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アニヤ・ハルテロス(Anja Harteros)らしいソプラノが光る歌曲集『ワーグナー | ベルク | マーラー』



Wagner・Berg・Mahler
アニヤ・ハルテロス (Anja Harteros, sop, b.1972)
ドイツのディーバ、ハルテロスですね。個人的には艶やかなソプラノと言うよりも切れ味のあるイメージですね。

近年のハルテロスの印象は、2017ザルツブルク音楽祭「ワルキューレ」の"ジークリンデ"、2018同音楽祭「トスカ」タイトルロール、2018バイロイト「ローエングリン」の"エルザ"、特にザルツブルクの2ステージは素晴らしかったですね。

今回のポイントは3人の作曲家でもちろん個人的メインはマーラー、そしてゲルギエフ率いるミュンヘン・フィルの期待値ですね。








リヒャルト・ワーグナー
(Richard Wagner, 1813-1883)
ワーグナーのこの曲は背景に『トリスタンとイゾルデ』がいる事で知られますね。
"1. Der Engel (天使) - 2. Stehe still! (止まれ) - 3. Im Treibhaus (温室にて) - 4. Schmerzen (悩み) - 5. Träume (夢)”

ヴェーゼンドンク歌曲集
 1.では研ぎ澄まされたSopで天使を歌い、2.も感情を込めてシャープに不安を表現しています。
包み込むオケとハルテロスが対位的な印象で奏でる緩徐パートの3.がヴェーゼンドンクのベスト・トラックになりましたね。

5.と6.でも強目の表現力が印象的で、"悩み", ”夢”の歌詞以上に訴えかける力を感じて心の葛藤が弱く思えてしまいますね。少し表現主義的な印象かもしれません。5.のオケは"トリスタンとイゾルデ"を思わせる感じです。



アルバン・ベルク
(Alban Berg, 1885-1935)
ベルクがこれらの曲を書いたのは初期(1908年)ですが、今回の管弦楽版にまとめたのは1928年ですね。それぞれ異なる詩人のTEXTを用いた7曲です。
"1. Nacht (夜) - 2. Schiflied (葦の歌) -3. Die Nachtigall (夜鳴きうぐいす) - 4. Traumgekrönt (夢に見た栄光) - 5. Im Zimmer (室内にて) - 6. Liebesode (愛の讃歌) - 7. Sommertage (夏の日)"

7つの初期の歌曲
 調性感の低い1.からオケのバランスの良さを感じます。殆どが2分くらいの小曲集ですから個別のインプレは不要でしょうが、その後もベルクらしさはオケに任せて、ハルテロスは自分の世界を構築しています。それがハルテロスのソプラノでしょうね。楽曲的にはこの曲だけが後期ロマン派の半歩先を行っている訳で、それを真ん中に挟んだのはgoodだと思います。



グスタフ・マーラー
(Gustav Mahler, 1860-1911)
良く知られるマーラーの落ち着いた気配の歌曲集ですね。

名盤も多く、印象に残る"ルートヴィヒ/カラヤン"の抑えたMez清廉さ、近年では"カルネウス/マルッキ"Sopの澄んだ美しさが素晴らしかったですね。両者演奏がフィットしています。

曲順は指定が無く自由で今回は以下。上記の二人も異なる並びです。
"1. Ich atmet' einen linden Duft (私は仄かな香りを吸い込んだ) - 2. Liebst du um Schönheit (美しさゆえに愛するのなら) - 3. Blicke mir nicht in die Lieder (私の歌を覗き見しないで) - 4. Ich bin der Welt abhanden gekommen (私はこの世に捨てられて) - 5. Um Mitternacht (真夜中に)"
この並びは1905年にマーラー本人が指揮した4曲の順番に、残り一曲を2番目に挿入していますね。

リュッケルト歌曲集
 1.から繊細で伸びやかなSopを聴かせますね。オケも抑え気味に美しい音色で背景を作っています。2.は愛を色濃くアリア風に歌います。オケも色合いを高めています。1.5分と一番短い3.はこの歌曲集で一番マーラーらしさを表現出来ますが、オケが上手くリズミカルを作りそこに乗ってとてもいい感じに仕上がりました。少し強めSopかもしれませんが。

4.はスローにトーンを抑えて"死"を歌います、ゲルギエフの澄んだ音色もとてもいい感じです。ラストに5.を配して主に捧げる気持ちをハルテロスらしい鋭さで仕上げています。

落ち着いて繊細なSopと抑揚のSopでコントラストをつけた歌曲集になりましたね。全体としてはハルテロスらしいシャープなリュッケルトでしょう。

曲並びも好みでフィットしていました。短く重さのない二曲でスタート、マーラーらしさの"Blicke mir…"をセンターに、最後は少し重めで長い二曲で締め括る流れですね。



予想通りハルテロスのシャープで強めのsop表現力が席巻する歌曲集になりました。リートよりもオペラ・アリア的な表現と言った感じですね。それも悲しみのイゾルデではなくトスカ方向ですw

ゲルギエフ/ミュンヘン・フィルも上手い背景作りでフィット。特にII.のベルクらしい調べは聴かせてくれました。ハルテロスのファンなら考えずに入手のアルバムでしょう。





バーデン・バーデンのオペラ・ガラからトスカの名アリア"歌に生き, 愛に生き"ですね



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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