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ペール・ヘンリク・ノルドグレン(Pehr Henrik Nordgren)の弦楽と協奏曲『Lamentations, 嘆き』



ペール・ヘンリク・ノルドグレン
(Pehr Henrik Nordgren, 1944-2008)
6年ぶりに聴くノルドグレン、フィンランドの現代音楽家ですね。何と言っても日本ととても縁が深い事でよく知られるところでしょう。フィンランドで学び、コッコネンに師事しています。その後、東京藝術大学でも習って日本の伝統音楽に知見を得、日本人女性と結婚していますね。

楽風は前衛ではなく、調性感を保持した北欧的な現代音楽です。前衛技法である十二音技法やクラスター他を手にしていますが、欧前衛エクスペリメンタリズムとは距離を置きましたね。また、日本文化やフィンランド民族和声も使っています。


 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 北欧近現代音楽CD(作曲家別)一覧


Lamentations
2008年に亡くなったノルドグレンの追悼するアルバム「嘆き」です。得意とした弦楽奏曲と協奏曲になりますね。
"1. 弦楽のための交響曲" の中の二つの楽章はノルドグレンの葬儀で演奏されたそうです。また "4. オーボエ協奏曲" はノルドグレンが書きたかったオーボエと弦楽の協奏曲で、オーボエ奏者ヤーレンからobテクニックを享受されて作られたそうです。

演奏はノルドグレンとの関係が深い、ユハ・カンガス指揮, オストロボスニア室内管ですね。このセットとは数多くの作品を残しています。(カンガスは同オケの創設者です) 4.のオーボエはアンニ・ハーパニエミです。







1. 弦楽のための交響曲 Op. 43 (1978)
5パートの曲です。調性旋律が存在して、明確な主題は感じられませんが動機が存在します。そしてポリフォニーというよりもホモフォニーでの構成がメインですね。パートによりクラスター的なトゥッティ音が炸裂します。北欧的な新古典主義の音楽と言ったらイメージが湧くのではないでしょうか。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  John-Edward指揮、Arcos Orchestraの演奏です



2. 弦楽のための協奏曲 Op. 54 (1982)
主動機とその変奏の様な流れを強く感じますね。変奏の中にはかなり調性の薄さを感じる物もあります。弦楽曲で幽玄さとディナーミク出し入れが強いのは1. もそうですが、この時期のノルドグレンらしさでしょうね。


3. 全世界が嘆くだろう Op. 26b (1974)
弦楽オケ曲で、4'強の小曲です。一番古い曲で明らかに楽風は異なり、主題の様な大きな流れを軸にして北欧らしい広がりを持つ美しい曲です。シベリウスを思い起こしますね。北欧クラシック好きな方御用達です。


4. オーボエ協奏曲 Op. 116 (2001)
オーボエと弦楽の一楽章構成の協奏曲、アルバム中一番新しい楽曲です。突如として現れるobの音色に驚きますね。楽風から行くと昔帰り的かもしれません。1. 2.と比べると明確な旋律をobに持たせていて、それが浮き立つ様なオーケストレーションがされています。もちろん3.の様な調性感ではなく不協和音を生かした様な幽玄さが軸となってはいますが。これがベスト・トラックでしょう



1974年の3.は北欧の後期ロマン派、1. 2.は北欧系の今の時代のクラシック音楽、2001年の3.では調性回帰的な幽玄な美しさが感じられます。

そんなノルドグレンの楽風変遷が楽しめるアルバムになっていますね。SACDで音も良く、北欧系に踏み込んでみるにも向いているアルバムです。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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