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ハヤ・チェルノヴィン(Chaya Czernowin)の「冬の歌, Wintersongs」今の時代の前衛現代音楽



Wintersongs (Chaya Czernowin, b. 1957)
前回に続きチェルノヴィンなので、紹介はそちらをご覧下さいね。

voice入りの室内楽集で、"Wintersongs" と "Five Action Sketches" の二つのシリーズものになっています。チェルノヴィン得意のパターンですが、後者は一曲2〜3.5分の小曲です。Wintersongsは前回インプの"Shifting Gravity"にもIII.が入っていました。
面白いのは作品を一気に作る様で、今回も一曲を除き2014年に作られています。(異なる一曲"6.Wintersongs II"は2003年で "III"と同じです)

演奏はICE [International Contemporary Ensemble]、Steven Schick(cond.)、voiceはJeffrey Gavett(baritone 1,2,4,5,7)、Kai Wessel(contra tenor 1,2,4,5,7)です。


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1. Wintersongs V: Forgotten Light (2014)
全楽器協奏みたいなロングトーンのトゥッティ、静空間、特殊奏法と打楽器音、弦グリッサンド、いろいろな構成を見せてくれます。基本的に旋律はなくて"音塊"です。voiceはもちろんヴォーカリーズで歌詞は無く人間特殊声法?!です。チェルノヴィンの楽風品評会の様な24'ですが、ノイズ系があまり出て来ませんね。


2. Five Action Sketches I: Breathe (2014)
2'弱のvoiceや各楽器のホモフォニー的対話です。voiceは例によって特殊声法wですね。それが面白いです。


3. Wintersongs IV: Wounds / Mistletoe (2014)
各楽器が旋律の無い音出しを繰り返します。それが静空間の中に散りばめられる感じで、背景音と前音の様な構成もあります。音の会話は進むに連れて濃くなったり、静が強くなったりと変化しますね。最後は大きな塊と化してから鎮まります。
voiceが入らないのでシンプルな構成ですが、入ったらもっと面白かった?!

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  スコア付きです



4. Five Action Sketches II: So Narrow (2014)
読経かドローンの様なvoiceから入って、台詞のない対話が見え隠れします。その時に一瞬ですが機能和声的ハーモニーになるのが面白いですね。voiceグリッサンドも後半出て来ます。


5. Five Action Sketches IV: Sliver (2014)
ロングトーンでノイズも入ったドローンを背景にして、特殊奏法の音が前面に現れます。一回だけ強音がその中に出現します。


6. Wintersongs II: Stones (2003)
この一曲だけ古い2003年作品です。低音音塊が辺りを彷徨う感じで、生き物が蠢く感じなのはチェルノヴィンのこの時代の楽風ですね。魑魅魍魎の暗躍といった気配です。


7. Five Action Sketches V: Sand (2014)
珍しく楽器がハーモニー音を出しますね。もちろん不協和音ですが、そこからグリッサンドで分かれて行くのが面白いです。そしてvoice特殊声法の登場です。



無調混沌ですが、即興的ポリフォニーの様な音のカオスではありません。静の中に旋律の無い音塊がホモフォニー的に出現するのがチェルノヴィンです。

まだノイズ感が低いですが、今(2020)のチェルノヴィンの作品方向になっていますね。特殊声法とも言える肉声が入るとますますその面白さが増すのも特徴的です。個性的で素晴らしいですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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