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デイヴィッド・ラング(David Lang) の歌劇「prisoner of the state」は現代の"フィデリオ"


デイヴィッド・ラング (David Lang, b.1957)
米現代音楽集団"Bang on a Can"(以下BOAC)創設者の一人D.ラングですね。(他二人はジュリア・ウルフとマイケル・ゴードン) 前回BOAC関係のCDインプレをしたので、これが出ているのを思い出しました。

BOAC関連は多々インプレしているのでD.ラングの紹介も含め割愛ですが、本ブログ超オススメの米現代音楽推進チャンネルの一つですね。

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prisoner of the state
Jaap van Zweden (cond.) | New York Philharmonic
ニューヨーク・フィルによる委嘱作品(オペラ)です。ベートーヴェンの"フィデリオ"の現代版で、現代に置換えてトレースされているのでわかりやすいですね。メインキャスト四人(下記)の絡みに絞られてはいますが、一度あらすじを復習してから聴くとbetterです。

フロレスタン(囚人)はそのまま"The Prisoner"であり、妻のレオノーレ(男装してフィデリオ)はもちろん“The Assistant”(助手)に、ピツァロ(刑務所長)は“The Governor”(知事)に振り分けられます。下記17のパートの楽曲もそれぞれフィデリオに相当していますね。処々でフィデリオからの引用もあるそうですが、序曲しか浮かばないのでわからないかも…w

The Prisonerのモデルはグアンタナモ収容所に罪状不明のまま拘置され "地獄からの手記" を書いた政治犯モハメドゥ・スラヒ(Mohamedou Slahi)ではないかとの話もある様です。

【主な配役】
 ・The Assistant (sop):Julie Mathevet [ジュリー・マトヴェ]
 ・The Governor (ten):Alan Oke [アラン・オーク]
 ・The Prisoner (bar):Jarrett Ott [ジャレット・オット]
 ・The Jailer (bas-bar):Eric Owens [エリック・オーウェンズ]

【演奏】
 ・ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン指揮、ニューヨーク・フィル

【収録】2019年6月6-8日







1. I was a woman - 2. Prisoners! wake up! - 3. I stole a loaf of bread - 4. where is the boy? - 5. gold - 6. there is one thing - 7. prison song - 8. entrance of the governor - 9. better to be feared - 10. o what desire - 11. uhhh. So dark - 12. how cold it is - 13. he’s moving - 14. return of the governor - 15. stand back - 16. what is one man? - 17. waiting for the inspectors

はじめにコメントするなら、これは前衛音楽ではないと言う事ですね。機能和声の音楽ですがストーリー性を強く打ち出している情感の流れが明確です。処々でミニマルの楽風は覗きますが殊更のミニマル音楽を出さないのは嬉しいです。

一曲目の"I was a woman"から美しいソプラノ・ソロのバラードになっていて気持ちを引きつけられます。通して英語もスローに表現されてわかり易いので嬉しいですね。音楽的流れはクラシカルと言うよりもミュージカル的に感じますね。
"7. prison song"の様な楽団員のアカペラや、"8. entrance of the governor"の三重唱、聖歌風の"10. o what desire"も配されてヴァリエーション効果も盛り込まれています。個人的ベスト・トラックはThe PrisonerのJ.オットが歌う"11. uhhh. So dark"ですね。

配役的にはイタリア・オペラの様なアリアはありませんから、突出した個々のキャラクターを出す事はありません。またYouTubeで見られる様に、ステージ上にオケが配置される事はあっても舞台演出的も前衛ではありません。N.Y.P.も残響を生かした良い鳴りの演奏ですね。


 ★試しにYouTubeで観てみる?
  舞台ダイジェスト他が観られます



音楽的に前衛ではありません。でも音楽が作り出す雰囲気がミュージカル風に現代版フィデリオを作り上げていますね。これこそが米現代オペラという気がします。

主張を強く感じられます。BOACはJ.ウルフをはじめ米史の社会問題をテーマに取り上げる方向性を強めている感じですね。素晴らしい作品で全編観たいですね👏👏




テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽





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