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フローラン・ボファールの『ベートーヴェン | ベルク | ブーレーズ』ピアノで巡るクラシック音楽の変遷



BEETHOVEN, BERG, BOULEZ
(Florent Boffard, pf)
意外な三人の並びですが、古典ウィーン楽派(ベートーヴェン, 1770-1827)から新ウィーン楽派(ベルク, 1885-1935)、その先欧実験前衛(ブーレーズ, 1925-2016)へと時代の流れをピアノ・ソナタで並べたわけですね。

最後のブーレーズから見れば前はヴェーベルンの方がフィットする気がします。ただ その道(セリエル)は行き止まり。ベートーヴェンとのギャップが大きすぎるのと、行き止まりまっしぐらはまずいので多様性のベルクが来たのでしょうw

ただブーレーズが現代音楽界に与えた影響は音楽以上に仏に構築したIRCAM等のシステムがあるでしょう。現在でも主流となるエレクトロニクスや音響系前衛音楽の礎・先端でありブーレーズがこの世界の重鎮であったのはご存知の通りですね。







1. ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第23番 Op.57 "熱情" (1807)
"アパッショナータ"は今や聴く機会がほぼありません。頭にあるのはギレリスの硬質で強烈なディナーミクです。古〜ぃw
 古き超絶技巧曲ですね。特にラストはそれが必要な曲です。第一楽章は当然 強鍵で叩きますが硬質な音色ではありませんし、ディナーミクの落差も小さめです。緩徐楽章はこの曲らしくあまり気持ちを入れないクールさです。テンポも少し速めかもしれません。第三楽章の方が音の粒立ちが良くなって速い流れにもフィットしていますが音色はソフト、好みはもっとガチッとした硬さで、ラストももっとガッツリ行って欲しかったですね。
もちろん機能和声音楽ですがバロックから脱却の新しい音楽で、やっぱり名曲ですね。


2. ベルク:ピアノ・ソナタ ロ短調 Op.1 (1911)
約100年後のピアノソナタです。
 動機の力強さはベートーヴェンには敵いませんが、旋律感があってディナーミクの強さを見せます。調性を残しながらも不協和音を挟み込んで自由度の高い音楽です。ベートーヴェンとの落差が気になりましたが思った程のギャップは無く、その先の調性を越えようとする進化を意識できますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  強鍵M.A.アムランですが、ボファールはもっとディナーミクが強いです
  アパッショナータからの繋がりを意識して弾いていると思いますね



3. ブーレーズ:ピアノ・ソナタ第3番 (1957)
ブーレーズの技法「管理された偶然性」で書かれていて、「ワークス・イン・プログレス」でもあります。五つのFormant(パート)からなり演奏順は変更が可能で、今回は3(Constellation), 2(Trope), 1(Antiphonie), の順になっています。ブーレーズが亡くなっているので、ワークスインプログレスは終了、残り二つのフォルマン(4.trophe, 5.Séquence)は未発表のままです。(正式にリリースされているのは1, 2,だけで、3.は"古いグレード版"となっています)
 上の二曲に比べると前衛ではありますが、十二音技法や初期セリエルに比べると3.Constellationは三度・五度の音階も使いますし調性的な旋律も多様しているので違和感は少ないでしょう。ただ2.Tropeではセリエル的跳躍音階と点描音列主義的な自由度の低さが顕著です。その辺りを意識して聴くとこの先に待ち構えるセリエル系音楽の行き止まりを感じられるかもしれません。
演奏は明らかに強いディナーミクを振って曲の繋がり性を表現している感じですね。



遠くかけ離れている様な三つの曲を、ボファールがディナーミク主軸の演奏で接点を作り対比させてくれました。"調性音楽の完成型" → "調性からの脱却" → "無調の音楽"と言う欧クラシック音楽の流れですね。

残念な事にブーレーズの音楽は行き止まり、ベルクの様な調性基軸の多様性音楽が今の主流になっています。ベルクの「ヴァイオリン協奏曲」やオペラ「ルル」が今でも人気曲なのに対し、ブーレーズの代表曲がわかる人が少ないのもそう言った背景でしょう。

🥃片手にクラシック音楽の変遷に思いを馳せるのにピッタリの一枚です。



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