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メシアンと武満徹「世の終わりのための四重奏曲 | カトレーン II」の美しさ



Fin du temps TAKEMITSU MESSIAEN
メシアンと武満さんの四重奏曲を並べた面白いアルバムです。二曲ともにピアノ三重奏(pf, vn, vc)にクラリネットを入れた変則クァルテットですね。

武満さんの作品はメシアンへのオマージュになっていますから、メインディッシュはメシアンという事になるでしょう。事実、本アルバムはアウシュビッツの開放から75周年となる今年2020を記念したリリースだそうです。そのメシアン「世の終わりのための四重奏曲」作曲経緯は下記に。

演奏者は、José Luis Estellés(cl), Aitzol Iturriagagoitia (vn), David Apellániz (vc), Alberto Rosado (pf)です。


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武満徹 (Toru Takemitsu, 1930-1996)
日本を代表する前衛現代音楽家ですね。紹介文は割愛ですw
「カトレーン II」は四重奏+管弦楽の名曲「カトレーン (1975)」の四重奏パートを抜き出して編曲を加えた作品ですね。

Quatrain II (1977)
 思いの外、弦のグリッサンドが強く感じますね。逆にclの主張が弱く、打楽器が無い分キラキラした印象が薄まって神経質な印象です。無調なのですが、武満さんらしい美しい旋律がスローに交錯して幽玄な四重奏曲になっています。一つ一つの音が大切に弾かれている事を感じますが、もっとキレキレ, もしくは真逆に美しさかの演奏の方が面白い様な気がしますね。

頭の中でなっている「カトレーン」小澤BSOに比べると煌びやかな美しさからシャープな印象になっています。テンポ設定は同じ様な感じです。



オリヴィエ・メシアン (Olivier Messiaen, 1908-1992)
今更何の説明も要らない現代音楽源流のフランス音楽家ですね。紹介文は割愛ですw
代表作の一つ「世の終わりのための四重奏曲」はメシアンがドイツの捕虜収容所に収監された際に作られ, 初演も収容所という特殊な作品になります。当初はピアノ・トリオ曲でしたが、収容所でクラリネット奏者が居た事で、ヴァイオリン、チェロ、ピアノ、クラリネットの四重奏曲となったそうです。これにフルートを加えると"月に憑かれたピエロ"他、今の時代の前衛系でみる五重奏になる訳ですね。
面白いのはclにベー管指示がある事ですね。(特に記述がなければ1940年ならB♭管が基本?!) スコアを見るとclパートだけ調号がないからでしょうか。

Quatuor pour la Fin du Temps (1940)
 8パート, この時期のメシアンらしく約50'と長い室内楽です。ここでもメシアンらしい"鳥の声"を主として、細かい音の積み重ねで表情作りが明確ですね。それは一曲目の前奏曲から明らかです。そして二曲目(世の終わりを告げる天使のためのヴォカリーズ)で表情を一変させて強音中心の主部からトリオでは水音のpfと弦が幽玄シンプルな音に変化させて来ます。一番長い三曲目のcl独奏曲は深淵で幽玄な美しさ、夜の印象ですね。ユニゾンと楽器組合せの妙を見せる四曲目、チェロの音階がオンドマルトノが原曲である事を感じさせるpfとのデュオ五曲目は半音を強く印象付ける和声の幽美さです。ユニゾンとリズム設定が個性的な六曲目から、強弱出し入れの強い七曲目。幽玄なvnと和音変化でサポートするpfのDuo曲、ラスト八曲目(イエスの不滅性への賛歌)はシンプルな流れに美しいメシアン和声を聴く事が出来ます

明瞭なメシアン和声で, 8パートそれぞれに個性を感じさせる素晴らしさ、三・八曲目は特に良いですね。
ただ、演奏はここでも生真面目で固い印象が強いです。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  バレンボイム(pf)他によるDG盤です。これを聴いた人が多いのでは
  個人的にはこれが基準になっていて、弱音も含めた表情が美しいです




セリエルに埋没しなかったメシアンの素晴らしさを聴く事ができるのはいつでも素晴らしい事ですね。武満さんとメシアンの類似性はキラキラとした美しさだと、個人的には思っています。違いは無調旋律の武満さん、単音組合せのメシアン、と言った感じになるでしょうか。

カトレーンII、やっぱり管弦楽曲の「カトレーン」の方が美しさと煌めきが強く好きですね。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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