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ペトリス・ヴァスクス(Pēteris Vasks) の『弦楽オーケストラ作品集』素晴らしいチェロ協奏曲です



ペトリス・ヴァスクス
(Pēteris Vasks, b. 1946)
最近人気のラトビアの現代音楽家 ペトリス・ヴァスクス(ペーテリス・ワスクスとも)。リトアニアで学び初期はペンデレツキやルトスワフスキの影響がある様ですが、個性確立後はラトビア民謡や機能和声を基にしていますね。またバプテスト教会の傾倒が強く宗教的和声も特徴的で、アーヴォ・ペルトとよく対比されますね。

ヴァスクスと言うと代表曲の「Distant Light, 遠き光」になりますが、弦楽奏をバックにしたvn協奏曲で美しさとシャープさの対比が見事です。個人的にはギア・カンチェリが浮かびますが。



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Orchestral Works
(Ivan Repušić: cond., Munich Radio Orchestra)
ヴァスクス生誕75年記念のリリースだそうです。弦楽オーケストラ曲集で、1.-3.は弦楽オケ、4.はチェロ協奏曲(弦楽)になります。
2.は妹(Dolorosa)の死を悼んで描かれ、4.の「チェロ協奏曲第2番」は三楽章ですが、二つのカデンツァが独立して組み込まれ5パートになっていますね。

演奏はイヴァン・レプシッチ指揮、ミュンヘン放送管弦楽団で、チェロは同オケの主席チェロ奏者ウラジーミル・シンケヴィッチ、ラストにsopのヴォーカリーズ(アンナ=マリア・パリ)が入ります







1.-3. は年代順に聴いて楽風変化を楽しみたいと思います。

2. Musica dolorosa ムジカ・ドロローサ(1983)
暗く陰湿な調性の弦楽奏で、葬送・絶望・暗鬱、と言った印象です。ロングトーンのボウイングをベースに、短音階の反復・変奏をホモフォニーに繋げます。中間部?には厳しい弦楽奏があって、等拍ピチカートやグリッサンド、ポリフォニー混沌になります。後半冒頭の低弦連続音と哀愁のソロ弦楽の対比も興味深いですね。
厳しさを織り込み、暗鬱の中にも何処か美しさを感じるのヴァスクスらしさがありますね。


3. Musica appassionata ムジカ・アパッショナータ(2002)
タイトル通り"熱情"的テンションの高さの入りで、ここでもメインは短音階の反復・変奏がベース。pの美しさからffの熱情に向かう流れで、その中にテンポの変化や民族音楽和声も交えて表情豊かです。もちろんそこはかとなく透明感ある美しさが漂います。


1. Musica serena ムジカ・セレナ(2015)
透明感ある澄んで美しい弦楽奏で入り、近年の方向である宗教曲的な哀しみや祈りを感じますね。ゆっくりと音の厚みを増して気持ちの昂りを表すと、後半は落ち着きを取り戻す、三部形式かソナタの印象が残ります。ラスト1'はコーダ的"静"に変化します。


4. チェロ協奏曲 第二番 "Klātbūtne (Presence)" (2012)
  "Cadenza I". Adagio - I. Andante cantabile - II. Allegro marcato - "Cadenza II". Andante - III. Adagio
冒頭から4'ものカデンツァと言うのも不思議ですが、ダブルストップやピチカートを入れてスローで穏やかな入り。"I. Andante cantabile"は宗教曲的のヴァスクスの顔でソロvcの哀愁感が際立ち、"II. Allegro marcato"はvcの激しいボウイングが聴き処です。
"Cadenza II"ではvcの激しさと技巧が楽しめて、ラスト"III. Adagio"は美しい弦楽緩徐で昂りが入るヴァスクスそのものになっています。コーダは静の中に現れるsopが穏やかな空間を作り、最後は弦のグリッサンドが浮遊感を奏して終わります。アレグロを緩徐楽章で挟んでいるのは元々のヴァスクスの基本楽風そのものですね。

完成度が高く見事なチェロ協奏曲になりました。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  この曲を献呈され初演をつとめたソル・ガベッタ(vc)ですね
  ラストのsopもガベッタが歌い、感動的な演奏です。ヴァスクス本人も最後に登場します




1983-2015の前半三曲で、澄んだ美しさと厳しさ構成から宗教曲的美しさへの楽風変化が味わえます。いずれ幽玄な美しさと昂りの対比は常にキープされていますね。

チェロ協奏曲は調性哀愁と宗教曲風のミックスで、シンケヴィッチのvcがとてもフィットしています。ヴァスクスの楽風変化と聴き応えあるチェロ協奏曲が楽しめる一枚ですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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