超変則の『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』«ネット配信» 佐渡裕指揮/トーンキュンストラー管弦楽団 2023年10月17日
Tonkünstler-Orchester Niederösterreich
Yutaka Sado: cond.
Yutaka Sado: cond.
"トーンキュンストラー管弦楽団ニーダーエースターライヒ"と主席指揮者を務める佐渡さんのマーラー6です。このセットのマーラー6はまだCD化されていませんから使われるかもしれませんね。
二週間前の公演で、オーストリア"oe1.orf"からの配信です。
二週間前の公演で、オーストリア"oe1.orf"からの配信です。
Mahler Symphony No. 6
"Tragic"

[Live at Großen Musikvereinssaal Wien , 17 Oct. 2023]
■ 第一楽章
第一主題は速く入って低弦を強く響せ、パッセージは然程落とさずにアルマの主題でも殊更のスローや華美は避けています。展開部の"烈-暗-明"のコントラストも提示部に似て揺さぶり感はありません。hrが少し怪しげですが…
出し入れを抑えた速い流れで淡々とした力感の第一楽章です。
出し入れを抑えた速い流れで淡々とした力感の第一楽章です。
■ 第二楽章
スケルツォです。主部主題の冒頭は管と弦のバランスが微妙、流れはアゴーギクを廃して表情は薄めです。トリオではスローで僅かにアゴーギクの揺さぶりを入れ、木管動機もスローに薄めのアゴーギク、回帰でよりスローで鳴りを強調します。
アゴーギクはあっても感情は薄めで力強さのスケルツォ楽章です。
アゴーギクはあっても感情は薄めで力強さのスケルツォ楽章です。
■ 第三楽章
主部主題はスローでウェットな纏わり付く様な不思議な流れで落ち着きません。第一トリオの哀愁も気持ちがついて行きづらい奇妙さです。中間部(第二トリオ)もその流れの中に登場して、陽光で一気に晴れ間を見せるイメージは薄めです。そしてそこからは崩れる様なあまり聴かない変則さで主部主題スローの回帰へ繋げ、最後までベターとスローフラットです。
聴いた事のない奇妙なスローのアンダンテ楽章です。
聴いた事のない奇妙なスローのアンダンテ楽章です。
■ 第四楽章
厄介な序奏はここぞとばかりにスローで引っ張り、アレグロ・エネルジコで一気にテンポアップ。普通はやや抑える提示部第一主題は速くて激走!! 第二主題は意外や王道的に軽快軽妙ですがすぐにテンポアップ。展開部でもスローで入りますが第二主題を王道で、行進曲も勢いよりもガンガン鳴らしますがなぜか途中でスローに。再現部は第一主題をまたもや王道華やかに、騎行も予想通り驀進で途中で大きくスロー化。変です!!
王道と変則スローで鳴りの太い第四楽章です。
王道と変則スローで鳴りの太い第四楽章です。
感情移入は薄く鳴りは太く、速いか遅いか二者択一のかなり変わったマーラー6です。アゴーギクとディナーミクで流れを作るのとは違い、パート毎に速いか遅いか。佐渡さんの一面を垣間見たのか、新たな境地なのか、表現主義的タクトで嫌いじゃありません😅
ミキシングが微妙なパートもありますが、このままCD化されるでしょうか?! もしすれば変則度合いの高いマーラー6登場となるでしょうね。楽しみに待ちましょうw
ミキシングが微妙なパートもありますが、このままCD化されるでしょうか?! もしすれば変則度合いの高いマーラー6登場となるでしょうね。楽しみに待ちましょうw