一人三役 クリスティアン・リンドベルイ(Christian Lindberg) の『2017』作曲・指揮・演奏
2017 Christian Lindberg (comp. cond. tb)
前々回に続きC.リンドベルイの管弦楽集です。今回はトロンボーンも吹いていますから一人三役の大活躍ですね。演奏はアントワープ交響楽団(Antwerp Symphony Orchestra)です。
1)は 9本のtbと言うリンドベルイならでは管弦楽で、トロンボーン・アンサンブル "The New Trombone Collective" による委嘱作品です。リンドベルイ本人は入っていませんが。
2)は パーカッショニストのエヴェリン・グレニー(Evelyn Glennie)とリンドベルイの共演です。グレニーは好きな音楽家の一人ですから興味あるパーカション&トロンボーン協奏曲が一層楽しみになりますね。
3)が今回のメインディッシュで、2016年の米大統領選挙のショックを受けて書かれたそうです。七つのパートがそのストーリーになっていて気持ちが伝わる様ですね。
1)は 9本のtbと言うリンドベルイならでは管弦楽で、トロンボーン・アンサンブル "The New Trombone Collective" による委嘱作品です。リンドベルイ本人は入っていませんが。
2)は パーカッショニストのエヴェリン・グレニー(Evelyn Glennie)とリンドベルイの共演です。グレニーは好きな音楽家の一人ですから興味あるパーカション&トロンボーン協奏曲が一層楽しみになりますね。
3)が今回のメインディッシュで、2016年の米大統領選挙のショックを受けて書かれたそうです。七つのパートがそのストーリーになっていて気持ちが伝わる様ですね。
▶️ 現代音楽の楽しみ方 ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧
■1) The Waves of Wollongong, for nine trombones and orchestra (2006-09)
8パート楽曲。弦のトレモロで入りってパウゼがあります。ブルックナーみたい?w 表情変化の大きい流れで、ホモフォニーの管弦協調の流れが主役です。特に金管は主役の9本のtbが鳴り響き音厚が高くボリューム感がありますね。揃ってのグリッサンドは凄いです。対比する緩徐パートはリンドベルイらしい幽玄さが配置されてバランスがいいですね。リンドベルイの得意技を生かした楽曲になりました。
★試しにYouTubeで観てみる?
ロッテルダム・フィルの演奏で抜粋ver.
指揮はもちろんリンドベルイです
★試しにYouTubeで観てみる?
ロッテルダム・フィルの演奏で抜粋ver.
指揮はもちろんリンドベルイです
■2) Liverpool Lullabies, for trombone, percussion and orchestra (2015-16)
7パートです。グレニーの鍵盤打楽器とリンドベルイのtbの美しい緩徐で入って、ゆっくりと華やかさと音厚を増して再び緩徐へ。そんな流れで、パーカッションは太鼓系も入って来てカラフルですね。perc.とtbのカデンツァはキラメキを感じます。
2010年代初期〜中期のリンドベルイらしい美しさの楽曲です。
2010年代初期〜中期のリンドベルイらしい美しさの楽曲です。
■3) 2017, for orchestra (2017)
I. The World Upside Down(ひっくりかえる世界) - II. Lonely Creatures(孤独なヤツら) - III. Fake News(フェイクニュース) - IV. Inner Soul(内なる魂) - V. The Bragger(自慢する人) - VI. Reflection(影響) - VII. Train from Hell(地獄からの列車)
いきなり急を告げる様な不安で暗いサウンドが現れる"I. ひっくりかえる世界"。"II. 孤独なヤツら"では美しい緩徐に不安な音色が混じります。その流れの続きに現れる"III. フェイクニュース"では派手な鳴りの上昇音階の金管群の威勢の良さから暗く音が沈み、強烈な金管と対峙します。
繊細な弦のソロが神経質に、時に不安げに鳴らして絡む"IV. 内なる魂"、跳ねてスケルツォ的ですが陰鬱さと鋭さの対比を見せる"V. 自慢する人"。"VI. 影響"では不安定な流れになり、金管群が派手に鳴らして弦の落ち着いた美しさと入れ替わり立ち替わり変化する"VII. 地獄からの列車"。
完全に標題音楽で明確にサブタイトルと楽曲印象がマッチしている感じです。
繊細な弦のソロが神経質に、時に不安げに鳴らして絡む"IV. 内なる魂"、跳ねてスケルツォ的ですが陰鬱さと鋭さの対比を見せる"V. 自慢する人"。"VI. 影響"では不安定な流れになり、金管群が派手に鳴らして弦の落ち着いた美しさと入れ替わり立ち替わり変化する"VII. 地獄からの列車"。
完全に標題音楽で明確にサブタイトルと楽曲印象がマッチしている感じです。
パート毎に緩徐と強音の出し入れが交錯するのが基本構成で調性ホモフォニー。特徴的なのはやっぱり金管群の鳴りの良さでしょう。
前衛ではなく機能和声の現代音楽ですが、変奏主体でソナタや三部形式に縛られない今のクラシック音楽で楽しめます。ベスト・トラックは「2017」ですね。
前衛ではなく機能和声の現代音楽ですが、変奏主体でソナタや三部形式に縛られない今のクラシック音楽で楽しめます。ベスト・トラックは「2017」ですね。