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カイヤ・サーリアホ の「True Fire・Trans・Ciel d'hiver」現代管弦楽曲集



カイヤ・サーリアホ (Kaija Saariaho, b. 1952)
フィンランド現代音楽界のビッグネーム、サーリアホですね。このブログではお馴染みで、北欧にありながら欧エクスペリメンタリズム系の音楽家ですね。来日では物静かな大きなおばさん(失礼)と言った事を何回も書いているので割愛ですw

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True Fire・Trans・Ciel d'hiver
今回は2010年代の管弦楽曲三曲になりますね。声楽入り、小編成オケ、ハープ協奏曲、と言ったバリエーションがあるので楽しめそうです。

演奏はフィンランドのセット、ハンヌ・リントゥ指揮/フィンランド放送交響楽団になります。(ソリストは違いますが)







1. True Fire (2014) for baritone and orchestra
  I. Proposition I - II. River - III. Proposition II - IV. Lullaby - V. Farewell - VI. Proposition III
バス・バリトンはジェラルド・フィンリー(Gerald Finley)で、TEXTは米神秘主義者ラルフ・ワルド・エマーソン(Ralph Waldo Emerson)の ‘Spiritual Laws’ から使われています。

第一印象は現代オペラを感じますね。オケは無調の幽玄な流れになって、歌唱パートも極端な無調では無いにしても幽玄さが強く、バルトークの"青ひげ公の城"を思わせますね。オケはパートごとに下降音階やトリル・トレモロや反復と言ったパターンを変化させ、どの楽器も鬱で深淵な音色です。そして常に煌びやかさを残しているのが素晴らしいですね。

 ★試しにYouTubeで聴いてみる?
  1st mov. "Proposition I"。bass-baritone は Davóne Tines です


2. Ciel d'hiver (2013)
自身の作品 'Orion' の中間楽章 ‘Winter Sky’ のsmaller orchestra ver. です。名前を混同しない様にフランス語のタイトルにしたそうです。

得意の幽玄・鬱なダークさで、聴き様によってはドローン系にも感じる空間音響系ですね。いかにもサーリアホの作品と言ったイメージでしょうか。旋律らしき流れはあっても、主部や主題と言った構成感はありませんね。大きく聴くと反復・変装が基本になっている感じですが、それ以上に残響を含めて"響く音"の世界です。倍音的な唸りも感じますね。緩いクレシェンドで音厚が増して緊張感も高まります。最後はオルゴールか時を刻む時計の様な印象です。


3. Trans (2015) for harp and orchestra
  I. Fugitif - II. Vanité - III. Messager
サントリー芸術財団・他共同委嘱作品の「ハープ協奏曲」ですね。初演は2016年東京で、ハープは本CDと同じグザヴィエ・ドゥ・メストレ(Xavier de Maistre)でした。(オケは東京交響楽団) 日本の歳時記を参考にしているとも当時聞いた記憶がありますね。

2.Ciel d'hiver の延長上にある感じです。hpとシロフォン?(or ヴィブラフォン)のDialogueの様な透明感ある対比で始まります。そこに漂う緊張感と煌びやかな音色にまず惹かれますね。続く 対位法の様なhpのL/HとR/Hも面白いです。"II. Vanité" では箏奏の様な印象のhpも聴く事ができます。鬱・ダークよりも透明感のある深淵さを感じますね。part III. のラストは主部回帰の流れを作って終わります。



近年のサーリアホの充実した完成度の高さを味わえるアルバムになっていますね。

幽玄さを軸にした声楽と管弦楽の素晴らしさ、オススメの一枚です。




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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