『Polish Heroines of Music』ポーランドの女性現代音楽家 GRAŻYNA BACEWICZ | HANNA KULENTY | ELŻBIETA SIKORA | AGATA ZUBEL
Polish Heroines of Music, Orchestral works
(Orchestre Pasdeloup, Marzena Diakun: cond.)
(Orchestre Pasdeloup, Marzena Diakun: cond.)
ポーランドの女性現代音楽家の管弦楽集ですね。
年代的にも欧前衛の黎明期からバリバリの現役までと幅広く、楽曲も室内管弦楽から管弦楽、pf/vn協奏曲、エレキギターのフィーチャーまで揃っています。
年代的にも欧前衛の黎明期からバリバリの現役までと幅広く、楽曲も室内管弦楽から管弦楽、pf/vn協奏曲、エレキギターのフィーチャーまで揃っています。
エルジュビェタ・シコラ
(Elżbieta Sikora, 1944/10/20 - )
(Elżbieta Sikora, 1944/10/20 - )
フランス在住の現代音楽家ですね。音響技術やエレクトロアコースティックを学んでいて、当然仏IRCAMでも習っています。
世代的には欧エクスペリメンタリズムの全盛から停滞期に掛かる時代になり、ジャンルはオペラから管弦楽、そして電子音響までと広く手がけている様ですね。現在は仏で教壇に立っているそうです。
世代的には欧エクスペリメンタリズムの全盛から停滞期に掛かる時代になり、ジャンルはオペラから管弦楽、そして電子音響までと広く手がけている様ですね。現在は仏で教壇に立っているそうです。
■1. Sonosphère V. Wanda Landowska, for orchestra and electric guitar (2019)
静空間にトリル・トレモロから入って来ます。調性感は残されていてクレシェンドからトゥッティへ、そこにE-ギターが非旋律的な無調の音を刻みます。オケは強弱出し入れの強い緊張感ある流れを作ります。
例によってE-ギターの扱いが難しい事を感じます。(前衛アンサンブルなどではgoodですが)
どうしてもフリー系のジャズかロックの印象を超えられません。特に中盤にあるカデンツァは早弾き練習の運指のイメージかもしれませんね。
静空間にトリル・トレモロから入って来ます。調性感は残されていてクレシェンドからトゥッティへ、そこにE-ギターが非旋律的な無調の音を刻みます。オケは強弱出し入れの強い緊張感ある流れを作ります。
例によってE-ギターの扱いが難しい事を感じます。(前衛アンサンブルなどではgoodですが)
どうしてもフリー系のジャズかロックの印象を超えられません。特に中盤にあるカデンツァは早弾き練習の運指のイメージかもしれませんね。
ハンナ・クレンティ
(Hanna Kulenty, 1961/3/18 - )
(Hanna Kulenty, 1961/3/18 - )
K.シマノフスキにpfを習い、作曲はL.アンドリーセン、I.クセナキス、W.ルトスワフスキと言ったビッグネームに師事、ダルムシュタットにも参加しています。
現在は活動の拠点をポーランドの他にオランダのアーネム(Arnhem)にも置いているそうです。
現在は活動の拠点をポーランドの他にオランダのアーネム(Arnhem)にも置いているそうです。
■2. Aisthetikos, for soprano saxophone, piano, and orchestra (2019)
これも機能和声の楽曲でフィルム・ミュージック風な表情と流れです。そしてベースはお馴染みの反復・変奏ですね。この時点でよくある今の時代のクラシカル音楽という一括りでおしまいです。
ワクワクする様な新しさは見つかりません。二つのソロ楽器もそれを選択した必然性が感じられないのも残念。
これも機能和声の楽曲でフィルム・ミュージック風な表情と流れです。そしてベースはお馴染みの反復・変奏ですね。この時点でよくある今の時代のクラシカル音楽という一括りでおしまいです。
ワクワクする様な新しさは見つかりません。二つのソロ楽器もそれを選択した必然性が感じられないのも残念。
グラジナ・バツェヴィチ
(Grażyna Bacewicz, 1909/2/5 - 1969/1/17)
(Grażyna Bacewicz, 1909/2/5 - 1969/1/17)
ポーランドの女性音楽家として第一人者だったそうで、作曲だけでなくピアノとヴァイオリンの奏者でもありました。この時代を代表する女性音楽家であるナディア・ブーランジェに師事していているそうです。世代的には一番古く、前衛黎明期です。
音楽家としては後半人生が作曲家になる様で、ヴァイオリン曲がメインですね。
音楽家としては後半人生が作曲家になる様で、ヴァイオリン曲がメインですね。
■3. Contradizione, for chamber orchestra (1966)
不気味な音色のオケは蠢く魑魅魍魎の如く、調性ベースですが構成は前衛的です。特殊奏法が多用されるわけでも、無調混沌なわけでもありません。
ただ旧来の心地良い主旋律や動機を排除し、和声も調性を曖昧にしています。もしこれが無調であれば この時代の欧エクスペリメンタリズム、もしくは1970年台中盤以降なら多様性の現代音楽と言う事になるかもしれませんね。
不気味な音色のオケは蠢く魑魅魍魎の如く、調性ベースですが構成は前衛的です。特殊奏法が多用されるわけでも、無調混沌なわけでもありません。
ただ旧来の心地良い主旋律や動機を排除し、和声も調性を曖昧にしています。もしこれが無調であれば この時代の欧エクスペリメンタリズム、もしくは1970年台中盤以降なら多様性の現代音楽と言う事になるかもしれませんね。
アガタ・ズベル
(Agata Zubel, b. 1978/1/25 - )
(Agata Zubel, b. 1978/1/25 - )
声楽家で作曲家のA.ズベルは何回かインプレ済みですので紹介は割愛です。"Not I" が面白かったですね。
■4. In the Shade of an Unshed Tear, for orchestra (2016)
一瞬、前の曲の続きかとw 静のノイズに強音パーカッションのコントラスト。様々な楽器がポリフォニカルにボリュームを上げて来ます。旋律感はなく音塊のぶつかり合いです。そこにチョコマカとした小刻み旋律が絡んだりします。また反復・変奏でもありますが無調で複雑混沌です。
やっと現れた前衛現代音楽で無理やりに括るなら空間音響系でしょうか。
★試しにYouTubeで聴いてみる?
一瞬、前の曲の続きかとw 静のノイズに強音パーカッションのコントラスト。様々な楽器がポリフォニカルにボリュームを上げて来ます。旋律感はなく音塊のぶつかり合いです。そこにチョコマカとした小刻み旋律が絡んだりします。また反復・変奏でもありますが無調で複雑混沌です。
やっと現れた前衛現代音楽で無理やりに括るなら空間音響系でしょうか。
★試しにYouTubeで聴いてみる?
このブログでの許容範囲は3. と 4.ですね。もっと言えば4. のAgata Zubelがストライクゾーンでしょう。
"微妙な調性 | 非旋律な構成 | ポリフォニー" と言った構成があると楽しさが一気にアップする。そんな変化が伝わるアルバムです。
そしてポーランドの現代音楽は今こそが旬なのかもしれません。
"微妙な調性 | 非旋律な構成 | ポリフォニー" と言った構成があると楽しさが一気にアップする。そんな変化が伝わるアルバムです。
そしてポーランドの現代音楽は今こそが旬なのかもしれません。
▶️ 現代音楽の楽しみ方 ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧