エンノ・ポッペ(Enno Poppe) のソロ・室内楽集『Stoff』欧エクスペリメンタリズムの今
Stoff
(Enno Poppe, b. 1969)
(Enno Poppe, b. 1969)
このブログではオススメの欧前衛現代音楽家・指揮者のエンノ・ポッペ、若手だとばかり思っていたらいつの間にか50代になっていました。写真も随分と老けましたねェw
演奏は、Dirk Rothbrust (drumset, 1)、Hannah Weirich (violin, 4)、Ensemble Musikfabrik (2, 3, 5)、指揮はもちろんポッペ本人です。今回はエレクトロニクスは使われません。
楽風はノイズや反復から、微分音を中心に電子処理(シンセサイズ)された音楽になります。調性旋律も普通に取り入れる多様性であり、極度に音密度の高いサチュラシオン系の様相も見せますね。そしてインスタレーションにも踏み入れて、まさに今の時代の欧エクスペリメンタリズムの現代音楽です。(過去記事から再利用w)
演奏は、Dirk Rothbrust (drumset, 1)、Hannah Weirich (violin, 4)、Ensemble Musikfabrik (2, 3, 5)、指揮はもちろんポッペ本人です。今回はエレクトロニクスは使われません。
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■1. fell, for drumset (2016)
パーカッションではなく、太鼓系ドラムセットで鍵盤打楽器がありませんから音階を表現しません。あえて言うならシンバルやギロと太鼓の音で僅かな音階を感じさせるくらいで、シンプルで難しい曲です。ロックやジャズのドラムソロのヴィルトゥオーソ的なイメージもなく、現代音楽的な印象。何言ってるかわからないですよね。(爆)
■2. Stoff, for nine players (2015)
9人の弦楽奏曲です。短い弦グリッサンドの反復、clやflの細切れの音、そんな短い音がポリフォニカルに絡みます。基本的に反復・変奏ですね。途中でホモフォニーになって、それを背景音にして各楽器が乗っかります。その後も表情変化は絶やしません。極端な特殊奏法も使わず単純構成にもならない、その構成感は流石ポッペです。
★試しにYouTubeで観てみる?
Peter Rundel指揮、Ensemble Resonanz の演奏です
★試しにYouTubeで観てみる?
Peter Rundel指揮、Ensemble Resonanz の演奏です
■3. Brot, for five players (2007/13)
tbとパーカッションの対話から入って来ます。やっぱり反復・変奏が特徴的です。そこにpfが加わって対話の言語が増える感じですね。ここでも細切れ音のポリフォニーが明確で、後半は前衛系ジャズ・インプロビゼーションの印象もあるかも…
■4. Haare, for violin solo (2013/14)
vnの独り言の様な音楽です。グリッサンドは言葉みたいで、時に一人二役で何か喋っていますw もちろん基本は反復・変奏ですね。
■5. Zug, for seven brass players (2008)
金管の倍音共鳴でポッペとしては珍しいロングトーンの重なりで入って来ます。そこからホモフォニー的な流れを作りますね。面白いのは倍音の鳴りで、金管(brass)の音色が頭の中でクワーンと共鳴します。
この辺りが今の欧エクスペリメンタリズム音楽なのでしょうね。目新しさには欠ける感はありますが、煮詰めた安心感の前衛現代音楽です。
最近では米現代音楽でもC.チェルノヴィンの様にノイズ系前衛から新しい構成に進んだりしていて、いつかは新しい扉が再び開かれるかもしれませんね。
最近では米現代音楽でもC.チェルノヴィンの様にノイズ系前衛から新しい構成に進んだりしていて、いつかは新しい扉が再び開かれるかもしれませんね。