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川上法子(Noriko Kawakami)さんの「室内楽作品集, Chamber Music」前衛のスタンスと変化


川上 法子
(Noriko Kawakami, b.1955)
愛媛生まれでドイツで活躍する現代音楽家ですね。国立音大で作曲を学んだ後にドイツに渡り、フライブルクでK.フーバー(Klaus Huber)にエッセンでN.A.フーバー(Nicolaus A. Huber)に師事しています。その後ジェイムズ・ディロン(James Dillon)にも師事しているので、エレクトロニクスはそこで習っているかもしれませんね。

経歴だと欧エクスペリメンタリズムのフライブルク楽派と言う事になるのでしょうか。ただ年代的には前衛の停滞期となって多様性が叫ばれた時代になりますね。
ニコ・ブルートゲ(Nico Bleutge)やジェームス・ジョイス(James Joyce)の詩にインスパイアされる事もあったり、和楽器の可能性にも興味があるそうで本アルバムにも展開されています。


 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧



Zwischen Immer und Nie - Chamber Music
(Ensemble L’ART POUR L’ART, Thürmchen Ensemble Köln)
タイトル通りの室内楽集で、ソロ/デュオ/カルテット/クインテット/セクステットです。特徴的なのは楽器編成が標準的な弦楽奏ではない事、声楽やエレクトロニクスを取り入れている事でしょう。興味深い編成で楽しめそうですね。

作曲年代は2004-2015ですが、例によって作曲年代順に聴いてみようと思います。(CDの順番はNo.です)







3. Oh, die wilde Rose blühet …, for flute, clarinet, violin, cello, piano and percussion (2004)
ノイズでパルス、単音/短旋律の反復とグリッサンド、もちろん無調で非旋律的で音塊、そう言った懐かしさを感じる様な前衛実験音楽ですね。静空間を利用した空間音響系でもあり、一部邦楽和声も感じます。


4. An der Staffelei, for 2 saxophones and electronics [4 channel tapes] (2004)
エレクトロニクスは基本ノイズですが、その表情は多様でコラージュ風にも聴こえます。そこにサックスがディストーションした音色やインプロビゼーション風に絡みます。旋律感は低いので"音空間"ですね。
今聴くとポスト・セリエル前衛の残像の様な印象です。でも面白いw


2. Farbschattierung, for saxophone, accordion and cello (2007)
インプロビゼーション風ですが、ここでも静の空間とノイズが支配的です。基本は上記2曲と似ていますが、少し旋律性が上がって多様性の片鱗を見せる感じでしょうか。アコーディオンが生きていますね。


6. Zwischen Immer und Nie, for accordion, piano, percussion, violin and cello (2010)
ノイズと空間音響で、鍵盤打楽器を含めて多少の調性感がある流れを見せます。水を注ぐ様な音はエレクトロニクスではなくperc.担当のパフォーマンスでしょうか。
やや機能和声に踏み込んで多様性の今の時代の前衛実験音楽に向きを変えた感じですね。


5. Im Traum, den das Chaos webt, for accordion and bass koto [17-string koto] (2012/13)
基本はノイズと空間音響ですがアコーディオンと十七絃箏(じゅうしちげんそう)のデュオと言う興味深い楽曲です。旋律感はより強まって対位的ホモフォニーになっている感じです。
そして二つの楽器の新たな特徴を活かした緊張感のある流れを作ります。一番面白いベスト・トラックです。


1. luft.strömungen, for soprano, flute, guitar and percussion (2015)
静とパルス的ノイズの基本構造は変わりませんが、全体的にシンプル化していますね。研ぎ澄まされて来た?!



ノイズと空間音響系の前衛実験現代音楽です。その構成が古典的前衛から僅かづつ調性を絡める多様性にシフトしているのがわかりますね。

今の時代の前衛がこれからどう変化していくのか、このアルバムの先の川上さんを聴いてみたいですね。



 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  全曲試聴出来ます!!



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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