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マルチン・スタンチク(Marcin Stańczyk)の「Dark, Almost Night」新しいフィルム・ミュージック


Dark, Almost Night
(Marcin Stańczyk, b. 1977)
本ブログでは "Mosaïque"、"Acousmatic Music" を紹介済みのポーランドの現代音楽家マルチン・スタンチクによるサウンドトラックCDです。そもそも標題現代音楽の様相を見せる楽風なので違和感はないでしょうし、米フィルム・ミュージックとは一味違うでしょうね。

映画「Dark, Almost Night」はポーランドの女性作家ヨアンナ・バトール(Joanna Bator)の小説 "Ciemno, prawie noc" を元にしたホラー作品で、台本はボリス・ランコシュ(Borys Lankosz)になります。




超あらすじ
ポーランドの小さな町で警察でも不可解な子供たちの誘拐事件が起こります。同郷のジャーナリストのAlicja Taborは調査を始めると数十年前の手掛かりを入手します。そこには性的虐待が絡み、彼女は自らの過去の恐怖、家族関係と直面する事となります。


なのですが、今回は映画のサウンドトラックではなく純粋の前衛現代音楽として聴いてみたいと思います。

演奏はシモン・ビヴァレツ(Szymon Bywalec)指揮, シンフォニア・ヴァルソヴィア(Sinfonia Varsovia)、ソプラノとリコーダー、トランペット、アコーディオンそしてキーボードがフィーチャーされています。







1. Into The Hole - 2. The House Of Alice - 3. Mark - 4. Adalbert - 5. Angelica - 6. Anna Alias Rosemarie - 7. Evas Lament - 8. Bad Love - 9. The Funeral Of Daisy - 10. Russians In Waldenburg - 11. Kalinka - 12. The Hole - 13. Mama - 14. Sea - 15. Alice

面白い事に1.11.の冒頭に邦楽和声を感じます。もちろんスタンチクは意識していないでしょう。そして1.では倍音の共鳴の様な中に不協和音的な音色が重なる音響的パートに繋がります。2.でも和音のロングトーンの中に調性を崩す音を挟んで不安定さを表現、3.はそこからメランコリックな動機の反復・変奏の流れに入って行きます。

5.では倍音の共鳴が唸るように響き、6.では調性+不協和音で不安定さを広げてポリフォニーな混沌へと流れ込みます。その後もヴォーカリーズを交えたり, 強音トゥッティを鳴らしたり, 重低音の振動を響かせて, と表現パターンを広げますね。ラスト15.はちょっとErik Satieを思わせます。
様々な音楽技法を使って情景表現をするのが感じられます。リコーダーとアコーディオンも効果的ですね。



調性と言う水面に不協和音の微水滴を落として広がる水紋の様な調性感の拡張が感じられます。(個人的にはもう少し調性を崩しても良いとは思いますが)

そして流れは時にメランコリックに、時に倍音共鳴の広がりに、そしてポリフォニーへと技巧的に展開されて表現力を広げていますね。

多様性の現代音楽で音楽だけを聴いても十分に楽しめます。映画はB級ホラーっぽい感じですが。



 ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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