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廣田洋子さんのピアノで聴く「Schoenberg Piano Music」調性から十二音技法へ



Schoenberg Piano Music and His 17 Fragments
(Yoko Hirota, pf)
日系カナダ人ピアニストで現代音楽ピアノ曲を得意とされる廣田洋子さん、現在は教授や芸術監督と言った活動もされているそうです。

今回はシェーンベルクのピアノ曲を年代順に聴ける様になっています。1.は調性から無調へ、2.は無調から十二音技法へ、と言った楽風変化がポイントですね。その時代らしい小曲編成で、いずれも2, 3分以下、長くて6分台、フラグメント(断片)は1分以下もあります。

その中では廣田さんがウィーンの"Schoenberg Archive"で見つけた4.の"17 fragments"(17の断章)がメインになるでしょう。
"Schoenberg Symposium"でもシェーンベルクの三人のお子さんの前で演奏を披露しているそうで、ブラームス寄りの調性1900年頃から1933年頃の十二音技法作品まで網羅されています。その後シェーンベルクは米国移住(1934)し、新古典主義と向き合います。

本作品は廣田洋子さんの同名アルバム(2005年)の再編集版になるそうです。







1. 3 Klavierstücke Op. 11 (1909)
「3つのピアノ曲」ですが、既に調性を逃れる姿勢は明確です。多変調的無調?!に崩しているのはハッキリわかりますね。調性旋律感を残すとは言え、それまでの後期ロマン派印象を浮かべるのは既に難しいでしょう。


2. 5 Klavierstücke Op. 23 (1920-1923)
「5つのピアノ曲」、まだ旋律感が残る無調の印象が強く、5つのパートにも速度表記が残されています。1.の延長線上にありますね。part.3から跳躍音階が現れて僅かに点描的になるのは いよいよ十二音技法への道筋?! まだ反復等がありますが十二音技法前夜と言った感じでしょう。part.5「Walzer」は十二音技法と言われています。


3. Klavierstück Op. 33a (1928), 33b (1931)
二つの「ピアノ曲」で十二音技法ですが、ヴェーベルンの印象に比べるとディナーミク等で調性的な流れを残していて実験的な印象は薄く感じますね。表現主義というイメージの方が強いかもしれません。廣田さんのpfもそういう弾き方の気がします。


4. 17 Piano Fragments (おおよそ1900-1933)
「17のピアノ断章」廣田さんが書かれた断章区分を元に聴いています。
#1-#4 Fragmentsは1900年頃の明確な調性音楽でブラームス的スケルツォ、その中で#4(1905-06)は半音階を含み、多少の色合い変化を見せます。

#5-#8は1909年頃でOp. 11に似て一気に調性感が薄まります。対位法から無調へ、右手・左手は独立した印象が強くなり音域広く駆け巡る感じです。
#9, #10, #11ではディナーミクを強め、テヌート, クレシェンド, ディミヌエンド,と言った表情付けを一層強まります。特に#10では静の美しさで流れを変えて来ます。

#12はOp. 25と33の間の年代で、それまでとは異なるFragmentになってプロコフィエフの調性感が確かに感じられて面白いですね。なぜこのタイミングで奇妙なモードを考えたのでしょう?!

#13-#16はOp. 33の時代に書かれ、#13では流れが戻って無調・点描・跳躍音階となって いかにも十二音技法の印象を感じます。#15, #16ではテヌートの様な表現方式を入れていませんから表情は薄まってその感が強まりますね。#17は十二音技法で書かれているそうで、その延長上を感じます。



調性から無調、十二音技法へという、シェーンベルクの音楽変遷をピアノで味わえます。

特にその変遷は「17 Piano Fragments」で明確で、オススメの一枚になります
実際には十二音技法は技法を元にスコアでも見ないと聴いただけでは難しいです… (それでもわからない?!)

この先にヴェーベルンの目指すセリエルがあるわけですが、このアルバムを聴くとシェーンベルクの無調系は表現主義と今更ながら思います。勝手ながら廣田さんのpfにもそれを感じました。



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