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R.シュトラウス『ツァラトゥストラはかく語りき』2020リリース2CD(ウルバンスキ, ダウスゴー)と鉄板カラヤン聴き比べ


Also sprach Zarathustra Op. 30 [1896]
(Richard Strauss, 1864-1949)
リヒャルト・シュトラウスの交響詩ですと個人的にはストリー性が明確な"ドン・キホーテ", "英雄の生涯"の方が好きですね。"ティル"や"ドン・ファン"は短いですし、"死と変容"が本作品の位置づけと似ているかもしれません。最近では"ツァラトゥストラはこう語った"と訳すんですね。

今年(2020)リリースされた2CD、若手指揮者①ウルバンスキ(NDRエルプフィル, 2016 rec.)と、中堅の②ダウスゴー(シアトル響, 2019 rec.)、そして頭で鳴っているマスターピース③カラヤン(BPO, 1983 rec.)も入れて聴き比べしておきましょう。






クシシュトフ・ウルバンスキ
(Krzysztof Urbański)
NDRエルプフィルハーモニー管弦楽団 (NDR Elbphilharmonie Orchester)


やや弱めの印象の"ツァラトゥストラ"です。力強さと優しさを対比させている感じですが、バランスは優しさになっていますね。

その優しさが弱々しく感じる事、処々で主題・動機が薄いのが気になります。




トーマス・ダウスゴー
(Thomas Dausgaard)
シアトル交響楽団 (Seattle Symphony)


濃厚な色合いの"ツァラツストゥラ"です。テンポは速め、音厚高く強音強調、と言った方向性を強く感じます。

ラストを繊細な流れにして落ち着かせたのは上手いな、って言う感じです。そんな静美とのコントラストが全体にあれば、もっと素晴らしい"ツァラツストゥラ"になったのではないでしょうか。




ヘルベルト・フォン・カラヤン
(Herbert von Karajan)
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団 (Berliner Philharmoniker)


コントラストと見晴らしが素晴らしい"ツァラトゥストラ "です。緩急・静と烈・繊細さと華やかさ・心地良さと刺激、全てのバランスが揃えられています。

R.シュトラウスと言えばカラヤン、そう言う人も多いのではないでしょうか。私もその一人な訳ですがw




【全体インプレ】
少し弱々しいウルバンスキ、力感に拘るダウスゴー、見晴らしの利いたカラヤン、三者三様ですがやっぱりカラヤンが頭一つ抜きん出ている感じです。

新しい録音を楽しみにしつつ、名盤と言われるカラヤン/BPO(1983)がマスターピースと言う事になるのは仕方ないでしょうか。




パート別インプレ
1. 序奏
① かの「自然の動機」"ド・ソ・ド"はともかく、ティンパニーが弱めですが、続く長和音は大きく鳴らします。
② 「自然の動機」はいじりようがありませんw その後の長和音も同じですね。多少のメリハリ感程度がある感じでしょう。
③ 序奏はほとんど変化のさせ様がないのでコメントは付けよう無しですw あえて言うなら"タメ"の上手さを感じるかもしれません。

2. 後の世の人々について
①「あこがれの動機」は控えめ、ホルンのクレド動機も弱めに出て美しい弦楽はややスローに入ります。エモーショナルさを強めながらクレシェンドしていくのですが、優しさを強く感じます
② 「あこがれの動機」は鬱が強め、ホルンのクレド動機は落ち着いています。そこからの弦楽奏は明瞭な音を少し揺さぶりをかけながら進めています。音は厚めで濃厚さを感じます。
③ ファゴットの「あこがれの動機」は繊細、クレド動機は穏やかさが光ます。その流れに乗って弦楽奏が現れると、緩やかさから切れ味へと美しさを変化させて聴き応えある見事さになっています。

3. 大いなる憧れについて
①「あこがれの動機」と木管による「自然の動機」静で優しく絡みます。「マニフィカト」パッセージからの高揚感は弱めです。
②「あこがれの動機」は速めで明瞭に、木管による「自然の動機」が淡々と入り美しさと緊迫感を対比させます。力感が増してパッセージが出ると激しさの山場へ。
③「あこがれの動機」が美しくテンポ良く出て、木管の「自然の動機」がクールに絡み合います。徐々に上げてオルガンの「マニフィカト」パッセージからは高揚させて良い流れですね。

4. 喜びと情熱について
① 二つの動機を力感付けながら上げて、山場のトロンボーンのV字音階「嫌悪の動機」は表情が薄いですね。
② 新たな二つの動機は深刻な印象を強く鳴らし、激しさを増して行きます。山場でのトロンボーンの「嫌悪の動機」は朗々と鳴らされますね。
③ 表情豊かに切れ味よく動機を作り込んで進めて見晴らしがいいですね。クライマックス付近のトロンボーンが「嫌悪の動機」も力強いです。

5. 墓場の歌
① オーボエの「墓場の歌」弱く、上昇音階の「あこがれの動機」と下降音階の絡みは淡々としています。
② オーボエが奏でる「墓場の歌」は弦楽と絡んで濃い色合いです。「あこがれの動機」と下降音階の絡みは進むにつれて淡々と静まらせています。
③ オーボエの「墓場の歌」は繊細に現れ落ち着いた流れを作っています。中盤からの「あこがれの動機」は少し鬱を見せ下降音階の弦流れとコントラスト良く絡みます。

6. 学問について
①「暗鬱なフーガ」は弱々しい印象で、木管が加わると色合いが出ます。「舞踏の動機」でテンポを上げて軽妙な明るさに、「自然の動機」「嫌悪の動機」の木管パッセージが木管楽器は緩やかさで、最後はなんとか締めます。
②「暗鬱なフーガ」は静鬱なクールさで、木管が入ると力感を少し増します。「舞踏の動機」は少しテンポアップでの美しさにしていますね。tpが出るとパッセージの木管楽器を落ち着いて絡ませ、最後は力感を上げます。
③ コントラバスとチェロの「暗鬱なフーガ」を静暗スローに鎮め、木管が加わると少し光を感じます。幸福感ある「舞踏の動機」はvnの繊細な美しさと木管の明るさの対比が見事ですね。カデンツァ的流れを静に、最後は大きく盛り上げます。コントラストが見事なパートです。

7. 病より癒えゆくもの
① トロンボーン動機は揺さぶり気味に進んで、山場はテンポアップで怒涛に鳴らします。管楽器の「暗鬱なフーガ」は鬱ですがしっかりと鳴らして来ます。トランペットの信号音が出てテンポを上げると「嫌悪の動機」と表情強く絡みながら安定的な流れにして行きます。この楽章は切れ味とメリハリの良さを感じます。
② トロンボーン動機は速めで鋭く好戦的に上げて、山場は激しくキレキレです。ゼネラルパウゼを大きく取って「暗鬱なフーガ」は暗い影を強め、鋭いトランペットの信号音が「嫌悪の動機」と速く切れ味よく絡み、最後は明るい色合いで華やかにしています。派手なパートになりました。
③ トロンボーン動機は落ち着いて入ってテンポを上げつつ派手さを増します。ド派手なピークの後のゼネラルパウゼは短め。「暗鬱なフーガ」を陰鬱に進め、トランペットの信号音が砕けて登場すると「嫌悪の動機」と変則的に絡み合いながら、明るく楽しげに力強く変化させて行きます。

8. 舞踏の歌
① ソロ・ヴァイオリンによるウィーン舞踏風動機は繊細弱め、絡む木管もですが、そこから穏やかに優美さを増して行きます。ホルンの動機が優しく出ると澄んだ音色で動機群を奏で、華やかな音色を強くしながらラストの山場は大きく作ります。
② 明るい「自然の動機」から入り、ソロ・ヴァイオリンによるウィーン舞踏風動機は鋭く出て来ます。その流れが優美さになって濃くなると、ホルン動機からは主題群がシンプルに溶け合いながら濃厚さを増してラスト山場は派手に。
③ ソロ・ヴァイオリンのウィーン舞踏風動機はスロー&シャープ、静な流れから色合いを強めて大きな舞踏曲する上手くて安心感ある構成で見事です。中盤でホルンが出ると流れはシンプルになってから華やかさを増して山場を派手に鳴らします。

9. 夜のさすさい人の歌
① 深夜を告げる鐘が弱いですね。鎮まってロ長調で表情は安定、「あこがれの動機」と「舞踏の動機」は穏やかです。最後の高音長和音と低弦C音の対比は静的です。
② 山場が徐々に鎮まってロ長調が顔を出すと、「あこがれの動機」と「舞踏の動機」を緩やかに上手く落ち着かせています。ハープ上昇音階からはシンプルになって、ラストの高音長和音と低弦C音は繊細さを表現する良い流れです。
③ 深夜を告げる鐘はハッキリと打たれて、徐々に鎮まります。やっぱりこのパターンでないと… ロ長調に変わると流れは落ち着いて「あこがれの動機」と「舞踏の動機」が繊細さと穏やかを満たします。ハープが顔を出すと静を強めて、ラストは低弦C音が困惑の表情を見せて終わります。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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