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ヤコブ・クルベアのチェロで聴く北欧現代音楽『Remembering』ノアゴーとサーリアホ



Remembering (Jakob Kullberg, vc)
Composer: Per Nørgård and Kaija Saariaho
本ブログではお馴染みの二人の北欧作曲家の作品をデンマークのチェリストが演奏する北欧セットのチェロ協奏曲アルバムです。
(Kullbergの日本語表記は北欧風にクルベリなのか英語風にクルバーグなのか、例によって厄介ですね)

ペア・ノアゴー(b.1932)は、"無限セリー"で知られるデンマークの現代音楽家の重鎮。
カイヤ・サーリアホ(b.1952)は、今やフィンランドを代表する女性現代音楽家。

作品年代的には少々古く、ノアゴー(1, 3)は1980年台でセリエルである無限セリー以降で前衛の停滞が叫ばれた時代。サーリアホ(2)は21世紀に入ったばかりで調性回帰になった時期ですね。

演奏はBBCフィルハーモニック(1,2)とシンフォニア・ヴァルソヴィア(3)、指揮がマイケル・フランシス(1), ヨン・ストルゴーズ(2), シモン・ビヴァレツ(3)になります。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧







1. Between, Cello Concerto No.1 (1985)
一楽章は不協和音の様な調性を崩したvcの動機?がぎこちなく現れ、そしてより調性に近い弦楽オケの音色からフルオケの厚い音とクラスター的ポリフォニー協奏となります。
二楽章は緩徐楽章で、流れは不協和音的な幽玄さ。ただ何処か音の跳躍と点描的でセリエルを感じさせますね。
三楽章の入りは二楽章の延長の様な流れ、そこから一楽章にの様なソロvcが前面に出て時折クラスター的な音塊が顔を出します。この音塊と生き残りセリエルの対比が面白いですね。後半に唐突に現れる弦のグリッサンドからのポリフォニーも興味深いです。


2. Notes on Light, for cello and orchestra (2006)
緊張感ある静的幽幻さ、調性感ある動機の反復・変奏、そんなI.。小刻みな旋律が絡み合うII.でも反復・変奏は明確ですね。III.ではI.に少し強音パートを加えて、IV.は神秘的な緩徐パートで静的神経質なロングトーン構成になります。V.はその流れに旋律が入って、いずれ今の時代に繋がる調性軸足の幽幻さを聴く事が出来ますね。


3. Remembering Child, Viola Concerto No.1 (1986)
  adapted for the cello by Jakob Kullberg (2013)
クルベア本人によるトランスクリプションでカデンツァは本人版を入れているそうです。二楽章形式ですね。
一楽章は派手な華やかな音色でスタート、そこから神秘・幽幻さに流れを持っていきます。そして出し入れの強さが印象的ですね。二楽章は緩徐で入りますが緊張感はキープされ、クラスター的な強音パートが突然現れるのもノアゴーらしいですね。
1.にあったセリエルを感じさせる点描的な表現はありません。それはそれで面白かったのですが。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  オリジナルのヴィオラ版ですが、雰囲気は伝わるかと
  CDよりも少し速くて腰が高い印象です。CDの方が好みですね




出し入れを生かすノアゴー、静を軸とするサーリアホ。共通するのは調性基軸の幽幻・神秘と言う多様性現代音楽です。

かつての前衛全盛から見るとあまりに機能和声寄りですが、その行き詰まりを超えて生き残った現在のクラシック音楽の一つの姿でしょう。ベストトラックは "3.Remembering Child" ですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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