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大石将紀さんの『Smoke』日本の現代音楽家8人のサックス・ソロ曲集

杉山洋一さんの曲を聴きたくて手したアルバムですね。インプレの視線はどうしても作曲家メインになってしまいます。


Smoke - 大石将紀(Masanori Oishi, sax)
東京芸大出身、パリやアムステルダムでも学んでいるクラシック・前衛現代音楽のサックスプレイヤーですね。2015年の大野和士/都響のB.A.ツィンマーマン前衛大作「ある若き詩人のためのレクイエム」にも出演されていました。

「Smoke」は日本を代表する8人の前衛現代音楽家のsax-solo作品をオムニバスにしたアルバムで、大石さんの代表作ですね。でも今回はその中に入っている杉山洋一さんの曲が個人的メイン・ターゲットです。アルバム的にも24'を超える唯一長い楽曲でメインと言っていいでしょう。







1. スペル・ソング - 呪文の歌 細川俊夫 (2015)
ソプラノサックス、この曲だけ大石さんによるsop-sax編曲ver.ですね。かなり調性を感じる事、反復・変奏の強さ、ディナーミク、そして幽玄と言うよりも陰鬱な流れ。処々に美しさを感じるのが細川さんらしさですね。


2. イニシャル S 酒井健治 (2010)
アルトサックスです。跳躍音が入りますね。そしてポン・ポンといったスラップタンギング音をベースに鳴らします。中盤に技巧的なパートが入っていて聴き応えがありますね。その後は静音の深遠な気配となっていて、構成感もいい感じです。グロウ・トーンやダブルストップ的な処、特殊奏法の様な感じもありますね。


3. 水の影 西村朗 (2011)
アルトサックスです。ロングトーンで深淵な中に速いパッセージが入ります。そしてグリッサンドやスラップタンギング、グロウ・トーンを混じえながら表情変化させていますね。深淵・幽玄さは西村さんらしさでしょう。


4. SAKANA 藤倉大 (2007)
テナーサックスです。特殊奏法(クラッタリング?)なのかスラップタンギング多用なのか微妙な音を使いながら進んで行きます。反復・変奏の流れが強いですね。大きな流れの変化は無く地味ですが技巧的には難しいのかも…

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  LIVEです。映像やランプあってインスタレーション的です
  演奏もCDより色合いを感じて、楽しさがありますね



5. 残り火 高橋悠治 (2009)
バリトンサックスです。暗く低い幽玄な流れが続きます。奏法的に何かを挟む事はありませんね。月夜の森を歩くかの様です。


6. 私ではなく風が… 湯浅譲二 (1976)
アルトサックスです。"風"の様な音にスラップタンギングを混じえています。曲と言うよりも"音と空間"の様な感じです。そこに幽玄で静かな音色が時折現れます。後半は残響を生かしながら旋律感ある流れが強まりますね。今でも多い楽風ですが、少し年代が古いので時代を感じます。


7. 禁じられた煙 (湾岸通りバラード) 杉山洋一 (2015)
バリトンサックスです。まずヴィブラートの強い主題(動機?)が存在するのが個性的ですね。揺さぶらなければジャズのバラードの様な感じです。そこから静的ですが即興的な流れや、ヴィブラートを殺した流れ、二つの旋律を対比させる様な流れ、をスローの中に作ります。不思議な心地よさで楽しませてくれますね。最後に米国国歌変奏の様な引用?も登場します。


8. 一人ぼっち 野平一郎 (2013)
アルトサックスの2'強の小曲です。



無調無拍の前衛曲が見当たらない事は驚きで、前衛の流れが調性回帰的多様性が軸になっている事を感じますね。

酒井さんのサックス・ヴァリエーション、西村さんや高橋さんの幽玄さ、湯浅さんの"音と空間"を楽しみ、そしてメインは不思議で魅力的な流れの杉山さんが待っている。そんな感じでしょうか。

大石さんの豊な鳴りと表情のサックスが楽しめるアルバムになっていますね。あからさまな超絶技巧曲が一曲あっても良かった気がします。



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テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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