FC2ブログ

エリーザベト・クッフェラート(Elisabeth Kufferath) の『TWO』前衛の無伴奏ヴァイオリンとヴィオラ



TWO
エリーザベト・クッフェラート (vn, va: Elisabeth Kufferath)
クッフェラートはハンブルク生まれの女性ヴァイオリニスト/ヴィオリスト。テツラフ・クァルテットの創設期からのメンバーでもありますね。現代音楽を得意として、ハインツホリガーから称賛を受けています。また初演を多くこなし、ルツェルン音楽祭他から招聘を受けている様です。

今回のポイントは彼女ではなく、4人の前衛現代音楽家の興味深い企画です。

ヴァイオリン・ソロとヴィオラ・ソロの計8曲
約20年づつ離れた前衛現代音楽 4世代

彼女に献呈された2曲が含まれ、そしてエトヴェシュはB.A.ツィンマーマンに曲を捧げています。








ベルント・アロイス・ツィンマーマン
(Bernd Alois Zimmermann, 1918-1970)
前衛最盛期セリエル時代、当時の前衛を牛耳っていた三羽烏(シュトックハウゼン, ブーレーズ, ノーノ)陣営から批判の的となっていましたね。亡くなった後になるのが残念ですが、結果的には彼らが陥ったセリエルの暗闇に嵌まらず、今の時代の"多様性"前衛の魁として再評価されています。
このブログでは一押しの古典前衛現代音楽家の一人です。いつも書きますが、生まれるのが20年早かったですねェ…

■1. Sonata for Violin Solo (1951)
 1950年代はツィンマーマンの中期で、セリエルの方向性を見せます。ここでも調性に片足を置きながら、点描的な楽曲になっています。セリエルとは言っても幽玄な旋律感を軸にして、禁令の反復も執拗に入れていますね。それがツィンマーマンでしょう。
クッフェラートは強音強調の演奏でキレキレです。


■2. Sonata for Viola Solo (1955)
  “....an den Gesang eines Engels“
 ノイズやダブル・ストップ、グリッサンドが入り、ヴァイオリン・ソロよりも表情の彫りが深くなっています。旋律感は低くなり楽曲としては、こちらの方が俄然面白いです。二曲とも今の時代の無伴奏vn, va曲と言っても何の問題もなさそうですね。コンサートで聴きたいです。



トルステン・エンケ
(Thorsten Encke, b. 1966)
54歳(2020で)になるドイツの現代音楽家で、チェリスト, 指揮者でもあります。また室内アンサンブル"musica assoluta"の創設者であり、指揮者・音楽監督も兼ねているそうです。

■3. Outline for Violin Solo (2017)
 本ヴァイオリン・ソロ曲はクッフェラートに献呈されています。トリル・トレモロを軸にグリッサンドを混ぜていますね。上昇音階と下降音階を中心にして、無調でしょうが旋律感があって聴きやすいです。

 ★試しにYouTubeで観てみる?
  クッフェラートの演奏姿が見られます



■4. Inner Voice for Viola Solo (2015)
 ここでわかるのは、3.もそうでしたがエンケは弦の高音部を使うパートを書くと言う事ですね。トリル・トレモロ、グリッサンドの構成も同じで、少し音数が減っている感じです。(こちらの方が2年古いですが)



ヨハネス X. シャハトナー
(Johannes X. Schachtner, b. 1985)
今回最も若い35歳(2020で)のドイツの現代音楽家で、指揮者でもあります。元はトランペットを習っていたそうですが、ミュンヘン音楽大で作曲を学んだそうです。
ヴァイオリン・ソロはバッハへのオマージュで、一部引用と"B-A-C-H"のモチーフ・コードを使っているそうです。よくあるパターンではありますが。

■5. Epitaph for Violin Solo (2007)
 22歳の時の作品ですか。単音強ピチカートと激しいボウイングと繊細な音色の組合せ、無調ですが途中民族和声も感じます。残念ながらバッハの引用はよくわかりません。個性は感じられず、21世紀に入って若い時の作品ならもっと何らかの冒険があってもいい様な…


■6. Patheia. Epilogue for Viola Solo (2015/17)
 クッフェラートに献呈されたヴィオラ・ソロ曲です。船の霧笛の様なロング・トーン、それがダブル・ストップで入り、クレシェンドして強音が現れます。旋律感は薄くなっていてノイズの様な弱音も現れます。強音vs静音の反復の緊張感が面白くこれは好きですね。



ペーテル・エトヴェシュ
(Peter Eötvös, b. 1944)
ハンガリーの現代音楽家/指揮者エトヴェシュ、76歳になるんですねェ。このブログではお馴染みのエトヴェシュですので、紹介は割愛ですw ちなみにエトヴェシュはケルンでツィンマーマンに師事していますね。

■7. Para Paloma for Violin Solo (2015)
 反復・変奏の旋律を軸にしています。点描的でツィンマーマンを思わせますね。


■8. Désaccord 2 for two Violas (2018)
  (In memoriam B.A. Zimmermann)
 B.A.ツィンマーマンに捧げられた2挺のヴィオラ曲でクッフェラートの多重録音です。激しいボウイング、トリル・トレモロ、反復・変奏、そして何より2vaの音の厚みですね。激しいやりとりが生かせているのも当然好印象です。一瞬バッハ? バロック? の調べ(引用でしょうか)が入ってくるのも効果的にツィンマーマンを象徴していますね。本アルバムで一番の聴きどころです



古い前衛のツインマーマンから、35歳の若手まで、似た様な多様性無伴奏曲が並びました。それによっていかにツィンマーマンが時代の流れを先行していたかがわかりますね。
B.A.ツィンマーマンのファン御用達アルバムです。

クッフェラートはやりすぎくらいの強気で強引なボウイングが印象的です。近年増えているYouTube系パターンですね。



 ▶️ 現代音楽の楽しみ方  ▶️ 現代音楽CD(作曲家別)一覧


テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kokoton

by kokoton
.

    

カレンダー
06 | 2021/07 | 08
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
ようこそ
カテゴリ
ありがとうございます