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ピエール・ブーレーズ「主なき槌」と ブーレーズに捧ぐ フィリップ・マヌリ「B-パルティータ」新旧前衛現代音楽



Pierre Boulez »Le Marteau sans maître« | Philippe Manoury »B-Partita«
前衛三羽ガラスの一人で、IRCAM創設他 現代音楽界に多大な影響力を最後まで及ぼしたブーレーズ。そして現在の仏現代音楽界を代表するマヌリ。どう見ても何らかのコンセプトがありそうな二作曲家の組み合わせ、ライナーノートを見てもマヌリの曲がブーレーズの思い出に書かれている事以外に記述は見つかりませんでした。

室内楽ですが、前者は歌曲であり、後者はエレクトロニクスが入ります。演奏はダニエル・カフカ(Daniel Kawka)指揮、アンサンブル・オルケストラル・コンタンポラン(Ensemble Orchestral Contemporain)です。1. にはメゾ・ソプラノのサロメ・アレール(Salomé Haller)が入ります。








ピエール・ブーレーズ
(Pierre Boulez, 1925-2016)
ブーレーズに関しては殆どインプレを残していません。シュトックハウゼン, ケージも同じですが、この前衛全盛期年代に関してはその内まとめてインプレできればと思い〼

■1. Le Marteau sans maître (1954)
 ブーレーズの代表曲の一つ「主なき槌」、シェーンベルクの "月に憑かれたピエロ" を元にしていて、構成も明らかに類型です。"管理された偶然性"になる前、セリエルに自由度を与えた時代、29歳の作品になりますね。
まずブーレーズらしいキラキラとした音色が感じられるのが嬉しいですね。音の跳躍と点描的なセリエルらしい楽曲ですから、そこが源流である無調の "ピエロ" との大きな違いです。パート毎にテンポが変化して行き、時にホモフォニー的に構成される事もあります。それでも変化に乏しく感じてしまい、それがセリエル系の問題だった事がよくわかります。
歌唱が入るのは3. 5. 6. 9.の4パート(全9パート)で、シュプレッヒゲザングで "ピエロ" を超える様な何かは見当たらないと思います。残念ながら今や化石化してしまったセリエルの幻影かもしれません。

ちなみに、ブーレーズ本人指揮CD、繊細切れ味のCBS盤、繊細マイルドなDG盤、に比べると、テンポはやや遅く鳴りが太い演奏になっていますね。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  Ulrich Pöhl指揮, INSOMNIOの演奏です。シャープな流れですね




フィリップ・マヌリ
(Philippe Manoury, b. 1952)
度々の来日がありますが、直近コンサートでは2018年のサントリーホール・サマーフェスティバルですね。ポスト・セリエルからの王道欧エクスペリメンタリズム系で、IRCAMで習いMAXを使ったエレクトロニクスを駆使します。強音ポリフォニーや機能和声回帰と言った多様性も見せる様になっていますね。

■2. B-Partita, in memoriam Pierre Boulez (2016)
 2016年作品ですから、ブーレーズの亡くなった年の作品です。マヌリのパルティータというとvaとエレクトロニクス作品 "Partita I" を思い出しますね。その後、vnとエレクトロニクスの II. が作られて、その拡張版だそうです。タイトルの"B"はB-flatの事で、意図は'分身を消し去る様な印象'だと、言っています。よくわかりませんがw
反復・変装、ポリフォニー、等拍、即興的混沌、ノイズ、時に音が渦巻く空間音響系でもありますね。多様な構成で強弱出し入れが強いので、表情豊な変化を見せてくれます。中盤ではvnの超絶技巧を見せてヴァイオリン協奏曲の様相ですね。何でもありの多様性です。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  パリのManifestes Ircam FestivalでのFirst performanceだそうです
  CDの方が刺激的な流れになっていて好みです




キラキラとした音はブーレーズがメシアンから受け継いでいる最大の特徴だといつもながら思います。残念ながら既に時代はセリエル系を過去の遺産としてしまったと再認識する事になりますが。

マヌリは今の時代の欧エクスペリメンタリズムらしい、セリエル禁止事項(反復や三度五度)や調性も交えた多様性になっていますね。目新しさに欠けるのは今や仕方のない事でしょう。

欧前衛隆盛期と現在、60年を隔てた変化が味わえる一枚になっています。



ブーレーズに興味がある方は次のCDセットいずれかを入手すると全貌を見通しやすいかもしれません。
BoulezCD.jpg


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