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今の時代の前衛:マルチン・スタンチク(Marcin Stańczyk) の「Acousmatic Music」


Acousmatic Music
(Marcin Stańczyk, b. 1977)
ポーランドの現代音楽家マルチン・スタンチクは、IRCAMにもいましたし米現代音楽アンサンブル"Bang on a Can All-Stars"とのマッチもあり、武満徹作曲賞の受賞者でもあります。個人的には興味が湧く経歴の音楽家ですね。

"Mosaïque"をインプレした際に面白かったので、今回もアンサンブル作品集を聴いてみたいと思います。("2. Blind Walk"は同アルバムにも入っていましたね)






(2CDなのですがamazonでは配信しか見つかりません)


1. Some Drops (2016)
サブタイトル "ダブル・ベル・トランペットと室内アンサンブルのための"、tpはマルコ・ブラーウ(Marco Blaauw)です。
ノイズの静音から入って来ますね。背景に倍音の様な音響系の流れを作ると、静的で穏やかながらポリフォニーとなります。時折強音に広がったり混沌化したり、調性と無調を跨ぐ微妙な流動的和声になったり、まさに今の時代の主流でしょう。無理矢理当てはめるなら空間音響系なのでしょうが、生命や生き物を感じる様な流れはスタンチクらしさかもしれません。


2. Blind Walk (2015)
"室内アンサンブルのための"。
基本的な印象や構造は1.と似ています。静空間の響きと共鳴を使った小さな流れで、この辺りは"能楽"を感じる面白さがありますね。楽器数が増えてノイズのポリフォニー風に広がるとジャングルの様な溢れる生命感が登場します。それら構図が最後まで交錯して、まさに"目隠しして歩く"が如くですね。


3. Sursounds (2018)
"弦楽四重奏, 管楽五重奏とエレクトロニクスのための"楽曲で、エレクトロニクスはスタンチク本人です。
冒頭は船の霧笛と波の音、そして動物や鳥の鳴き声、蒸気機関車です。さながら音によるアマゾン川疑似体験の様相です。明確に表現するものを感じられます。それは情景表現のみならず、祈りの穏やかさも感じられますね。
エレクトロニクスがどう使われているのかはわかりません。ヒスノイズ(スクラッチノイズ)と後半のディストーションとテープ(フィールドレコーディング)はそうだと思いますが。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?


4. Unseen (2018)
"メゾ・ソプラノとオーケストラのための"楽曲で、mezは以前インプレした"Not I"が面白かったアガタ・ズベル(Agata Zubel)です。
静空間から入るのはパターンですね。その後はポリリズムのperc.が主役、背景音は静のロングトーン。そこからmezが浮き上がって来ます。微妙な揺らぎはグリッサンドからの微分音かもしれません。3.と同年作品ですが、また違った音世界で反復やモードを使って来ますね。28'の中に色々な音表情が詰まっています



新しい多様性の前衛と言った印象がありますね。曖昧な調性感・ノイズ系・空間音響系・無調混沌・ジャジーなポリフォニー・モード・等々、様々な技巧が絡み合っています。

その音楽技巧で表現されるのは、ダークな空間の生命や生き物の存在と緊張感、祈りの印象もありますね。新しい表題音楽・表意音楽でもあります。今の時代の前衛現代音楽なのでしょう。その世界に興味がある方に強くオススメです!



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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