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ヴィトマン兄妹が奏でるブーレーズ「Anthèmes & Dialogue de l'ombre double」技巧系ソロ曲集



Anthèmes & Dialogue de l'ombre double
ピエール・ブーレーズ Pierre Boulez, 1925-2016
(Carolin Widmann, vn. Jörg Widmann, cl.)
指揮者の顔が印象強いブーレーズですが、作曲家としては欧エクスペリメンタリズムの隆盛期を作った前衛三羽烏の一人(他にK.シュトックハウゼン、L.ノーノ)です。
また作曲のみならず欧前衛現代音楽の拠点であるIRCAM(フランス国立音響音楽研究所)を創設し、亡くなるまで欧音楽界のドンとして君臨していましたね。

今回は前衛の停滞が叫ばれて久しい晩年の作品(1985〜1995)なので、実験的な色合いは薄くなりIRCAMのエレクトロニクスを使っていますね。この時代の代表作には素晴らしい「レポン」があるので興味がある方は是非。

演奏のイェルク・ヴィトマンは今や現代音楽界を代表する一人、演奏家・作曲家・指揮者他大活躍ですね。「サントリーホール サマーフェスティバル2018」での印象は"いつも笑顔で話が長い"そんな感じです。
その時も妹のカロリンさんがvnを担当で来日していました。お二人はブーレーズとの親交があったそうで、このアルバムは必然なのかもしれません。(二人ともこれまでにブーレーズの曲をレパートリーにしています)







1. Anthèmes 1 for solo violin (1991)
神経質でクイックな上昇音階・下降音階、それが調性的、が走ります。ダブルストップやピチカートも先鋭で技巧的なvnソロ曲になっていますね。実験前衛的な聴きづらさは無いので、ソロコンサートなどで取り上げると受けそうです。


2. Dialogue de l'ombre double for live clarinet and clarinet pre-recorded on tape (1985)
今で言えばライヴエレクトロニクスと言う事になるでしょう。すでに調性基軸になって、速い旋律を中心にしているのはここでも同じですね。ただエレクトロニクス(ここでは事前録音)を使った音の広がりを聴かせる様な印象です。左右だけでなく奥行き方向にも広がりますね。
反復を多用しているのもこの時代のブーレーズでしょう。基本はクイックな旋律を走らせる技巧クラリネット曲ですね。


3. Anthèmes 2 for violin and live electronix (1995)
神経質で技巧性が高い楽曲構成はトレースされて、エレクトロニクスが一層強くなっている感じです。ステージ上の配置だけでなくライヴ・リミックスでも使っている様な複雑な音の配置や変化が進んでいますね。空間音響的でもあってIRCAMの存在を強く感じます。これが一番面白くコンサートで聴いてみたいですね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  マイケル・バレンボイムのvn、エレクトロニクスはIRCAMです
  CDのカロリンさんの方が先鋭性が高いですね




1970年台の実験前衛音楽の停滞から、それまで拒否拒絶していた反復や調性に回帰した音楽ですね。エレクトロニクスを使ってはいるものの前衛の牙が取れて行き詰まりを感じさせるのは残念です。(前衛ファンとしてはw)

ところが、それが今の時代にフィットした多様性と技巧性のソロ曲となっていているから不思議です。1940-60年代の実験前衛がブームだった証かもしれません。

二人の演奏も神経質で先鋭な音色を奏でて楽しめるアルバムになっています。でも、これを聴いて "ブーレーズってこんな感じか" と思うと全然違う, っていう事になっちゃうかも。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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