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ルーズ・ランゴー(Rued Langgaard) の「Music of the Abyss」で聴く変遷



ルーズ・ランゴー
(Rued Langgaard, 1893-1952)
後期ロマン派から前衛の時代に生きたデンマークの近現代音楽家ですね。オルガン奏者としての道を探しながら作曲活動もしていた様ですね。作曲はルーセンベリやカールセンにも師事しています。

ランゴーの曲を聴く場合は注意が必要ですね。以前交響曲をインプレした際にも書きましたが、一時期前衛を模索しましたが放棄。再び後期ロマン派的な作風に戻っています。(技法的にも特殊奏法等を駆使しています)


 ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


Music of the Abyss
(Esbjerg Ensemble, Signe Asmussen: sop.)
本来管弦楽を得意とするランゴーの室内楽作品集ですね。それも1910年代から1920年代の調性から前衛方向へ向かう時代の作品です。

特に最後のタイトルナンバーは終末論的なオペラ"Antichrist"と同じ1920年代の作品で興味深く、オリジナルはピアノ曲ですが室内楽にトランスクリプションされています。
また代表作でコンプレックスな"Music of the Spheres, 天体の音楽 (1916-18)"と同じ時期の作品も含まれていますね。

演奏はエスビェア・アンサンブル、ソプラノ(3.)でシーネ・アスムセンが入ります。







1. Septet, BVN 95 (1915)
  for flute, oboe, 2 clarinets, 2 horns and bassoon
タイトル通り七重奏曲。ホモフォニーとモノフォニーの組合せの様な流れ、もちろん機能和声です。メヌエットの香りがするロマン派的な楽曲です。


2. Augustinusiana (A musical joke), BVN 63 (1914)
  for two violins and cello
1.と似た流れですが、表情はシュトラウスの交響詩的なお喋りの印象です。誰が聴いてもそう聴こえるでしょうね。一般的に言われるこの時期のランゴーの典型なのでしょう。


3. In the flowering time, BVN 136 (1917)
  for soprano and string quartet
2つの賛美歌を使った楽曲です。TEXTはノルウェーの作家Alvilde Prydzによるものだそうです。
 賛美歌ベースで美しい旋律で構成されていますが、楽風的には特徴が薄いですね。美しい弦楽奏を背景にソプラノが歌う、単純にそう聴こえます。


4. Scherzo on the Motifs C A and 'Ach, du lieber Augustin', BVN 62 (1913)
  for two violins and cello
古典の旋律を使ったスケルツォの小曲、それ以上にも以下にも感じられません。自分にそのセンスがないのが残念…(汗)


5. Lenau moods, BVN 138 (1917)
  for mezzo-soprano and string quartet
4パートの楽曲です。Mezが入って3.と良く似た流れです。賛美歌ベースではありませんが美しい弦楽奏ですね。一つ違いが見られるのは、メヌエット風の古典の様な古い旋律からの移行が感じられます。
後期ロマン派的で幽幻さの緩徐の流れというpart Iですね。part IIでも流麗に、III.はアレグロ風、IV.は繊細で美しい弦楽緩徐で賛美歌風にmezが入っていますね。


6. Humoresque, BVN 176 (1922-23)
  for flute, oboe, English horn, clarinet, bassoon and military drum
ユーモレスクですね。それを下敷きに短旋律徹底反復を入れて一気に作風を変化させてきました。和声的には多少の不協和音を交える程度で調性を超えるものはありませんが、技法的表現的には前衛向きになりましたね。やっと面白さが登場です。


7. Music of the Abyss (A sonata), BVN 169 (1921-24)
  transcription for the Esbjerg Ensemble’s members (wind quintet, percussion and string quartet 2015/17)
2パートの楽曲です。当然6.の方向性で短旋律反復を基本に不協和音を生かした幽幻旋律が絡みます。跳躍音階も感じられますね。速く細かい旋律は以前から得意としていましたが、ここでも良く使われています。
ただ、6.でもそうでしたが美しい旋律を捨てきれずに随所に現れるのがどっち付かずで残念です。でも、part IIはストラヴィンスキーっぽくて面白い?!
オリジナルのピアノ曲で聴いてみたい感じがしますね。


 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  オフィシャルの"album teaser"です



古典的なやや古くさい旋律を基本に作られる1910年代から、1920年代の前衛方向へ舵を切るのがわかります。とは言え、美しい旋律を排除して反復化し不協和音を入れるくらいではありますが。

ただ北欧音楽界としたら年代的にはこの程度が限界か先達なのかもしれません。ストラヴィンスキーが「春の祭典」で物議を醸したのが1913年、シェーンベルクの十二音技法が1920年代ですから。

ランゴーと言えば管弦楽そして歌曲、乗りかかった船ですから続けて"天体の音楽"と"終末の時"を聴いてみようかと。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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