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パシフィカ四重奏団「Contemporary Voices」米女性現代音楽家3人の作品集



Contemporary Voices
Pacifica Quartet (パシフィカ四重奏団)
ピューリッツァー賞受賞歴のある米国の女性現代音楽家の室内楽を集めたアルバムです。そうなると楽風には関係なく作曲背景が潜んでいて事前確認が必要な気がしますね。ただ三人の作品の作曲年代に随分と開きがあるのが気になるところです。

演奏のパシフィカ・クァルテットも米インディアナのブルーミントンを拠点として活動していて、前衛は殆ど範疇外で、古典から調性基軸とする音楽を得意としています。








シュラミト・ラン
(Shulamit Ran, 1949/10/21 - )
イスラエル生まれの米女性現代音楽家ですね。エリオット・カーターやラルフ・シェイピーに師事していて、シカゴでの活動が多かった様です。楽風は前衛というよりも新古典主義と無調のバランスです。

Glitter, Doom, Shards, Memory String Quartet No. 3 (2012-13)
ホロコーストを題材とした “Glitter and Doom: German Portraits from the 1920s,” というメトロポリタンの展示会作品を元にしているそうです。
 第一楽章はアレグロ的で幽玄で民族和声を感じる流れに不協和音的な強音ソロパートが混ざります。調性の薄い動機的な旋律が存在したますね。第二楽章はスケルツォ的に不協和音リズムを刻み、微妙に調性を外した面白さがあります。第三楽章はハッキリとした主題と変奏になっていて、最も調性感が強いです。第四楽章は緩徐楽章で、反復・変奏が強く幽玄さが一番発揮されていて、フラジョレットの音が特徴的です。不協和音を生かした古典的な構成の弦楽四重奏曲です。流れは幽玄さで、今の時代の一番安定的なクラシック音楽でしょう。



ジェニファー・ヒグドン
(Jennifer Higdon, 1962/12/31 - )
ニューヨーク生まれの米女性現代音楽家でフルーティストです。作曲はペンシルベニア大学でジョージ・クラムに習っているというのがポイントでしょうか。基本的には調性に留まっていて、米オケからの委嘱も多く楽風は予想がつきますね。半音の八音音階を使い、無調の曲も作ります。

Voices (1993)
三楽章、三つの異なるイメージを伝えるそうで、"熱狂的エネルギー / 漠然とした動く影 / 穏やかで優雅" だそうです。
 第一楽章は刺激的な強音と速いボウイングの忙しない音構成で、機能和声の楽曲です。反復と変奏が執拗で強引な印象になります。第二楽章も流れの基本は強引さと反復・変奏で、少し落ち着いた流れが挟まれています。第三楽章は緩徐で強引さは減りますが、強音で構成されているのでクドイです。音圧が常に高いので疲れますが、曲調はポスト・ミニマル?と言っても良いのかもしれません。



エレン・ターフィ・ツウィリッヒ
(Ellen Taaffe Zwilich, 1939/4/30 - )
マイアミ生まれの米女性現代音楽家で、女性作曲家として初めてピューリッツァー賞音楽部門を受賞しています。ちなみに次の受賞者が上記のS.ランですね。作曲はP.ブーレーズに出会ったのが大きかった様です。楽風は前衛から始まって調性になる米国音楽家に多い調性音楽です。

Quintet for Alto Saxophone and String Quartet (2007)
ライナーノートから特別な意図は感じられません。"好奇心旺盛" と言った事くらいでしょうか。
 いかにも米国クラシック音楽ですね。調性にあって表情変化の多い動機・主題の明確設定、そしてホモフォニーで力強さです。弦楽四重奏曲ですが、このままオーケストレーションしたらそのまま米オケの委嘱作品になりそうです。sax(Otis Murphy)はアルトらしい音色が弦の音に混じり込んでいますし、カデンツァもありません。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  演奏者は異なりますがCDよりもエモーショナルな演奏です




機能和声(2, 3)、もしくは不協和音程度の調性の薄さ(1)で、いつもの表現に従うなら今の時代のクラシック音楽と言う事になるでしょうか。

類型性が高い2, 3はいかにも米国クラシック音楽ですね。聴き易いと判断するか、退屈特徴に欠けるとみるかは聴く人の好みに大きく左右されそうです。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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