ルチアーノ・ベリオ(Luciano Berio)の「ピアノ作品全集」
ルチアーノ・ベリオ
(Luciano Berio, 1925/10/24 - 2003/5/27)
(Luciano Berio, 1925/10/24 - 2003/5/27)
ベリオは前衛三羽烏(ブーレーズ, ノーノ, シュトックハウゼン)と同じ1920年台生まれで欧エクスペリメンタリズム全盛期に生きたイタリア人現代音楽家です。
1950年代前半にセリエルに手を付け、ダルムシュタットでは前衛の旗手であるブーレーズやシュトックハウゼン, リゲティらと出会っています。
その後電子音楽に傾倒して同じイタリアの現代音楽家ブルーノ・マデルナと電子音楽スタジオ "Studio di fonologia musicale" を創設、1970年代後半には仏IRCAMでもディレクターとして参加しています。
引用(quotation)や編曲(transcription, arrangement)も得意としていたのに、コラージュを否定していたのが面白いですね。
代表作はソロ・ヴィルトゥオーソ作品のシリーズ物 「セクエンツァ, Sequenza」で1958-2003の活動全期間に渡って作曲(全14曲)されています。(本アルバムにもピアノ版のIVが入っています)
1950年代前半にセリエルに手を付け、ダルムシュタットでは前衛の旗手であるブーレーズやシュトックハウゼン, リゲティらと出会っています。
その後電子音楽に傾倒して同じイタリアの現代音楽家ブルーノ・マデルナと電子音楽スタジオ "Studio di fonologia musicale" を創設、1970年代後半には仏IRCAMでもディレクターとして参加しています。
引用(quotation)や編曲(transcription, arrangement)も得意としていたのに、コラージュを否定していたのが面白いですね。
代表作はソロ・ヴィルトゥオーソ作品のシリーズ物 「セクエンツァ, Sequenza」で1958-2003の活動全期間に渡って作曲(全14曲)されています。(本アルバムにもピアノ版のIVが入っています)
Complete Piano Works
(Matteo Bevilacqua & Luca Trabucco, pf)
(Matteo Bevilacqua & Luca Trabucco, pf)
ベリオが得意としたピアノ曲集でこれが全曲になります。上記 "Sequenza IV" の3.や、"klavier" シリーズの2.-3, 4, 5, 6が注目でしょう。
年代的にも1947-2001と活動初期から晩年までフォローされていて、これを聴く事でベリオの全貌を垣間見る事も出来るかもしれません。(実際にはそう簡単には行きませんが…w)
ピアノはマッテオ・ベヴィラクア、四手の4. 5. はルカ・トラブッコが入ります。
年代的にも1947-2001と活動初期から晩年までフォローされていて、これを聴く事でベリオの全貌を垣間見る事も出来るかもしれません。(実際にはそう簡単には行きませんが…w)
ピアノはマッテオ・ベヴィラクア、四手の4. 5. はルカ・トラブッコが入ります。
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■1. Petite Suite (1947)
I. Prélude - II. Petit Air I - III. Gavotte - IV. Petit Air II - V. Gigue
1'〜3'の小曲集で調性のロマン派エレジー風です。進むほどに調性逸脱が強まりますが、いかんせん短か過ぎ。時代は既に前衛期を迎えていて習作的です。
■2. 6 Encores for Piano (1965-90)
1. Brin (1990) - 2. Leaf (1990) - 3. Wasserklavier (1965) - 4. Erdenklavier (1969) - 5. Luftklavier (1985) - 6. Feuerklavier (1989)
同じ90年の1. 2.は音数が少なく点描的でヴェーベルン風、ただ調性基軸です。
3.-6.の"klavier"シリーズは'65-'89年の開きがあり、点描的ながらロマン派色の3. 4. から新印象派?の様な5. そしてトリル・トレモロと反復の6.と変化しています。いずれも調性基軸でこれがベリオの楽風変化の一面と言う事になりそうです。
3.-6.の"klavier"シリーズは'65-'89年の開きがあり、点描的ながらロマン派色の3. 4. から新印象派?の様な5. そしてトリル・トレモロと反復の6.と変化しています。いずれも調性基軸でこれがベリオの楽風変化の一面と言う事になりそうです。
■3. Sequenza IV (1966)
やはり点描的、和音も間を置いて弾かれるのでコードと言うよりも点描風に並びます。スコアが無調なのかは不明ですが、明瞭な主旋律はないものの調性感が強いのは間違いなく無調らしさはありません。
荒っぽい強弱出し入れの強さはピアニストの意図が強く出ています。実はこれが問題なのかも。
★試しにYouTubeで聴いてみる?
スコア付きで、pfはFlorent Boffardです
荒っぽい強弱出し入れの強さはピアニストの意図が強く出ています。実はこれが問題なのかも。
★試しにYouTubeで聴いてみる?
スコア付きで、pfはFlorent Boffardです
■4. Canzonetta (for 4 hands, 1991)
■5. Touch (for 4 hands, 1991)
同じ年に作られた四手ピアノ曲で合わせて2'強です。トリル・トレモロと点描反復です。
■6. 5 Variazioni (1952-53, rev.1966)
作曲技法的には分かりませんがここでも点描です。ただ調性感は薄まっています。そう言う意味ではオリジナルは'50年代で、1. の先の流れになるのかもしれません。
■7. Rounds (Version for Piano, 1967)
6.と似ているので調性感は低いです。これなら無調前衛という感じですが面白さは見当たりません。"古い"っていう感じでしょうか?!
■8. Piano Sonata (2001)
一楽章のソナタで、唯一20'超え(24'弱)の長尺です。点描主体ではありますが、多少高速アルペジオが入ったりしてそれでもこの曲が一番楽曲に聴く事が出来るでしょうか。
括って言えば全てが点描的な流れで古い印象が強く、トリル・トレモロと反復でどれも同じ様な曲に聴こえてしまいました。(実際には2.の様に変化はあるのですが)
その主要因はpfにあるのかもしれません。表現主義的な強弱出し入れと点描性を強くしていましたから、それをどう思うかで分かれそうです。
例えば2-3.などはエレーヌ・グリモーはもっと美しく弾きますね。
その主要因はpfにあるのかもしれません。表現主義的な強弱出し入れと点描性を強くしていましたから、それをどう思うかで分かれそうです。
例えば2-3.などはエレーヌ・グリモーはもっと美しく弾きますね。
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