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今の時代の前衛現代音楽「ドナウエッシンゲン音楽祭2019」(Donaueschinger Musiktage 2019)



Donaueschinger Musiktage 2019
毎年お馴染みの「ドナウエッシンゲン音楽祭」の2019年LIVEです。

書く事も同じです。①年々国内発売が遅れます。以前は翌年11月?くらいに出ていましたが、今は翌々年2月です。②曲目が減っています。以前は数枚組みCDsetやDVD付きでした。③新鮮さが無くなってきています。今回の四人も本ブログで紹介済みです。④一番の問題はインスタレーション系で、CDではヴィジュアル部分がわからない事でしょう。DVDやBDでのリリースも必要ですね。


今回もCDオンリーなのでインスタレーションの注目曲、ステーン=アナセン(Simon Steen-Andersen)の「TRIO für Orchester, Bigband, Chor und Video」や、カーステン・リーズ(Kirsten Reese)の「Neglou」と言った作品が漏れてしまっています。意味不明難解なこの辺が今の前衛ですね!!
他にもアンジェラ・ブロック(Angela Bulloch)の音に反応してドローイングするX-Yプリンターとかも入っていません。


今や欧エクスペリメンタリズムのメインはインスタレーションですから、耳だけで前衛現代音楽を味わうのは不可能になって来ています。

各音楽家の紹介文は過去インプレ時を流用しています。








マーク・アンドレ
(Mark Andre, b.1964)
(仏表記Marc André)はドイツ在住のフランス人現代音楽家で、パリでグリゼーに、シュトゥットガルトでラッヘンマンに師事しています。強音から静音に、そして微分音へと作風変化は大きく、パラメーター表記の難解さはファーニホウの「新しい複雑性(New Complexity)」と興味深いです。プロテスタントのフランス・ユグノー派に傾倒して、宗教的作品も多いですね。

■1. rwḥ 1 for ensemble and electronics (2019)
 まずは静空間のノイズで入ります。グリゼーの空間音響にラッヘンマンのノイズで 反復の様相も見せます。徐々に色濃くなって行きますがクラスターにはならずに、音密度は高めません。緊張感と切れ味あるノイズですが、類型的で何処かで聴いた様なサウンドになっている事ですね。

ところが中盤に現れるpfから面白さが出現、(鍵盤)打楽器のボウイング奏法の様な響、いきなり現れるクラスターは面白い感じがあります。後半の緊張感の高揚が聴き処です。ただ、スタジオ処理されているエレクトロニクスの使われ方やステージ上で何らかのパフォーマンスがあるのかは不明ですね。
(Ensemble Resonanz, Bas Wiegers [cond.], SWR Experimentalstudio [electronics])



ヨハネス・ボリス・ボロウスキ
(Johannes Boris Borowski, b.1979)
ドイツ人現代音楽家でドイツとフランスで学び、その作品はアンサンブル·アンテルコンタンポランやアンサンブル·モデルンといった著名どころに取り上げられています。今回の演奏もアンテルコンタンポランですね。

■2. Allein for ensemble (2018-2019)
 音密度の低い各楽器の反復とノイズの微妙なバランス、そして静空間。ここでもノイズ&空間音響を感じますね。今の時代の主流である事に違いないのですが、この方向ばかりですとどうしても類型性を感じてしまいます。

確かにここでは通常奏法の音色が主体ではありますが、所謂(いわゆる)動機や主題的な旋律は存在しませんから特殊奏法との差分しかありません。後半に音密度が上がって時折ポリフォニーになったりするのも良くあるパターンでしょう。
(Ensemble Intercontemporain, Matthias Pintscher [cond.])



エヴァ・ライター
(Eva Reiter, b.1976)
オーストリアの女性音楽家ですね。古楽器のリコーダーとヴィオラ・ダ・ガンバの奏者で、エレクトロニクスを駆使する現代音楽家でもあります。今回も本人参加で"Paetzold-flute"と言う変わった楽器が使われていますね。

■3. Wächter for double bass flutes and tube orchestra (2019)
 始まりはここでも上記2曲と同じで薄いノイズの様な、またはノイズの、静のロングローンです。そこに管楽器の音色や特殊奏法音、voiceが被って来ます。静の空間を意識させる、何処かで聴いた様な…

ところが "double bass flute" の低音反響や "Paetzold-flute" を使った面白さとvoiceを絡める中盤以降は異なった色合いを見せ始めます。音厚も高まって打楽器も表情が増し、新しい楽器選択を軸とした面白い流れになっています。voiceも旋法を感じる変化を見せて来ます。これは'あり'でしょうね。
(Michael Schmid [double bass flute], Eva Reiter & Susanne Fröhlich [Paetzold-flute], Deutscher Kammerchor, SWR Symphonieorchester, Tito Ceccherini [cond.])



アルベルト・ポサダス
(Alberto Posadas, b.1967)
マドリッドの音楽院で習ったスペインの現代音楽家です。二つの方向性があり、一つは数学をベースとしてフラクタル理論やトポロジー変換の様な変移性の技法を用いている事。もう一つはエレクトロアコースティックや空間音響系音楽で、IRCAMでも電子音楽を学んでいます。この経歴だけで欧州エクスペリメンタリズムと見事にわかりますね。

■4. Ojo del diablo [from Poética del espacio] for ensemble (2019)
 混沌系の空間音響でしょうか、"グワ〜ン"といった打楽器と金管の響から始まります。そしてトリル・トレモロが走りまくり頭の中を縦走し、楽器数が増えてカオスになりますね。落ち着きを見せてから再び大音響のクラスターになりますね。ポリフォニカルなのか微妙なラインです。大音響と静のコントラストで、何処か煌めきを感じさせる面白さがあります。

創造的斬新さは薄いかもしれませんが、方向性は好きですね。最後の等拍とポリフォニーからのパルスは上手いですね。煌めきを感じるのはカンブルランが振っているからかもしれません。
(Klangforum Wien, Sylvain Cambreling [cond.])



近年の主流である空間音響やノイズがメインになっています。安定期な前衛実験現代音楽でより刺激的な斬新さを味わいたい気分ですね。

3.などは特殊楽器とvoiceを主体に構成した面白さがあって期待できそうですし、4.は新しいポリフォニーを感じさせてくれてはいます。次回に期待?、ちなみに2020はCOVID-19のため中止になっていますが…




 ★試しにインスタレーション注目曲をYouTubeで観てみる?
  シモン・ステーン=アナセンの"TRIO für Orchester, Bigband, Chor und Video"です
  映像とarchive recordingsとのインスタレーションですね (CDには入っていません)
  TRIOとはオーケストラ、ビッグバンド、合唱団、が独立している意味だそうです
  映像にはチェリビダッケやデューク・エリントン達が出てきます


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