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「Aspects of America: Pulitzer Edition」ピューリッツァー賞受賞三作品集:W.ピストン/M.グールド/H.ハンソン



Aspects of America: Pulitzer Edition
Oregon Symphony (Carlos Kalmar, cond.)
前回、ピューリッツァー賞受賞歴のある女性音楽家三人の作品集をインプレしましたが、今回は男性音楽家三人になります。

年代的には活動の中盤から世界的には前衛現代音楽の嵐が吹き荒んだ時代ですが、この顔ぶれは全面否定か多少覗いたくらいでその流れにはありませんね。19世紀末生まれのW.ピストンとH.ハンソンはともかく、M.グールドの一つ年上が米前衛の雄J.ケージ(b. 1912)ですが…








ウォルター・ピストン
(Walter Piston, 1894/1/20 - 1976/11/12)
米ローカルで学んだ後、仏でP.デュカスとN.ブーランジェに習って帰国。ハーヴァードで教鞭をとり、L.バーンスタインやE.カーターらが門下にいます。この時点で時代を感じてしまいますね。技法的にはブーランジェには対位法を、シェーンベルクには十二音技法を習っていて、音楽理論に見識の深かった様です。

交響曲 第7番 (1960)
 交響曲 第3番に並ぶピューリッツァー賞音楽賞受賞(1961)作品で、新古典主義的な重厚さです。第一楽章は派手な音の鳴りが中心的でポリフォニカル。コンプレックス対位法の様な構成は、旋律はポリフォニーですがリズムやテンポでの協調関係があってホモフォニーとの境界が微妙になります。一転して緩徐楽章はホモフォニーですが、濃厚なアダージョ。第三楽章もホモフォニーで派手なアレグロ。フィルム・ミュージックでも通りそうな、今の時代に繋がる典型的な米国管弦楽です

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  Jorge Mester指揮、Louisville Orchestraの演奏です




モートン・グールド
(Morton Gould, 1913/12/10 - 1996/2/21)
クラシックだけでなく、フィルム・ミュージック, テレビ, ジャズ, ミュージカル, と多方面に渡って作曲と指揮の両方で活躍しています。そう言う意味では現在の米音楽家のメインストリーマーの魁なのかもしれません。

Stringmusic (1993)
 1995年ピューリッツァー賞受賞作品で、5パート(1.前奏曲 - 2.タンゴ - 3.葬送 - 4.バラード - 5.爪弾き)の管弦楽です。ここでも機能和声の鳴りの良い、音厚の高い、濃厚な音楽になります。途中でマニエリスムの様な時代回帰的旋律も現れたり、バレエ音楽の様な表情のパートもあり、タイトルにある音楽表現以外にもポイントがありますね。
とは言え、ホモフォニーでパートのタイトル通りの標題音楽、本ブログ的には特別に興味をそそられる楽曲ではありません。



ハワード・ハンソン
(Howard Hanson, 1896/10/28 - 1981/2/26)
三人の中で唯一知っている音楽家・指揮者ですw 個人的な好みは存在しませんが、曲調は徹底した機能和声音楽ですね。指揮者としては米音楽家の作品の初演を数多く手掛けているのが知られています。当然ですが、所謂(いわゆる)現代音楽は絶対否定で手を付ける事はありませんでした。

交響曲 第4番 "レクイエム" (1943)
 1944年ピューリッツァー賞受賞作品で四楽章構成、やはりここでも濃厚なホモフォニーを感じます。似た様な音楽で、特に2歳年上のW.ピストンとの類型性を感じますが一層調性に拘っている感じです。四つの楽章それぞれ変化はありますが、明瞭な調性旋律だけで全てが出来上がっています。色々な曲の主題や動機を並べたらこうなる的、そんな感じです。駄耳なので、聴かせるポイントや構成が掴めずに辛い感じです。新ロマン派と言われる事もありますが、映画音楽家と言った感じです。



現在の米国管弦楽の一つの方向性の先達と言った音楽でしょう。機能和声にあって厚い音で濃厚な流れの明瞭さ、フィルム・ミュージックやドキュメンタリー的でもあります。

前衛方向性は皆無で、ミニマル方向も見せないのが興味深いですね。(ミニマルが華やかになるのは1960年代からではありますが…)



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