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ステイングリームル・ローロフ(Steingrimur Rohloff)の「Medea-Lysistrata」多岐の技巧表現



ステイングリームル・ローロフ
(Steingrimur Rohloff, b. 1971)
アイスランド生まれのドイツの現代音楽家です。(Nationalityは両国) ケルン音楽大学で作曲を習った後、パリ国立高等音楽院でグリゼーやストロッパらに師事しています。電子音楽についてはIRCAMにも参加しているので造詣は深いでしょうね。

経緯から見るとバリバリの欧エクスペリメンタリズムという感じですが、近年は舞台音楽に傾倒しているそうで、今回の作品もそうですね。



Medea-Lysistrata
(Henrik Vagn Christensen, cond.)
メインとなる"Lysistrata"はデンマークの詩人Peter Laugesen(voiceでも参加)との協調で作られたオペラの抜粋版になります。タイトルロールを初演で演じたTuva Semmingsen(mez)と演奏のEsbjerg Ensembleが同じく対応していますね。
古代ローマの同名戯曲(悲喜劇)を元に作られていて、性を下敷きとして暴力や権力と言った古典的なストーリーです。

"Five songs by Medea"も古代ギリシャのエウリピデスの作品を下に、Peter Laugesenとの協調で作られた"王女メディア(Medea)"の不貞と復讐の物語です。ここでも上記と同じメゾソプラノとアンサンブルを前提に書かれているそうです。

聴く順番は例によって作曲年代順で楽風変化も聴きたいと思います。(曲No.がCDの並び順です)







3. Lysistrata (2015-16)
6パートで全て抜粋です。演奏は深淵で神秘的な深海の様な音色、それがいきなりポップなサウンドに入れ替わり、ジャジーなインプロビゼーション風に変化したりします。和声的には民族音楽的な流れも使われて、それにメゾソプラノがホモフォニー的に入ったり、僅かながら特殊奏法も展開していている様です。
メゾソプラノは語りも多く、時にシュプレッヒゲザングにもなります。その際のBGMも変化して無調的な流れになったりポリフォニーになったり。ラストは聖歌風の流れになって閉じます。
多岐に渡る技巧を配置して単純にして複雑なパッチワークの様な多様性で面白いですねぇ。オリジナルのオペラを観たいと思いました。


2. Five songs by Medea (2019)
5パート構成です。いきなり無調ポリフォニー混沌風で入って来ます。そこから哀愁と浮遊感の調性旋律へと変わるのは、まさにローロフ的な感じですね。ここでも歌い方は様々、前衛色濃い跳躍音階のシュプレッヒゲザングから朗々としたクラシカルさまで次から次へと変化します。反復もあれば変拍子もかなり使って変化を付けて来ます。
再現性なく極端に流れが変化するので焦点を絞りづらい感じもありますが、"また変わるんだろうなぁ"って感じになって慣れて新鮮味が麻痺しますね。


1. Quel prix de mon amour (2020)
機能和声で僅かに不協和音を感じる美しい歌曲ですね。ローロフは美しい旋律を作る事でも評価されて"B.A.ツィンマーマン賞"を受賞しているそうですが、この辺りがそれに当たるのかもしれません。興味の範疇ではありませんが…


 ★試しにYouTubeでちょっと覗いてみる?
  アルバムの公式Teaserです




なんでもありの多岐多様性の万華鏡的サウンドです。調性から無調へ、ホモフォニーからポリフォニーへ、民族音楽とジャジー、そして特殊奏法からシュプレッヒゲザングまで。いろんな顔を見せます。

全方位包括の新しい流れと見るのか、まとまりに欠けると見るのか、微妙なラインではあります。でも、ありそうで無かった新しさは嬉しい限りですね。もう少し聴いてみたいと思います。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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