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ジャチント・シェルシ(Giacinto Scelsi) のピアノ曲「suite 8 & 11 per pianoforte」


ジャチント・シェルシ (Giacinto Scelsi, 1905-1988)
実はエクスペリメンタリズムからするとシェルシは微妙な年代です。前衛三羽ガラス(ブーレーズ, シュトックハウゼン, ノーノ)は1920年代生まれ、新ウィーン楽派の三人は1970-80年代生まれで、十二音技法が1920年代に登場します。

1905年生まれのシェルシは1930年代中盤に十二音技法を身に付け、即興性や微分音といった方向へ向かうわけですが、1970年代にグリゼーとミュライユがシェルシの倍音共鳴の影響を受けて作ったスペクトル楽派が今の時代の前衛の一つの流れを創造したわけですね。

シェルシの作品は共同製作者ヴィエーリ・トサッティ(Vieri Tosatti)の存在があるわけですが、今回の二曲もピアノ曲という事と年代から行ってトサッティとの共同作品になるでしょう。


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suite 8 & 11 per pianoforte Sabine Liebner, pf
ピアノ・ソロ2曲です。"suite n. 8"にはサブタイトルに"bot-ba"とありますが、チベットの事だそうです。もっとも音楽的には関係なく、東洋哲学への信奉から来ているそうです。また"suite n. 11"は晩年になってシェルシによって全9パートが再構築されていて、今回はそのファイナルver.での初録音だそうです。

演奏の女性ピアニストザビーネ・リープナーは現代音楽を得意としていて、既に"suite n. 9"と"suite n. 10"をリリースしています。そちらもインプレしなければなりませんね。







1. suite n. 8 – bot-ba per pianoforte (1952)
6パート(I-VI)のピアノソロです。トリル・トレモロ風の流れから単音反復の(I)、微妙な残響音の面白さの(II)、仏印象派の様な(III)の前半、低音の音響空間的な(IV)、不協和音コードの(V)、神経質な和音からの展開(VI)。
とにかく色々な表情のピアノ曲を並べています。共通しているのは 強鍵でpfをズッシリ良く鳴らす事と残響でしょう。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  ピアノはMarianne Schroederです



2. suite n. 11 per pianoforte (1956)
9パート(I-IX)のピアノソロです。傾向はますます偏重化しています。短い曲の連なりですが、ドカーンと多声的に和音で鍵盤を叩いてpfをグワワ〜ンと鳴らす方向性が強くなっています。その分、残響音も響き渡る訳ですね。繊細に入る(II)や(IV)でも十分に響かせて鳴らしますし、(VIII)や(IX)はかなり暴れます旋律や音と言うよりも音塊と残響です。



この時点(1950年代)でpfの響きからの倍音の唸りを強く感じます。それがこの先の"一つの音を聴き込む"技法になったのでしょうか。音塊と残響倍音が気になるピアノ曲ですね。

ズッシリとしたpfの鳴りは印象的で、ウストヴォーリスカヤを思い浮かべる感じでもあります。個性的で興味深いアルバムです。



テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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