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向井山朋子さんをフィーチャーしたマイケル・ゴードン(Michael Gordon) の『The Unchanging Sea』素晴らしき空間音響



The Unchanging Sea
== A music-film project ==
この作品はフィルムと*コラボでインスタレーションなのでDVDが同包されています。元になった映画があって無声時代の1910年にD.W.Griffith制作の同タイトルで、S.S.Willametteがゴールドラッシュへ向かう船からの情景だとか。

ロッテルダム・フィルと今回演奏のシアトル交響楽団との共同委嘱作品で、シアトル国際映画祭でお披露目されていますね。

*最近、主として米、では"cross-arts collaborations"と言う表現も使われている様ですね。



マイケル・ゴードン | ビル・モリソン | 向井山朋子
マイケル・ゴードン (Michael Gordon, b.1956)
言わずと知れた米現代音楽組織 "Bang On a Can"(以下BOAC) 創設メンバーで、今や米現代音楽を代表する音楽家の一人でしょう。BOACは本ブログのオススメで度々インプレしていますので、M.ゴードン本人の紹介も含めて割愛です。

ビル・モリソン (Bill Morrison, b.1965)
ニューヨークを拠点とする映像アーティストで、今回の様な古い映像・画像と現代音楽のコラボを得意とするそうです。

向井山朋子 (Tomoko Mukaiyama, b.1963)
前衛パフォーマーでピアニスト、まさにインスタレーションで分野を跨ぐ活動が素晴らしいですね。スタンスから今回の起用は完全にフィットしている感じです。BOACとの組合せはちょっと意外な気もしますが。
向井山さんと言うと傑作 "Women Composers" のウストヴォーリスカヤ「ピアノ・ソナタ#6」が浮かびますね。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧







1. The Unchanging Sea 不変の海 (2016)
変奏三部の様な構成です。静の中に向井山さんのpfが単音の響きを利かせて入って来ます。【前半】はそこに背景音の管弦楽がロングトーンで色付けし、徐々に音量が上がってカオス的圧迫に。旋律感の低い音塊的な空間音響系です。【中盤】も上げて行く流れは同じですね。pfはトリル・トレモロでオケは鬱なトーンの背景音で対位し、音厚を上げて圧倒する密度になるとpfは小刻みな昇音階と変化し混沌空間を作ります。一度落ち着きを取り戻して【後半】も同様にpf, オケがトリル・トレモロの音厚高い空間を築き、pfが即興的な強鍵でオケと対峙すると狂気さえ見せる様な炸裂した流れになって終結します。

通して、空間に広がる緊迫感・重厚感が見事でその中に吸い込まれそうです。今の時代のピアノ協奏曲で素晴らしいですね!!

DVDで映像があると、何故か音楽はミニマルを感じて不思議です。映像はモノクロの無声映画の傷んだフィルムで、傷み具合は加工しているでしょう。楽曲前半は船に乗るまで、中盤は船に乗ってから、後半は沈没してからになっています。具体性がある映像なので視覚に意識が集中してしまい、楽曲の印象が薄まります。インスタレーションと言うよりも映像作品ですね。個人的にはCDで大音量で聴きたいです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  DVDの抜粋です



2. Beijing Harmony 北京のハーモニー (2017)
1.をミニマル色濃くした様な流れです。1.があまりに素晴らしいのでインプレは残しません。



ミニマルですがCDで聴くとその感は低く、圧倒する音厚の空間音響系前衛現代音楽です。

向井山さんのpfもフィットして最近聴いた中ではお気に入りで超オススメです!!

奥様のジュリア・ウルフ、同じくBOAC創設メンバー、も今や米国の歴史を彩るテーマで新境地を突き進んでいて流石はBOACと実感しますね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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