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ダナ・ゼムツォフ(Dana Zemtsov) がチョイスする「Dutch Hidden Gems, 忘れられたオランダの名曲」


Dutch Hidden Gems
Dana Zemtsov (ダナ・ゼムツォフ, va)
米を活躍の拠点とするメキシコ人女性ヴィオリストのゼムツォフ。
今回はあまり知られていないオランダの近現代音楽家の作品集、そこかポイントですね。

演奏はアンナ・フェドロヴァ(Anna Fedorava, pf), フィオン管弦楽団(Phion, Orchestra of Gelderland & Overijssel)。
指揮はシズオ・Z・クワハラ(Shizuo Z Kuwahara)さんで米で学び活躍しています。"Z"は正規のミッドネームではなく愛称(ズィー)だそうで、来日機会も多いです。





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ヘンク・バディングス
(Henk Badings, 1907/1/17 - 1987/6/26)
ジャワ島生まれの作曲家で、ほぼ独学だったそうです。多作家で、'the octatonic scale'(八音音階)といった独自の和声を使っていた様ですが、注目されたのは21世紀に入ってからです。

■1. Viola Concerto (1965)
 弦のトレモロで入るので一瞬ブルックナーかとw すぐにvaソロとなりますが、重厚で出し入れが強いです。機能和声の音楽で新ロマン主義なのか新古典主義的なのか、1960年台の前衛の気配はありません。それでも濃厚幽幻な聴き応えがある楽曲になっていて、第三楽章では舞踏風の民族和声も使って構成も熟れて感じです。
ゼムツォフのvaも色濃い音色で重厚なオケに対峙して、コンサートで聴いてみたいですね。


■4. Sonate for Viola and Piano
 1.のスタンスをデュオ曲にした様な印象です。オケがpfになっている感じです。これはこれでフーガ的あり、対位的あり、美しいホモフォニーあり、技巧パートありで楽しめます。途中で一風変わった和声が登場しますが、それが'the octatonic scale'でしょうか?!
ここでも第三楽章は舞踏曲風です。



アルネ・ヴェークマン
(Arne Werkman, 1960/10/3 - )
ハーグ生まれですが、育ったのはスイス/フランスで1994年(34歳)からオランダに戻りました。主にジュネーブで学んだ様で、オランダではユトリヒト音楽院でで習っています。

■2. Pavane for Viola and String Orchestra
 ちょっと仏印象派の様な美しさの弦楽奏曲です。新ロマン主義なのかもしれません。強音パートは無く全体が微妙な浮遊感で構成されていて、短いカデンツァではダブルストップを効かせています。
ヴェークマンの他の曲も聴いてみたいですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?



ヤン・クーツィール
(Jan Koetsier, 1911/8/14 - 2006/4/28)
指揮者としても活躍した音楽家で、ベルリン音楽大で学びコンセルトヘボウの副指揮者、バイエルン放送響のカペルマイスターにも就いています。
ヒンデミットの影響があり、マーラーやR.シュトラウスを好んだとあります。

■3. Concerto for Viola and Orchestra (1940, rev. 1955)
 確かにヒンデミットを感じる様な新古典主義基軸の印象を受けます。主題や動機からの変奏もあったりと、旧来的な基本構成が主になっているのも明瞭です。
そう言えばヒンデミットもva奏者で、va曲も多かったと思います。



ヘンリエッテ・ボスマンス
(Henriette Bosmans, 1895/12/6 - 1952/7/2)
音楽家の両親を持つ女性作曲家です。ピアニストとしても活躍していて、モントゥーやメンゲルベルクとの共演もあるそうです。コンセルトヘボウのために多くのピアノ協奏曲を提供しています。

■5. Arietta - Largo
 3'の小曲です。ロマン派の様なva/pfのデュオ曲です。時代が100年くらい遡った印象でしょうか。



前衛全盛期なのですが、選ばれているのは新古典主義や新ロマン派と言った機能和声の楽曲です。普段なら、インプレ対象外かもしれません。

それなのに意外や楽しめるアルバムになっているのはダナ・ゼムツォフのvaの表現力でしょうか。バディングスとヴェークマンは他の曲も聴いてみたい気もします。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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