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ハヤ・チェルノヴィン(Chaya Czernowin)の室内楽集『Shifting Gravity』


ハヤ・チェルノヴィン (Chaya Czernowin, b. 1957)
C.チェルノヴィンはイスラエル出身で米在住の女性現代音楽家です。米西海岸UCSDでB.ファーニホウに師事して、その影響が大きいです。従って欧エクスペリメンタリズムの"新しい複雑性"を標榜しファーニホウの後任としてUCSDで教鞭をとり、今はハーバード大で指導しています。(英出身のファーニホウも今は米ビバリーヒルズ在住でスタンフォード大で教鞭をとっています)

作品もさることながら、今や指導者としての注目度が高い音楽家の一人になるでしょうか。楽風は特殊奏法のノイズ系でエレクトロニクスや調性に近い方向性も見せます。"新しい複雑性"ですが、強度な演奏・スコアの難異性ではありません。(以上、前回インプレ "Hidden" の紹介文と同じ)


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Shifting Gravity
チェルノヴィンの室内楽集になります。"Anea Crystal" と "Winter Songs" は彼女が得意とする連作楽曲の一部でしょう。

演奏はQuatuor Diotima(1,3,5), Ensemble Nikel(2), ascolta(4), ensemble courage(6), IRCAM(6)、指揮者略です。





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1. Anea Crystal: Seed I, for string quartet (2008)
奇妙なピチカートから入って来ます。この時点で前衛色満開ですw すぐにトリル・トレモロが現れ、対位法の様な流れを作り、そこにチェルノヴィンらしい弦のノイズが絡んで来ます。埋め尽くす様な音では無くて、空間に散りばめた"音"です。猫の鳴き声の様なグリッサンドも出現して、会話的でもあります。後半は強烈なノイズを発生させます。無調ポリフォニー混沌ではありません。


2. Sahaf, for four instrumentalists (2008)
pf, e-guitar, perc, sax, で、旋律感は薄く"音"の交錯です。楽器構成がセンス抜群で音の広がりが面白いです。ここでもポリフォニカルでは無くてホモフォニーの様な連携を形作ります。その中にポリフォニカルな密集音も時折発生させますが、全体としては空間と音の印象です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  ensemble Hinge によるLIVEです。音作りがよくわかります
  こちらの方がメリハリが強いです



3. Anea Crystal: Anea, for two string quartet (2008)
1.のver.2で、同じ様にピチカートから入り、直ぐにグリッサンドとの絡みになっています。そこからノイズになるのも同じ流れです。曲全体としても延長線上に、と言うか同じ流れでしょう。楽器構成が倍になっている感じも薄めですが。


4. Sheva, for seven instrumentalists (2008)
楽器編成が増えて少しポリフォニーの流れが入ります。ゾウの咆哮の様な管楽器が特徴的で、弦楽器も生き物の雄叫び的に絡みます。音塊が叫ぶサファリ・ツアーみたいな音楽です。pfだけが即興的な音を出します。


5. Anea Crystal: Seed II, for string quartet (2008)
1.のver.3ですね。今回の入りはバルトーク・ピチカートとグリッサンドが一緒です。グリッサンドが主の流れを作りながらトリル・トレモロが蠢くという感じです。トリル・トレモロはノイズに変化もしています。切れ味鋭い短いボウイングが飛び交うのも面白いです。


6. Winter Songs III, for ten instruments and electronics (2003-2004)
ここまでの5曲とは少々異なり、無音空間を感じる音の構成です。音があるからこそ空(くう)がある、と言った感じでしょうか。旋律はなく"音塊"で低音主体です。闇夜の魑魅魍魎なのかナイト・サファリなのか、見えないけれど何か居るゾ、みたいなw エレクトロニクスは後半のノイズはわかりますが、それ以外はよくわかりません。



まだ2010年より前の作品なのでノイズ主体にはなっていません。旋律感は低く無調の"音塊"によるホモフォニーで、その中にノイズも入る感じです。

これで即興的ポリフォニーにするとB.ファーニホウの方向になってしまいますが、弦のグリッサンドなどはシェルシやシャリーノの方向が見えたりします。ラッヘンマンを思わせる特殊奏法ノイズがこの後のチェルノヴィンの方向性になります。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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