fc2ブログ

ミカエル・ジャレル(Michael Jarrell) の『Orchestral Works』タベア・ツィンマーマン と ルノー・カピュソン



ミカエル・ジャレル (Michael Jarrell, 1958/10/8 - )
スイス人現代音楽家で、クラウス・フーバーに師事していますから基本は「新しい複雑性」のフライブルク楽派という事になりますね。その証は技巧性を基本とするスコアや、スコア自体を32分音符グリッドの様なものに見られる様です。IRCAMで電子音楽コースにも入っていますね。[以上, 過去のインプレ紹介文より]

近年は一時期の調性寄りから、機能和声を用いながら複雑性や空間音響を取り入れた多様性になっている様です。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧



Orchestral Works
ヴィオラとヴァイオリンの協奏曲、そして管弦楽の三曲ですね。
■ 1.のタベア・ツィンマーマン(Tabea Zimmermann, va)に献呈されたヴィオラ協奏曲は、仏画家アンリ・ミショー(Henri Michaux)の絵にインスパイアされていてるそうです。

■ 2.は管弦楽曲で "…大空は今なお、とても澄み渡っているのに、急に不安がこみ上げて来る…" とタイトルが長くて不思議ですが、三曲の中では少し古いので楽風の変化がわかるかもしれません。

■ 3.は仏・独オケの委嘱作品で、ルノー・カピュソン(Renaud Capuçon, vn)に献呈されたヴァイオリン協奏曲です。ちなみに2019年にカピュソン独奏、ロフェ指揮、東京交響楽団で世界初演されています。現代音楽ファンにはお馴染みの "サントリーホール国際作曲家委嘱シリーズ" ですね。

演奏はパスカル・ロフェ指揮、フランス国立ロワール管弦楽団。ソロはそれぞれ献呈された本人です。







1. Émergences-Résurgences (2016)
  concerto pour alto et orchestre
4パート区切れ目無しのヴィオラ協奏曲です。いきなり小刻みボウイングで暴れるvaはいかにも"新しい複雑性"の印象を植え付けます。そしてその背景オケは空間音響系になっているのが興味深いですね。I.の後半からII.にかけて、vaが静に落ち着くと全体が静空間の音響系にシフトするのも上手い流れです。

そしてそこからオケも含めて荒れた海の様な激しさを交えて、荒々しさと幽玄・神秘のコントラストですね。vaの込み入ったピチカートのカデンツァも面白く、最後まで飽きさせません。IV.では新古典主義的な音作りも感じられますね。


2. …Le ciel, tout à l’heure encore si limpide, soudain se trouble horriblement… (2009)
  pour orchestre
激しい新古典主義的な調性感の強い流れで入り、ドンシャン的です。三部形式の様な構成でトリオ(中間部)?!を静の流れにすると空間音響が現れますが、構成も含めて新鮮さは低いです。
一番古い楽曲になりますが、この頃は今よりも機能和声寄りな事が分かります。ありきたりな感じで、他二曲の方が断然面白いですね。


3. 4 Eindrücke (2019)
  concerto pour violon et orchestre
4パートのヴァイオリン協奏曲ですが、1.と違い 区切れ目が存在します。極端に繊細なvnで入って来るのは上手いですね。静の空間に緊張感が漂いますが、直ぐに小刻みなボウイングとなって技巧性を強く放ちます。オケは空間音響系で、1.と似た "新しい複雑性" の流れになっていますね。

II.の冒頭はここでも込み入ったピチカートのvnソロが現れますが、I.後半の静のvnカデンツァも面白いです。構成も1.とよく似ていて、ロングトーンの静空間を軸として強い技巧性を見せます。特にIV.のvnのこれ見よがしの激しい技巧は聴き処で、これが今のジャレルの音楽と思われますね。そのコントラストが生き生きと感じられます。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  3.-IVのカピュソンの激しい技巧vnです!!




協奏曲二曲では新しい複雑性と空間音響の合体のワクワク感がありますね。二人のソリストのヴィルトゥオーゾ性も見事に表現されているのは献呈作品だからでしょう。

そんな訳で 1. 3. はオススメで、特に3.-VIのカピュソンのvnの激しい技巧は素直に楽しむのが良いと思います。




タベア・ツィンマーマンと言うと、どうしてもコンサート途中退場のハプニングを思い出してしまいますw


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
08 | 2022/09 | 10
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます