弦楽による主題は端正な緩やかさで美しいです。第一エピソードの後の大きな美しさは特筆的、第二エピソード後の押し迫る様な迫力も素晴らしいですね。コーダのアダージッシモの静的な透明感は録音のS/N比の悪さが残念です。
・・・・・
演奏時間も含めて似た演奏です。三ヶ月後のBPOと違うのは音の揃いが良い分スローパートがやや緩く感じる事(録音の問題も大きいでしょう)、迫力と情熱はバーンスタインのコントロール下にある事でしょう。第一第四楽章は実に素晴らしいです。非正規盤としては音も悪くありませんが、正規録音盤が出て欲しい一枚ですね。
これを超える+αがあるのがBPO盤という事になりますね。




(#3)
★☆
Berliner Philharmoniker
1979Live [DG]
有名なベルリンフィルとのLiveです。
 第一楽章はあまり美しさを感じられません。音のそろいが良くない裏に張りつめた緊張感が感じられます。そして何より緊迫感の第三主題、その後の起伏と陰鬱さはもの凄いです。第二楽章は意図してなのかわかりようも無いのですが、マーラーの指示以上に荒いレントラーで一触即発的な緊迫を感じるキレキレの演奏。第三楽章は切れ味鋭い演奏ですが12分と短い楽章で、ラストのストレッタは迫力。第四楽章は美しい弦楽主題と雄大さ、音の乱れと緊張感による迫力、その中に光る美しさを感じます。特に第一エピソード後の美しさ、第二エピソード後のクライマックスは素晴らしいですね。
・・・・・
緊迫的激情、狂気さえ感じるスリル満点のマラ9。そういうのが好きな人にはお奨め盤。もちろん今回発売のIPOよりも好きです。そして実は3ヶ月前のボストン響との演奏がキーになっているのも事実ですね。
この様な超有名な演奏について素人がとやかく言うのはヤボというものですけど.....

これに対抗出来るとすれば、カラヤンの1982-5/1ライブ(非正規盤)しか見当たりません。#2では、その他好きな盤も紹介します。
この曲は丁寧にまとめあがったものよりも情熱あふれる演奏が好きですね。




(#4)
★☆
Royal Concertgebouw O
1985 [DG]
耽美なるマラ9典型です。スローな入りで美しい第一主題、そして激しさ有る第一楽章は大海の波の様。その迫力は緊迫感や興奮よりも派手で華やか。コーダは繊細そのもの。そこがロイヤルコンセルトへボウでしょうか。
第二楽章もいいテンポ、しかしIPOやBPOの様な狂気性はありません。その代わりに優美なレントラーが置かれています。第三楽章は早くて切れ味の良さがありますが、迫力より繊細さが感じられますね。第四楽章も入りの弦楽主題から悲しみさえも感じられる独特の美しさです。繊細な第一エピソードの後は主題にある冷たい美しさはまさに流麗で壮大です。第二エピソードは清貧の美しさ、そしてその後の山場はその美しさを昇華させてまさにこの楽章のハイライトです。ここからの静音パートはコーダの「ersterbend, 死に絶えるように」に向けて本当に素晴らしい流れです。マーラーが9番に死のイメージを埋めたなら、まさにこの楽章はそのものでしょう。
・・・・・
RCOと作り上げたこの素晴らしい第四楽章を聴くと、レニーはこの先にどんなマーラー9番を見ていたのか想像を禁じえません。感動的な楽章で、この楽章を聴くだけで所有する価値がありますね。

今回発売になったIPO盤と同年二ヶ月前の演奏になりますが、この違いはなんなのでしょうか。緊張感や緊迫感は排除されて美しさを基にした迫力と流麗耽美なマーラー9番です。よく聴けばアゴーギクなど似ている事は明確なのですが、不思議です。




(#5)

Israel Philharmonic O
1985年Live [helicon]
これが今回発売された興味津々のBernstein & IPOのMahler No.9ですね。ユダヤがどうのこうの....とか、最高だった日本公演との比較だとか話題ですね。興味ある方はググってみてください。
バーンスタイン-IPO-マーラー9


 一楽章は第一主題と第二主題のコントラストが強めです。その後も気迫ある展開は良いのですが全体は緩めで小慣れた感じになって間延び感があります。
第二楽章はゆったりとしたテンポ、リズミックな中に潜む緊張感。レントラーではありますが、この楽章にはマーラーの指示「きわめて粗野に」が生きてますね。続く三楽章は緊張感はそのままに気迫のこもった展開で、ラストのストレッタは錯乱的爆裂です。
第四楽章の入りからの弦楽主題は包み込む様な音の抱擁感で緊張感はありません。第一エピソードの後の重厚で切迫的な美しさ、第二エピソード後の山場は張りつめたものが感じられますね。コーダのアダージッシモと、そこへ向かう静音パートは研ぎ澄まされています。
・・・・・
コンセルトヘボウとの録音の2ヶ月後の演奏としては印象が大きく異なり、どこか6年前のBPO時代に逆戻りの印象が強く、BPO盤と比べたくなってしまいますね。
そうなると第一楽章は完成度の高さと引き換えに、迫る緊迫感や緊張感が薄れています。しかし、第二第三楽章は本当に素晴らしい!




クラウディオ・アバド, Claudio Abbado (2録音)

(#1)

Wiener Philharmoniker
1988Live [DG]
アバドがウィーン国立歌劇場音楽監督時代のウィーンフィルとの演奏ですね。
 第一楽章第一主題は緩やか遅め、第二主題も重さ控えめ、でも全体としてはとてもバランスと切れ味の良さを感じます。クールです。
第二楽章のレントラーは揺らぎを感じますが、軽妙さも持ち合わせていますね。基本はシャープです。第三楽章も流れは同じく気持ちの良い「きわめて反抗的に」を表現した演奏です。ラストはアッチェレランドをかけていますね。
第四楽章は穏やかな流れの主題から、第一エピソード後のホルンと弦楽の程良い美しさへと繋がります。その後情感ある第二エピソード、そして音揃いの良い山場へ流れ込みます。この流れはラストのpppへのつながりも良く、クールに終焉しますね。
・・・・・
アバドのマーラー9番だとBPOの方がどうしても評判が高いのですが、適度な興奮と切れ味のVPOとの本録音も決して悪くないと思います。基本的な構成はよく似ている感じがしますね。




(#2)
★☆
Berliner Philharmoniker
1999Live [DG]
 アバドと言う指揮者はあまり好みではなかったのですが、近年その素晴らしさがわかるようになってきました。
このBPOとのマラ9も素晴らしいですね。アバドと言うと思い入れの強い展開が無いイメージでしたが違い、第一楽章からしてアゴーギクを効かせた演奏でエモーショナルな重厚感で盛り上げてきます。特に第二主題から第三主題への揺らぎは情感高いです。BPOの適度な荒れ方も"それらしい"流れを作っていますね。
第二楽章も揺らぎの強い、優雅さよりも迫力を感じるレントラーです。BPOのパワーを感じますね。第三楽章も前楽章の流れをつなぐように最後のストレッタまでパワフルな演奏です。
第四楽章の弦楽主題も音の厚みのある重厚さで、第一エピソード後の弦楽パートも凄い音圧です。第二エピソードは透明感、その後の山場はこの曲のピークと言えるでしょう。そしてコーダ"アダージッシモ"では一転、マーラーの指示するersterbendらしい最後を見せてくれます。
・・・・・
バーンスタインもカラヤンもBPOとの素晴らしい演奏を残しているのですが、これまたアバドBPOの迫力と鬼気迫る重量級の演奏です。素晴らしいですね!




サイモン・ラトル, Sir Simon Rattle (2録音)

(#1)
Wiener Philharmoniker
1993Live [EMI]
 バーミンガム市響の音楽監督だったサー・サイモン・ラトル(Sir Simon Rattle)がウィーンフィルを振ったマーラー9番です。
もったいぶったスローな第一楽章第一主題ですが、重厚さはありません。そこから第二主題はボリュームアップにコントラストを強めます。楽章中後半でもアゴーギク&ディナーミクの出し入れの強い演奏ですが、感情移入の様なものは薄く 計算尽くな気配が強く感じられますね。"なるほどね…" 的な、でもこの楽章に必要な音量だけではない迫力が感じられません。
第二楽章も同様で、揺さぶられたレントラーはクセが強いです。その他は平凡かも。第三楽章も同様で、それ以上の特徴はありません。
第四楽章の弦楽主題は緩め、第一エピソードも緩め、その後の叙情性が高い弦楽もやや緩めです。第二エピソード後訪れる山場は速めのスピードで盛り上げます。ラスト5'とpppは美しいです。
・・・・・
ラトルが計算しつくした演奏なのでしょうが、迫力なのか緩いのか、はたまた重量級なのか軽快なのか、クセが強くキョロキョロと表情が変わるので掴み処がありません。




(#2)

Berliner Philharmoniker
2007Live [EMI]
 VPOとの録音から14年後、ベルリンフィルの首席指揮者兼芸術監督に就任して5年後の充実期に入っての演奏ですね。
ここでももったいぶったスローの第一楽章第一主題ですが、雄大さと第二主題とのバランスは取れていますね。提示部の流れは自然になり第三主題から山場へもBPOらしい音圧のある波の様な揺らぎは自然です。展開部と再現部もアゴーギクとディナーミクの不自然さが1993年VPOほどはなく、ベースは重厚さです。この曲のBPOの録音に共通する気がします。
第二楽章のレントラーの入りを除くと、第三楽章も不自然さのあった出し入れはなくなり迫力ベースの演奏となっていますね。しつこさ クドさを感じますが。
第四楽章弦楽主題は濃くて暑苦しいですw その後も弦楽を主体としたこの楽章が全面的に音の厚みをメインに演奏されるのはあまり記憶にありません。コーダのアダージッシモも明瞭さがあり、ラストpppで整える感じです。
・・・・・
重厚さと迫力、この曲のBPOの録音に共通ものがここにもある気がします。曲者ヴィルトゥオーゾ集団BPOのなせる技なのか、指揮者の共通イメージなのか…
ラトルで言うと基本はVPO時代と変わらずの しつこさとクドさ感が残ります。




ヴァレリー・ゲルギエフ, Valery Gergiev
London Symphony Orchestra
2011Live [LSO]
 昨年のライブ。当代人気の指揮者の一人ゲルギエフとロンドンSOとの競演盤です。当然ながら期待値高く聴いたCDですね。
第一楽章の入りはppで静かに、しかしすぐに一転 ディナーミクとアゴーギクを効かせて来きます。第一主題も豪快な響きながら後半は落ち着きを見せます。ゲルギエフは幽玄凄涼なる音作りと、正反対に激情的な展開のバランスが同居しますね。第二楽章はシャープなリズムを刻みながら第二主題へ入って行きます。力強い。それにしてもLSOの弦は柔らかな音を出します。第三楽章はアンバランスさは良いのですがイマイチ締まりがない感じ。第四楽章は流麗な弦から入ります。この楽章は素晴らしいです。出来ればもう少し陰が欲しいですね。
・・・・・
第一・二・三楽章は力技的、最終楽章が流麗なマラ9です。






次はカラヤンのライブとかテンシュテットのライブとか、非正規盤の気になるのも合わせて聴き比べてみたいと思います。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

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・2017年12月9日
音楽ブログに特化するためにタイトルを「現代音楽と酒の日々」から変更しました。





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