ハンマー3発の『マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"』アダム・フィッシャー指揮 / デュッセルドルフ交響楽団
アダム・フィッシャー | デュッセルドルフ交響楽団
(Adam Fischer | Düsseldorf Symphony Orchestra)
(Adam Fischer | Düsseldorf Symphony Orchestra)
アダム・フィッシャーとデュッセルドルフ響のマーラー・チクルス最後の一枚ですね。ここまで好演のマーラーを残して来た兄フィッシャーなので期待値が上がります。
COVID-19ロックダウン直前の演奏だそうです。確かにこの後にパンデミック宣言が出されていますね。
COVID-19ロックダウン直前の演奏だそうです。確かにこの後にパンデミック宣言が出されていますね。
マーラー 交響曲 第6番 "悲劇的"
(2020-2/27-3/2, 三回のLIVEより)
■ 第一楽章
速め勇壮な第一主題、少しパッセージを揺さぶりアルマの主題は緩やか華やかです。ちょっとした揺さぶりスパイスが効いていますね。展開部も第一主題を厳しく、挿入部を緩やかにとマーラーらしい三部形式的展開部を作ります。コントロールの効いた流れからコーダはアルマの主題らしい華やかさで締め括ります。
過度な重厚さや華やかさを避けて程よいバランスですね。
過度な重厚さや華やかさを避けて程よいバランスですね。
■ 第二楽章
アンダンテを持って来ました。主要主題は緩やかでソフトに少し揺さぶりを入れ、第一トリオは哀愁を強く表現します。中間部(第二トリオ)の陽光の広がりも緩やか穏やかです。第一トリオ回帰の溢れる哀愁もしっかりコントロールされます。
優雅さと哀愁のコントラストを効かせた緩徐楽章ですね。
優雅さと哀愁のコントラストを効かせた緩徐楽章ですね。
■ 第三楽章
スケルツォ主題は第一楽章のパロディ的。このパターンだと普通は第二楽章に持って来るのですが… トリオはスローに落としてメヌエット風、マーラーの指示を表現していますね。木管動機もスローに入ってトリオの流れに従う形です。テンポ変化で聴かせるスケルツォ楽章です。
■ 第四楽章
長く厄介な序奏を見晴らし良く作り、アレグロ・エネルジコからの第一主題は勇壮な行進曲。パッセージのhrは気持ち良く鳴らして第一主題と絡んで快感、見晴らしが良いです。
展開部はvc動機と第二主題にメリハリを与え、行進曲は興奮ではなくリズム感の良さが味わえます。似た構成の再現部も華やかに第一主題が現れるとパッセージと共に一気に弾けて騎行は晴れやかに鳴らします。力感よりも晴れやかしい最終楽章になりました。ちなみにコーダで三発目のハンマーが登場しますね。
展開部はvc動機と第二主題にメリハリを与え、行進曲は興奮ではなくリズム感の良さが味わえます。似た構成の再現部も華やかに第一主題が現れるとパッセージと共に一気に弾けて騎行は晴れやかに鳴らします。力感よりも晴れやかしい最終楽章になりました。ちなみにコーダで三発目のハンマーが登場しますね。
過度の刺激や興奮を避けたマーラー6です。決して悪いわけではなく、ちょっとした揺さぶりのトッピングもあって完成度は高いでしょう。
楽章ごとの表情もしっかりと作られているので、この曲をじっくり聴きたい方にはジャスト・フィットかと。第四楽章も力感よりもリズム感と見晴らしの良さで一味違います。
楽章ごとの表情もしっかりと作られているので、この曲をじっくり聴きたい方にはジャスト・フィットかと。第四楽章も力感よりもリズム感と見晴らしの良さで一味違います。