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ルーズ・ランゴー(Rued Langgaard) の代表作『天体の音楽、終末の時、深き淵より』再確認する新しさと楽しさ

前回に続きR.ランゴーのインプレです。紹介文は前回のインプレをご覧下さいね。


Music of Spheres (Rued Langgaard, 1893-1952)
Danish National Symphony Orchestra, Thomas Dausgaard: cond.
デンマークの近現代音楽家ルーズ・ランゴーの代表作「天体の音楽」をインプレしておきましょう。かつて聴いた際には前衛ファンとしては特別な印象を持ちませんでした。

このアルバムには背中を押してくれるカップリングがあります。前衛から調性音楽へ回帰した時代の2.と最晩年(Date的には最終作品)の3.も入っていますから、管弦楽を得意としたランゴーを楽しめそうです。ダウスゴーはこの三曲をランゴーのマイルストーンだと言っていますね。

トーマス・ダウスゴー指揮 デンマーク国立交響楽団の演奏で、ソロ陣も合唱もレーベルもオール・デンマークです。


  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧






1. 天体の音楽 The Music of the Spheres, BVN 128
  for soprano solo, chorus, orchestra and distant orchestra (1916-1918)
"遠くのオケ"やコーラス隊を含む大編成の音楽ですね。リゲティの1961年作品"Atmo-sphères"の予言版だとか、本国では1980年代まで聴けなかった、とか色々ネタは溢れる作品で、この後ランゴーは調性逸脱を目指します。全15パートの楽曲です。

まず気がつくのは静の中からの"音"の出現で、弦のトレモロから打楽器を交えて激しい瞬間音を作ります。そこから少しづつ美しい旋律が登場しますが、いずれも基本は静の中から現れますね。美しい静音の緩徐も挟まれて来たり、打楽器の使われ方も1910年代とは思えずヴァレーズを思わせますね。(ヴァレーズの"アメリカ"は1920年です) 途中で"怒りの日"の引用らしきフレーズも出てきたり、終盤にsopや合唱を入れたり、結尾導入部の強烈トゥッティとか単純でコンプレックスな楽曲構成を感じます。

静の中に烈が出現するのは欧エクスペリメンタリズムでもこの5年後くらいには一つの流れになっています。違いは機能和声で構成するか無調や特殊奏法にするかだけで、その原型があるのは事実ですね。



2. 終末の時 Time of the End, BVN 243
  for mezzo-soprano, tenor, baritone, chorus and orchestra (1939-43)
25年後の作品です。タイトルは聖書からの引用で、本人のオペラ"Antichrist"の抜粋で構成されているそうです。4パート楽曲です。

静空間と華々しい鳴りを感じる構成です。ピチカートの弾むリズム感と陰鬱な旋律の対比の管弦楽のpart I.から、part II. III. IV.の激しく派手なオケとソリスト達/合唱団が聴かせるパートに繋げます。IV.の後半はI.のピチカートと弦楽の幽幻さに回帰して閉じていますね。

魅力的な構成で全編聴かせますね。マーラーの"2番・8番"やシェーンベルクの"グレの歌"の神との対峙の様な厳しい歌唱合唱曲です。



3. 深き淵より From the Abyss, BVN 414
  for chorus with soloists and orchestra (1950-52)
9年後の単一楽章の楽曲です。"怒りの日(Dies Irae)"他のTEXTを使った歌曲で、"From the Deep"と英訳している事もありますね。マーラーやショスタコーヴィチの行進曲を連想させるとあります。

入りは重厚さを前面に押しだています。激しさと派手さの流れのベースには打楽器の活躍が見えますね。そして緩徐に鎮め、ちょっと1.の静パートを思わせますが、そこに静な合唱が入って来ます。そして徐々に大きく最後は大音響と、ありげですが楽しめる構成感です。



一言で言うなら"聴き直して本当に良かった!!"です。やっぱりランゴーは奥行きのある管弦楽ですね。

『新しい楽曲構成の1. 後期ロマン派大合唱曲の2. 大きな緩急合唱の3.』 斬新な1.が聴きどころですが、2. 3.の派手な合唱曲も魅力満点です。

今聴いても興味深さと快感が楽しめる素晴らしい三曲で、調性音楽ですから現代音楽ファンならずとも一聴をしていただきたい一枚です!!

続けて次回は唯一のオペラ「反キリスト, Antikrist」DVDをインプレしましょう。





公式PVでダウスゴー他の解説(英語)も入っています
曲(2. 3.)の印象と録音ステージの様子もわかりますね



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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